2010-1101-man0000
万葉短歌0000 開肇献詠
訪ぬれば いづれか見ゆる ことなれば
さまよひ入らむ よろづ葉の森 悠山人
0000 万葉短歌0000 ShuA000 2010-1101-man0000
□たづぬれば いづれかみゆる ことなれば
さまよひいらむ よろづはのもり
○悠山人(ゆうさんじん)。
=万葉短歌 開肇献詠=
2019-0130-man3078
万葉短歌3078 波の共2890
波の共 靡く玉藻の 片思に
我が思ふ人の 言の繁けく ○
2890 万葉短歌3078 ShuF667 2019-0130-man3078
□なみのむた なびくたまもの かたもひに
あがおもふひとの ことのしげけく
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第115首。男。
【訓注】波の共(なみのむた=浪之共)[02-0131(長歌)浪之共 彼縁此依 玉藻成(なみのむた かよりかくより たまもなす)、-0138(長歌)浪之共 彼依此依 玉藻成(なみのむた かよりかくより たまもなす)、など。下記注]。我が思ふ人(あがおもふひと=吾念人)。
【編者注-むた(共・与)】「(格助詞「の」「が」の後に付いて)…とともに。…といっしょに。」(『詳説古語辞典』)
2019-0129-man3077
万葉短歌3077 みさご居る2889
みさご居る 荒磯に生ふる なのりその
よし名は告らじ 親は知るとも ○
2889 万葉短歌3077 ShuF667 2019-0129-man3077
□みさごゐる ありそにおふる なのりその
よしなはのらじ おやはしるとも
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第114首。女。
【訓注】みさごゐる(三佐呉集)。なのりそ(名告藻)。親(おや=父母)。
【類歌】03-0363 美沙居 荒礒尓生 名乗藻乃 吉名者告世 父母者知友 作者未詳
(みさごゐる ありそにおふる なのりその よしなはのらせ おやはしるとも)
2019-0128-man3076
万葉短歌3076 住吉の2888
住吉の 敷津の浦の なのりその
名は告りてしを 逢はなくもあやし ○
2888 万葉短歌3076 ShuF666 2019-0128-man3076
□すみのえの しきつのうらの なのりその
なはのりてしを あはなくもあやし
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第113首。女。
【訓注】住吉の敷津の浦(すみのえの しきつのうら=住吉之 敷津之浦)[大阪市住吉区住吉神社辺の海岸。浪速区に敷津の地名が残る]。名のりそ(なのりそ=名告藻)。
2019-0127-man3075
万葉短歌3075 かくしてぞ2887
かくしてぞ 人は死ぬといふ 藤波の
ただ一目のみ 見し人ゆゑに ○
2887 万葉短歌3075 ShuF664 2019-0127-man3075
□かくしてぞ ひとはしぬといふ ふぢなみの
ただひとめのみ みしひとゆゑに
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第112首。男。
【原文】12-3075 如此為而曽 人之死云 藤浪乃 直一目耳 見之人故尓 作者未詳
【依拠本注-藤波】「藤波」を女性の美しさに譬えた歌はほかには見あたらない。
2019-0126-man3074
万葉短歌3074 はねず色の2886
はねず色の うつろひやすき 心あれば
年をぞ来経る 言は絶えずて ○
2886 万葉短歌3074 ShuF664 2019-0126-man3074
□はねずいろの うつろひやすき こころあれば
としをぞきふる ことはたえずて
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第111首。女。
【訓注】はねず色(はねずいろ=唐棣花色)[下記注。04-0657翼酢色之(はねずいろの)、11-2786翼酢色乃]。
【編者注-はねず】初夏に赤い花をつける赤い花。庭梅・庭桜・木蓮など諸説。(『詳説古語辞典』参照)
【編者注-はねずいろの】はねず花での染色は褪せやすいところから、「移ろひやすし」の枕詞。(同前参照)
【編者注-唐棣花】現代中国語発音は Tangdihua 241、表記は棠棣花(同音)・棠棣之花(Tangdizhihua 2411)(電網『百度百科』参照)。日本語音では「とうていか」。
2019-0125-man3073
万葉短歌3073 木綿包み2885
木綿包み 白月山の さな葛
後もかならず 逢はむとぞ思ふ ○
2885 万葉短歌3073 ShuF663 2019-0125-man3073
□ゆふづつみ しらつきやまの さなかずら
のちもかならず あはむとぞおもふ
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第110首。男? 第1句後の割注に、「一云畳」。左注(読下し)に、<或本の歌には「絶えむと妹を 我(わ)が思はなくに>。
【訓注】白月山(しらつきやま)[所在未詳。近江国?]。さな葛(さなかずら=佐奈葛)。畳(たたみ)。
2019-0124-man3072
万葉短歌3072 大崎の2884
大崎の 荒磯の渡り 延ふ葛の
ゆくへもなくや 恋ひわたりなむ ○
2884 万葉短歌3072 ShuF663 2019-0124-man3072
□おほさきの ありそのわたり はふくずの
ゆくへもなくや こひわたりなむ
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第109首。男?
【訓注】大崎(おほさき=大埼)[和歌山市加太(かだ)岬。06-1023大埼乃]。荒磯(ありそ=荒礒)。葛(くず=久受)。
2019-0123-man3071
万葉短歌3071 丹波道の2883
丹波道の 大江の山の さな葛
絶えむの心 我が思はなくに ○
2883 万葉短歌3071 ShuF658 2019-0123-man3071
□たにはぢの おほえのやまの さなかづら
たえむのこころ わがおもはなくに
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第108首。男?女?
