万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌1380 明日香川1250

2014年05月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌1380 明日香川1250

明日香川 瀬々に玉藻は 生ひたれど
しがらみあれば 靡きあはなくに  

1250     万葉短歌1380 ShuD378 2014-0530-man1380

あすかがは せぜにたまもは おひたれど
  しがらみあれば なびきあはなくに
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄河」(河に寄す)。六首(1379~1384)の第2首。
【訓注】瀬々に(せぜに=湍瀬尓)。しがらみ(四賀良美)。靡きあはなくに(なびきあはなくに=靡不相)。


万葉短歌1379 絶えず行く1249

2014年05月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌1379 絶えず行く1249

絶えず行く 明日香の川の 淀めらば
故しもあるごと 人の見まくに  

1249     万葉短歌1379 ShuD377 2014-0529-man1379

たえずゆく あすかのかはの よどめらば
  ゆゑしもあるごと ひとのみまくに
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄河」(河に寄す)。六首(1379~1384)の第1首。
【訓注】行く(ゆく=逝)。明日香の川(あすかのかは=明日香川)。淀めらば(よどめらば=不逝有者)。


万葉短歌1378 木綿懸けて1248

2014年05月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌1378 木綿懸けて1248

木綿懸けて 斎ふこの社 越えぬべく
思ほゆるかも 恋の繁きに  

1248     万葉短歌1378 ShuD376 2014-0528-man1378

ゆふかけて いはふこのもり こえぬべく
  おもほゆるかも こひのしげきに
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄神」(神に寄す)。二首(1377~1378)の第2首。
【訓注】木綿(ゆふ)。斎ふ(いはふ)。社(もり)。越えぬべく(こえぬべく=可超)。思ほゆる(おもほゆる=所念)。


万葉短歌1377 木綿懸けて1247

2014年05月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌1377 木綿懸けて1247

木綿懸けて 祭るみもろの 神さびて
斎むにはあらず 人目多みこそ  

1247     万葉短歌1377 ShuD375 2014-0527-man1377

ゆふかけて まつるみもろの かむさびて
  いむにはあらず ひとめおほみこそ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄神」(神に寄す)。二首(1377~1378)の第1首。
【訓注】木綿(ゆふ)。みもろ(三諸)[07-1093。下記注]。神さびて(かむさびて=神佐備而)。斎む(いむ=斎[いはふ、も]。忌)。人目(ひとめ)。
【編者注-みもろ】集中「三室(みむろ)、三諸(みもろ)」はほぼ同義であり、その他の表記も含めて多く出現する。「神の降りる山の意の普通名詞…各地にあるが、集中のものはほとんど奈良県内」で、(1)桜井市の三輪山 (2)明日香村の神岳(雷丘) (3)生駒郡の神名備山 の三つ。(講談社版『万葉集事典』)


万葉短歌1376 大和の1246

2014年05月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌1376 大和の1246

大和の 宇陀の真赤土の さ丹付かば
そこもか人も 我を言なさむ  

1246     万葉短歌1376 ShuD374 2014-0526-man1376

やまとの うだのまはにの さにつかば
  そこもかひとも わをことなさむ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄赤土」(赤土[はに]に寄す)。
【訓注】大和の宇陀(やまとのうだ=山跡之宇陁)[奈良県宇陀市、宇陀郡。08-1609]。真赤土の(まはにの=真赤土)[真埴]。さ丹(さに=左丹)。そこもか(曽許裳香)。我を言なさむ(わをことなさむ=吾乎言将成)。


万葉短歌1375 朝霜の1245

2014年05月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌1375 朝霜の1245

朝霜の 消やすき命 誰がために
千年もがもと 我が思はなくに  

1245     万葉短歌1375 ShuD372 2014-0525-man1375

あさしもの けやすきいのち たがために
 ちとせもがもと わがおもはなくに
=未詳。作者名・脚注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄月」(月に寄す)。四首(1372~1375)の第4首。左注読下しは、「右の一首は、譬喩歌の類(たぐひ)にあらず。ただし、闇の夜の歌人(うたひと)の所心(おもひ)の故に、ともにこの歌を作る。よりて、この歌をもちて、この次に載(の)す。」
【訓注】朝霜(あさしも)。消やすき命(けやすきいのち=消安命)。誰がために(たがために=為誰)。千年(ちとせ=千歳)。我が(わが=吾)。


万葉短歌1374 闇の夜は1244

2014年05月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌1374 闇の夜は1244

闇の夜は 苦しきものを いつしかと
我が待つ月も 早も照らぬか  

1244     万葉短歌1374 ShuD372 2014-0524-man1374

やみのよは くるしきものを いつしかと
  あがまつつきも はやもてらぬか
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄月」(月に寄す)。四首(1372~1375)の第3首。
【訓注】闇の夜(やみのよ=闇夜)。いつしかと(何時跡)。我が待つ月(あがまつつき=吾待月)。


