万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌1064 潮干れば0960

2013年07月30日 | 万葉短歌

2013-0730-man1064
万葉短歌1064 潮干れば0960

潮干れば 葦辺に騒く 白鶴の
妻呼ぶ声は 宮もとどろに  田辺福麻呂

0960     万葉短歌1064 ShuC523 2013-0730-man1064

しほふれば あしへにさはく しらたづの
  つまよぶこゑは みやもとどろに
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1062歌(長歌。題詞読下しは、「難波の宮にして作る歌 并せて短歌」)への「反歌二首」の第二首。
【訓注】潮(し塩)。葦辺(あしへ)。騒く(さはく=[(偏)足+(旁)參])。白鶴(しらたづ)。妻(つま)。声(こゑ=音)。とどろ(動響)。


万葉短歌1063 あり通ふ0959

2013年07月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌1063 あり通ふ0959

あり通ふ 難波の宮は 海近み
海人娘子らが 乗れる舟見ゆ  田辺福麻呂

0959     万葉短歌1063 ShuC523 2013-0729-man1063

ありがよふ なにはのみやは うみちかみ
  あまをとめらが のれるふねみゆ
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1062歌(長歌。題詞読下しは、「難波の宮にして作る歌 并せて短歌」)への「反歌二首」。その第一首。
【訓注】難波の宮(なにはのみや=難波乃宮)。海近み(うみちかみ=海近見)。海人娘子ら(あまをとめら=海童女等)。乗れる舟見ゆ(のれるふねみゆ=乗船所見)。


万葉短歌1061 咲く花の0958

2013年07月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌1061 咲く花の0958

咲く花の 色は変らず ももしきの
大宮人ぞ たち変りける  田辺福麻呂

0958     万葉短歌1061 ShuC519 2013-0728-man1061

さくはなの いろはかはらず ももしきの
  おほみやひとぞ たちかはりける
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1059歌(長歌。題詞読下しは、「春の日に、三香の原の荒墟を悲傷(かな)しびて作る歌 并せて短歌」)への「反歌二首」の第二首。
【訓注】咲く花の(さくはなの=咲花乃)。色は変らず(いろはかはらず=色者不易)。ももしきの(百石城乃)。大宮人(おほみやひと)。たち変りける(たちかはりける=立易奚流)。


万葉短歌1060 三香の原0957

2013年07月27日 | 万葉短歌

2013-0727-man1060
万葉短歌1060 三香の原0957

三香の原 久邇の都は 荒れにけり
大宮人の うつろひぬれば  田辺福麻呂

0957     万葉短歌1060 ShuC519 2013-0727-man1060

みかのはら くにのみやこは あれにけり
  おほみやひとの うつろひぬれば
○田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1059歌(長歌。題詞読下しは、「春の日に、三香の原の荒墟を悲傷(かな)しびて作る歌 并せて短歌」)への「反歌二首」。その第一首。
【訓注】三香の原(みかのはら=三香原)。久邇の都(くにのみやこ=久邇京)。大宮人(おほみやひと)。うつろひぬれば(遷去礼者)。


万葉短歌1058 狛山に0956

2013年07月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌1058 狛山に0956

狛山に 鳴くほととぎす 泉川
渡りを遠み ここに通はず  田辺福麻呂

0956     万葉短歌1058 ShuC512 2013-0726-man1058

こまやまに なくほととぎす いづみがは
  わたりをとほみ ここにかよはず
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1053歌(長歌。題詞なし)への「反歌五首」の第五首。脚注読下しは、「一には<渡り遠みか通はずあるらむ>といふ」。
【訓注】狛山(こまやま)[=鹿背山の木津川対岸]。ほととぎす(霍公鳥)。泉河(いづみがは=泉川)。ここに(此間尓)。


万葉短歌1057 鹿背の山0955

2013年07月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌1057 鹿背の山0955

鹿背の山 木立を茂み 朝さらず
来鳴き響もす うぐひすの声  田辺福麻呂

0955     万葉短歌1057 ShuC512 2013-0725-man1057

かせのやま こだちをしげみ あささらず
  きなきとよもす うぐひすのこゑ
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1053歌(長歌。題詞なし)への「反歌五首」の第四首。
【訓注】鹿背の山(かせのやま=鹿脊之山)。木立(こだち=樹立)。来鳴き響もす(きなきとよもす=寸鳴響為)。うぐひす(鸎)。声(こゑ=音)。


万葉短歌1056 娘子らが0954

2013年07月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌1056 娘子らが0954

娘子らが 続麻懸くといふ 鹿背の山
時しゆければ 都となりぬ  田辺福麻呂

0954     万葉短歌1056 ShuC512 2013-0724-man1056

をとめらが うみをかくといふ かせのやま
  ときしゆければ みやことなりぬ
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1053歌(長歌。題詞なし)への「反歌五首」の第三首。
【訓注】娘子ら(をとめら=嬬等[=(偏)女+(旁)感])。続麻懸く(うみをかく=続麻繋)。鹿背(かせ=鹿脊)。時し(ときし=時之)。都(みやこ=京師)。


万葉短歌1055 布当山0953

2013年07月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌1055 布当山0953

布当山 山なみ見れば 百代にも
変るましじき 大宮ところ  田辺福麻呂

0953     万葉短歌1055 ShuC512 2013-0723-man1055

ふたぎやま やまなみみれば ももよにも
  かはるましじき おほみやところ
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1053歌(長歌。題詞なし)への「反歌五首」の第二首。
【訓注】布当山(ふたぎやま)。山なみ(やまなみ=山並)。百代(ももよ)。大宮ところ(おほみやところ=大宮処)。


