自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

地球大変動の歴史から地震と生物の進化を学ぶ

2016-04-30 20:55:17 | 自然と人為

 地球大変動という地球の歴史が、その時代を謳歌していた生物を絶滅させ、弱い生物を進化させてきた。今、時代を謳歌している人類、言葉を獲得して生物の頂点に立った人類(下記録画:1時間3分10秒~1時間6分40秒)は文明を発達させて工業化により地球を温暖化させ、さらにその温暖化を防止するという口実で原発を稼働させている。この地球温暖化と原発事故や核汚染廃棄物の蓄積によって人類は自滅するのではないか。次の番組はそれを教えてくれる。
 【NHKスペシャル】地球大進化 ~ 46億年 第7集 ~ 最終回 そして未来
 人類が生き延びるには遺伝子による進化ではなく、人類の強者が言葉によって弱者を支配するのでもなく、人類の弱者が生き残るための言葉が必要であり、それが強者をも救い人類が少しでも永く幸せに生きる道であろう。ホセ・ムヒカ前ウルグアイイ大統領が言動で示した「他者を愛する政治」は、人類の生き残りのためにも不可欠だと思う。

 今、地震学はGPSの利用により大きく発展している。しかし、地震と関係が深いマントルとプレートと断層の知識に、火山と関係が深いマグマを加えて考ると、新しい情報に接しても古い常識と新しい理解が混乱してしまう。「熊本の地震拡大」をブログに書いてから、この混乱が気になっていた。

 マントルとプレートの関係は、馴染みがあるマグマとプレートの関係で説明したいが、そこまで短絡的に説明すると誤解を与えてもいけないので「マグマを含むマントル」と意識して説明することにする。
 ハワイは毎年8cm,日本に近づいている。ハワイの火山のマグマは「ホットスポット」と言って、マグマがプレート同士の衝突の摩擦でできるのではなく、プレート同士の衝突でできた割れ目からもっと深いところから上昇してくると考える方が理解しやすい。
 このハワイの移動のことはブログ「ハワイ諸島の誕生とプレートの移動」に詳しく説明されている。
 また、ブログ「火山のできる場所と地球の大構造」では、
      「プレート=地殻+最上部マントル」
と説明している。マントルの最上部が冷えて固まってプレートになると説明すれば誤解を与えなくて済みそうだ。断層はこのプレートの境界付近で大きな力が働き、その力が地表まで及んで動いた痕跡であり、地震の原因と言うよりは結果であり、原因はあくまでプレートを動かしているマントルだと説明する方が素人には理解しやすい。
 そこで、上記録画を教材として、大陸移動と地震と生物の進化について学ぶことにした。これはそのレポートである。

 2億5千万年前、超大陸によって地球に閉じ込められていたマントルの高温帯(ホットプルーム)が噴出してシベリアで火山大噴火(スーパープルーム)が発生した。この時期にあった超大陸「パンゲア」は約2億年前に分裂を開始したが、これは「パンゲア」の下に溜まった熱を「裂け目」を作ることによりマントルから地表へ吐き出すためと考えられ、この分裂によりマントルの低温帯(コールドプルーム)が下降する対流が生まれる。なお、「パンゲア」の分裂から現在までの大陸移動のシミュレーションも海洋研究開発機構から紹介されている。
 このスーパーブルームは1億年(上記録画:33分~)も続き、地球温暖化と酸素不足をもたらし、1億5千万年前には肺機能が進化した恐竜の時代となり、弱者であった我々の祖先は卵から胎生へと繁殖方法を進化させて生き延びた(上記録画:36分46秒~)。なお、今の時代の温暖化は(上記録画:1時間11分~)それより300倍も早いスピードで進んでいるとされている。

 インドプレートがアジアに衝突した頃の5千5百年前(上記録画:43分50秒~)には、高温のプルームが上昇して大陸をヨーロッパとグリーンランドに引き裂き、地表の近くに蓄積されていたメタンハイドレイトと接触して地球を温暖化に向かわせた。そして、3千3百年前(上記録画:46分35秒~)には大陸の分裂で孤立した南極ができ、海流の変化が地球の寒冷化と乾燥化に向かわせた。

