万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌2458 朝霜の2270

2017年04月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌2458 朝霜の2270

朝霜の 消なば消ぬべく 思ひつつ
いかにこの夜を 明かしてむかも   

2270     万葉短歌2458 ShuF129 2017-0430-man2458

あさしもの けなばけぬべく おもひつつ
 いかにこのよを あかしてむかも
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第44首。男。
【訓注】消なば消ぬべく(けなばけぬべく=消々)。いかにこの夜を(いかにこのよを=何此夜)。明かしてむかも(明鴨)[依拠本は「明かしなむかも」訓を採らない。下記注]。
【依拠本注-作者】諸注、多く女の心とする。しかし、むしろ男の気持ではなかろうか。


万葉短歌2457 大野らに2269

2017年04月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌2457 大野らに2269

大野らに 小雨降りしく 木の本に
時と寄り来ね 我が思ふ人   

2269     万葉短歌2457 ShuF128 2017-0429-man2457

おほのらに こさめふりしく このもとに
 ときとよりこね あがおもふひと
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第43首。女。
【訓注】大野らに(おほのらに=大野)。降りしく(ふりしく=被敷)。木の本に(このもとに=木本)。時と寄り来ね(ときとよりこね=時依来)。我が思ふ人(あがおもふひと=我念人)。


万葉短歌2456 ぬばたまの2268

2017年04月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌2456 ぬばたまの2268

ぬばたまの 黒髪山の 山菅に
小雨降りしき しくしく思ほゆ   

2268     万葉短歌2456 ShuF128 2017-0428-man2456

ぬばたまの くろかみやまの やますげに
 こさめふりしき しくしくおもほゆ
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第42首。男。
【訓注】ぬばたまの(烏玉)。黒髪山の(くろかみやまの=黒髪山)[?奈良市佐保山?]。山菅に(やますげに=山草)。降りしき(ふりしき=零敷)。しくしく(益々)。思ほゆ(おもほゆ=所思)。


万葉短歌2455 我がゆゑに2267

2017年04月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌2455 我がゆゑに2267

我がゆゑに 言はれし妹は 高山の
嶺の朝霧 過ぎにけむかも   

2267     万葉短歌2455 ShuF125 2017-0427-man2455

わがゆゑに いはれしいもは たかやまの
 みねのあさぎり すぎにけむかも
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第41首。男。
【訓注】我がゆゑに(わがゆゑに=我故)。


万葉短歌2454 春日山2266

2017年04月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌2454 春日山2266

春日山 雲居隠りて 遠けども
家は思はず 君をしぞ思ふ   

2266     万葉短歌2454 ShuF122 2017-0426-man2454

かすがやま くもゐかくりて とほけども
 いへはおもはず きみをしぞおもふ
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第40首。女。
【訓注】春日山(かすがやま)[「人麻呂歌集」に奈良の地名が出るのは珍しい。ほかに2487の「奈良山」を見る程度。(依拠本注)]。雲居(くもゐ=雲座)。君をしぞ思ふ(きみをしぞおもふ=公念)。


万葉短歌2453 春柳2265

2017年04月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌2453 春柳2265

春柳 葛城山に 立つ雲の
立ちても居ても 妹をしぞ思ふ   

2265     万葉短歌2453 ShuF122 2017-0425-man2453

はるやなぎ かづらきやまに たつくもの
 たちてもゐても いもをしぞおもふ
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第39首。男。
【訓注】春柳(はるやなぎ=春楊)。葛城山に(かづらきやまに=葛山)[大和・河内国境の山]。立つ雲の(たつくもの=発雲)。立ちても居ても(たちてもゐても=立座)。


万葉短歌2452 雲だにも2264

2017年04月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌2452 雲だにも2264

雲だにも しるくし立たば 慰めて
見つつも居らむ 直に逢ふまでに   

2264     万葉短歌2452 ShuF122 2017-0424-man2452

くもだにも しるくしたたば なぐさめて
 みつつもをらむ ただにあふまでに
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第38首。女。
【訓注】しるくし立たば(しるくしたたば=灼発)。慰めて(なぐさめて=意追)[下記注]。
【編者注-なぐさめ】「なぐさめ」(慰め)の対応原文は次のとおり。02-0194(長歌)名具鮫兼天(なぐさめかねて)、06-0963(長歌)奈具佐米七国(なぐさめなくに)、07-1213名草目名国(なぐさめなくに)、09-1728名草目而(なぐさめて)、11-2414意追不得(なぐさめかねて)、-2452意追(なぐさめて)、-2543名草目六(なぐさめむ)、-2814名草目金津(なぐさめかねつ)、-2826有名草目手(ありなぐさめて)、-2845意遣(なぐさめて)、-3135名種目津(なぐさめつ)、-3161在名草目而(ありなぐさめて)、15-3620奈具左米可祢弖(なぐさめかねて)。


