万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌0464 秋さらば0410

2011年12月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌0464 秋さらば0410

秋さらば 見つつ偲へと 妹が植ゑし
やどのなでしこ 咲きにけるかも  大伴家持

0410     万葉短歌0464 ShuB339 2011-1230-man0464

□あきさらば みつつしのへと いもがうゑし
 やどのなでしこ さきにけるかも
○大伴家持(おほともの やかもち)=第403歌参照。原文題詞には単に「家持」。
【編者注】原文題詞は、「又家持見砌上瞿麦花作歌一首」。
【編者注-なでしこ】ここでの題詞では「瞿麦」、本歌では「石竹」(初出第408歌でも)で、現代表記の「河原撫子」と同じ。家持の愛花。
【訓注】なでしこ(石竹)。瞿麦(なでしこ)。


万葉短歌0463 長き夜を0409

2011年12月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌0463 長き夜を0409

長き夜を ひとりや寝むと 君が言へば
過ぎにし人の 思ほゆらくに  大伴書持

0409     万葉短歌0463 ShuB339 2011-1229-man0463

□ながきよを ひとりやねむと きみがいへば
 すぎにしひとの おもほゆらくに
○大伴書持(おほともの ふみもち)=原文題詞には、「大伴宿祢書持」。「家持の弟。二歳ほど下か。…。書持の歌は一般に平板拙劣といわれているが、見方によってはそうとばかりいえない(…)。中でもこの一首は、とくにわかりやすく調べが高い。」
【編者注】原文題詞は、「弟大伴宿祢書即和歌一首」。
【訓注】和歌(こたふるうた)。


万葉短歌0462 今よりは0408

2011年12月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌0462 今よりは0408

今よりは 秋風寒く 吹きなむを
いかにかひとり 長き夜を寝む  大伴家持

0408     万葉短歌0462 ShuB339 2011-1228-man0462

□いまよりは あきかぜさむく ふきなむを
 いかにかひとり ながきよをねむ
○大伴家持(おほともの やかもち)=第403歌参照。原文題詞には、「大伴宿祢家持」。
【編者注】原文題詞に、「大伴宿祢家持悲傷亡妾作歌一首」。
【編者注-亡妾】依拠本訓は「ばうせふ」だが、「なきつま」とも。戸令(こりゃう)などによって、妻(さい)に次ぐ妾(せふ)が認められている。
【訓注】寝む(ねむ=将宿)。


万葉短歌0461 留めえぬ0407

2011年12月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌0461 留めえぬ0407

留めえぬ 命にしあれば 敷栲の
家ゆは出でて 雲隠りにき  坂上郎女

0407     万葉短歌0461 ShuB333 2011-1227-man0461

□とどめえぬ いのちにしあれば しきたへの
 いへゆはいでて くもがくりにき
○坂上郎女(さかのうへの いらつめ)=第380歌参照。第460歌題詞には、「大伴坂上郎女」。
【編者注】第460歌(長歌)への反歌。長反歌は、長年大伴家に寄宿していた尼理願の死を、坂上郎女が追悼したもの。依拠本は、「万葉女流歌人のなした最大の力篇がこの一作と見て狂いはない。」
【編者注-尼理願(あま りぐゎん)】長歌本歌と反歌左注に、来歴および大伴家との関係が詳しい。「新羅から帰化した尼。大伴家に数十年寄住。」
【編者注-有馬温泉】原文左注に「有馬温泉」、初出。
【訓注】栲(たへ)。


万葉短歌0459 見れど飽かず0406

2011年12月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌0459 見れど飽かず0406

見れど飽かず いましし君が 黄葉の
うつりい行けば 悲しくもあるか  犬養人上

0406     万葉短歌0459 ShuB327 2011-1226-man0459

□みれどあかず いまししきみが もみちばの
 うつりいゆけば かなしくもあるか
○犬養人上(いぬかひの ひとかみ)=未詳。原文左注(訓)に、「右の一首は、内礼正(ないらいの かみ)県犬養宿祢人上(あがたの いぬかひの すくね ひとかみ)に勅(みことのり)して、卿(まへつきみ)の病を検護(とりみ)しむ。しかれども、医薬験(しるし)なく逝く水留(とど)まらず。これによりて悲慟(かな)しびて、すなはちこの歌を作る。」
【編者注】「大納言大伴卿薨之時歌六首」の第六首。
【訓注】黄葉(もみちば)。


万葉短歌0458 みどり子の0405

2011年12月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌0458 みどり子の0405

みどり子の 匍ひた回り 朝夕に
哭のみぞ我が泣く 君なしにして  余明軍

0405     万葉短歌0458 ShuB326 2011-1225-man0458

□みどりこの はひたもとほり あさよひに
 ねのみぞあがなく きみなしにして
○余明軍(よの みゃうぐん)=第394歌参照。
【編者注】「大納言大伴卿薨之時歌六首」の第五首。左注に、「右五首資人余明軍不勝犬馬之慕心中感緒作歌」。依拠本訓は、「右の五首は、資人(しじん)余明軍、犬馬(けんば)の慕いに勝(あ)へずして、心の中(うち)に感緒(おも)ひて作る歌。」 犬馬=初出。
【訓注】みどり子(若子)。た回り(たもとほり=多毛登保里)。哭(ね)。我(あ=吾)。朝夕(あさよひ)。


