2010-1101-man0000
万葉短歌0000 開肇献詠
訪ぬれば いづれか見ゆる ことなれば
さまよひ入らむ よろづ葉の森 悠山人
0000 万葉短歌0000 ShuA000 2010-1101-man0000
□たづぬれば いづれかみゆる ことなれば
さまよひいらむ よろづはのもり
○悠山人(ゆうさんじん)。
=万葉短歌 開肇献詠=
【2021年11月01日】2010年11月01開設から 3***日(満11年)
【アクセス数】トータル閲覧数1025***PV トータル訪問数307***UU
2021-1030-man4150
万葉短歌4150 朝床に3850
朝床に 聞けば遥けし 射水川
朝漕ぎしつつ 唱ふ舟人 大伴家持
3850 万葉短歌4150 ShuJ059 2021-1030-man4150
□あさとこに きけばはるけし いみづかは
あさこぎしつつ うたふふなびと
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第12首。題詞に、「遥聞泝江(かうを さかのぼる)船人之唱歌一首」。
【訓注】射水川(いみづかは=射水河)[「富山県西部を流れる小矢部川」。17-3985(長歌)伊美都河泊、以下集中に6か所]。朝漕ぎ(あさこぎ=朝己芸)[集中に、朝漕ぐ、は4例、川を漕ぐ、はここだけ(依拠本要約)。なお、<うたふふなびと> もここだけ]。
2021-1029-man4149
万葉短歌4149 あしひきの3849
あしひきの 八つ峰の雉 鳴き響む
朝明の霞 見れば悲しも 大伴家持
3849 万葉短歌4149 ShuJ056 2021-1029-man4149
□あしひきの やつをのきぎし なきとよむ
あさけのかすみ みればかなしも
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第11首。「聞暁鳴鴙歌二首」の第2首。
【訓注】あしひきの(足引之)。雉(きぎし=鴙)。八つ峰(やつを=八峰)[「ここは二上山をいうのであろう」]。鳴き響む(なきとよむ=鳴響)。朝明の霞(あさけのかすみ=朝開之霞)。
2021-1028-man4148
万葉短歌4148 杉の野に3848
杉の野に さ躍る雉 いちしろく
音にしも泣かむ 隠り妻かも 大伴家持
3848 万葉短歌4148 ShuJ056 2021-1028-man4148
□すぎののに さをどるきぎし いちしろく
ねにしもなかむ こもりづまかも
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第10首。題詞に、「聞暁(あかときに)鳴鴙(きぎしを)歌二首」、その第1首。
【訓注】杉の野(すぎのの=椙野)。雉(きぎし=鴙)[きじ。<きぎし>訓対応の用字は、集中に<鴙>9か所、<雉>2か所、<吉芸志>1か所]。いちしろく(灼然)。音(ね=啼)。泣かむ(なかむ=将哭)。隠り妻(こもりづま=己母利豆麻)。
2021-1027-man4147
万葉短歌4147 夜ぐたちて3847
夜ぐたちて 鳴く川千鳥 うべしこそ
昔の人も 偲ひきにけれ 大伴家持
3847 万葉短歌4147 ShuJ052 2021-1027-man4147
□よぐたちて なくかはちどり うべしこそ
むかしのひとも しのひきにけれ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第9首。「夜裏聞千鳥鳴歌二首」の第2首。
【訓注】夜ぐたち(よぐたち=夜具降)。千鳥(ちどり=知登里)。うべしこそ(宇倍之許曽)[06-1050(長歌)甚貴、-1065(長歌)諾石社、など4か所]。
2021-1026-man4146
万葉短歌4146 夜ぐたちに3846
夜ぐたちに 寝覚めて居れば 川瀬尋め
心もしのに 鳴く千鳥かも 大伴家持
3846 万葉短歌4146 ShuJ052 2021-1026-man4146
□よぐたちに ねさめてをれば かはせとめ
こころもしのに なくちどりかも
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第8首。題詞に、「夜裏(やり)聞千鳥鳴歌二首」、その第1首。
【訓注】夜ぐたち(よぐたち=夜具多知)[「<夜のくたち>・・・。夜中を過ぎた頃。<くたつ>は下降する、盛りを過ぎる意」]。寝覚めて(ねさめて=寝覚而)[寝ていながら目覚める意なのでネサメテと訓む]。尋め(とめ=尋)[<尋む>は跡を追い求める意」]。千鳥(ちどり=知等理)。
