自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

日本の未来~“生きる価値”を大切にする経済と政治を考える

2019-04-27 12:10:33 | 自然と人為

 経済は儲け主義、政治はアメリカに支配された権力争いで、いずれも自立した個人の仕事とは思えず、あまり好きではなかった。むしろ政治には拒絶反応さえあった。しかし、大西つねき氏の動画と出会ってから、私のブログ「自然とデザイン」に『政治も経済も「情報」である』をシリーズにして書きながら、経済と政治について考えてきた。大西さんの話には自立した個人と生活の質についてワクワクしながら考える純粋さがある。そこで、大西つねき氏の話を一人でも多くの方に聞いてもらいたいと、私の住んでいる地域にある「福山市西部市民センターホール(地図)」で、平成最後の日曜日、4月28日に講演をお願いしている。経済については全くの無知であったので、今、猛勉強中であるが、講演を契機に私が考えてきた『政治も経済も「情報」である』をここにまとめて紹介させていただく。
 なお、下図は、当日、会場で配布する予定の資料ですが、このブログでは参考資料も紹介できますので、ここに紹介しておきます。ただし、これは大西つねき氏の動画を私なりに解釈している内容ですので、当日の講演内容と同じものではありません。講演参加は予約不要ですので、できるだけ多くの皆様方にご参加いただき、講演を聞いて、皆様方一人一人でお考え下さいますようにお願いいたします。
図をクリックすると拡大します。

 私が大西つねき氏から学んだ「現代の政治・経済のあり方」は、自分自身が自立した個人であるかを問う哲学の問題から、“権力や強者を求める”現在の政治・経済から“生きる価値を大切にする”政治・経済を実践的に追及する未来への夢を与えてくれた。ことに物々交換から貨幣を媒体にした現在の市場において、お金の発行が「生活の価値」を高めることに使われているのか?お金が「生活の価値」を向上するためではなく、「生活の格差」を拡大させる媒体となっているのではないでしょうか?本来は「生活の価値」を向上させるために発行されるお金が暴走してしまうのを止めるには、「お金の発行量」=「生活の価値の量」とし、我々一人ひとりの価値観を見つめ直すことから始めなければいけないのではないでしょうか?      --- 三谷克之輔 ---

参考:大西つねきの週刊動画コラムvol.9:お金の発行の仕組みの本質(3:43-13:03)

 30年間変わらない大卒初任給

---マネーストック(M2) ---国債残高(政府借金) ---GDP(国内総生産) ---銀行貸出残高
大西つねきの週刊動画コラムvol.63:我々自身が変わらなければいけない(14:07-15:29)


 マネーストック(2)とは、従来マネーサプライと呼べれていたもので、金融部門から経済全体に供給されている「通貨」の総量のことで、通貨残高ともいう。小泉内閣のもと2005年に郵政民営化法が成立し、2007年から郵便公社は郵便、保険、郵貯、孫口の4つの株式会社に分割された。これに伴い、「マネーサプライ統計」については、2008年6月9日公表分(2008年5月速報計数)から、内容の見直しを行うとともに統計名称を「マネーストック統計」に変更された。マネーストック統計には、通貨の範囲に応じてM1、M2、M3、広義流動性の4つの指標があるが、最大の変更点は、M1の対象金融機関が「ゆうちょ銀行」などのすべての預金取り扱い金融機関に拡張されたことだが、統計データの連続性を重視してゆうちょ銀行等(※2)を除外した日本銀行や国内銀行等(※1)のM2が利用されることが多い。
 マネーストック:M1=※1+※2(定期預金等除く),M2=※1,M3=※1+※2(定期預金等含む)
   ※1 日本銀行、国内銀行(除くゆうちょ銀)、外国銀行在日支店、信用金庫・信金中金、
      農林中央金庫、商工組合中央金庫
   ※2 ゆうちょ銀行、農協・信農連、漁協・信魚連、労金・労金連、信用組合・全信組連


 「お金は現金である」という常識で生きてきたが、今や電子情報の時代になった。日本は貿易と海外資産(証券投資と直接投資)により経常的に得られる所得は世界一と大きい。しかし、政府としては大赤字で、消費税増税の必要ばかり強調し、ドルで蓄積された黒字の使い方を考えていない。しかも経済は「お金の量=価値の量」で成立することの意味を政府は全く考えていない。「一人ひとりの人間の尊厳が守られ、魂の自立が支えられ、すべての人々が市民的権利を最大限に享受できる社会(宇沢弘文・動画)」、即ち「生きる価値」と「自立した個人」を尊重しない経済と政治は破綻する。
 参考:エンデの遺言 ~根源からお金を問う~(動画)
     耳をすませば「経済学者・宇沢弘文と俳優・菅原文太」(動画)
     27年連続「世界一のお金持ち国家」の意味(動画)
 対外資産統計
    日本は世界最大の金持ち国!? 政府が赤字でも国が豊かな理由
    第14話・なぜ日本は強いのか? 黒字体質その1・恒常的な貿易黒字
    第15話・なぜ日本は強いのか? 黒字体質その2・有望な第一次所得収支
    第16話・なぜ日本は強いのか? 黒字体質その3・やたらと現ナマ持ってる国
    宇沢弘文「経済学の考え方」 宇沢弘文「経済学の考え方」を読む
    宇沢弘文・内橋 克人 「始まっている未来」新しい経済学は可能か

