2013-0930-man1125
万葉短歌1125 清き瀬に1020
清き瀬に 千鳥妻呼び 山の際に
霞立つらむ 神なびの里 ○
1020 万葉短歌1125 ShuD088 2013-0930-man1125
□きよきせに ちどりつまよび やまのまに
かすみたつらむ かむなびのさと
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠故郷」。全2首の第1首。
【訓注】清き瀬(きよきせ=清猯)。山の際(やまのま=山際)。神なび(かむなび=甘南備)。
2013-0930-man1125
万葉短歌1125 清き瀬に1020
清き瀬に 千鳥妻呼び 山の際に
霞立つらむ 神なびの里 ○
1020 万葉短歌1125 ShuD088 2013-0930-man1125
□きよきせに ちどりつまよび やまのまに
かすみたつらむ かむなびのさと
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠故郷」。全2首の第1首。
【訓注】清き瀬(きよきせ=清猯)。山の際(やまのま=山際)。神なび(かむなび=甘南備)。
2013-0929-man1124
万葉短歌1124 佐保川に1019
佐保川に 騒ける千鳥 さ夜更けて
汝が声聞けば 寐寝かてなくに ○
1019 万葉短歌1124 ShuD086 2013-0929-man1124
□さほがはに さわけるちどり さよふけて
ながこゑきけば いねかてなくに
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠鳥」。全3首の第3首。
【訓注】佐保川(さほがは=佐保河)。騒ける千鳥(さわけるちどり=小驟千鳥)。さ夜更けて(さよふけて=夜三更而)。汝が声(ながこゑ=尓音)。
2013-0928-man1123
万葉短歌1123 佐保川の1018
佐保川の 清き川原に 鳴く千鳥
かはづと二つ 忘れかねつも ○
1018 万葉短歌1123 ShuD086 2013-0928-man1123
□さほがはの きよきかはらに なくちどり
かはづとふたつ わすれかねつも
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠鳥」。全3首の第2首。
【訓注】佐保川(さほがは=佐保河)。千鳥(ちどり=智鳥)。かはづ(河津)。
2013-0927-man1122
万葉短歌1122 山の際に1017
山の際に 渡るあきさの 行きて居む
その川の瀬に 波立つなゆめ ○
1017 万葉短歌1122 ShuD086 2013-0927-man1122
□やまのまに わたるあきさの ゆきてゐむ
そのかはのせに なみたつなゆめ
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠鳥」。全3首の第1首。
【訓注】山の際(やまのま=山際)。あきさ(秋沙)[あいさ(鴨)]。川の瀬(かはのせ=河瀬)。波立つ(なみたつ=浪立)。ゆめ(湯目)。
2013-0926-man1121
万葉短歌1121 妹らがり1016
妹らがり 我が通ひ道の 小竹すすき
我れし通はば 靡け小竹原 ○
1016 万葉短歌1121 ShuD084 2013-0926-man1121
□いもらがり わがかよひぢの しのすすき
われしかよはば なびけしのはら
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠草」。
【訓注】妹等(いもら)。我が通ひ道の(わがかよひぢ=我通路)。小竹すすき(しのすすき=細竹為酢寸)[篠竹薄]。我れし通はば(われしかよはば=我通)。靡け小竹原(なびけしのはら=靡細竹原)。
2013-0925-man1120
万葉短歌1120 み吉野の1015
み吉野の 青根が峰の 蘿席
誰れか織りけむ 経緯なしに ○
1015 万葉短歌1120 ShuD083 2013-0925-man1120
□みよしのの あをねがみねの こけむしろ
たれかおりけむ たてぬきなしに
○=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠蘿」。
【訓注】み吉野(みよしの=三芳野)。青根が峰(あをねがみね=青根我峯)[奈良県吉野町の山]。蘿席(こけむしろ)。誰れか(たれか=誰)。経緯(たてぬき)。
2013-0924-man1119
万葉短歌1119 行く川の1014
行く川の 過ぎにし人の 手折らねば
うらぶれ立てり 三輪の桧原は 柿本人麻呂
1014 万葉短歌1119 ShuD081 2013-0924-man1119
□ゆくかはの すぎにしひとの たをらねば
うらぶれたてり みわのひはらは
○柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第1119歌左注には、「柿本朝臣人麻呂」。第30歌参照。
【編者注】題詞原文は、「詠葉」。第1119歌左注読下しに、「右の二首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。」全2首の第2首。
【訓注】行く川(ゆくかは=徃川)。過ぎにし人(すぎにしひと=過去人)。うらぶれ立てり(うらぶれたてり=裏触立)。三輪の桧原(みわのひはら=三和之桧原)。
2013-0923-man1118
万葉短歌1118 いにしへに1013
いにしへに ありけむ人も 我がごとか