2021-1025-man4145
万葉短歌4145 春まけて3845
春まけて かく帰るとも 秋風に
もみたむ山を 越え来ざらめや 大伴家持
3845 万葉短歌4145 ShuJ049 2021-1025-man4145
□はるまけて かくかへるとも あきかぜに
もみたむやまを こえこざらめや
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第7首。「見帰雁歌二首」の第2首。脚注に、「一云 春去者 帰此鴈(はるされば かへるこのかり)」。
【訓注】春まけて(はるまけて=春設而)。秋風(あきかぜ)。もみたむ山(もみやむやま=黄葉山)[「・・・<黄葉>は、文脈上用言推量形で訓ずべく、<もみつ>はもみじする意の四段動詞だからである」。08-1551山之将黄変(やまのもみたむ)、-1628如此曽毛美照(かくぞもみてる)、10-2200山之将黄変(やまのもみたむ)、15-3697毛美多比尓家里(もみたひにけり)、など]。越え来ざらめや(こえこざらめや=不越来有米也)。
2021-1024-man4144
万葉短歌4144 燕来る3844
燕来る 時になりぬと 雁がねは
国偲ひつつ 雲隠り鳴く 大伴家持
3844 万葉短歌4144 ShuJ048 2021-1024-man4144
□つばめくる ときになりぬと かりがねは
くにしのひつつ くもがくりなく
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第6首。題詞に、「見帰雁(きがんを)歌二首」、その第1首。
【訓注】燕(つばめ)[集中ここだけ]。雁がね(かりがね=鴈之鳴)。国偲ひつつ(くにしのひつつ=本郷思都追)。
2021-1023-man4143
万葉短歌4143 もののふの3843
もののふの 八十娘子らが 汲み乱ふ
寺井の上の 堅香子の花 大伴家持
3843 万葉短歌4143 ShuJ045 2021-1023-man4143
□もののふの やそをとめらが くみまがふ
てらゐのうへの かたかごのはな
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第5首。題詞に、「攀折(よぢをる)堅香子草(かたかごの)花歌一首」。
【訓注】もののふ(物部)[<上代、朝廷につかえる文武の官人たち。文武百官>(『詳説古語辞典』)。下記注]。乱ふ(まがふ)。堅香子(かたかご)[「ユリ科の多年草かたくり・・・。片鹿子(かたかご)の意で、鹿の斑点模様を持つ片葉がまず生じ、数年以上を要して両葉となり、対生する葉のまん中から20センチばかりの葉を伸ばし、早春に紅紫の花を咲かせる」。集中ここだけ]。
【編者注-もののふの】物部の・武士の。(もののふに多くの氏[うぢ]があることから)「八十(やそ)」を含む語、「宇治」「石瀬(いはせ)」にかかる枕詞。03-0264 もののふの八十宇治川の・・・、11-4143 もののふの八十娘子らが・・・、金槐集 もののふの矢並みつくろふ・・・。(『詳説・・・』参照)
2021-1022-man4142
万葉短歌4142 春の日に3842
春の日に 萌れる柳を 取り持ちて
見れば都の 大道し思ほゆ 大伴家持
3842 万葉短歌4142 ShuJ041 2021-1022-man4142
□はるのひに はれるやなぎを とりもちて
みればみやこの おほちしおもほゆ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第4首。題詞に、「二日攀(よぢて)柳黛(りうたいを)思京師(みやこを)歌一首」。
【訓注】春の日に(はるのひに=春日尓)。萌れる柳(はれるやなぎ=張流柳)[「<萌る>は<張る>で、ふくらむ、拡がる」]。都の 大道(みやこの おほち=京之 大路)[15-3728奈良能於保知波(ならのおほちは)]。
2021-1021-man4141
万葉短歌4141 春まけて3841
春まけて もの悲しきに さ夜ふけて
羽振き鳴く鴫 誰が田にか棲む 大伴家持
3841 万葉短歌4141 ShuJ038 2021-1021-man4141
□はるまけて ものがなしきに さよふけて
