万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

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2021年03月31日 | 万葉短歌

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万葉短歌0000 開肇献詠

訪ぬれば いづれか見ゆる ことなれば
さまよひ入らむ よろづ葉の森  悠山人
 
0000     万葉短歌0000 ShuA000 2010-1101-man0000
 
□たづぬれば いづれかみゆる ことなれば
  さまよひいらむ よろづはのもり
○悠山人(ゆうさんじん)。
 
    =万葉短歌 開肇献詠=


万葉短歌3916 橘の3640

2021年03月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌3916 橘の3640

橘の にほへる香かも ほととぎす
鳴く夜の雨に うつろひぬらむ  大伴家持

3640     万葉短歌3916 ShuI094 2021-0330-man3916

□たちばなの ひほへるかかも ほととぎす
  なくよのあめに うつろひぬらむ
○大伴家持(おほともの やかもち)=原文は「大伴宿祢家持」。03-0403歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第27首。題詞に、「十六年四月五日独居平城故宅(ならの こたくに)作歌六首」(仮に略して「平城故宅歌六首」)、その第1首。3921歌に左注。
【訓注】橘(たちばな)。にほへる香(にほへるか=尓保敝流香)。ほととぎす(保登等芸須)。うつろひぬ(宇都路比奴)。


万葉短歌3915 あしひきの3639

2021年03月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌3915 あしひきの3639

あしひきの 山谷越えて 野づかさに
今は鳴くらむ うぐひすの声  山部赤人

3639     万葉短歌3915 ShuI092 2021-0329-man3915

□あしひきの やまたにこえて のづかさに
  いまはなくらむ うぐひすのこゑ
○山部赤人(やまべの あかひと)=原文は「山部宿祢明人」。01-0318歌参照。「明人(あかひと)」表記は、ここだけ。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第26首。題詞に、「山部宿祢明人詠春鸎(しゅんあうを)歌一首」。左注に(要旨)、日も所も分からないが、聞きし時のままに、と。
【訓注】あしひきの(安之比奇能)。野づかさ(のづかさ=野豆加佐)[「山麓の傾斜地にある小高い所。<つかさ>は転じて役所・役人の意にも用いる」。<つかさ>訓は、集中9か所、<づかさ>は、4か所]。うぐひす(宇具比須)[<うぐひす>訓は、51か所。用字は、于具比須、宇具比須、汙隅比須、など]。鸎(あう)[うぐいす。<鶯、鴬>と異体字関係]。


万葉短歌3914 ほととぎす3638

2021年03月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌3914 ほととぎす3638

ほととぎす 今し来鳴かば 万代に
語り継ぐべく 思ほゆるかも  田口馬長

3638     万葉短歌3914 ShuI087 2021-0328-man3914

□ほととぎす いましきなかば よろづよに
  かたりつぐべく おもほゆるかも
○田口馬長(たのくちの うまをさ)=伝未詳。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第25首。題詞に、「思霍公鳥歌一首 田口朝臣馬長作」。左注に(要旨)、日も所も分からないが、交遊集宴(かういうしふえん)の時に、霍公鳥(ほととぎす)が喧(な)かなかったので、思慕の意(こころ)を陳べた、と。
【訓注】ほととぎす(保登等芸須)。万代(よろづよ=余呂豆代)。語り継ぐ(かたりつぐべく=可多理都具)。


万葉短歌3913 ほととぎす3637

2021年03月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌3913 ほととぎす3637

ほととぎす 楝の枝に 行きて居ば
花は散らむな 玉と見るまで  大伴家持

3637     万葉短歌3913 ShuI078 2021-0327-man3913

□ほととぎす あふちのえだに ゆきてゐば
  はなはちらむな たまとみるまで
○大伴家持=03-0403参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第24首。橙橘霍鳥歌三首の第3首。左注に、「右四月三日内舎人(うどねり)大伴宿祢家持従久迩(くにの)京報送弟(おとひと)書持」。
【訓注】ほととぎす(保登等芸須)。楝(あふち=安不知)。花(はな)。玉(たま=珠)。


万葉短歌3912 ほととぎす3636

2021年03月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌3912 ほととぎす3636

ほととぎす 何の心ぞ 橘の
玉貫く月し 来鳴き響むる  大伴家持

3636     万葉短歌3912 ShuI078 2021-0326-man3912

□ほととぎす なにのこころぞ たちばなの
  たまぬくつきし きなきとよむる
○大伴家持=03-0403参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第23首。橙橘霍鳥歌三首の第2首。第3913歌左注参照。
【訓注】ほととぎす(保登等芸須)。橘(たちばな=多知花)。響むる(とよむる=登余牟流)。


