万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌2299 秋の夜の2130

2016年11月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌2299 秋の夜の2130

秋の夜の 月かも君は 雲隠り
しましく見ねば ここだ恋しき  

2130     万葉短歌2299 ShuE686 2016-1130-man2299

きみにこひ しなえうらぶれ あがをれば
 あきかぜふきて つきかたぶきぬ
=作者未詳。
【編者注】「寄月」(10-2298~2300、三首)の第2首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第61首。女歌。
【訓注】雲隠り(くもがくり=雲隠)。しましく(須臾[「しましも」訓も]。02-0119歌注参照)。ここだ(幾許[こんなにも])。


万葉短歌2298 君に恋ひ2129

2016年11月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌2298 君に恋ひ2129

君に恋ひ 萎えうらぶれ 我が居れば
秋風吹きて 月かたぶきぬ  

2129     万葉短歌2298 ShuE686 2016-1129-man2298

きみにこひ しなえうらぶれ あがをれば
 あきかぜふきて つきかたぶきぬ
=作者未詳。
【編者注】題詞は「月」(10-2298~2300、三首)、その第1首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第60首。女歌。
【訓注】我が(あが=吾)。
【原文】10-2298  於君恋 之奈要浦触 吾居者 秋風吹而 月斜焉  作者未詳


万葉短歌2297 黄葉の2128

2016年11月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌2297 黄葉の2128

黄葉の 過ぎかてぬ子を 人妻と
見つつやあらむ 恋しきものを  

2128     万葉短歌2297 ShuE683 2016-1128-man2297

もみちばの すぎかてぬこを ひとづまと
 みつつやあらむ こひしきものを
=作者未詳。
【編者注】「寄黄葉」(10-2295~97、三首)の第3首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第59首。男歌。
【原文】10-2297  黄葉之 過不勝児乎 人妻跡 見乍哉将有 恋敷物乎  作者未詳


万葉短歌2296 あしひきの2127

2016年11月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌2296 あしひきの2127

あしひきの 山さな葛 もみつまで
妹に逢はずや 我が恋ひ居らむ  

2127     万葉短歌2296 ShuE683 2016-1127-man2296

あしひきの やまさなかづら もみつまで
 いもにあはずや あがこひをらむ
=作者未詳。
【編者注】「寄黄葉」(10-2295~97、三首)の第2首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第58首。男歌。
【訓注】あしひきの(足引乃)。山さな葛(やまさなかづら=山佐奈葛)[さな葛=実葛・美男葛]。もみつまで(黄変及)。我が(あが=吾)。


万葉短歌2295 我がやどの2126

2016年11月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌2295 我がやどの2126

我がやどの 葛葉日に異に 色づきぬ
来まさぬ君は 何心ぞも  

2126     万葉短歌2295 ShuE683 2016-1126-man2295

わがやどの くずはひにけに いろづきぬ
 きまさぬきみは なにごころぞも
=作者未詳。
【編者注】題詞は、「寄黄葉」(10-2295~97、三首)、その第1首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第57首。女歌。
【訓注】くずは(田葛葉)[下記注]。
【編者注-くず】03-0423(長歌)田葛根乃(くずのねの)、07-1346真田葛原(まくずはら)、10-1942田葛引嫺嬬(くずひくをとめ)、-1985真田葛延(まくずはふ)、-2295田葛葉日殊(くずはひにけに)、12-3068岡乃田葛葉緒(をかのくずはを)、-3069真田葛原(まくずはら)、16-3834延田葛乃(はふくずの)。
【編者注-ひにけに】10-2295田葛葉日殊(くずはひにけに)、11-2596月日殊(つきにひにけに)。04-0595弥日異者(いやひにけには)、-0598月日異(つきにひにけに)、-0698月二日二異二(つきにひにけに)、08-1632日異吹者(ひにけにふけば)、10-2121日異吹奴(ひにけにふきぬ)、-2193日異吹者(ひにけにふけば)、-2204日異吹者(ひにけにふけば)、12-2882弥日異者(いやひにけには)、-2928日異羸沼(ひにけにやせぬ)、13-3246公之日異(きみがひにけに)、-3329(長歌)日尓異尓益(ひにけにまさる)、15-3659比尓家尓布伎奴(ひにけにふきぬ)、17-3962(長歌)日異益(ひにけにまさる)、-3969(長歌)日異麻世婆(ひにけにませば)。
【原文】10-2295  我屋戸之 田葛葉日殊 色付奴 不来座君者 何情曽毛  作者未詳


万葉短歌2294 秋されば2125

2016年11月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌2294 秋されば2125

秋されば 雁飛び越ゆる 竜田山
立ちても居ても 君をしぞ思ふ  

2125     万葉短歌2294 ShuE681 2016-1125-man2294

あきされば かりとびこゆる たつたやま
 たちてもゐても きみをしぞおもふ
=作者未詳。
【編者注】題詞は、寄山。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第56首。女歌。
【原文】10-2294  秋去者 鴈飛越 竜田山 立而毛居而毛 君乎思曽念  作者未詳