 最近では過去200万年で最大級の噴火が、7万年~7万5千年前にスマトラ島にあるトバ火山であり、その影響で寒冷化が進んで約1万年前まで続いた氷河期(ヴェルム氷期)となる。急激な寒冷化となった3万年前、人類最古のショーヴェ洞窟壁画が残されたころネアンデルタール人が絶滅し、我々の祖先は約2万年前の最も寒冷な時期を経て、氷河期が終わった1万年前から農耕を始めることになる。

 百万年から千万年を単位で変動する地球にとって、人類誕生から1万年単位、農耕を始めてからは千年単位、歴史を語り始めてからは1年単位、最近では1日単位で考える我々が経験する地震は一瞬の出来事であり、生きている期間に何が起こるかは予知不能な世界である。地震がいつ来るかではなく、我々は必ず来る大地震にたいして被害を最も小さくする生き方を準備しておくしかない。

 今も大陸は移動していて5千万年以上もすれば、新たな超大陸『Amasia(アメイジア)』(2)が確実にできるとされている。1980年代から、マントル深部からキノコ状にわき上がってくるホット・プルーム、逆にマントル深部に落ち込むコールド・プルームというプルームの存在がわかってきた。これまでの「プレートテクトニクス」から全マントルの情報をもとにした「プルームテクトニクス」が組み立てられつつあるそうだ。しかもプレートは強い力が働く日本列島やインド北部からアジアにかけて、またアメリカの西海岸においても割れてブロックになっていることが明らかにされてきた。










 「NHKスペシャル 巨大災害 地震列島」(動画)

 ここまでがレポートです。世界の地震分布を見ても、地震国日本で原発を稼働させることは信じられないことであり、人類のために絶対に許せないことです!一体、誰のために稼働するのでしょうか?

 地震はなぜおこるか?
  クリックすると拡大
 世界の地震分布(東京大学地震研究所)

 なお、木星の衛星「イオ」にある火山が噴火(動画)しているが、熱源は地殻の下にある比較的浅い層で、木星の重力による歪める力が熱源を生んでいるそうだ。地球の公転や自転がマグマに及ぼす重力も我々が生きている時間では影響しなくても、千万年以上の単位で変動する地球の歴史では影響しているのかも知れない。
 木星の衛星イオのダイダロス火山、太陽系最大級の活動
 木星の衛星イオにマグマ層が存在
 「天空の果実」・衛星イオとその上空から見た木星

 また、地球大変動や宇宙に関して、今後の学習のために動画を紹介しておきたい。
 参考:地球大進化~46億年・人類への旅~ 第1集 生命の星 大衝突からの始まり
    地球大進化~46億年・人類への旅~ 第2集 全球凍結
    地球大進化~46億年・人類への旅~ 第3集 大海からの離脱
    地球大進化~46億年・人類への旅~ 第4集 大量絶滅
    地球大進化~46億年・人類への旅~ 第5集 大陸大分裂
    地球大進化~46億年・人類への旅~ 第6集 ヒト 果てしなき冒険者
 5億年前の地球。ゴンドワナ大陸のシミュレーション
 コズミックフロント「ファーストスター 宇宙の一番星」
 コズミック フロント「宇宙の古代都市 球状星団のミステリー
 コズミックフロント 宇宙の終わりに迫れ 宇宙に終わりはあるのか?

初稿 2016.4.30 更新 2019.9.2

熊本地震と原発、オリンピック、東京の懸念を無視するバカの壁

2016-04-26 20:31:23 | 自然と人為

 エリートとは常に日の当たるところで安眠したがるバカの壁。本人の自覚がなくても男尊女卑の体質が身に付き、「民主主義」を多数決で決めるという程度に知り、他者への思いは訓練によって得られることを知らない人には、転向とは日当たりを求めて態度を変える風見鶏。これを国の権力という日の当たるところでやられると国民はたまったもんじゃあない。そこから「人民としては生きられない国民」の悲劇が始まる。ここでは、「バカの壁」を読んでバカの壁と言っている訳ではない。日本をダメにしている「エリートの壁」、国民を犠牲にしても自分は日の当たる所に居たいと政府権力にしがみつく卑しいバカ連中の壁という意味で使っている。