【訓注】丹波道(たにはぢ)[山城国(京都府の一部)から丹波国(京都府・兵庫県・大阪府の各一部)への道。下記注]。大江の山(おほえのやま=大江乃山)[「京都市西京区大枝沓掛(おおえくつかけ)町の老ノ坂」。亀岡市篠町王子とにまたがる老ノ坂(おいのさか)峠]。さな葛(さなかづら=真玉葛)。
【編者注-丹波】『和名抄』では「太迩波(たには)」と読む。由来は、「谷端」「田庭」両説のうち、後者が有力。(Wp-jp参照)
2019-0122-man3070
万葉短歌3070 木綿畳2882
木綿畳 田上山の さな葛
ありさりてしも 今にあらずとも ○
2882 万葉短歌3070 ShuF658 2019-0122-man3070
□ゆふたたみ たなかみやまの さなかづら
ありさりてしも いまにあらずとも
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第107首。男?女?
【訓注】木綿畳(ゆふたたみ)[03-0380木綿畳、06-1017木綿畳、12-3073畳(ゆふたたみ)、-3151木綿畳]。田上山(たなかみやま)[滋賀県大津市南部所在。01-0050(長歌)田上山]。さな葛(さなかづら=狭名葛)[実葛(さね~)、美男葛(びなん~)。02-0094狭名葛、-0207(長歌)狭根葛(さね~)、10-2296山佐奈葛(やまさな~)、11-2479核葛(さね~)、12-3070狭名葛、-3071真玉葛(さな~)、-3073佐奈葛、13-3280(長歌)左奈葛、-3281(長歌)左奈葛、-3288(長歌)木妨己(さなかづら)]。
2019-0121-man3069
万葉短歌3069 赤駒の2881
赤駒の い行きはばかる 真葛原
何の伝て言 直にしよけむ ○
2881 万葉短歌3069 ShuF658 2019-0121-man3069
□あかごまの いゆきはばかる まくずはら
なにのつてこと ただにしよけむ
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第106首。女。
【訓注】赤駒(あかごま)[「栗毛の雄馬」]。はばかる(羽計)[「障碍にあって滞る意」]。何の伝て言(なにのつてこと=何伝言)[「じれったいことに何という伝言であることか、の意」]。
2019-0120-man3068
万葉短歌3068 みづ茎の2880
みづ茎の 岡の葛葉を 吹きかへし
面知る子らが 見えぬころかも ○
2880 万葉短歌3068 ShuF658 2019-0120-man3068
□みづくきの をかのくずはを ふきかへし
おもしるこらが みえぬころかも
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第105首。男。
【訓注】みづ茎(みづくき=水茎)。岡の葛葉(をかのくずは=岡之田葛葉)。子ら(こら=児等)[<「ら」は親愛の意を添える接尾語>]。
2019-0119-man3067
万葉短歌3067 谷狭み2879
谷狭み 峰辺に延へる 玉葛
延へてしあらば 年に来ずとも ○
2879 万葉短歌3067 ShuF658 2019-0119-man3067
□たにせばみ みねへにはへる たまかづら
はへてしあらば としにこずとも
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第104首。女。左注(読下し)に、<一には「岩つなの 延へてしあらば」といふ>。
【訓注】延へる(はへる=延有)。玉葛(たまかづら)。延へてし(はへてし=令蔓之)[左注も]。年に来ず(としにこず=年二不来)[年に一度も来ない]。岩つな(いはつな=岩葛)[「岩にからまる蔓性の植物」。06-1046石綱乃(いはつなの)]。
2019-0118-man3066
万葉短歌3066 妹待つと2878
妹待つと 御笠の山の 山菅の
やまずや恋ひむ 命死なずは ○
2878 万葉短歌3066 ShuF658 2019-0118-man3066
□いもまつと みかさのやまの やますげの
やまずやこひむ いのちしなずは
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第103首。男。
【訓注】御笠の山(みかさのやま=三笠乃山)[奈良市東部、春日山前方の峰]。命死なずは(いのちしなずは=命不死者)。
2019-0117-man3065
万葉短歌3065 み吉野の2877
み吉野の 秋津の小野に 刈る草の
思ひ乱れて 寝る夜しぞ多き ○
2877 万葉短歌3065 ShuF655 2019-0117-man3065
□みよしのの あきづのをのに かるかやの
おもひみだれて ぬるよしぞおほき
○=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第102首。男。
【原文】12-3065 三吉野之 蜻乃小野尓 刈草之 念乱而 宿夜四曽多 作者未詳
【編者注-あきつ・あきづ】「とんぼ」の意で、秋津・蜻蛉表記・「あきづ」訓、中古以降は「あきつ」訓。「あきづしま」(秋津島・秋津洲・蜻蛉島)は、平安以降は「あきつしま」、とんぼは五穀豊穣を含意。(『詳説古語辞典』参照)
【編者注-草(かや)】01-0011草無者(かやなくは)、02-0110刈草乃(かるかやの)、03-0396真野乃草原(まののかやはら)、04-0780草毛刈乍(かやもかりつつ)、など。