万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌0993 月立ちて0900

2013年05月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌0993 月立ちて0900

月立ちて ただ三日月の 眉根かき
日長く恋ひし 君に逢へるかも  大伴坂上郎女

0900     万葉短歌0993 ShuC412 2013-0530-man0993

つきたちて ただみかづきの まよねかき
  けながくこひし きみにあへるかも
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=題詞原文には、「同坂上郎女」。第563歌参照。
【編者注】題詞読下しは、「同じき坂上郎女が初月(みかづき)の歌一首」。
【訓注】ただ(直)。眉根かき(まよねかき=眉根搔)。日長く恋し(けながくこひし=気長恋之)。


万葉短歌0992 故郷の0899

2013年05月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌0992 故郷の0899

故郷の 明日香はあれど あをによし
奈良の明日香を 見らくしよしも  大伴坂上郎女

0899     万葉短歌0992 ShuC411 2013-0529-man0992

ふるさとの あすかはあれど あをによし
  ならのあすかを みらくしよしも
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第563歌参照。
【編者注】題詞読下しは、「大伴坂上郎女、元興寺(ぐゎんごうじ)の里を詠む歌一首」。
【訓注】故郷(ふるさと=古郷)。明日香(あすか=飛鳥)。あをによし(青丹吉)。奈良の明日香(平城之明日香)。


万葉短歌0991 石走り0898

2013年05月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌0991 石走り0898

石走り たぎち流るる 泊瀬川
絶ゆることなく またも来て見む  紀鹿人

0898     万葉短歌0991 ShuC410 2013-0528-man0991

いはばしり たぎちながるる はつせがは
  たゆることなく またもきてみむ
紀鹿人(きの かひと)=題詞原文には、「同鹿人」。第990歌参照。
【編者注】題詞読下しは、「同じき鹿人、泊瀬の川辺に至りて作る歌一首」。
【訓注】石走り(いはばしり=石走)。たぎち流るる(なぎちながるる=多芸千流留)。泊瀬川(はつせがは=泊瀬河)。絶ゆることなく(たゆることなく=絶事無)。


万葉短歌0990 茂岡に0897

2013年05月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌0990 茂岡に0897

茂岡に 神さび立ちて 栄えたる
千代松の木の 年の知らなく  紀鹿人

0897     万葉短歌0990 ShuC408 2013-0527-man0990

しげをかに かむさびたちて さかえたる
  ちよまつのきの としのしらなく
紀鹿人(きの かひと)=題詞原文には、「紀朝臣鹿人」。「この歌より四年後の天平九年(737)九月、外従五位下。典鋳正(てんちうのかみ)、主殿頭(とのもりのかみ)、大炊頭(おほいのかみ)などを歴任。家持の女歌友、紀郎女[(安貴王妻)]の父。」
【編者注】題詞読下しは、「紀朝臣鹿人が跡見(とみ)[(桜井市東)]の茂岡の松の樹の歌一首」。
【訓注】神さび立ちて(かむさびたちて=神佐備立而)。栄えたる(さかえたる=栄有)。木(き=樹)。年(とし=歳)。


万葉短歌0989 焼大刀の0896

2013年05月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌0989 焼大刀の0896

焼大刀の かど打ち放ち ますらをの
寿く豊御酒に 我れ酔ひにけり  湯原王

0896     万葉短歌0989 ShuC407 2013-0526-man0989

やきたちの かどうちはなち ますらをの
  ほくとよみきに われゑひにけり
湯原王(ゆはらの おほきみ)=第375歌参照。
【編者注】題詞原文は、「湯原王打酒歌一首」。
【訓注】焼大刀(やきたち=焼刀)。かど(加度)。ますらを(大夫)。寿く(ほく=祷)。豊御酒(とよみき)。我れ(われ=吾)。酔ひにけり(ゑひにけり=酔尓家里)。打酒(ちゃうしゅ)。


万葉短歌0988 春草は0895

2013年05月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌0988 春草は0895

春草は 後はうつろふ 巌なす
常磐にいませ 貴き我が君  市原王

0895     万葉短歌0988 ShuC405 2013-0525-man0988

はるくさは のちはうつろふ いはほなす
  ときはにいませ たふときあがきみ
市原王(いちはらの おほきみ)=第412歌参照。
【編者注】題詞原文は、「市原王宴祷父安貴王歌一首」。
【訓注】春草(はるくさ)。うつろふ(落易)。巌(いはほ)。常磐(ときは)。我が君(あがきみ=吾君)。


万葉短歌0987 待ちかてに0894

2013年05月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌0987 待ちかてに0894

待ちかてに 我がする月は 妹が着る
御笠の山に 隠りてありけり  藤原八束

0894     万葉短歌0987 ShuC404 2013-0524-man0987

まちかてに あがするつきは いもがきる
  みかさのやまに こもりてありけり
藤原八束(ふぢはらの やつか)=題詞原文には、「藤原八束朝臣」。第398歌参照。
【編者注】題詞原文は、「藤原八束朝臣月歌一首」。
【訓注】待ちかて(まちかて=待難)。我がする月(あがするつき=余為月)。妹が着る(いもがきる=妹之著)。御笠の山(みかさのやま=三笠山)。隠りて(こもりて=隠而)。


万葉短歌0986 はしきやし0893

2013年05月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌0986 はしきやし0893

はしきやし 間近き里の 君来むと
おほのびにかも 月の照りたる  湯原王

0893     万葉短歌0986 ShuC402 2013-0523-man0986

はしきやし まちかきさとの きみこむと
  おほのびにかも つきのてりたる
湯原王(ゆはらの おほきみ)=第375歌参照。
【編者注】「湯原王月歌二首」の第二首。
【訓注】はしきやし(愛也思)[6-575類歌]。間近き里(まちかきさと=不遠里)。おほのびに(大能備尓)[未詳語]。