万葉短歌0457 遠長く0404

2011年12月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌0457 遠長く0404

遠長く 仕へむものと 思へりし
君しまさねば 心どもなし  余明軍

0404     万葉短歌0457 ShuB326 2011-1224-man0457

□とほながく つかへむものと おもへりし
 きみしまさねば こころどもなし
○余明軍(よの みゃうぐん)=第394歌参照。
【編者注】「大納言大伴卿薨之時歌六首」の第四首。
【訓注】まさねば(不座者)。心ど(こころど=心神)。


万葉短歌0456 君に恋ひ0403

2011年12月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌0456 君に恋ひ0403

君に恋ひ いたもすべなみ 葦鶴の
哭のみし泣かゆ 朝夕にして  余明軍

0403     万葉短歌0456 ShuB326 2011-1223-man0456

□きみにこひ いたもすべなみ あしたづの
 ねのみしなかゆ あさよひにして
○余明軍(よの みゃうぐん)=第394歌参照。
【編者注】「大納言大伴卿薨之時歌六首」の第三首。
【訓注】いたも(痛毛)。哭(ね)。朝夕(あさよひ)。


万葉短歌0455 かくのみに0402

2011年12月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌0455 かくのみに0402

かくのみに ありけるものを 萩の花
咲きてありやと 問ひて君はも  余明軍

0402     万葉短歌0455 ShuB326 2011-1222-man0455

□かくのみに ありけるものを はぎのはな
 さきてありやと とひてきみはも
○余明軍(よの みゃうぐん)=第394歌参照。
【編者注】「大納言大伴卿薨之時歌六首」の第二首。
【編者注-萩】秋萩=0120, 0231, 0233。萩の花=0455(芽子花)。


万葉短歌0454 はしきやし0401

2011年12月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌0454 はしきやし0401

はしきやし 栄えし君の いましせば
昨日も今日も 我を召さましを  余明軍

0401     万葉短歌0454 ShuB326 2011-1221-man0454

□はしきやし さかえしきみの いましせば
 きのふもけふも わをめさましを
○余明軍(よの みゃうぐん)=第394歌参照。
【編者注】原文題詞に、「大納言大伴卿薨之時歌六首」。その第一首。
【訓注】我(わ=吾)。卿(まへつきみ)。


万葉短歌0453 我妹子が0400

2011年12月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌0453 我妹子が0400

我妹子が 植ゑし梅の木 見るごとに
心むせつつ 涙し流る  大伴旅人

0400     万葉短歌0453 ShuB324 2011-1220-man0453

□わぎもこが うゑしうめのき みるごとに
 こころむせつつ なみたしながる
○大伴旅人(おほともの たびと)=第316歌参照。
【編者注】「還入故郷家即作歌三首」の第三首。


万葉短歌0452 妹として0399

2011年12月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌0452 妹として0399

妹として ふたり作りし 我が山斎は
木高く茂く なりにけるかも  大伴旅人

0399     万葉短歌0452 ShuB324 2011-1219-man0452

□いもとして ふたりつくりし わがしまは
 こだかくしげく なりにけるかも
○大伴旅人(おほともの たびと)=第316歌参照。
【編者注】「還入故郷家即作歌三首」の第二首。
【訓注】山斎(しま[島])。


万葉短歌0451 人もなき0398

2011年12月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌0451 人もなき0398

人もなき 空しき家は 草枕
旅にまさりて 苦しかりけり  大伴旅人

0398     万葉短歌0451 ShuB324 2011-1218-man0451

□ひともなき むなしきいへは くさまくら
 たびにまさりて くるしかりけり
○大伴旅人(おほともの たびと)=第316歌参照。ただし以下三首原文に、作者名はない。
【編者注】原文題詞は、「還入故郷家即作歌三首」。その第一首。


万葉短歌0450 行くさには0397

2011年12月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌0450 行くさには0397

行くさには ふたり我が見し この崎を
ひとり過ぐれば 心悲しも  大伴旅人

0397     万葉短歌0450 ShuB319 2011-1217-man0450

□ゆくさには ふたりわがみし このさきを
 ひとりすぐれば こころがなしも
○大伴旅人(おほともの たびと)=第316歌参照。
【編者注】大伴旅人向京上道歌五首の第五首。脚注に「一云」として、結句「見もさかず来(き)ぬ」。さらに左注原文に、「右二首過敏馬埼日作歌」。
【訓注】心悲し(こころがなし=情悲)。


万葉短歌0449 妹と来し0396

2011年12月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌0449 妹と来し0396

妹と来し 敏馬の崎を 帰るさに
ひとりし見れば 涙ぐましも  大伴旅人

0396     万葉短歌0449 ShuB319 2011-1216-man0449

□いもとこし みぬめのさきを かへるさに
 ひとりしみれば なみたぐましも
○大伴旅人(おほともの たびと)=第316歌参照。
【編者注】大伴旅人向京上道歌五首の第四首。
【訓注】敏馬(みぬめ)。涙(なみた=涕)。