2012-0930-man0736
万葉短歌0736 月夜には0670
月夜には 門に出で立ち 夕占問ひ
足占をぞせし 行かまくを欲り 大伴家持
0670 万葉短歌0736 ShuB651 2012-0930-man0736
□つくよには かどにいでたち ゆふけとひ
あしうらをぞせし ゆかまくをほり
○大伴家持(おほともの やかもち)=原文には単に「家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞原文は「又家持和坂上大嬢歌一首」。
【訓注】月夜(つくよ)。夕占(ゆふけ)。足占(あしうら=足卜)。
2012-0930-man0736
万葉短歌0736 月夜には0670
月夜には 門に出で立ち 夕占問ひ
足占をぞせし 行かまくを欲り 大伴家持
0670 万葉短歌0736 ShuB651 2012-0930-man0736
□つくよには かどにいでたち ゆふけとひ
あしうらをぞせし ゆかまくをほり
○大伴家持(おほともの やかもち)=原文には単に「家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞原文は「又家持和坂上大嬢歌一首」。
【訓注】月夜(つくよ)。夕占(ゆふけ)。足占(あしうら=足卜)。
2012-0929-man0735
万葉短歌0735 春日山0669
春日山 霞たなびき 心ぐく
照れる月夜に ひとりかも寝む 大伴坂上大嬢
0669 万葉短歌0735 ShuB651 2012-0929-man0735
□かすがやま かすみたなびき こころぐく
てれるつくよに ひとりかもねむ
○大伴坂上大嬢(おほともの さかのうへの おほいらつめ)=原文には単に「坂上大嬢」。第581歌参照。
【編者注】題詞原文は「同坂上大嬢贈家持歌一首」。
【訓注】たなびき(多奈引)。心(こころ=情)。月夜(つくよ)。ひとりかも寝む(ひとりかもねむ=独鴨念)[念は二音仮名]。
2012-0928-man0734
万葉短歌0734 我が思ひ0668
我が思ひ かくてあらずは 玉にもが
まことも妹が 手に巻かれなむ 大伴家持
0668 万葉短歌0734 ShuB648 2012-0928-man0734
□あがおもひ かくてあらずは たまにもが
まこともいもが てにまかれなむ
○大伴家持(おほともの やかもち)=第403歌参照。
【編者注】「大伴宿祢家持和歌三首」の第三首。
【訓注】我が思ひ(あがおもひ=吾念)。もが(毛我)。まこと(真)。
2012-0927-man0733
万葉短歌0733 うつせみの0667
うつせみの 世やも二行く 何すとか
妹に逢はずて 我がひとり寝む 大伴家持
0667 万葉短歌0733 ShuB648 2012-0927-man0733
□うつせみの よやもふたゆく なにすとか
いもにあはずて あがひとりねむ
○大伴家持(おほともの やかもち)=第403歌参照。
【編者注】「大伴宿祢家持和歌三首」の第二首。
【訓注】うつせみ(空蝉)。逢はず(あはず=不相)。我が(あが=吾)。寝む(ねむ=将宿)。
2012-0926-man0732
万葉短歌0732 今しはし0666
今しはし 名の惜しけくも 我れはなし
妹によりては 千度立つとも 大伴家持
0666 万葉短歌0732 ShuB647 2012-0926-man0732
□いましはし なのをしけくも われはなし
いもによりては ちたびたつとも
○大伴家持(おほともの やかもち)=題詞原文には「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞原文は「大伴宿祢家持和歌三首」。その第一首。
【訓注】今しはし(いましはし=今時者四)。我れ(われ=吾)。千度(ちたび=千遍)。和歌(こたふるうた)。
2012-0925-man0731
万葉短歌0731 我が名はも0665
我が名はも 千名の五百名に 立ちぬとも
君が名立たば 惜しみこそ泣け 大伴坂上大嬢
0665 万葉短歌0731 ShuB647 2012-0925-man0731
□わがなはも ちなのいほなに たちぬとも
きみがなたたば をしみこそなけ
○大伴坂上大嬢(おほともの さかのうへの おほいらつめ)=第581歌参照。
【編者注】「大伴坂上大嬢贈坂大伴宿祢家持歌三首」の第三首。
【訓注】我が(わが=吾)。千名(ちな)。五百名(いほな)。立ちぬとも(たちぬとも=雖立)。
2012-0924-man0730
万葉短歌0730 逢はむ夜は0664
逢はむ夜は いつもあらむを 何すとか
その宵逢ひて 言の繁きも 大伴坂上大嬢
0664 万葉短歌0730 ShuB647 2012-0924-man0730
□あはむよは いつもあらむを なにすとか
そのよひあひて ことのしげきも
○大伴坂上大嬢(おほともの さかのうへの おほいらつめ)=第581歌参照。
【編者注】「大伴坂上大嬢贈坂大伴宿祢家持歌三首」の第二首。
【訓注】逢はむ夜(あはむよ=将相夜)。いつも(何時)。その宵(そのよひ=彼夕)。逢ひて(あひて=相而)。言(こと=事)。
2012-0923-man0729
万葉短歌0729 玉ならば0663
玉ならば 手にも巻かむを うつせみの
世の人なれば 手に巻きかたし 大伴坂上大嬢
0663 万葉短歌0729 ShuB647 2012-0923-man0729
