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ボツになった原稿を掲載します

金融業界関係の雑誌に、私が書いた匿名コラムの原稿がボツになりました。テーマは日銀の内部管理批判と福井総裁への批判です。

編集長氏によると、
(1)匿名での批判原稿である、
(2)日銀のような不正(出張旅費の過大請求)は他の企業にも多々あり、日銀だけを強く批判するのはいかがなものか、
(3)福井総裁個人への批判は編集方針になじまない、
(4)今後の日銀への取材のしやすさその他という考慮もある。腰が引けていると言われればそれまでですが、
ということでした。

私の反論というか言い分は、
(1)実名で掲載しても構わないし、そのコラム欄は政策に対する批判などが日頃から載っている、
(2)日銀自体の管理に問題があるということだから、他社は関係ないし、読者が判断すればいいことだ、
(3)福井総裁は公人だし、根も葉もない批判を書いているのではない、
(4)編集方針だというなら仕方がないですね、
というものでした。

編集長と話し合った結果、表現を書き替えて載せるのではなく、今回は原稿を取り下げるのが、「ありがたい」とのことだったので、これに同意して、ボツが確定しました。

以下に、原稿を内容をそのまま貼り付けます(誤字の訂正が一カ所と、フォーマットの修正がありますが)。

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「日銀の自力更生には限界」

 日本銀行がさる八月四日付けで発表した「国内出張における航空運賃の支給に関する調査結果等」という文書がある。同行のホームページにも載っているので、是非読んでみて欲しい。日本銀行がどれくらい、たるんだ、モラルのない組織であるかが、よく分かる。
 同行自身による調査で分かった範囲だが、平成一一年四月から今年の一月までの国内出張で、出張者一三三〇人に対して航空運賃の過払いが七千三百万円あったという。割引料金のチケットを使いながら、正規運賃で旅費の支払いを受ける、単純な手口だが、多くの職員が、不当なお金を着服していてもよいと考えたモラルの乏しさ。そうしたことが可能な日銀の内部管理体制に対して、疑問を持たずにいた意識の低さ。これらの持つ意味は重い。しかも、会計検査院の指摘を受けてはじめて気づいたようだ。こんな連中に検査されるのでは、民間銀行も浮かばれない。
 民間会社でも、社員が、出張旅費を浮かせるようなことが、全くないわけではないが、まともな会社は、過払いが起こらないような管理ルールを作り、実行する。また、金銭管理で問題を起こすような社員は、出世させない。しかし、今回、日銀は、譴責、注意、過払い分の返還といった、要は、「注意」と「盗んだお金を戻す」だけの軽い処分にとどめた。
 世間的話題からやや遠ざかったが、福井総裁の今年二月の村上ファンド解約は、常識的な解釈では内規に十分触れている。量的緩和政策解除の前の株式ファンド解約だから、世間の疑いを買うに十分であり、これに気づかぬ何たる愚鈍。こうしたうす汚い人物は、直ぐに辞任して、ゼロ金利政策解除などの重要決定に関わらないことが望ましかったが、いまだにポストにしがみついている。組織を魚にたとえて「魚は頭から腐る」とよくいわれるが、日銀にもよく当てはまるようだ。
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短文のコラムということもあり、強い調子で書いていますが、内容は至極妥当ではないかと思っています。

当該雑誌を批判することを特に目的とはしていないので、今回は、雑誌の名前は挙げませんが、この程度の批判原稿でも、世に出すのは結構大変なのだ、という残念なサンプルとして、公開します。

そういえば、ある雑誌に載っていた漫画「ベルサイユのバラ」の作者、池田理代子さんのインタビュー記事によると、彼女の旦那さんは、ご結婚当時、日銀にお勤めで、投資信託関係のデータに関わる仕事を所管されており、新妻である彼女に「投資信託のようなものは買ってくれるな」と強く言ったのだそうです。彼女は、当時、随分堅苦しいことを言う人だなと少々不満に思ったらしいのですが、その後、福井総裁の村上ファンド問題が出て、うちの主人は正しい立派な人だったのだ!と見直した、というような話が載っていました。

日銀にあっても、自分の仕事に関係があると思われるようなことで、疑いを受けるようなことは決してしたくない、と考えるような、真面目な人が多いのではないかと、私は推測しています。こうした真面目な職員は、福井氏のような方が総裁の地位にしがみついていることを、苦々しく思っておられるのではないでしょうか。ただ、行内での批判の声が、外に洩れてこないのは、さすが日銀(悪い意味で)と言うべきかも知れません。

それにしても、「尊敬」でなく「軽蔑」される人が中央銀行のトップというのは、国にとっていいことではありません。福井総裁には、早くお辞めになって貰えないものかとつくづく思います。
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