万葉短歌1054 泉川0952

2013年07月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌1054 泉川0952

泉川 行く瀬の水の 絶えばこそ
大宮ところ うつろひゆかめ  田辺福麻呂

0952     万葉短歌1054 ShuC512 2013-0722-man1054

いづみがは ゆくせのみづの たえばこそ
  おほみやところ うつろひゆかめ
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1053歌(長歌。題詞なし)への「反歌五首」。その第一首。
【訓注】泉川(いづみがは=泉河)[=木津川]。行く瀬(ゆくせ=徃瀬)。大宮ところ(おほみやところ=大宮地)。うつろひゆかめ(遷徃目)。


万葉短歌1052 山高く0951

2013年07月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌1052 山高く0951

山高く 川の瀬清し 百代まで
神しみゆかむ 大宮ところ  田辺福麻呂

0951     万葉短歌1052 ShuC505 2013-0721-man1052

やまたかく かはのせきよし ももよまで
  かむしみゆかむ おほみやところ
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】「久邇(くに)の新京(しんきゃう)を讃(ほ)むる歌二首 并せて短歌」)への「反歌二首」の第二首。
【訓注】山高く(やまたかく=山高来)。川の瀬(かはのせ=川乃湍)。百代まで(ももよまで=百世左右)。神(かむ)。


万葉短歌1051 三香の原0950

2013年07月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌1051 三香の原0950

三香の原 布当の野辺を 清みこそ
大宮ところ 定めけらしも  田辺福麻呂

0950     万葉短歌1051 ShuC505 2013-0720-man1051

みかのはら ふたぎののへを きよみこそ
  おほみやところ さだめけらしも
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はない。第1048歌参照。
【編者注】第1050歌(長歌。題詞読下しは、「久邇(くに)の新京(しんきゃう)を讃(ほ)むる歌二首 并せて短歌」)への「反歌二首」。その第一首。中注(四句あと)に「一にはここと標刺<しめさ>しといふ」。題詞の「二首」は長歌二首の意で、このあとさらに1053(長歌)、1054~58(短歌)へと続く。
【訓注】三香の原(みかのはら=三日原)[京都府木津川市旧久邇京]。布当(ふたぎ)。野辺(のへ)。大宮ところ(おほみやところ=大宮処)。


万葉短歌1049 なつきにし0949

2013年07月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌1049 なつきにし0949

なつきにし 奈良の都の 荒れゆけば
出で立つごとに 嘆きし増さる  田辺福麻呂

0949     万葉短歌1049 ShuC499 2013-0719-man1049

なつきにし ならのみやこの あれゆけば
  いでたつごとに なげきしまさる
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=第1048歌参照。
【編者注】「寧楽(なら)の故郷を悲しびて作る歌一首 并せて短歌」への「反歌二首」の第二首。
【訓注】なつきにし(名付西)。奈良の都(ならのみやこ=奈良乃京)。荒れゆけば(あれゆけば=荒行者)。出で立つ毎に(いでたつごとに=出立毎尓)。嘆きし増さる(なげきしまさる=嘆思益)。


万葉短歌1048 たち変り0948

2013年07月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌1048 たち変り0948

たち変り 古き都と なりぬれば
道の芝草 長く生ひにけり  田辺福麻呂

0948     万葉短歌1048 ShuC499 2013-0718-man1048

たちかはり ふるきみやこと なりぬれば
  みちのしばくさ ながくおひにけり
田辺福麻呂(たなべの さきまろ)=作者名はないが、後掲第1067歌(巻末歌)の左注に拠る。以下、講談社版『万葉集事典』の見出し語「田辺史(ふひと)福麿」の記事(抜粋)。「天平二十(748)三橘諸兄の使者として越中守大伴家持の館へ赴く。時に造酒司令史(…)。田辺福麿之歌集が存在した。…計20首(全短)」。
【編者注】第1047歌(長歌。題詞読下しは「寧楽(なら)の故郷を悲しびて作る歌一首 并せて短歌」)への「反歌二首」。その第一首。
【訓注】たち変り(たちかはり=立易)。古き都と(ふるきみやこと=古京跡)。芝草(しばくさ=志婆草)。長く生ひにけり(ながくおひにけり=長生尓異利)。


万葉短歌1046 岩つなの0947

2013年07月17日 | 万葉短歌

2013-0717-man1046
万葉短歌1046 岩つなの0947

岩つなの またをちかへり あをによし
奈良の都を またも見むかも  ○

0947     万葉短歌1046 ShuC495 2013-0717-man1046

いはつなの またをちかへり あをによし
  ならのみやこを またもみむかも
=未詳。
【編者注】「寧楽(なら)の京(みやこ)の荒墟を傷惜(いた)みて作る歌三首」の第三首。
【訓注】岩つな(いはつな=石綱)。またをちかへり(又変若反)。あをによし(青丹吉)。奈良の都(ならのみやこ=奈良乃都)。またも見むかも(またもみむかも=又将見鴨)。


万葉短歌1045 世間を0946

2013年07月16日 | 万葉短歌

2013-0716-man1045
万葉短歌1045 世間を0946

世間を 常なきものと 今ぞ知る
奈良の都の うつろふ見れば  ○

0946     万葉短歌1045 ShuC495 2013-0716-man1045

よのなかを つねなきものと いまぞしる
  ならのみやこの うつろふみれば
=未詳。
【編者注】「寧楽(なら)の京(みやこ)の荒墟を傷惜(いた)みて作る歌三首」の第二首。
【訓注】世間(よのなか)。奈良の都(ならのみやこ=平城京師)。うつろふ(移徒)。