万葉短歌3911 あしひきの3635

2021年03月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌3911 あしひきの3635

あしひきの 山辺に居れば ほととぎす
木の間立ち潜き 鳴かぬ日はなし  大伴家持

3635     万葉短歌3911 ShuI077 2021-0325-man3911

□あしひきの やまへにをれば ほととぎす
  このまたちくき なかぬひはなし
○大伴家持=03-0403参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第22首。題詞(読下し)に、「橙橘(たうきつ)初めて咲き、霍鳥(くゎくてう)翻(かけ)り嚶(な)く。この時候に対(むか)ひ、あに志を暢(の)べざらめや。よりて、三首の短歌を作り、もちて欝結(うつけつ)の緒(こころ)を散らさまくのみ」(仮に、「橙橘霍鳥歌三首」)、その第1首。第3913歌左注参照。
【訓注】あしひきの(安之比奇能)。ほととぎす(保登等芸須)[下記注]。立ち潜き(たちくき=多知久吉)[「<潜き>は、くぐり抜ける・・・。・・・家持は、鶯には<飛び潜く>・・・。時鳥には<立ち潜く>と使い分けている」]。
【依拠本注-ほととぎす】家持の時鳥詠は、集中の時鳥詠155首中一人で64首を占める。家持は、生涯時鳥の声に溺(でき)した人・・・。


万葉短歌3910 玉に貫く3634

2021年03月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌3910 玉に貫く3634

玉に貫く 楝を家に 植ゑたらば
山ほととぎす 離れず来むかも  大伴書持

3634     万葉短歌3910 ShuI077 2021-0324-man3910

□たまにぬく あふちをいへに うゑたらば
  やまほととぎす かれずこむかも
○大伴書持(おほともの ふみもち)=08-1480歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第21首。「詠霍公鳥歌二首」の第2首。左注に、「右四月二日大伴宿祢書持従奈良宅(いへより)贈兄家持」。
【訓注】玉に貫く(たまにぬく=珠尓奴久)。楝(あふち=安布知)[栴檀。<あふち>訓は、集中に4か所出現。下記注]。山ほととぎす(やまほととぎす=夜麻霍公鳥)。
【編者注-あふち】05-0798阿布知乃波那波(あふちのはなは)、10-1973相市乃花波(あふちのはなは)、17-3910安布知乎宅尓(あふちをいへに)、-3913安不知能枝尓(あふちのえだに)。(以下、依拠本注)「時鳥の取合わせとしてうたう歌は、・・・3910と・・・3913しかない。」


万葉短歌3909 橘は3633

2021年03月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌3909 橘は3633

橘は 常花にもが ほととぎす
棲むと来鳴かば 聞かぬ日なけむ  大伴書持

3633     万葉短歌3909 ShuI077 2021-0323-man3909

□たちばなは とこはなにもが ほととぎす
  すむときなかば きかぬひなけむ
○大伴書持(おほともの ふみもち)=08-1480歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第20首。題詞に、「詠霍公鳥(ほととぎすを)歌二首」、その第1首。次歌左注参照。
【訓注】橘(たちばな=多知婆奈)。常花(とこはな)。ほととぎす(保登等芸須)。


万葉短歌3908 楯並めて3632

2021年03月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌3908 楯並めて3632

楯並めて 泉の川の 水脈絶えず
仕へまつらむ 大宮ところ  境部老麻呂

3632     万葉短歌3908 ShuI069 2021-0322-man3908

□たたなめて いづみのかはの みをたえず
  つかへまつらむ おほみやところ
○境部老麻呂(さかひべの おゆまろ)=「伝未詳」。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第19首。左注に、「右天平十三年二月右馬頭(みぎの うまのかみ)境部宿祢老麻呂作也(つくる)」。3907は、題詞「讃(ほむる)三香原(みかのはらの)新都歌一首 并(あはせて)短歌」の長歌。3708は、その反歌。
【訓注】楯並めて(たたなめて=楯並而)[ここ以外は<たて>訓]。泉の川(いづみのかは=伊豆美乃河波)[「今の木津川」。家持・書持兄弟の永訣の場、後出、3957~59]。水脈(みを=水緒)。三香原の新都[山背(やましろ)の久迩京(くにきょう)。京都府木津川市加茂町。天平12年(740)、藤原広嗣の大宰府の乱で聖武天皇が新都に定めた]。
【原文(長歌読下し)】17-3907  山背の 久迩の都は 春されば 花咲きををり 秋されば 黄葉(もみちば)にほひ 帯ばせる 泉の川の 上つ瀬に 打橋渡し 淀瀬には 浮橋渡し あり通ひ 仕へまつらむ 万代までに  境部老麻呂