 このバカの壁が明治以降日本をバカな戦争に向かわせ、国民も国がやる戦争に協力するしかなかった。今でもそうだ。原子力規制委員会は原子力規制ではなく、無理やり原発を稼働させるための許可を与える組織。巨大地震に対する備えが出来るはずもないのに、福島原発事故の問題を何一つ解決できていないのに、稼働するための科学的根拠とかやらを持ち出して政府の政策を守るバカな連中は、戦争を止められなかったバカと同じ構造。今や民放でもTBS「時事放談」(2026年4月24日)サンデーモーニング (2016.4.24)では、「熊本地震~まず原発稼働停止を」と言っている。

 サンデーモーニングのコメンテーター・涌井雅之氏は、
 『これから様々な地震が想定されるが、経験の体系化が出来ていない。政策の具体性に欠けている。つまり場当たり的です。一元的な政策が採られない限り、周到に準備し、大胆に行動する自然災害に対する原則ができない。災害救助に関する常設の部隊を置いて、病院船を含めた緊急災害対応の船を造って、様々な事態に対応できるようになれば、日本は世界の災害に対してある種のリーダーシップを取ることができる。』と具体的に提言している。

 自衛隊を災害救助に関する常設の部隊とし、駆逐艦を廃止して病院船にすれば、日本の造船技術も活かせるし、お金の無駄遣いもしなくて財政上も助かる。
 ムヒカ氏が北朝鮮の軍事費を「ジャガイモを植えるために使え」(動画:4分23秒~)と言ったのと同じ発想をすれば、国民の命も守れるし、世界平和にも貢献できる。

 「NHKスペシャル 巨大災害 地震列島」(動画)は優れた取材で、熊本地震の理解に日本の若い研究者は大きな貢献をしていると思うが、エリート集団の報道部は籾井会長の下で戦時中の大本営発表機関のように、政府の都合の悪い地震と原発との関係については全く触れようとしない。

 しかし映像は言葉で誤魔化せない。川内原発は止めない!〜田中委員長「想定外じゃありません。 想定内で判断しています、全て」と言う目が昼寝か冬眠を邪魔された穴熊のようにうつろで泳いでいる。
 地震には個人で準備しておけと言われ、福島の原発事故では沖縄に逃げた人もいたが、国の責任で国民を守らねば、東京一極集中の被害は個人では防ぎようがない。東京オリンピックで健康よりお金を大事にしている場合でもない。
 我々が生きている時間と距離を越えた巨大地震の可能性への対応を真剣に考えようともしないで、政府は原発を売りまくり、東京一極集中の危険性を一考だにしないで、国民のために何をしているのか。

 原発の問題は地震による事故の問題だけではない。原発を稼働させることは、近い将来における汚染核物質の最終処理は不能で何万年という次の世代にその負担を押し付けることになる。チェルノブイリ原発事故のように、何らかの事故等により人類が地球に住めなくなる可能性もある。科学的な処理技術の開発を待てと言うが、危険な原発稼働を停止して待つよりほかはなかろう。
 今日はチェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)から30年になる。
BS世界のドキュメンタリー「チェルノブイリ~消せない“負の遺産”~」は、事故当時の映像や廃炉に向けてのドイツ原発を紹介しているので、ここで紹介しておきたい。
チェルノブイリ原発事故とドイツ原発の廃炉作業
原発の町プリピャチとキエフの病院、原発廃炉作業・核汚染廃棄物の地下処理の疑問
石棺チェルノブイリ原発の廃炉作業と巨大セルター~終わらない廃炉
制作(イギリス/ドイツ) スタッフ

 動画:チェルノブイリ事故30年(ドイツZDF)ワールドニュース(2016年4月26日)
    チェルノブイリ事故30年(ロシアTV)ワールドニュース(2016年4月26日)
    チェルノブイリ原発事故からあすで30年に(NHKニュース)
 参考:チェルノブイリ原発事故とは - チェルノブイリ医療支援ネットワーク
    悲劇から30年 チェルノブイリの実相:日本経済新聞
    汚染された村、時止まり森に チェルノブイリ事故30年

