山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

仮面工房「不夜城」◎風評伝々。

2015-04-28 14:49:43 | モノローグ【エトセトラ】
過日25日(土)26日(日)ギャラリーADOにて劇団仮面工房「不夜城」(作演出・大谷豪)を見ました。
元々、福岡の劇団ですが熊本での公演は5年前より年1回、今回で5回目になります。これまでは主宰の佐野元一さんが演出をしておりましたが、今回は豪さんの初・作演出となりました。佐野さんに言わせると彼(豪さん)は「天才肌」と評しておりました。それはチョット納得できないところであります。風貌や顔、彼の存在感は並ではない!しかし、天才は知恵熱や鼻血で苦しむことはありません。人並みに苦しみながら作る努力の人でしょう。努力が風貌と絡まって知恵熱や鼻血を出すものだから天才に見えるのだと思います。怪人です。

唐十郎の「少女仮面」で舞台の場面となったのは喫茶「肉体」であった。仮面工房の「不夜城」は喫茶の名前であります。「不夜城」から連想される、もう一つのネーミングを「秘密結社」と考えていたのです。つまり、テロリストの?
登場人物は6名(探偵・刑事・チンピラ・養護施設の理事・知的しょう害のジュン君・店主プラス「影のオーナー」)。
店に集まってくる人間関係から想像できるドラマは?・・・誰かが殺されると思っていた。この劇は殺人事件になるだろうと予想した。
サスペンス劇場だと犯人探しになるだろうが、劇では「どう殺されるのだろう?」と興味を持って追っていると、ジュン君と店主のもみ合いで店主がピストルで撃ち抜かれてしまったのであります。計算されていた秘密の事件になってしまった。店主が政治の世界へ立候補しようとしたために影の世界では「ヤツを消せ!」と仕組まれたのだろう。
ファシスト(独裁者)は一人でなければならない。そんな台詞が隠されていたように思えたのだった。

大園淳一のジュン論


知的障害?最近は障害者の「害」と称することを廃止しようという動きがある。なるほど、人間に対して「害」とは嫌な言葉である。
体の不自由な人々や奇形、脳の疾患など、この地球上には様々な人々が暮らしている。劇やドラマでも登場する。扱いや表現の仕方を間違えると社会的問題になる。それは「差別」として評されるからだろう。誤解が誤解を拡大することになります。
差別とは何でしょう?タブーとは何でしょう?・・・一方、優生保護の思想が匂う時代ですね。
劇では喫茶店のタライで釣り堀を楽しむジュン君が登場する。タライの中には魚はいない。楽しそうに釣る男が大きな俳優=大園淳一さんだ。汗を飛び散らす。息が荒い。舞台を叩くと会場が揺れる。笑顔が可愛い。この笑顔に癒される。
この役柄は難しいと思っていたから、彼をマークしていた。何故、難しいかと言えば、自閉症と言っても様々だからだ。定番はないのです。あるとすれば天使だ。
これまでも彼の大きな身体に天使を見てきた。
「このタライの中には魚はいないよ。釣れないのはわかっている。」のジュン君のセリフが決まった。
ここに「不夜城」の、「秘密結社」の、テロリストの、優しさがあったと思うのであります。

さーて、仮面工房さんとはこれから先のことを考えて行こうと思います。
個性豊かな俳優さんたちとの関係を深めていきたいものです。
プランニングを少々話せて良かったですね。
皆様、お疲れ様でした。これからも宜しくお付き合い下さい。
尚、松山市より掛け付けて下さったギー藤田さま(映画監督)との出会いはモーレツでありました。次にお会いできるならば、舞台か画面の中のような予感があります。