三輪の桧原に かざし折りけむ 柿本人麻呂
1013 万葉短歌1118 ShuD080 2013-0923-man1118
□いにしへに ありけむひとも わがごとか
みわのひはらに かざしをりけむ
○柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第1119歌左注には、「柿本朝臣人麻呂」。第30歌参照。
【編者注】題詞原文は、「詠葉」。第1119歌左注読下しに、「右の二首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。」全2首の第1首。
【訓注】いにしへ(古)。ありけむ人(ありけむひと=有険人)。我がごと(わがごと=如吾等)。三輪の桧原(みわのひはら=弥和乃桧原)。かざし(挿頭)。
2013-0922-man1117
万葉短歌1117 島回すと1012
島回すと 磯に見し花 風吹きて
波は寄すとも 採らずはやまじ ○
1012 万葉短歌1117 ShuD079 2013-0922-man1117
□しまみすと いそにみしはな かぜふきて
なみはよすとも とらずはやまじ
○=未詳。
【編者注】題詞原文は、「詠花」。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【訓注】島回(しまみ=嶋廻)。採らずは(とらずは=不取)。
2013-0921-man1116
万葉短歌1116 ぬばたまの1011
ぬばたまの 我が黒髪に 降りなづむ
天の露霜 取れば消につつ ○
1011 万葉短歌1116 ShuD078 2013-0921-man1116
□ぬばたまの わがくろかみに ふりなづむ
あめのつゆしも とればけにつつ
○=未詳。
【編者注】題詞原文は、「詠露」。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【訓注】ぬばたまの(烏玉之)。我が黒髪(わがくろかみ=吾黒髪)。降りなづむ(ふりなづむ=落名積)。
2013-0920-man1115
万葉短歌1115 妹が紐1010
妹が紐 結八河内を いにしへの
よき人見きと ここを誰れ知る ○
1010 万葉短歌1115 ShuD076 2013-0920-man1115
□いもがひも ゆうやかふちを いにしへの
よきひとみきと ここをたれしる
○=未詳。
【編者注】「詠河」全16歌の第16歌。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【訓注】妹(いも)。結八河内(ゆふやかふち)。いにしへの(古之)。よき人(よきひと=叔人)。ここ(此)。
2013-0919-man1114
万葉短歌1114 我が紐を1009
我が紐を 妹が手持ちて 結八川
またかへり見む 万代までに ○
1009 万葉短歌1114 ShuD076 2013-0919-man1114
□わがひもを いもがてもちて ゆふやがは
またかへりみむ よろづよまでに
○=未詳。
【編者注】「詠河」全16歌の第15歌。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【訓注】我が(わが=吾)。妹(いも)。結八川(ゆふやがは)。またかへり見む(またかへりみむ=又還見)。までに(左右荷)。
2013-0918-man1113
万葉短歌1113 この小川1008
この小川 霧ぞ結べる たぎちたる
走井の上に 言挙げせねども ○
1008 万葉短歌1113 ShuD074 2013-0918-man1113
□このをがは きりぞむすべる たぎちたる
はしりゐのへに ことあげせねども
○=未詳。
【編者注】「詠河」全16歌の第14歌。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【訓注】この小川(このをがは=此小川)[率川]。霧ぞ結べる(きりぞむすべる=白気結)。たぎちたる(滝至)。走井(はしりゐ)[勢いのいい川の水飲み場]。上(へ)。
2013-0917-man1112
万葉短歌1112 はねかづら1007
はねかづら 今する妹を うら若み
いざ率川の 音のさやけさ ○
1007 万葉短歌1112 ShuD074 2013-0917-man1112
□はねかづら いまするいもを うらわかみ
いざいざかはの おとのさやけさ
○=未詳。
【編者注】「詠河」全16歌の第13歌。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【訓注】はねかづら(波祢蘰)[羽根髪飾]。妹(いも)。うら(浦)。いざ率川(いざいざかは=去来率去河)[春日山山麓から猿沢池南を通り佐保川へ流れ込む川(現在は暗渠)]。さやけさ(清左)。
2013-0916-man1111
万葉短歌1111 いにしへも1006
いにしへも かく聞きつつか 偲ひけむ
この布留川の 清き瀬の音を ○
1006 万葉短歌1111 ShuD073 2013-0916-man1111
□いにしへも かくききつつか しのひけむ
このふるかはの きよきせのおとを
○=未詳。
【編者注】「詠河」全16歌の第12歌。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【訓注】いにしへ(古)。かく(如此)。偲ひけむ(しのひけむ=偲兼)。この布留川(このふるかは=此古河)[奈良県天理市布留]。