 地震国の日本では汚染核物質の最終処理も出来ないし、大震災で日本は原発とともに沈没するかも知れない。その時、今のバカの壁たちはもういないだろう。そうして誰も責任を取らない日本が国民の不安の中で続いていく。何時になったら何を芯にして転向するのか、出来るのか?
 サンデーモーニング "風をよむ" (2016/4/24)では「ラテンアメリカの混迷」でホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領の話を紹介していた。今こそ真剣に、ムヒカ氏の「国民と政治が一体になって幸せを求めなさい」という言葉を学ぶ時だと思う。

初稿 2016.4.26 追加更新 2016.4.27 








一人一人の「自由」と「助け合う社会」に責任を持つ国が必要

2016-04-23 20:20:37 | 自然と人為

 『人民の記憶がね、私にとっては国民の記憶より重大なんだ。』 アメリカとの戦争が始まり、日本の国を見捨てることができなかった鶴見俊輔は負けると知りながらアメリカから帰国し、国民として戦争に参加した。幸運にも人を殺せという命令は彼には下らななかったが、そのたまたまの幸運で人を殺さなくて済んだ戦争の記憶が、その後の彼の生き方に原点を与えた。国民として戦争に参加させられたが、国から独立した人民として戦争を憎んだ記憶を大切にしたのだと思う。

 ここまで明確に「人民」という言葉を、我々は普通には使えない。しかし、「国民主権」とは思いながら「国民」という言葉には、「国家主権」という意味も含まれ、主権が国民ではなく国家にあるような気にさせられ、それを煽るバカな政治家が今も多い。

<知の巨人たち>第2回 ひとびとの哲学を見つめて~鶴見俊輔と「思想の科学」
 <知の巨人たち> 第2回 鶴見俊輔と「思想の科学」(動画)前編 後編
                          
 敗戦の意味を考える~人民の記憶、貝殻の人間(戦争推進への協力)(動画)
 『日本で戦争に巻き込まれない理性を保っている人がいる。戦争に反対する立場をもっているということで精一杯、丸山眞男、武谷三男、渡部慧、アメリカでの付き合いのあった都留重人、武田清子、それに姉の鶴見和子と私の7人、それが「思想の科学」のオリジンだね。』
                          
 転向 自分の芯になるものは何か 普通の人が哲学者になる(動画)
 『転向の事実を明らかに認め、その道筋を明らかに認めるとき、転向体験はわれらにとっての生きた遺産となる。』
                          
 安保闘争 人民の記憶が動いた 声なき声(動画)
 『大東亜戦争の時の大臣(岸信介)がもう一遍でてきて、総理大臣になって強硬採決をやった時、人民の記憶が一部活性化して百万人の抗議デモが起こった。人民の記憶が動いたんだ。』
                          
 右翼の殺人 中央公論社:「思想の科学」天皇制特集号の廃棄 べ平連(動画)
 『小田実のビラ「八百屋さんも花屋さんも」という普通の人間にある自分も殺されたくないし、人を殺したくもない。』から「声なき声の会」の延長線上に「べ平連」を立ち上げ。
                          
 ベ平連 脱走兵 法より守るべきこと 保育園をつくる 花岡事件(動画)
 脱走兵を支援する鶴見さんの脳裏には戦時中の重い記憶があった。『捕虜にした民間人を殺せという命令が、隣の部屋の軍属に下った。運が私を助けた。自分に命令が下っていたら、自分がどうしたかっていうのは戦中から戦争が終わってからも自分の問題になっているんだ。』
                          
 花岡事件~事実を残す・絶望と伝言 人々の哲学 「思想の科学」休刊 
 『真理は間違いから逆算される。こういう間違いがある、こういう間違いをした。今もこういう間違いはある。その間違いの道をゆっくり確認すれば、それががある方向を示している。それが真理の方向だ。消極的能力ではあるけど、それが未来だと思いますね。』

 EUで実施されている国家間の交流の自由(シェンゲン圏)の根拠として、人々が国から解放された自由な生活を求めるノマド(遊牧民族=定住しない人々)になる未来をジャック・アタリは予言している。
 参考:BS1スペシャル「ジャック・アタリが語る 混迷ヨーロッパはどうなるのか?」
    「民主主義には長期的視点と移動の自由が不可欠」(動画)
    「定住者とノマド」の長い戦い(動画)
    「ノマドと自己中心的な利他主義」(動画)
    「日本と中国の真の平和を追求し、高齢化社会から抜け出るべきだ」(動画)

