自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

システムに支配されないで、システムを共創しよう

2017-02-27 17:56:33 | 自然と人為

      絵手紙作家 原年永
 「お金は知識や経験よりも重要ですか? 所有することは満足感を得る手段ですか? そもそも我々は本当に資産を所有することなどできるのですか? それは単に、つかの間、預かっているだけに過ぎないのでは?」

(スティーヴン・ホーキング博士)

 人々の価値観が“富”に偏重することで、持たざる者と持つ者の分断を生む。その閉塞的な文明は崩壊へ向かうとホーキングは警告している。
      
 一方、我々の祖先は1万6千年前から3千年前まで1万3千年も続いた世界で最も古く、しかも長く続いた縄文文明を築いた。
 人々は様々な環境に生まれ、様々な考え方をして生きているが、我々が自然の中で生かされていることだけは、古代だけでなく現代でも誰も否定できない。どんなに意見が違おうとも、自然と生きるシステムを共創することが大切なことは誰もが認めることであろう。
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 人間は誰しも老いると身体は不自由になるし、いつか必ず死が待っている。ホーキング博士(2)は21才でALSに罹患し余命2、3年と宣告されて絶望したが、彼を理解してくれる恋人から生きる気力を与えられ、「どうせ死ぬのなら素晴らしい事をおこなって死ぬほうが良い」と思うようになったと言う。権力も財力もうたかたの夢。しかし、仕事の名声は後世に残る。死を意識することが良い仕事をするエネルギーとなり、四肢が不自由だけでなく声帯摘出の身体で、量子論と宇宙(一般相対性理論)をつなぐ輝かしい業績を上げ、今もそれを一つにする神の数式を求め続けて生きている。    
 NHKスペシャル 神の数式 完全版:「とね日記」感想
  第1回 「この世は何からできているのか ~天才たちの100年の苦闘~」
   第2回 「宇宙はどこから来たのか ~最後の難問に挑む天才たち~」
   第3回 「宇宙はなぜ始まったのか ~残された“最後の難問”~」
   第4回 「異次元宇宙は存在するか ~超弦理論“革命”~」
 宇宙創生の瞬間  【ドキュメンタリー】宇宙誕生の秘密を握るブラックホールの謎


 多くの人が土を離れサラリーマンとなった現代においては、お金が必要となり、他者と助け合い、他者を尊重し、「もったいない」と物を大切にする気持ちも失い、人々の心はお金で買える欲望と闘争心で満たされるようになってしまった。欲望や闘争は不老長寿を求める人間の性と同じ。ホーキング博士のように死を意識して仕事をすると、欲望や闘争よりも真実を知りたい、人の為に仕事をしたいと思うようになるのではなかろうか。お金のない縄文時代、我々の祖先は欲望も闘争もなく、国をつくる支配欲も戦争もない時代を1万3千年も続けてきた。世界で文明の発生した今から5千年から7千年前に、稲作等で貯蔵と支配が生まれ戦争と難民も生まれた。それは現代も続いている。
 NHKスペシャル 日本人はるかな旅
  第1集 「マンモスハンターシベリアからの旅立ち」---
  第2集 「巨大噴火に消えた黒潮の民」 .---
  第3週 海が育てた森の王国---
  第4週 イネ 知られざる1万年の旅---
  第5集 そして”日本人”が生まれた---
  サイエンス 核DNAが解き明かす縄文人
  【ディスカバリー】 古代日本の英知


 現代は分業化の時代だ。その分業を繋いでシステムとしている。システムを創るにはシステムの要素を繋ぐ考え方とお金が必要だが、お金は潤滑油であって目的ではない。縄文時代も今も、我々は自然の中で生かされていることに違いはない。国をつくらず戦争もしなかった縄文時代のように、今も地方で心豊かに生きていける方法はあるはずだ。
 個、集団、国と自然の関係~内山節とスノーデン  自然と人間の共生を求めて
 内山節 森を語る 第二回 森のにない手たち
 「地域とは何か」内山節
 内山 節「経済のゆがみ、社会のゆがみを正していく時代」
 内山 節さん 哲学者 日本の新しい働き方 第1章(2)


 一つの夢を語ろう。平和に暮らしていた里山を荒らさないで、牛やヤギやヒツジを放牧して里山の恵みを利用して生きていく方法だ。まずは、それぞれの動物をどう利用するか、それをどう管理するか、生産から販売までのシステムをどうつくるかを考えよう。それは行政だけの問題でもないし、全てを個人が責任を持つ経営の問題でもない。地域の生活を守る協力関係のシステムをどう作るかの問題だ。

 牛の例でもう少し具体的に考えて見よう。乳牛は国内で牛乳生産を行うために必要だ。酪農を維持するためには、牛乳生産だけでなく和牛を交配したF1生産でおいしい赤身肉を生産して乳牛の肉利用の付加価値を高めることが大切だ。F1雌牛は放牧して里山資源を利用しながら子牛生産に利用し、受胎しなくなったら赤身肉と内臓の一級品として利用できる。F1生産とF1雌牛に交配する種雄牛は、人工授精が常識となるほど普及し、放牧地も狭い日本では、希望に応じて最優秀の組み合わせを選択でき、世界最先端のハイブリッド生産が可能だ。
 問題はそのシステムを誰が構築するのかという点だ。誰にでもできるが、ハイブリッド生産システムの経験と実績を持つ「畜産システム研究所」に期待している。

