2020-1130-man3794
万葉短歌3794 はしきやし3530
はしきやし 翁が歌に おほほしき
九の子らや 感けて居らむ ○
3530 万葉短歌3794 ShuH382 2020-1130-man3794
□はしきやし おきながうたに おほほしき
ここののこらや かまけてをらむ
○=作者未詳、娘子(をとめ)一。
【編者注】第1部(3786-3815、三十首)の第9首。女。脚注に、「一」。3755と同様(以下同じ)。
【原文】16-3794 端寸八為 老夫之歌丹 大欲寸 九児等哉 蚊間毛而将居 作者未詳
2020-1129-man3793
万葉短歌3793 白髪し3529
白髪し 子らに生えなば かくのごと
若けむ子らに 罵らえかねめや ○
3529 万葉短歌3793 ShuH357 2020-1129-man3793
□しろかみし こらにはえなば かくのごと
わかけむこらに のらえかねめや
○=作者未詳、竹取翁。
【編者注】第1部(3786-3815、三十首)の第8首。男。
【訓注】白髪(しろかみ)。若けむ(わかけむ=将若異)。罵らえかねめや(のらえかねめや=所詈金目八)[「罵(ののし)られないですもうか、すむものではない」。下記注]。
【編者注-のる】同訓異義語に、乗る・告る・罵る・賭る、がある(『詳説古語辞典』)。
2020-1128-man3792
万葉短歌3792 死なばこそ3528
死なばこそ 相見ずあらめ 生きてあらば
白髪子らに 生ひずあらめやも ○
3528 万葉短歌3792 ShuH357 2020-1128-man3792
□しなばこそ あひみずあらめ いきてあらば
しろかみこらに おひずあらめやも
○=作者未詳、竹取翁。
【編者注】第1部(3786-3815、三十首)の第7首。男。長文題詞(由縁)に次いで長歌(3791)、さらに以下の反歌2首。依拠本は、これら(竹取翁説話など)について、20ペイジ余にわたって詳論する。
【訓注】死なばこそ(しなばこそ=死者木苑)。生きてあらば(いきてあらば=生而在者)。
2020-1127-man3790
万葉短歌3790 あしひきの3527
あしひきの 玉縵の子 今日のごと
いづれの隈を 見つつ来にけむ ○
3527 万葉短歌3790 ShuH351 2020-1127-man3790
□あしひきの たまかづらのこ けふのごと
いづれのくまを みつつきにけむ
○=作者未詳、壮士(をとこ)三。
【編者注】第1部(3786-3815、三十首)の第5首。男。
【訓注】あしひきの(足曳之)。玉縵の子(たまかづらのこ=玉縵之児)。今日(けふ)。隈(くま)[「異霊のこもる場所・・・他界に連なる間所」。01-0017(長歌)道隈(みちのくま)、-0025(長歌)隈毛不落(くまもおちず)、など]。
2020-1126-man3789
万葉短歌3789 あしひきの3526
あしひきの 山縵の子 今日行くと
我れに告げせば 帰り来ましを ○
3526 万葉短歌3789 ShuH351 2020-1126-man3789
□あしひきの やまかづらのこ けふゆくと
われにつげせば かへりこましを
○=作者未詳、壮士(をとこ)二。
【編者注】第1部(3786-3815、三十首)の第4首。男。
【訓注】あしひきの(足曳之)。山縵の子(やまかづらのこ=山縵之児)。今日(けふ)。我れ(われ=吾)。帰り来ましを(かへりこまし=還来麻之乎)。
2020-1125-man3788
万葉短歌3788 耳成の3525
耳成の 池し恨めし 我妹子が
来つつ潜かば 水は涸れなむ ○
3525 万葉短歌3788 ShuH351 2020-1125-man3788
□みみなしの いけしうらめし わぎもこが
きつつかづかば みづはかれなむ
○=作者未詳、壮士(をとこ)一。
【編者注】第1部(3786-3815、三十首)の第3首。男。巻頭と同旨の由縁(ただしここでは「三男(みたりのをのこ=三人の男)」が「縵児(かづらこ)」を巡って)。
【訓注】耳成(みみなし=無耳)[「大和三山の一つ耳成山」]。我妹子(わぎもこ=吾妹児)。
2020-1124-man3787
万葉短歌3787 妹が名に3524
妹が名に 懸けたる桜 花咲かば
常にや恋ひむ いや年のはに ○
3524 万葉短歌3787 ShuH338 2020-1124-man3787
□いもがなに かけたるさくら はなさかば
つねにやこひむ いやとしのはに
○=作者未詳、壮士(をとこ)二。
【編者注】第1部(3786-3815、三十首)の第2首。男。脚注に、「其二」。
【訓注】妹が名(いもがな=妹之名)。桜(さくら)。花咲かば(はなさかば=花開者)。年のは(としのは=年之羽)[「毎年の意」。05-0833得志能波尓(としのはに)、06-0908毎年(としのはに)、など]。
***** 万葉集 巻16(3786~3889、百四首) 始 *****
2020-1123-man3786
万葉短歌3786 春さらば3523
春さらば かざしにせむと 我が思ひし
桜の花は 散り行けるかも ○
3523 万葉短歌3786 ShuH338 2020-1123-man3786
□はるさらば かざしにせむと あがもひし
さくらのはなは ちりゆけるかも
○=作者未詳、壮士(をとこ)一。
【編者注】巻16(3786=3889、百四首)は、「有由縁雜歌(ゆゑよしあるざふか)」で部立てとする。分けて第1部(3786-3815、三十首)、第2部(3816-3854、三十九首)、第3部(3855-3889、三十五首)とする。巻頭は第1部(3786-3815、三十首)の第1首。男。脚注に、「其一」など初出表記については、依拠本参照(以下同じ)。