 今や、国の枠を外れた自由な生き方が求められている時代だ。ただ、人は一人では生きられない。一人一人の「自由」と共に「助け合う社会」が必要である。「助け合う社会」に責任を持つのが国の仕事だ。「自由」で「便利」な社会になるのはいいが、イクメンどころか核家族化で女性にも子育ての習慣と知識がなくなってきている。子育て、教育、病気や障害、老後の世話は「助け合う」仕事として重要な国の責任だ。国民の命を守るため、熊本震災のような災害時には自衛隊を緊急に総動員して救助するのも国の大きな仕事だ。

 何を考えようが人皆自由ではあるが、政治は皆を代表して国を動かすこと。自分の考えで国民を支配することではない。それは、戦時中に国民という名の人民を戦争に駆り立てたのと同じ精神構造であり、政治構造だ。
 一人一人の「自由」と「助け合う国」に関心も責任も感じない者は政治家を去れ。お金が好きなら商売に励め。相手を倒したいならボクシングをやれ。もっとも商売もスポーツも自己の鍛錬がなければ、名誉ある成功は手に入らないだろうが。危ないことだが2代、3代と続いて政治家が家業となった日本では、「他者への愛」を知らない議員が増えている。 
 
 明後日、(4月25日の)月曜日に揺れが続く熊本地震を「激甚災害指定」に閣議決定するのだそうだ。遅すぎる! アメリカ軍のオスプレイによる救助依頼よりも、災害救助、人命救助のためなら自衛隊を急いで総動員するのは国として当然の責任だ。この時、現場での指揮権は首相でもなく、防衛大臣でもなく、現場に責任を持つ県知事にすべきだ。「安倍首相が被災者より真っ先に「わが軍」自衛隊を激励!」だそうだが、この人、尋常ではない! 震災対応に真剣ではなく、被害者よりも自分の部下を激励するのが先だなんて。
 国民を救うより自己満足が先で、「自民党“震災政治利用”の本音を憲法学者・小林節が暴露!」に示されているように、選挙対策やら何やらで、自分たちに有利に働くようにしか考えない安倍政権の超利己的、ケツの穴が小さくて卑し過ぎる、しかも支配欲丸出しの言動は国民として許せない。

 人間の人間に対する差別や支配や暴力が人類の平和と幸せを奪っている。 「アベノミクス」の目指すトリクルダウン(動画あり)の様に平気で人民を「差別」し、自衛隊を仮想敵国に対する抑止力として「暴力」に使い、国民に戦えという「支配」の発想は、時代の先を見ていない超利己的な言動だ。

 安倍政権の言論に対する支配も恐ろしい。報道の自由度が72位に安倍政権で低下した。日本の表現の自由の状況を調査した、国連人権理事会のデビッド・ケイさんが来日したが、菅官房長官や高市総務大臣に会うことは出来なかった。「NHK会長が国民に不安を与えるな」と指示して地震や原発等の真実を報道しないのも、報道の自由度が民主党政権下の2010年には11位、自民党政権下の2015年に61位、2016年には72位に低下したのも、国民の判断の自由を奪うものであり許せない。

 あまりりにも利己的で支配欲旺盛な今の政権に、国民は何故怒らないのか!? いつまで誤魔化され続けるのか? ここでもう一度“欧州の頭脳”ジャック・アタリが日本に期待している「利他主義」の話を紹介しておきたい。

 『日本人が持つ「利他主義」のイデオロギーが、今後グローバルにおいて大きなリーダーシップになっていくと思う。これは、私が予言した世界秩序の第五段階における「超民主主義」のイデオロギーと同じもの。日本の学者や政治家がもっとそうしたイデオロギーを発信し、日本の社会が利他主義のプロパガンダになってほしいと願っている』

 日本の社会が持っていると期待されている「利他主義」は、一人一人の「自由」を守るだけでなく、「助け合う社会」・国にとっても基本となる資質だ。しかも、動物は基本的には「利己的」(動画)であり、「利他的な人間」となるためには訓練が必要(動画)なことも紹介してきた。
 このブログ「利己的であるから利他的にもなれる~他者尊重のための訓練」で紹介した動物行動学者の故日高敏隆先生の言葉をもう一度引用させていただく。

 『動物はいろんな生き方をしている。例えば、アゲハチョウは紫外線で見ている。人間とは見えている世界が違う。人間の主観だけを客観だと思うことは間違い。人間は自然を支配しているが、自然も反作用で反応する。支配の仕方を考えないといけない。人間がどういう動物か真剣に考える時期ではないか、そうしないといつまでも環境破壊が続くし、戦争も紛争も何時になっても絶えないのではないか。』

初稿 2016.4.23 更新 2016.4.24

どうして、日本という国は馬鹿な支配者を生むのだろう?

