万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌0766 道遠み0700

2012年10月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌0766 道遠み0700

道遠み 来じとは知れる ものからに
しかぞ待つらむ 君が目を欲り  藤原郎女

0700     万葉短歌0766 ShuB674 2012-1030-man0766

みちとほみ こじとはしれる ものからに 
  しかぞまつらむ きみがめをほり
藤原郎女(ふぢはらの いらつめ)=未詳。「藤原氏出身の女性で、のちに出る家持の女婿藤原久須麻呂(くすまろ)とかかわりのある人か。」 講談社版『事典』には「母は坂上郎女か。」 作品はこの一首。
【編者注】題詞は、これ(前歌)を聞いて藤原郎女がすぐに和(こた)えた歌一首。
【訓注】道(みち=路)。


万葉短歌0765 一重山0699

2012年10月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌0765 一重山0699

一重山 へなれるものを 月夜よみ
門に出で立ち 妹が待つらむ  大伴家持

0699     万葉短歌0765 ShuB674 2012-1029-man0765

ひとへやま へなれるものを つくよよみ 
  かどにいでたち いもがまつらむ
大伴家持(おほともの やかもち)=原文では「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞は、寧楽の宅にいる坂上大嬢を思(しの)んで、久邇京にいる大伴宿祢家持が作った歌一首。
【訓注】一重山(ひとへやま=一隔山)。へなれる(重成)。寧楽(なら)。久邇京(くにのみやこ)。


万葉短歌0764 百年に0698

2012年10月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌0764 百年に0698

百年に 老舌出でて よよむとも
我れはいとはじ 恋ひは増すとも  大伴家持

0698     万葉短歌0764 ShuB672 2012-1028-man0764

ももとせに おいしたいでて よよむとも 
  われはいとはじ こひはますとも
大伴家持(おほともの やかもち)=原文では「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞原文は「大伴宿祢家持和歌一首」。
【訓注】百年(ももとせ)。老舌(おいした)。よよむ(与余牟)。我れ(われ=吾)。和歌(こたふるうた)。


万葉短歌0763 玉の緒を0697

2012年10月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌0763 玉の緒を0697

玉の緒を 沫緒に搓りて 結べらば
ありて後にも 逢はずあらめやも  紀女郎

0697     万葉短歌0763 ShuB672 2012-1027-man0763

たまのをを あわをによりて むすべらば 
   ありてのちにも あはずあらめやも
紀女郎(きの いらつめ)=第643歌参照。
【編者注】「紀女郎贈大伴宿祢家持歌二首」の第二首。
【訓注】沫緒(あわを)。搓り(より=搓)。逢はず(あはず=不相)。


万葉短歌0762 神さぶと0696

2012年10月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌0762 神さぶと0696

神さぶと いなにはあらず はたやはた
かくして後に さぶしけむかも  紀女郎

0696     万葉短歌0762 ShuB672 2012-1026-man0762

かむさぶと いなにはあらず はたやはた
  かくしてのちに さぶしけむかも
紀女郎(きの いらつめ)=第643歌参照。題詞脚注原文に「女郎名曰小鹿也」。
【編者注】題詞原文は「紀女郎贈大伴宿祢家持歌二首」。その第一首。
【訓注】さぶ(左夫)。いなには(不欲者)。はたやはた(八多也八多)。小鹿(をしか)。


万葉短歌0761 早川の0695

2012年10月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌0761 早川の0695

早川の 瀬に居る鳥の よしをなみ
思ひてありし 我が子はもあれ  大伴坂上郎女

0695     万葉短歌0761 ShuB670 2012-1025-man0761

はやかはの せにゐるとりの よしをなみ
  おもひてありし あがこはもあれ
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】「大伴坂上郎女従竹田庄贈女子大嬢歌二首」の第二首。
【訓注】瀬(せ=湍)。居る(ゐる=居)。よし(縁)。思ひ(おもひ=念)。我が(あが=吾)。


万葉短歌0760 うち渡す0694

2012年10月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌0760 うち渡す0694

うち渡す 竹田の原に 鳴く鶴の
間なく時なし 我が恋ふらくは  大伴坂上郎女

0694     万葉短歌0760 ShuB670 2012-1024-man0760

うちわたす たけだのはらに なくたづの
  まなくときなし あがこふらくは
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】題詞原文は「大伴坂上郎女従竹田庄贈女子大嬢歌二首」。その第一首。作者が竹田庄(たどころ。現橿原市)から、女子(むすめ)大嬢(おほいらつめ)へ贈った。
【訓注】鶴(たづ)。間(ま)。我が(あが=吾)。


万葉短歌0759 いかならむ0693

2012年10月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌0759 いかならむ0693

いかならむ 時にか妹を 葎生の
汚きやどに 入れいませてむ  大伴田村大嬢

0693     万葉短歌0759 ShuB667 2012-1023-man0759

いかならむ ときにかいもを むぐらふの
  きたなきやどに いれいませてむ
大伴田村大嬢(おほともの たむらの おほいらつめ)=原文は「大伴田村家大嬢」。第756歌参照。
【編者注】「大伴田村家大嬢贈妹坂上大嬢歌四首」の第四首。左注あり、以下大意。右(四首)の田村大嬢・坂上大嬢は、ともに右大弁大伴宿奈麻呂卿(うだいべん おほともの すくなまろの まへつきみ)の娘である。卿が田村の里に居るので、号(なづ)けて田村大嬢と言う。ただし妹(いもひと)坂上大嬢は、母と坂上の里に居る。だから坂上大嬢と言う。時に姉妹は諮問(とぶら)ふに、歌で贈答する。
【訓注】いかならむ(何)。葎生(むぐらふ=牟具良布)。汚きやど(きたなきやど=穢屋戸)。いませ(座)。