□たまならば てにもまかむを うつせみの
よのひとなれば てにまきかたし
○大伴坂上大嬢(おほともの さかのうへの おほいらつめ)=第581歌参照。
【編者注】題詞原文は、「大伴坂上大嬢贈坂大伴宿祢家持歌三首」。その第一首。
【訓注】玉ならば(たまならば=玉有者)。うつせみ(欝瞻)[=空蝉]。世の人なれば(よのひとなれば=世人有者)。
2012-0922-man0728
万葉短歌0728 人もなき0662
人もなき 国もあらぬか 我妹子と
たづさはり行きて たぐひて居らむ 大伴家持
0662 万葉短歌0728 ShuB645 2012-0922-man0728
□ひともなき くにもあらぬか わぎもこと
たづさはりゆきて たぐひてをらむ
○大伴家持(おほともの やかもち)=第403歌参照。
【編者注】「大伴宿祢家持贈坂上家大嬢歌二首」の第二首。
【訓注】我妹子(わぎもこ=吾妹児)。たづさはり(携)。たぐひて(副而)。
2012-0921-man0727
万葉短歌0727 忘れ草0661
忘れ草 我が下紐に 付けたれど
醜の醜草 言にしありけり 大伴家持
0661 万葉短歌0727 ShuB645 2012-0921-man0727
□わすれぐさ わがしたひもに つけたれど
しこのしこくさ ことにしありけり
○大伴家持(おほともの やかもち)=題詞原文には「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞原文は、「大伴宿祢家持贈坂上家大嬢歌二首」。その第一首。脚注に、「離絶すること数年、また会ひて相聞往来す」。
【訓注】忘れ草(わすれぐさ=萱草)。我が(わが=吾)。付けたれど(つけたれど=著有跡)。醜の醜草(しこのしこぐさ=鬼乃志許草)。言にしありけり(ことにしありけり=事二思安利家理)。また会ひて(またあひて=複会)。
2012-0920-man0726
万葉短歌0726 外に居て0660
外に居て 恋ひつつあらずは 君が家の
池に棲むといふ 鴨にあらましを 大伴坂上郎女
0660 万葉短歌0726 ShuB643 2012-0920-man0726
□よそにゐて こひつつあらずは きみがいへの
いけにすむといふ かもにあらましを
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】「献天皇歌二首」の第二首。
【訓注】外(よそ)。恋ひつつ(こひつつ=恋乍)。棲む(すむ=住)。
2012-0919-man0725
万葉短歌0725 にほ鳥の0659
にほ鳥の 潜く池水 心あらば
君に我が恋ふる 心示さね 大伴坂上郎女
0659 万葉短歌0725 ShuB643 2012-0919-man0725
□にほどりの かづくいけみづ こころあらば
きみにあがこふる こころしめさね
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】題詞原文は「献天皇歌二首」。その第一首。題詞脚注に、作者が春日の里に在って作る、と。「天皇」は聖武。
【訓注】にほ鳥(にほどり=二宝鳥)。潜く(かづく=潜)。心(こころ=情)[第3句、第5句]。我が(あが=吾)。
2012-0918-man0724
万葉短歌0724 朝髪の0658
朝髪の 思ひ乱れて かくばかり
なねが恋ふれぞ 夢に見えける 大伴坂上郎女
0658 万葉短歌0724 ShuB640 2012-0918-man0724
□あさかみの おもひみだれて かくばかり
なねがこふれぞ いめにみえける
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。。
【編者注】第723歌(長歌)への反歌。第723歌の題詞は、作者が跡見の庄から、自宅に残る長女の大嬢へ贈った歌、と。
【訓注】思ひ乱れ(おもひみだれ=念乱)。かくばかり(如是許)。なね(名姉)[=汝姉]。夢(いめ)。
2012-0917-man0722
万葉短歌0722 かくばかり0657
かくばかり 恋ひつつあらずは 石木にも
ならましものを 物思はずして 大伴家持
0657 万葉短歌0722 ShuB638 2012-0917-man0722
□かくばかり こひつつあらずは いはきにも
ならましものを ものもはずして
○大伴家持(おほともの やかもち)=題詞原文には「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞原文は、「大伴宿祢家持歌一首」。
【訓注】かくばかり(如是許)。恋ひつつ(こひつつ=恋乍)。石木(いはき)。物思はず(ものもはず=物不思)。
2012-0916-man0721
万葉短歌0721 あしひきの0656
あしひきの 山にし居れば 風流なみ
我がするわざを とがめたまふな 大伴坂上郎女
0656 万葉短歌0721 ShuB637 2012-0916-man0721
□あしひきの やまにしをれば みやびなみ
わがするわざを とがめたまふな
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】題詞原文は、「献天皇歌一首」。脚注に、大伴坂上郎女が佐保の宅で作る、と。「天皇」は聖武。
【訓注】あしひきの(足引乃)。風流(みやび)。我が(わが=吾)。わざ(和射)。とがめ(害目)。