万葉短歌1373 春日山1243

2014年05月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌1373 春日山1243

春日山 山高くあらし 岩の上の
菅の根見むに 月待ちがたし  

1243     万葉短歌1373 ShuD371 2014-0523-man1373

かすがやま やまたかくあらし いはのうへの
  すがのねみむに つきまちがたし
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄月」(月に寄す)。四首(1372~1375)の第2首。
【訓注】春日山(かすがやま)[奈良市東方の山]。岩の上の(いはのうへの=石上)。月待ちがたし(つきまちがたし=月待難)。


万葉短歌1372 み空行く1242

2014年05月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌1372 み空行く1242

み空行く 月読壮士 夕さらず
目には見れども 寄るよしもなし  ○

1242     万葉短歌1372 ShuD370 2014-0522-man1372

□みそらゆく つくよみをとこ ゆふさらず
 めにはみれども よるよしもなし
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄月」(月に寄す)。四首(1372~1375)の第1首。
【訓注】み空(みそら=三空)。月読壮士(つくよみをとこ)[06-0985]。寄るよし(よるよし=因縁)。


万葉短歌1371 ひさかたの1241

2014年05月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌1371 ひさかたの1241

ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも
わが衣手は 干る時なきか  

1241     万葉短歌1371 ShuD369 2014-0521-man1371

ひさかたの あめにはきぬを あやしくも
  わがころもでは ふるときなきか
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄雨」(雨に寄す)。二首(1370~1371)の第2首。
【訓注】ひさかたの(久堅之)。着ぬ(きぬ=不著)。あやしくも(恠毛)。わが衣手(わがころもで=吾袖)。干る時(ふるとき=干時)。


万葉短歌1370 はなはだも1240

2014年05月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌1370 はなはだも1240

はなはだも 降らぬ雨ゆゑ にはたつみ
いたくな行きそ 人の知るべく  

1240     万葉短歌1370 ShuD367 2014-0520-man1370

はなはだも ふらぬあめゆゑ にはたつみ
  いたくなゆきそ ひとのしるべく
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄雨」(雨に寄す)。二首(1370~1371)の第1首。
【訓注】はなはだも(甚多毛)。降らぬ雨ゆゑ(ふらぬあめゆゑ=不零雨故)。にはたつみ(庭立水)[下記注]。いたくな行きそ(いたくなゆきそ=太莫逝)。
【編者注-庭立水】依拠本によると、「尓波多豆美(ニハタヅミ)、19-4160」、「庭多豆美(同前)、19-4214」で「豆」は濁音。しかしここでの「立(タツ)」は清音と訓むだけなので、両訓並存だろう、とする。


万葉短歌1369 天雲に1239

2014年05月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌1369 天雲に1239

天雲に 近く光りて 鳴る神し
見れば畏し 見ねば悲しも  

1239     万葉短歌1369 ShuD366 2014-0519-man1369

□あまくもに ちかくひかりて なるかみし
  みればかしこし みねばかなしも
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄雷」(雷[なるかみ]に寄す)。
【訓注】天雲(あまくも)。鳴る神(なるかみ=響神)。畏し(かしこし=恐)。


万葉短歌1368 岩倉の1238

2014年05月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌1368 岩倉の1238

岩倉の 小野ゆ秋津に 立ちわたる
雲にしもあれや 時をし待たむ  

1238     万葉短歌1368 ShuD365 2014-0518-man1368

いはくらの をのゆあきづに たちわたる
  くもにしもあれや ときをしまたむ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄雲」(雲に寄す)。
【訓注】岩倉(いはくら)[田辺市秋津町辺?]。秋津(あきづ) [同前?]。立ちわたる(たちわたる=発渡)。


万葉短歌1367 三国山1237

2014年05月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌1367 三国山1237

三国山 木末に棲まふ むささびの
鳥待つごとく 我れ待ち痩せむ  

1237     万葉短歌1367 ShuD364 2014-0517-man1367

みくにやま こぬれにすまふ むささびの
  とりまつごとく あれまちやせむ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄獣」(獣に寄す)。
【訓注】三国山(みくにやま)[福井県三国町?]。木末(こぬれ)。棲まふ(すまふ=住歴)。むささび(武佐左妣)[03-0267、06-1028。鼯鼠]。我れ(あれ=吾)。


万葉短歌1366 明日香川1236

2014年05月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌1366 明日香川1236

明日香川 七瀬の淀に 棲む鳥も
心あれこそ 波立てざらめ  

1236     万葉短歌1366 ShuD363 2014-0516-man1366

あすかがは ななせのよどに すむとりも
  こころあれこそ なみたてざらめ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞は「寄鳥」(鳥に寄す)。
【訓注】明日香川(あすかがは)[07-1126]。七瀬の淀(ななせのよど=七瀬之不行)。棲む鳥(すむとり=住鳥)。心(こころ=意)。