2013-0213-man0874
万葉短歌0874 海原の0803
海原の 沖行く船を 帰れとか
領巾振らしけむ 松浦佐用姫 山上憶良
0803 万葉短歌0874 ShuC158 2013-0213-man0874
□うなはらの おきゆくふねを かへれとか
ひれふらしけむ まつらさよひめ
○山上憶良(やまのうへの おくら)=第63歌参照。題詞原文には「最最後人」とだけあって作者名はないが、依拠本の推定に拠る。
【編者注】題詞原文は、「最最後人追和」。全二首の第一首。
【訓注】[真名仮名全対応]海原(うなはら=宇奈波良)。沖行く船(おきゆくふね=意吉由久布祢)。帰れ(かへれ=可弊礼)。領巾(ひれ=比礼)。松浦佐用姫(まつらさよひめ=麻都良佐欲比売)。
【編者注-領巾(ひれ)】今までの出現状況は次のとおり。原歌0285(短歌0246領巾)、0868(797比列)、0871(0800比例)、0872(0801必例)、0873(0802比例)、0874(0803比礼)。なお、『古事記』大国主(おおくにぬし)の段には、妻須勢理(すせり)が「授其夫云、其蛇将咋、以此比礼三挙打撥」などのように、「比礼」と表記される。以下は旺文社版「古語辞典」記事。「ひれ【領巾・肩巾】上代、おもに女性が首から肩にかけて長く垂らした薄い白布。呪力(じゅりょく)をもつと考えられ、魔よけのために振ったり、またこれを振って人を招いたり、別れを惜しんだりした。後には、単なる装飾品となった。」