万葉短歌0985 天にいます0892

2013年05月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌0985 天にいます0892

天にいます 月読壮士 賄はせむ
今夜の長さ 五百夜継ぎこそ  湯原王

0892     万葉短歌0985 ShuC402 2013-0522-man0985

あめにいます つくよみをとこ まひはせむ
  こよひのながさ いほよつぎこそ
湯原王(ゆはらの おほきみ)=第375歌参照。
【編者注】題詞原文は、「湯原王月歌二首」。その第一首。
【訓注】天にいます(あめにいます=天尓座)。月読壮士(つくよみをとこ)。賄(まひ=幣)。今夜(こよひ)。五百夜(いほよ)。


万葉短歌0984 雲隠り0891

2013年05月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌0984 雲隠り0891

雲隠り ゆくへをなみと 我が恋ふる
月をや君が 見まく欲りする  豊前国娘子

0891     万葉短歌0984 ShuC400 2013-0521-man0984

くもがくり ゆくへをなみと あがこふる
  つきをやきみが みまくほりする
豊前国娘子(とよのみちのくちのくにの をとめ)=未詳。第709歌では「大宅女(おほやけめ)」、同歌参照。全2歌。
【編者注】題詞原文は、「豊前国娘子月歌一首」。
【訓注】雲隠り(くもがくり=雲隠)。ゆくへ(去方)[=行方]。なみ(無)。我が恋ふる(あがこふる=吾恋)。


万葉短歌0983 山の端の0890

2013年05月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌0983 山の端の0890

山の端の ささら愛壮士 天の原
門渡る光 見らくしよしも  大伴坂上郎女

0890     万葉短歌0983 ShuC397 2013-0520-man0983

やまのはの ささらえをとこ あまのはら
  とわたるひかり みらくしよしも
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第563歌参照。
【編者注】「大伴坂上郎女月歌三首」の第三首。左注に、月の別名が「佐散良衣壮士」であるから、と作歌事情。
【訓注】山の端の(やまのはの=山葉)。ささら愛壮士(ささらえをとこ=佐散良衣壮士)。天の原(あまのはら=天原)。門渡る光(とわたるひかり=門度光)。


万葉短歌0982 ぬばたまの0889

2013年05月19日 | 万葉短歌

2013-0519-man0982
万葉短歌0982 ぬばたまの0889

ぬばたまの 夜霧の立ちて おほほしく
照れる月夜の 見れば悲しさ  大伴坂上郎女

0889     万葉短歌0982 ShuC397 2013-0519-man0982

ぬばたまの よぎりのたちて おほほしく
  てれるつくよの みればかなしさ
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第563歌参照。
【編者注】「大伴坂上郎女月歌三首」の第二首。
【訓注】ぬばたまの(烏玉乃)。夜霧の立ちて(よぎりのたちて=夜霧立而)。おほほしく(不清)。照れる月夜(てれるつくよ=照有月夜)。悲しさ(かなしさ=悲沙)。


万葉短歌0981 猟高の0888

2013年05月18日 | 万葉短歌

2013-0518-man0981
万葉短歌0981 猟高の0888

猟高の 高円山を 高みかも
出で来る月の 遅く照るらむ  大伴坂上郎女

0888     万葉短歌0981 ShuC397 2013-0518-man0981

かりたかの たかまとやまを たかみかも
  いでくるつきの おそくてるらむ
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第563歌参照。
【編者注】題詞原文は、「大伴坂上郎女月歌三首」。その第一首。
【訓注】猟高(かりたか=獦高)[高円山西麓]。高円山(たかまとやま)。高み(たかみ=高弥)。照る(てる=光)。


万葉短歌0980 雨隠る0887

2013年05月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌0980 雨隠る0887

雨隠る 御笠の山を 高みかも
月の出で来ぬ 夜は更けにつつ  安倍虫麻呂

0887     万葉短歌0980 ShuC396 2013-0517-man0980

あまごもる みかさのやまを たかみかも
  つきのいでこぬ よはふけにつつ
安倍虫麻呂(あへの むしまろ)=題詞原文には、「安倍朝臣(あそみ)虫麻呂」。第320歌参照。
【編者注】題詞原文は、「安倍朝臣虫麻呂月歌一首」。
【訓注】雨隠る(あまごもる=雨隠)。御笠の山(みかさのやま=三笠乃山)。高み(たかみ=高御)。出で来ぬ(いでこぬ=不出来)。更けにつつ(ふけにつつ=更降管)。


万葉短歌0979 我が背子が0886

2013年05月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌0979 我が背子が0886

我が背子が 着る衣薄し 佐保風は
いたくな吹きそ 家に至るまで  大伴坂上郎女

0886     万葉短歌0979 ShuC394 2013-0516-man0979

わがせこが けるきぬうすし さほかぜは
  いたくなふきそ いへにいたるまで
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第563歌参照。
【編者注】題詞読下しは、「大伴坂上郎女、姪家持(をひやかもち)の佐保(さほ)より西の宅(いへ)に還帰(かへ)るに与ふる歌一首」。
【訓注】我が背子(わがせこ=吾背子)。着る(ける=著)。佐保風(さほかぜ)。いたく(疾)。家に至るまで(いへにいたるまで=及宅左右)。姪(をひ)[=甥]。