万葉短歌2293 咲けりとも2124

2016年11月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌2293 咲けりとも2124

咲けりとも 知らずしあらば 黙もあらむ
この秋萩を 見せつつもとな  

2124     万葉短歌2293 ShuE679 2016-1124-man2293

さけりとも しらずしあらば もだもあらむ
 このあきはぎを みせつつもとな
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第23首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第55首。女歌。
【訓注】黙も(もだも=黙然)。秋萩(あきはぎ=秋芽子)。


万葉短歌2292 秋津野の2123

2016年11月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌2292 秋津野の2123

秋津野の 尾花刈り添へ 秋萩の
花を葺かさね 君が仮廬に  

2123     万葉短歌2292 ShuE679 2016-1123-man2292

あきづのの をばなかりそへ あきはぎの
 はなをふかさね きみがかりいほに
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第22首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第54首。女歌。
【訓注】秋津野(あきづの=蜓野)[奈良県吉野郡吉野町。蜓は蜻蛉(秋津、とんぼ)の古名蜻蜓]。
【原文】10-2292  蜓野之 尾花刈副 秋芽子之 花乎葺核 君之借廬  作者未詳


万葉短歌2291 朝咲き2122

2016年11月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌2291 朝咲き2122

朝咲き 夕は消ぬる 月草の
消ぬべき恋も 我れはするかも  

2122     万葉短歌2291 ShuE677 2016-1122-man2291

あしたさき ゆふへはけぬる つきくさの
 けぬべきこひも あれはするかも
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第21首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第53首。女歌。
【原文】10-2291  朝開 夕者消流 鴨頭草乃 可消恋毛 吾者為鴨  作者未詳


万葉短歌2290 秋萩を2121

2016年11月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌2290 秋萩を2121

秋萩を 散り過ぎぬべみ 手折り持ち
見れどもさぶし 君にしあらねば  

2121     万葉短歌2290 ShuE677 2016-1121-man2290

あきはぎを ちりすぎぬべみ たをりもち
 みれどもさぶし きみにしあらねば
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第20首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第52首。女歌。
【原文】10-2290  秋芽子乎 落過沼蛇 手折持 雖見不怜 君西不有者  作者未詳


万葉短歌2289 藤原の2120

2016年11月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌2289 藤原の2120

藤原の 古りにし里の 秋萩は
咲きて散りにき 君待ちかねて  

2120     万葉短歌2289 ShuE677 2016-1120-man2289

ふじはらの ふりにしさとの あきはぎは
 さきてちりにき きみまちかねて
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第19首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第51首。女歌。
【原文】10-2289  藤原 古郷之 開而落去寸 君待不得而  作者未詳


万葉短歌2288 石橋の2119

2016年11月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌2288 石橋の2119

石橋の 間々に生ひたる かほ花の
花にしありけり ありつつ見れば  

2119     万葉短歌2288 ShuE675 2016-1119-man2288

いしばしの ままにおひたる かほはなの
 はなにしありけり ありつつみれば
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第18首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第50首。男歌。
【訓注】石橋の(いしばしの=石走)。かほ花(かほはな=皃花)[下記注]。
【編者注-かほはな】依拠本は、「いかなる花か未詳。かきつばた、おもだか、ひるがおなどの諸説がある。」 『万葉集事典』は、「ひるがほか。…女性の比喩。恋人をしのぶ花として歌われる。…おもだか、かきつばた、あさがお等の説も。」 08-1630野辺乃容花(のへのかほはな)、10-2288皃花乃(かほはなの)、14-3506可保婆奈能(かほはなの)、-3575可保我波奈(かほがはな)。


万葉短歌2287 我がやどの2118

2016年11月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌2287 我がやどの2118

我がやどの 萩咲きにけり 散らぬ間に
早来て見べし 奈良の里人  

2118     万葉短歌2287 ShuE675 2016-1118-man2287

わがやどの はぎさきにけり ちらぬまに
 はやきてみべし ならのさとびと
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第17首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第49首。女歌。
【訓注】我がやど(わがやど=吾屋前)。萩(はぎ=芽子)。散らぬ(ちらぬ=不落)。奈良の里人(ならのさとびと=平城里人)。


万葉短歌2286 我がやどに2117

2016年11月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌2286 我がやどに2117

我がやどに 咲きし秋萩 散り過ぎて
実になるまでに 君に逢はぬかも  

2117     万葉短歌2286 ShuE675 2016-1117-man2286

わがやどに さきしあきはぎ ちりすぎて
 みになるまでに きみにあはぬかも
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第16首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第48首。女歌。
【訓注】我がやど(わがやど=吾屋戸)。秋萩(あきはぎ=秋芽子)。実になるまでに(みになるまでに=実成及丹)。


万葉短歌2285 秋萩の2116

2016年11月16日 | 万葉短歌

2016-1116-man2285
万葉短歌2285 秋萩の2116

秋萩の 花野のすすき 穂には出でず
我が恋ひわたる 隠り妻はも  

2116     万葉短歌2285 ShuE673 2016-1116-man2285

あきはぎの はなののすすき ほにはいでず
 あがこひわたる こもりづまはも
=作者未詳。
【編者注】寄花(10-2271~2293、二十三首)の第15首。秋相聞(10-2239~2311、七十三首)の第47首。男歌。
【訓注】秋萩(あきはぎ=秋芽子)。すすき(為酢寸)。我が恋ひわたる(あがこひわたる=吾恋度)。隠り妻(こもりづま=隠嬬)。