万葉短歌3906 御園生の3631

2021年03月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌3906 御園生の3631

御園生の 百木の梅の 散る花し
天に飛び上り 雪と降りけむ  大伴書持

3631     万葉短歌3906 ShuI048 2021-0321-man3906

□みそのふの ももきのうめの ちるはなし
  あめにとびあがり ゆきとふりけむ
○大伴書持(おほともの ふみもち)=08-1480歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第17首。「追和大宰之時梅花新歌六首」の第6首。左注に、「右十二年十二月九日大伴宿祢書持作」。
【訓注】御園生(みそのふ)[「大宰府の、父旅人の庭園を敬っていう」。05-0864弥曽能不乃 于梅能波奈尓忘(みそのふの うめのはなにも)]。百木の梅(ももきのうめ=百木乃宇梅)。散る花(ちるはな=落花)。


万葉短歌3905 遊ぶ内の3630

2021年03月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌3905 遊ぶ内の3630

遊ぶ内の 楽しき庭に 梅柳
折りかざしてば 思ひなみかも  大伴書持

3630     万葉短歌3905 ShuI048 2021-0320-man3905

□あそぶうちの たのしきにはに うめやなぎ
  をりかざしてば おもひなみかも
○大伴書持(おほともの ふみもち)=08-1480歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第16首。「追和大宰之時梅花新歌六首」の第5首。
【訓注】遊ぶ内の(あそぶうちの=遊内乃)[「<内>は、ここは仲間内、一座の意」]。梅柳(うめやなぎ)。思ひなみかも(おもひなみかも=意毛比奈美可毛)[「5-820の作者葛井大夫〔(ふぢゐの まへつきみ)〕たちが限られた空間で梅や柳を折りかざすのに満足している心中を詰問した表現」]。


万葉短歌3904 梅の花3629

2021年03月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌3904 梅の花3629

梅の花 いつは折らじと いとはねど
咲きの盛りは 惜しきものなり  大伴書持

3629     万葉短歌3904 ShuI048 2021-0319-man3904

□うめのはな いつはをらじと いとはねど
  さきのさかりは をしきものなり
○大伴書持(おほともの ふみもち)=08-1480歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第15首。「追和大宰之時梅花新歌六首」の第4首。
【原文】17-3904  宇梅能花 伊都波乎良自等 伊登波祢登 佐吉乃盛波 乎思吉物奈利  大伴書持


万葉短歌3903 春雨に3628

2021年03月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌3903 春雨に3628

春雨に 萌えし柳か 梅の花
ともに後れぬ 常の物かも  大伴書持

3628     万葉短歌3903 ShuI048 2021-0318-man3903

□はるさめに もえしやなぎか うめのはな
  ともにおくれぬ つねのものかも
○大伴書持(おほともの ふみもち)=08-1480歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第14首。「追和大宰之時梅花新歌六首」の第3首。
【訓注】春雨(はるさめ)。柳(やなぎ=楊奈疑)。梅の花(うめのはな=烏梅乃花)。常の物かも(つねのものかも=常乃物能香聞)[「柳が、春雨に誘われたのではなく、やはり例によって梅に誘われて芽吹いたのだ・・・」]。


万葉短歌3902 梅の花3627

2021年03月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌3902 梅の花3627

梅の花 み山としみに ありともや
かくのみ君は 見れど飽かにせむ  大伴書持

3627     万葉短歌3902 ShuI048 2021-0317-man3902

□うめのはな みやまとしみに ありともや
  かくのみきみは みれどあかにせむ
○大伴書持(おほともの ふみもち)=08-1480歌参照。
【編者注】巻17(3890~4031、百四十二首)の第13首。「追和大宰之時梅花新歌六首」の第2首。
【訓注】梅の花(うめのはな=烏梅乃花)。しみに(之美尓)[「物のびっしりつまったさま。集中ここのみ」]。飽かにせむ(あかにせむ=安可尓勢牟)[「<飽かざらむ>に同じ」。この一例だけ]。