 地域の生活は生産だけではなく、教育から福祉や交流等行政が関係する部分も多い。サラリーマンとしてシステムに支配されて生きるだけではなく、年齢によって地域との関わり方は変わるであろうが、我々はどこにいても自然との関わりで生きているのであり、「何かに向かおうとするとき、絶対に出来ると思って取り組みます」という気力で、自然と生きるシステムを共創しようではないか。
 牛は資源を循環し、人をつなぐ 大谷山里山牧場
 「牛が笑っている牧場」富士山岡村牧場が、朝日新聞に紹介されました。
 自然と生きるシステムの共創~ハイブリッドデザイン


初稿 2017.2.27 更新 2018.1.23

「オルタナティブ・ファクト」と「ポスト真実」の時代をどう生きるか。まずは100年の歴史に学ぼう。

2017-02-16 21:12:48 | 自然と人為

 物事は平面図では存在しない。地図のように平面図で存在したとしても、東京や京都や広島のように見たい場所で平面図は全く異なる。実際には物事は3次元や時間も関係した4次元なので、見る視点によっては同じ場所でも見え方が異なる。ところが、対象そのものが事実にしろ真実にしろオルタナティブで多様にあるとしたら、我々は反発し合って理解し合うことはできないか、自由に生きるよりは与えられた事象に熱狂する集団になってしまうであろう。

 権力を行使できる立場にいる人が利他的に生きるか利己的に生きるかは、その国に生きる人々の生活に大きな影響を与える。
 他者への愛に生き給料の10%で生活をしたウルグアイ・ムヒカ前大統領(1)(2)がいる一方で、政府専用機を乗り回してゴルフを楽しみ、自分たちのために税金や制度を考える利己的なトランプ大統領や安倍首相もいる。もちろん平和のためと言って戦争をするように、自分たちのためではなく国のためといつも宣言するが・・・。

 権力者にとって都合の悪い事実があると、もう一つの事実「オルタナ(ティブ)ファクト」(2)があると嘘をつくのは、国民のための政治ではなく国民を支配する政治に熱心な証拠だ。そのようなアメリカのトランプ政治は「アメリカ・ファースト」ではなく、「トランプ・ファースト」であるが、その一方で安倍首相は、スポーツの秋と言われる日本で真夏に開催するオリンピックを誘致するために原発事故で海は汚染されていないと言い、その一方では「共謀罪」を制定しなければ「東京五輪は開けない」と自分に都合の良い嘘を言う。

 好きな情報しか関心を向けないのは老人だと思っていたら、自分たちの思いを嘘でも拡散させたいとネットに広がる「フェイク・ニュース」もあるそうだ。このような事実に正直になれない「ポスト真実」(2)と言われる分断化された時代は我々をどこに誘導するのであろうか。
 アメリカにはまだ「米政府倫理局、コンウェー大統領顧問の懲戒検討を勧告」に示されるように行政に誠実さが残っている。しかし、公共放送であるNHKはかつての大本営発表のように、真実を追求するよりは政府をヨイショすることに熱心だ。また、公共放送で放送されたものは受信料を払っていれば何度でも観る権利があり、その方法も簡単で番組予定表と録画を組み合わせて公開し、受信料を払っているかどうか確認すれば良いだけで技術的には容易だ。

 最近、著作権を理由にYoutubeに公開されていた動画がことごとく削除されているが、著作権の問題よりも情報公開の方が社会的には大切な問題だと思う。日本のジャーナリズムは「危ない」と言われているが、まずは我々自身が過去100年の世界の動きから学ぶことが必要であろう。その資料をここに準備しておいた。NHKオンデマンドで有料で観る方法は受信料は無視されているし、すべての番組は登録されていない。それでも下記の録画が削除されたら、裁判を含めて次の方法を考えるしかない。

NHKスペシャル | 新・映像の世紀
第1集 百年の悲劇はここから始まった(予告): (動画)
第2集 グレートファミリー 新たな支配者(予告): (動画)感想
第3集 時代は独裁者を求めた(予告)(2): (動画)
第4集 世界は秘密と嘘(うそ)に覆われた(予告): (動画)
第5集 若者の反乱が世界に連鎖した(予告): 感想・動画
第6集 あなたのワンカットが 世界を変える(予告): (動画)

激動の世界 テロと難民~EU共同体の分断~(予告): (動画)感想
激動の世界 大国復活の野望 ~ロシア・プーチンの賭け(予告): (動画)感想
激動の世界 揺れる“超大国”~アメリカはどこへ(予告)(動画) 感想

BS1スペシャル「欲望の資本主義2017 ルールが変わる時: 前編後編
エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く (動画)
ジャック・アタリが語る 混迷ヨーロッパはどうなるのか?: (動画)

「ポスト真実」時代を映す『すべての政府は嘘をつく』 
映画『すべての政府は嘘をつく』予告編
映画『すべての政府は嘘をつく』公式サイト
すべての政府はウソをつく 前編  2017.3.2(木)17:00~
すべての政府はウソをつく 後編  2017.3.3(金)17:00~
すべての政府は嘘をつく : 作品情報 - 映画.com
オリバー・ストーン製作総指揮『すべての政府は嘘をつく』が緊急公開
ローリングストーン日本版のドナルド・トランプ記事まとめ

初稿 2017.2.16 更新 2017.6.3 動画アドレス修正