2016-04-22 15:40:10 | 自然と人為

 『自分にとっては敗戦というのは何ていいますか、ショックでした。なんとくだらない戦争をする、そしてくだらないことをいろいろしてきた国に生まれたんだろうと。一体こういうばかなことをやる国というのは何だろう。そういうことが日本とは何か、日本人とは何だということの最初の疑問になったわけであります。』
 司馬遼太郎は敗戦後そう思ったと、日本人は何をめざしてきたのか <知の巨人たち> 第4回 「二十二歳の自分への手紙 ~司馬遼太郎~」で語っている。 
 戦後史証言プロジェクト 第4回 司馬遼太郎 前編
 戦後史証言プロジェクト 第4回 司馬遼太郎 後編

 平成3年(1991年)文化功労者に選出された司馬遼太郎は亡くなる5年前、日本を代表する知識人となっていた。記者会見でなかなか質問が出ないので、次のように語りだした。

 『どうして日本人はこんなにばかになったんだろうというのは22歳の時の感想でした。昔は違ったろうと、そこから私の小説は始まるんですが、昔は違ったろうというようなことを、もう私は本当に22歳の自分へ書いている手紙でした。私の作品は「竜馬がゆく」もそうでしたし、「坂の上の雲」もそうでした。その後もそうでした。日本人とは何ぞやがテーマでした。』

 そして、今も、この国は安倍政権のような馬鹿な支配者を生むのだろう、と私は思っている。司馬遼太郎の昔は違っただろうという期待が、明治維新から日露戦争までの国民の底力を書かせた。彼は学者ではないから夢を書いた。しかし、どこかに小説には書けなかった危うい日本人を感じていたのではなかろうか。小説をテレビドラマ化や映画化することを、軍国主義を煽りたくないと頑なに拒んだという。

 我々は日本を文明開化した明治維新が日本の歴史の始まりのように高く評価し、勤皇の志士、坂本龍馬や高杉晋作が大好きだ。しかし、戦争をしなかった徳川時代270年に対し、明治維新以降、日本が戦争への馬鹿な道を走り続けた原因は何か?そのことが語られることはあまりない。司馬遼太郎はそのことを考え続けたが、ノモンハン事件を小説にできなく(動画)て、小説を書く筆を断った。

 日本の歴史において、この国の形ができた古墳時代に中国、朝鮮から渡って来た渡来人の業績が消されている。偉大な縄文文化についても多くは語られない。平安時代から鎌倉時代にかけて、一所懸命に土地を守った開拓農民から生まれた武士(動画)のことも公には語られていない。

 そして今でも、中国や朝鮮との交流の歴史(動画)よりも領土問題を教科書に書かせようとする安倍政権がある。どうも日本の政治家は超利己的であり、史実を明らかにするよりも日本が世界に誇れる「神の国」であるという神話で、この国の建国を語りたいようだ。国民も世界に誇れる国だと思うと謙虚さを失う。そこにはバラ色の明治維新を誇るのと同じ体質を感じる。

 その体質とは一方で尊皇攘夷を叫びながら、琉球処分(琉球併合)江華島事件日清戦争から韓国併合に見られるような自己中心的な利己主義が政治と軍部の世界で大手を振って歩いたことであり、下級武士から日本陸軍・軍閥の父と言われるまでに成り上がった山縣有朋を国民のためにした仕事ではなく、彼の別荘、「椿山荘」「無鄰菴」「古稀庵」の3つの庭園を築庭造園に高い見識と手腕をもち築庭構想の巧みな名手と評価する国民の体質である。

  
              北海道5区衆院選補選 (2016年4月)
 どちらが国民を守る政治家か一目瞭然だと思う。自己主張と利己的言動とは違う。政治家を選ぶ国民と政治家になりたい者の体質で政治は変わる。ウルグアイのムヒカ前大統領のような「他者を愛する」政治家を日本は生むことが出来るであろうか?