はぶきなくしぎ たがたにかすむ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第3首。題詞に、「見翻翔鴫(とびかける しぎを)作歌一首」。
【訓注】春まけて(はるまけて=春儲而)[「春を待ちうけて」]。もの悲しきに(ものがなしきに=物悲尓)。さ夜ふけて(さよふけて=三更而)。羽振き鳴く鴫(はぶきなくしぎ=羽振鳴志芸)[「羽ばたきして鳴く鴫」「鴫を詠む歌は集中この一首のみ」]。
2021-1020-man4140
万葉短歌4140 我が苑の3840
我が苑の 李の花か 庭に散る
はだれのいまだ 残りてあるかも 大伴家持
3840 万葉短歌4140 ShuJ026 2021-1020-man4140
□わがそのの すもものはなか にはにちる
はだれのいまだ のこりてあるかも
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第2首。「天平勝宝二年・・・二首」の第2首。
【訓注】我が苑(わがその=吾園)。李の花(すもものはな=李花)。はだれ(波太礼)[「雪や霜のまだらに降り積もったもの、またはその状態。ホドロと同根で本来は擬態語」。08-1420薄太礼尓零登(はだれにふると)、09-1709落波太列可(ふりしはだれか)、など]。
***** 万葉集 巻19(4139~4292、百五十四首) 始 *****
[天平勝宝2年(750)3月1日から同5年2月25日まで、大伴家持33歳から36歳まで。越中国守在任後期118首と京官再任期36首。長歌23、短歌131。巻末に、「この巻の中に作者の名字(な)を偁(い)はずじて、ただ年月所処縁起(しょしょえんぎ)のみを録(しる)せるは、皆大伴宿祢家持が裁作(つく)る歌詞なり」と。]
2021-1019-man4139
万葉短歌4139 春の苑3839
春の苑 紅にほふ 桃の花
下照る道に 出で立つ娘子 大伴家持
3839 万葉短歌4139 ShuJ026 2021-1019-man4139
□はるのその くれなゐにほふ もものはな
したでるみちに いでたつをとめ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻19(4139~4292、百五十四首)の第1首。題詞に、「天平勝宝二年三月一日之暮(ゆうへに)眺矚(ながめて)春苑桃李(しゅんゑんの たうりの)花作二首」、その第1首。
【原文】19-4139 春苑 紅尓保布 桃花 下照道尓 出立𡢳嬬 大伴家持
【編者注-𡢳】発音=jin 2。異体字=妗。「康熙字典」に未収録。(『漢典』など参照)
2021-1018-man4138
万葉短歌4138 薮波の3838
薮波の 里にやど借り 春雨に
隠りつつむと 妹に告げつや 大伴家持
3838 万葉短歌4138 ShuI632 2021-1018-man4138
□やぶなみの さとにやどかり はるさめに
こもりつつむと いもにつげつや
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第107首。題詞(要旨)に、墾田地検察の際に風雨を避けて砺波郡主帳の家に宿した時の一首、と。左注に、「二月十八日守大伴宿祢家持作」。巻末歌。
【訓注】薮波(やぶなみ=夜夫奈美)[「当時の砺波郡の地名。・・・所在未詳」]。春雨(はるさめ=波流佐米)。妹に告げつや(いもにつげつや=伊母尓都宜都夜)[「妻は鄙の国にまだ慣れぬ都方人(みやこかたひと)である。当然の思いやりというべきであろう」]。
***** 万葉集 巻18(4032~4138、百七首) 終 *****
2021-1017-man4137
万葉短歌4137 正月立つ3837
正月立つ 春の初めに かくしつつ
相し笑みてば 時じけめやも 大伴家持
3837 万葉短歌4137 ShuI628 2021-1017-man4137
□むつきたつ はるのはじめに かくしつつ
あひしゑみてば ときじけめやも
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第106首。題詞に、「判官(じょう)久米朝臣広縄之舘宴歌一首」。
【訓注】正月(むつき=牟都奇)。春(はる=波流)。時じけめやも(ときじけめやも=等枳自家米也母)[「まことに時宜を得たことではないか。」「<時じけ>は・・・<時じ>の未然形。<時じ>は、・・・時の事情に合わない・・・」]。