lizardbrain

だらだらぼちぼち

縁は異なものアジスアベバ

2007年07月30日 00時19分55秒 | 音楽

去年の9月、山崎まさよしのライヴを観戦した件をエントリーした。

前々から、山崎まさよしが弾くアコギの和音の響きが好きだったので、初観戦する気になったのだが、
サークルKサンクスの先行抽選販売で随分と早くからゲットしていたチケットが、よりによって、後ろから5列目だったり、
オープニング1曲目から、いきなり、観客席のほとんどが総立ちとなると言う、山崎まさよしに関してまるっきりシロートであるワタクシが、全く意外な展開にうろたえとまどった様子をブログ化したところ、とある方に発掘されてしまった。
以来、とある方のブログをブックマークして、時折、こそこそとタダ読みしていると、さらにとある方に言及した箇所が何度もあった。
で、今度はそのさらにとある方のブログもブックマークして、タダ読みリストに加えた。

そのさらにとある方のブログで、村上ポンタ秀一著書の文庫版が出ている事を知った。


なんという事だ

日本人としては珍しく"ポンタ"というミドルネームを持つ西宮出身のベテランドラマー、村上”ポンタ”秀一が、いつの間にか本を書いていたのだ

文庫版で発行されたのが、去年。
本のタイトルは、自暴自伝というらしい。

ワタクシにとって、この本の存在は、全くノーマークだった。
存在を知ってしまったからには、すばやく行動しなければならない

さっそく、近所の書店に取り寄せの手配をしたところ、約36時間後には入荷していた。
ちょっと前までの本の取り寄せ作業は、こんなにスピーディーには行かなかった。
amazonなどのネット通販に対抗するための、書店側も素早く対応できるシステムを構築しているのだろう。
ワタクシのようなビンボー人が通販で買い物をする時に、一番ネックになるのが送料だが、本にしろCDにしろ、Amazonでは、¥1,500以上のショッピングで送料無料にしてくれるし、在庫さえあれば、即日で発送してくれる。
これは、書店にとっては大いに脅威である。


こうして入手した文庫本は、村上ポンタ自身が書き下ろしたというよりも、語り下ろした物を編集者が再構成して文字に転化した物のようで、そこで語られている話は全て、すっごく面白かった。



オーディションに合格して、赤い鳥に参加する4~5日前にハイハットシンバルを買ったという段にいたっては、
「ホンマかいな?」
と驚かずにはいられない。
盟友、大村憲司の話や、ナニワエキスプレスの清水興も修行したという、ジャズ喫茶デュークの話や、石田長生が17歳の頃に師事したというジャズギタリスト竹田一彦の話もちょびっと出てきた。

ザ・バンドのレヴォン・へルムについて触れた箇所を読んだ翌日、「ザ・シューター」という映画を観た。
その映画のオープニングクレジットで、主要な配役がスクリーンに現れるわけだが、その中に、何と、レヴォン・ヘルムの名前があった。
ところが、ワタクシには、レヴォン・ヘルムの顔が記憶に無い。
ストーリーを追いながら、レヴォン・ヘルムの年齢を想像しながら、だいたいこのあたりの年代の登場人物であろう、と山勘をかけたら当たっていた。
あのシーンに出てきた、オジサン、いや、オジイサンがレヴォン・ヘルムであった。

おかげで、レヴォン・ヘルムの顔を認知できたのだが、このあたりで、ワタクシの胸に、ある疑惑が生じた
偶然に存在を知って手にした本の中で、村上ポンタがレヴォン・ヘルムについて言及した翌日に、さらに偶然にも当のレヴォン・ヘルムが映画に出てきたというのも、偶然が重なったにしては出来すぎた話である。
誰か、ワタクシが知るよしも無い存在が裏で糸を引いているのに違いない。

どうやら、国際的な陰謀に巻き込まれたのかもしれない、、、、、、

”ポンタ”というミドルネームの由来が明かされていたり、プリズムのアルバムに客演していた理由や、そのプリズムのギタリスト、和田アキラの師匠が誰なのか?、、、、、、、
etc,etc、、、、、、

色んな事がたくさん詰め込まれたこの本の中身をこれ以上ぶちまけてしまって、さらに国際的な陰謀に巻き込まれる訳には行かないので、ネタバレさせるわけにはいかないが、
本文の巻末の『おしまいに』という『あとがき』に当たるチャプターから、一つだけバラしてしまおうと思う。
ここに、村上ポンタが、2002年にニューヨークでのレコーディング直後に肺炎で倒れて生死の境をさまよった事について触れられている。
この時ばかりは、さすがの無神論者の村上ポンタも、「もう少し生きさせてください」と、祈ったのだそうだ

実はこの時、ニューヨークで肺炎で倒れたためにキャンセルとなった日本国内でのホールライヴのチケットを、ワタクシは買っていたのだ。

2002年4月14日の、明石市立西部市民会館での公演であった。
村上ポンタのドラムに、クリヤマコトのピアノ、カルテットだったかクインテットだったか他のメンツは忘れてしまったが。
西明石駅の近くに安宿を取り、全席自由席の公演だった為、開場時刻よりも早めに会場にたどり着いたワタクシは、『公演中止』という張り紙を見て呆然としてしまった

まさかと思い、会場の受付らしき所へ事情を聞きに行くと、主催者の『オール』という加古川のライヴハウスの社長に引き合わせてくれた。
社長は、
「つい先日、ポンタさんがニューヨークで高熱を出して入院してしまい、ちょっと大変な状態にあるらしいのです。
本人は、とにかくやる気マンマンなのですが、とても演奏できる状態では無いようなのです。
今回のライヴはポンタさんがメインのライヴなので、他のドラマーを代役に立てるという訳には行きませんでした。
申し訳ありません。」
と、中止にいたった事情の説明と丁重なお詫びをしてくれた。
事情が事情なので、こちらとしても怒って暴れる訳にもいかず、会場を後にせざるを得なかったのだ。

予定していたライヴが中止になったためにポッカリと空いた時間は、近くの映画館で『スターリングラード』という映画を観る事で紛らわせた。
だが、いつもはこの時に映画を観たシネコンに共通する割引カードを持ち歩いているのに、まさか明石で映画を観る事になろうとは夢にも思わなかったため、割引カードを持って来ていなかったので割引が効かず、¥1,800という正規料金で鑑賞せざるを得なかった

この時の宿泊費とか交通費とかは、さほど惜しいとは思わなかった。
ライヴチケットの料金は、後日、チケットを購入したローソンで払い戻しを受けて戻ってきたのだが、この時に映画を観た時に割引が効かなかった事の方が、心に痛く感じた事を思い出した

それからおよそ1年半後、西宮で、ようやく村上ポンタの演奏を聴く事ができた。


どうやら、この本を中心に、色んな事が無節操に繋がっている気配がしてきて、ワタクシ一人で面白がっているところなのだ。

適当に時間をおいて、何度でも読んでみようと思っている。