【原文】16-3786 春去者 挿頭尓将為跡 我念之 桜花者 散去流香聞 作者未詳
【編者注-由縁(ゆゑよし)】巻頭2首に先立つ由縁に、一人の娘子(をとめ)「桜児(さくらこ)」を巡って争った二人の「壮士(をとこ)」の話が語られる。
2020-1122-man3785
万葉短歌3785 ほととぎす3522
ほととぎす 間しまし置け 汝が鳴けば
我が思ふ心 いたもすべなし 中臣宅守
3522 万葉短歌3785 ShuH323 2020-1122-man3785
□ほととぎす あひだしましおけ ながなけば
あがもふこころ いたもすべなし
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第63首、独詠歌群7首(3779~3785)の第7首。男。左注に、「右七首中臣朝臣宅守寄花鳥陳思作歌」。
【原文】15-3785 保登等芸須 安比太之麻思於家 奈我奈気婆 安我毛布許己呂 伊多母須敝奈之 中臣宅守
***** 万葉集 巻15(3578~3785、二百八首) 終 *****
2020-1121-man3784
万葉短歌3784 心なき3521
心なき 鳥にぞありける ほととぎす
物思ふ時に 鳴くべきものか 中臣宅守
3521 万葉短歌3784 ShuH323 2020-1121-man3784
□こころなき とりにぞありける ほととぎす
ものもふときに なくべきものか
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第62首、独詠歌群7首(3779~3785)の第6首。男。
【訓注】心なき(こころなき=許己呂奈伎)。鳥(とり=登里)。ほととぎす(保等登芸須)。物思ふ(ものもふ=毛能毛布)。
2020-1120-man3783
万葉短歌3783 旅にして3520
旅にして 妹に恋ふれば ほととぎす
我が住む里に こよ鳴きわたる 中臣宅守
3520 万葉短歌3783 ShuH323 2020-1120-man3783
□たびにして いもにこふれば ほととぎす
わがすむさとに こよなきわたる
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第61首、独詠歌群7首(3779~3785)の第5首。男。
【訓注】旅(たび=多婢)。ほととぎす(保等登芸須)。我が住む(わがすむ=和我須武)。響もす(とよもす=等余母須)。こよ(許欲)[「ここを通って、ここから」]。
2020-1119-man3782
万葉短歌3782 雨隠り3519
雨隠り 物思ふ時に ほととぎす
我が住む里に 来鳴き響もす 中臣宅守
3519 万葉短歌3782 ShuH323 2020-1119-man3782
□あまごもり ものもふときに ほととぎす
わがすむさとに きなきとよもす
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第60首、独詠歌群7首(3779~3785)の第4首。男。
【訓注】物思ふ(ものもふ=毛能母布)。ほととぎす(保等登芸須)。我が住む(わがすむ=和我須武)。響もす(とよもす=等余母須)。
2020-1118-man3781
万葉短歌3781 旅にして3518
旅にして 物思ふ時に ほととぎす
もとなな鳴きそ 我が恋まさる 中臣宅守
3518 万葉短歌3781 ShuH323 2020-1118-man3781
□たびにして ものもふときに ほととぎす
もとなななきそ あがこひまさる
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第59首、独詠歌群7首(3779~3785)の第3首。男。
【訓注】旅(たび=多婢)。物思ふ(ものもふ=毛能毛布)。ほととぎす(保等登芸須)。もとな(毛等奈)。我が恋(あがこひ=安我古非)。
2020-1117-man3780
万葉短歌3780 恋ひ死なば3517
恋ひ死なば 恋ひも死ねとや ほととぎす
物思ふ時に 来鳴き響むる 中臣宅守
3517 万葉短歌3780 ShuH323 2020-1117-man3780
□こひしなば こひもしねとや ほととぎす
ものもふときに きなきとよむる
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第58首、独詠歌群7首(3779~3785)の第2首。男。
【訓注】恋ひ死なば(こひしなば=古非之奈婆)。恋ひも死ね(こひもしね=古非毛之祢)。ほととぎす(保等登芸須)[02-0112霍公鳥、03-0423(長歌)霍公鳥、など]。物思ふ(ものもふ=毛能毛布)。響むる(とよむる=等余牟流)[<とよむ>初出は、06-1047(長歌)妻呼令動(つまよびとよむ)]。
2020-1116-man3779
万葉短歌3779 我がやどの3516
我がやどの 花橘は いたづらに
散りか過ぐらむ 見る人なしに 中臣宅守
3516 万葉短歌3779 ShuH323 2020-1116-man3779
□わがやどの はなたちばなは いたづらに
ちりかすぐらむ みるひとなしに
〇中臣宅守(なかとみの やかもり)=第3723番歌注参照。
【編者注】中臣宅守・・・六十三首(3723~3785)の第57首、独詠歌群7首(3779~3785)の第1首。男。
【訓注】我がやど(わがやど=和我夜度)。花橘(はなたちばな=波奈多知婆奈)[03-0423(長歌)花橘、07-1404花橘、など33か所]。いたづらに(伊多都良尓)。散りか過ぐらむ(ちりかすぐらむ=知利可須具良牟)[[この形は、集中ここのみ。・・・散り果てるか果てないかの瞬間を想起したもの・・・]].