万葉短歌2451 天雲の2263

2017年04月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌2451 天雲の2263

天雲の 寄り合ひ遠み 逢はずとも
異し手枕 我れまかめやも   

2263     万葉短歌2451 ShuF122 2017-0423-man2451

あまくもの よりあひとほみ あはずとも
 あたしたまくら われまかめやも
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第37首。男。
【訓注】天雲の(あまくもの=天雲)。異し手枕(あたしたまくら=異手枕)[10-1947他時従者(あたしときゆは)。下記注]。我れまかめやも(われまかめやも=吾纒哉)。
【編者注-あたし】集中2か所。「あだし(「あたし」とも)[1]〔他し・異し〕別だ。違う。ほかのものだ。[2]〔徒し・空し〕むなしい。うつろいやすい。」(三省堂版「詳説古語辞典」)


万葉短歌2450 雲間より2262

2017年04月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌2450 雲間より2262

雲間より さ渡る月の おほほしく
相見し子らを 見むよしもがも   

2262     万葉短歌2450 ShuF122 2017-0422-man2450

くもまより さわたるつきの おほほしく
 あひみしこらを みむよしもがも
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第36首。男。
【訓注】さ渡る(さわたるつき=狭俓月)[俓は径に、径は過に同じ]。おほほしく(於保々思久)。


万葉短歌2449 香具山に2261

2017年04月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌2449 香具山に2261

香具山に 雲居たなびき おほほしく
相見し子らを 後恋ひむかも   

2261     万葉短歌2449 ShuF122 2017-0421-man2449

かぐやまに くもゐたなびき おほほしく
 あひみしこらを のちこひむかも
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第35首。男。
【訓注】香具山(かぐやま=香山)[奈良県大和三山の一つ。01-0002(長歌)天乃香具山(あめのかぐやま)、-0013(長歌)高山波(かぐやまは)、-0014(長歌)高山与(かぐやまと)、-0028天之香来山(あめのかぐやま)、ほか]。雲居たなびき(くもゐたなびき=雲位桁曳)。おほほしく(於保々思久)[02-0175欝悒(おほほしく)、-0189欝悒、ほか)。


万葉短歌2448 白玉の2260

2017年04月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌2448 白玉の2260

白玉の 間開けつつ 貫ける緒も
くくり寄すれば 後も逢ふものを   

2260     万葉短歌2448 ShuF119 2017-0420-man2448

しらたまの あひだあけつつ ぬけるをも
 くくりよすれば のちもあふものを
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第34首。男。
【訓注】くくり寄すれば(くくりよすれば=縛依)。後も逢ふものを(後相物)。


万葉短歌2447 白玉を2259

2017年04月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌2447 白玉を2259

白玉を 手に巻きしより 忘れじと
思ひけらくは 何か終らむ  

2259     万葉短歌2447 ShuF119 2017-0419-man2447

しらたまを てにまきしより わすれじと
 おもひけらくは なにかをはらむ
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第33首。男。
【訓注】手に巻きしより(てにまきしより=従手纒)。何か終らむ(なにかをはらむ=何畢)。
【編者注-略体最小文字数】万葉集歌の最小文字数(当然略体)は10字。以下原文。
 11-2398  玉切及世定恃公依事繁
 11-2447  白玉従手纒不忘念何畢
 11-2453  春楊葛山発雲立座妹念


万葉短歌2446 白玉を2258

2017年04月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌2446 白玉を2258

白玉を 巻きてぞ持てる 今よりは
我が玉にせむ 知れる時だに  

2258     万葉短歌2446 ShuF119 2017-0418-man2446

しらたまを まきてぞもてる いまよりは
 わがたまにせむ しれるときだに
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第32首。男。
【訓注】巻きてぞ持てる(まきてぞもてる=纒持)。我が玉に(わがたまに=吾玉)。


万葉短歌2445 近江の海2257

2017年04月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌2445 近江の海2257

近江の海 沈く白玉 知らずして
恋せしよりは 今こそまされ  

2257     万葉短歌2445 ShuF119 2017-0417-man2445

あふみのうみ しづくしらたま しらずして
 こひせしよりは いまこそまされ
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第31首。男。
【訓注】近江の海(あふみのうみ=淡海々)。沈く白玉(しづくしらたま=沈白玉)[下記注]。
【編者注-沈く】しづく。07-1317沈白玉(しづくしらたま)、-1319石著玉(しづくたま)、-1320沈白玉(しづくしらたま)、11-2445沈白玉、19-4199之都久石乎毛(しづくいしをも)。[参考]水のおもにしつく花の色さやかにも君かみかけのおもほゆるかな たかむらの朝臣/古今和歌集 16-00845。


万葉短歌2444 白真弓2256

2017年04月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌2444 白真弓2256

白真弓 石辺の山の 常磐なる
命なれやも 恋ひつつ居らむ  

2256     万葉短歌2444 ShuF117 2017-0416-man2444

しらまゆみ いそへのやまの ときはなる
 いのちなれやも こひつつをらむ
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「寄物陳思」(2415~2507、93首)の第30首。男。
【訓注】白真弓(しらまゆみ=白檀)。石辺の山の(いそへのやまの=石辺山)[滋賀県湖南市(旧甲賀郡石部町)?]。常磐(ときは=常石)。