万葉短歌0758 白雲の0692

2012年10月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌0758 白雲の0692

白雲の たなびく山の 高々に
我が思ふ妹を 見むよしもがも  大伴田村大嬢

0692     万葉短歌0758 ShuB667 2012-1022-man0758

しらくもの たなびくやまの たかだかに
  あがおもふいもを みむよしもがも
大伴田村大嬢(おほともの たむらの おほいらつめ)=原文は「大伴田村家大嬢」。第756歌参照。
【編者注】「大伴田村家大嬢贈妹坂上大嬢歌四首」の第三首。
【訓注】たなびく(たなびく=多奈引)。我が思ふ(あがおもふ=吾念)。


万葉短歌0757 遠くあらば0691

2012年10月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌0757 遠くあらば0691

遠くあらば わびてもあらむを 里近く
ありと聞きつつ 見ぬがすべなさ  大伴田村大嬢

0691     万葉短歌0757 ShuB666 2012-1021-man0757

とほくあらば わびてもあらむを さとちかく
  ありとききつつ みぬがすべなさ
大伴田村大嬢(おほともの たむらの おほいらつめ)=原文は「大伴田村家大嬢」。第756歌参照。
【編者注】「大伴田村家大嬢贈妹坂上大嬢歌四首」の第二首。
【訓注】わび(和備)。すべなさ(為便奈沙)。


万葉短歌0756 外に居て0690

2012年10月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌0756 外に居て0690

外に居て 恋ふれば苦し 我妹子を
継ぎて相見む 事計りせよ  大伴田村大嬢

0690     万葉短歌0756 ShuB666 2012-1020-man0756

よそにゐて こふればくるし わぎもこを
  つぎてあひみむ ことはかりせよ
大伴田村大嬢(おほともの たむらの おほいらつめ)=原文は「大伴田村家大嬢」。「坂上大嬢の異母姉。」(『事典』も同表記) 第759歌左注参照。全9首。
【編者注】題詞原文は「大伴田村家大嬢贈妹坂上大嬢歌四首」。その第一首。作者の初出歌。
【訓注】外(よそ)。我妹子(わぎもこ)。継ぎて(つぎて=次)。


万葉短歌0755 夜のほどろ0689

2012年10月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌0755 夜のほどろ0689

夜のほどろ 出でつつ来らく たび数多く
なれば我が胸 切り焼くごとし  大伴家持

0689     万葉短歌0755 ShuB663 2012-1019-man0755

よのほどろ いでつつくらく たびまねく
  なればあがむね きりやくごとし
大伴家持(おほともの やかもち)=原文には「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】「更大伴宿祢家持贈坂上大嬢歌十五首」の第十五首。
【訓注】夜のほどろ(よのほどろ=夜之穂杼呂)。たび数多く(たびまねく=遍多数)。我が(あが=吾)。切り焼く(きりやく=截焼)。


万葉短歌0754 夜のほどろ0688

2012年10月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌0754 夜のほどろ0688

夜のほどろ 我が出でて来れば 我妹子が
思へりしくし 面影に見ゆ  大伴家持

0688     万葉短歌0754 ShuB663 2012-1018-man0754

よのほどろ わがいでてくれば わぎもこが
  おもへりしくし おもかげにみゆ
大伴家持(おほともの やかもち)=原文には「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】「更大伴宿祢家持贈坂上大嬢歌十五首」の第十三首。
【訓注】夜のほどろ(よのほどろ=夜之穂杼呂)[用例は三首=0754, 0755, 1539]。我が(わが=吾)。我妹子(わぎもこ)。思へりしくし(おもへりしくし=念有四九四)。


万葉短歌0753 相見てば0687

2012年10月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌0753 相見てば0687

相見てば しましも恋は なぎむかと
思へどいよよ 恋ひまさりけり  大伴家持

0687     万葉短歌0753 ShuB663 2012-1017-man0753

あひみてば しましもこひは なぎむかと
  おもへどいよよ こひまさりけり
大伴家持(おほともの やかもち)=原文には「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】「更大伴宿祢家持贈坂上大嬢歌十五首」の第十三首。
【訓注】相見てば(あひみてば=相見者)。しましも(須臾)。なぎむか(奈木六香)。思へどいよよ(おもへどいよよ=雖念弥)。恋ひまさりけり(こひまさりけり=恋益来)。


万葉短歌0752 かくばかり0686

2012年10月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌0752 かくばかり0686

かくばかり 面影にのみ 思ほえば
いかにかもせむ 人目繁くて  大伴家持

0686     万葉短歌0752 ShuB663 2012-1016-man0752

かくばかり おもかげにのみ おもほえば
  いかにかもせむ ひとめしげくて
大伴家持(おほともの やかもち)=原文には「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】「更大伴宿祢家持贈坂上大嬢歌十五首」の第十二首。
【訓注】かくばかり(如是許)。面影(おもかげ)。