 私も司馬遼太郎に刺激され、いろいろ疑問に思うことがあり、このブログに「日本人の清潔さと真面目さ、公の精神~我々は何処から来たのか?」を書いたことがある。司馬遼太郎の若い世代への遺書とも言える「21世紀に生きる君たちへ」(動画)に書かれているように、他者への思いは訓練が必要である。我々も政治家も自己主張と利己的言動を区別できず、利己的な成果を自己主張の成果と誇り、利他的であることへの訓練が必要なことさえ感じていないことが、馬鹿な支配者を生むのではなかろうか。
 参考:
 「この葵の御紋(憲法)が目に入らぬか!」と悪代官(安倍首相)を追い詰める黄門様は誰?

 歴史ヒストリアム「はるかなる琉球王国~南の島の失われた記憶」(動画)
 
初稿 2016.4.22


ブログ構成と目次

2016-04-20 21:50:22 | 自然と人為
記事一覧

 自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。
 私たちはいつ死ぬか分からないけど、いつか必ず死して自然に帰る。いろいろ考え方はあるけれど、私はこのブログで「それぞれの問題が自然との関係、他者との関係において人類に幸福をもたらすのか?」を考え続けたい。

プロフィール:吾輩は犬が大好きだ!
はじめに~自然(しぜん・じねん)と人為
1.命の輝き伝える人々 「森の哲学者メイナク族」(動画)
2.里山の放牧  富士山岡村牧場(2)(3)(動画1)(動画2)(動画3)
3.旧ブログ「自然とデザイン」  
4.モデルを考える 目的を考える 制約(希求水準)を考える
  ブログ「問題設定と論理的な解を考える」---- Excelのソルバーを利用しよう!
5.牛豚と鬼「命と自由を守る民間ネット」
  宮崎口蹄疫事件から5年~誰も責任をとらない中空構造 (7)
6.『里山と牛研究会』 原点『自然とデザイン』(「里山と牛」研究会資料
  「自然とデザイン」論説   ふるさと牧場 山本喜行 (動画)
7.畜産システム研究所 「BSE問題について考える」論説 
  斉藤晶牧場に学ぶ 「牛が拓いた斉藤牧場」(動画)
  ブログ「牛が拓いた斉藤晶牧場」 ブログ「大谷山里山牧場」
  斉藤晶牧場とティク・ナット・ハンの「相互依存と心身一如」の世界
  自然とお金と個人と組織~対談:自然に学ぶ 斉藤晶&木村秋則
  再録 私の専門は生きることだ
  牛は資源を循環し、人をつなぐ (旧版)
  我々は一人では生きていけない~大切にしたい自他同一の感性
  私の訪問した”農の哲学者”アーミッシュの村
  地方をどう創生するのか~アベノミクスと日本経済の未来  (1) (2) (3)
  システムからデザインへ  設計科学の展開の場としての畜産システム研究会
  どのような畜産のデザインを描くのか  (1)(2)(3)(4)

8.ウルグアイ・ムヒカ前大統領来日~その言動と他者への愛
  他者への愛~ホセ・ムヒカ ウルグアイ前大統領の言葉と行動
    (1)(2)(3)(4)

9.地域の活動「大谷山里山牧場」
 1. ブログ「大谷山里山牧場」
 2. ブログ「自然と共同体」
 3. ブログ「シルバー世代が作った牧場」
 4. (録画)シルバー世代が作った牧場
 5. ブログ「福山まちづくり大学 大谷山里山牧場」
 6. (録画)福山まちづくり大学 大谷山里山牧場
 7. ブログ「広島県知事チャレンジ・トーク」
 8. (録画)地域の宝 大谷山里山牧場
 9. ブログ「共感(道徳)と経済」
10. コストダウンとコストゼロの違い~固定観念が生きる世界を狭くする
 参考:ニッポンの里山 ふるさとの絶景に出会う旅
    「牛が拓いた斉藤牧場(動画)」 YouTube
    「森の哲学者メイナク族(動画) 」 YouTube

10.目次 (2010年9月29日から2016年4月20日)

更新 2016.4.20 更新 2019.2.27