政治も経済も「情報」である①経世済民
 農学は生物学に根拠を持つ現場の科学だが、現場の研究とは、現場の常識に疑問を持つことで生まれる。 経世済民(2)という言葉は「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」の意味であり、「政治」と「経済」は分離されていない。政治学も経済学も現場の問題を研究する学問であり、いずれも民を救うためにあるが、机上の学問として限定した問題を求めて詰めてゆくと、現場から離れて益々理解できなくなる。農学も政治学も経済学も、もっと現場から学び、現場に疑問を持つことから始める必要があろう。

政治も経済も「情報」である②経済について大西先生から学ぶ
 経済はお金が循環することにより繁栄する。だから消費税により、民間のお金の循環の一部を政府が吸い上げるのはおかしい、そう素朴に思っていたら、大西つねき氏が、消費税(動画)お金の発行のしくみ(動画)を、きちっと説明していただいた。
 お金よりも「自然と人間」を大切にする里山資本主義(2)が見直される時代が来ている。また、NHK番組「ヒューマン~なぜ人間になれたのか」は、人間が生まれた歴史を興味深く教えてくれる。その中で第4集「そしてお金が生まれた」(動画)から、お金のことを考えると面白い。

政治も経済も「情報」である③誰も否定できない前提
 人それぞれの考え方や生き方はあるが、人の集団がバラバラに生きているわけでもない。ある考え方で集団ができるとしても、その考え方には科学的真理のように、誰にも否定できない前提が必要である。
 ① 人間は地球に生きる生物の一員であること
 ② 人間の尊厳は不可侵であること
 ③ 経済は「お金の量=価値の量」で成立すること
この3点を、個人でも集団でも考える前提とし、世界の常識とする必要がある。

政治も経済も「情報」である④人間=動物+道具+情報
 人間は動物+道具ではなく、動物+道具+情報である。しかも道具と情報には誰も否定できない前提がある。その前提は人間として生きる3条件で、③誰も否定できない前提で説明した。人間は個人でも集団でも自由に生きる権利があると思っている人も、この前提を無視すると狂暴な動物に成り下がる。例えば、憲法は日本の社会のありようを決めている。象徴天皇=国民の一人一人の幸福を本気で願う。それが象徴天皇の仕事。経済活動において会社の社長は社員、政治において首相は国民の一人一人の幸福を、天皇のように本気で願っているか?

政治も経済も「情報」である⑤敗戦と新憲法
 日本国憲法は「戦争放棄」を宣言した国際的な責任を持つ。政治や経済は憲法を大切にしているだろうか。
 『映画 日本国憲法』予告編(動画)  2分34秒 必見!!
  ジャン・ユンカーマン(John Junkerman)映画監督
  映画「日本国憲法」 監督(2005年)
 ビデオニュース 2013.5.3世界は日本国憲法をどう見ているのか(動画)

    日本独自の長男中心の「家」制度(下記「家族」を訂正)
             から自立した個人へ

 
政治も経済も「情報」である⑥“生きる価値”を問う
 経済を主導する「金融システム」が“生きる価値”を無視した勝者を生み、格差を拡大させている。科学的根拠のない政治や経済は「ジャンケン」と同じで、「民主主義」も物事の価値判断を自分でする責任を持つ「自立した個人」が育たない限り、つまるところ既存の常識に基づく既存勢力の勝ち負けの問題に流されるに過ぎない。“生きる価値”とは自立した個人の自由と尊厳を守ることである。

政治も経済も「情報」である⑦戦後(独立後)の政治
 憲法は占領軍(GHQ)の下で制定実施されたので、「押し付けられた」とか、「日本の意志が入っていない」とよく言われる。しかし、当時の日本は家族制度の下で、男女平等もなかった日本の「常識」を がらりと変えた憲法24条があることを多くの人は知らない。
 また、本来は日本が戦争をできないようにするためのGHQの政策に対して、戦争責任で公職追放された人々は戦後の憲法を否定した。戦後の政治は、「改憲をめぐる攻防から始まった」のである。今も、憲法改正論議は公職追放の岸信介の孫である自民党安倍首相の陣頭指揮で続いている。
 「対米従属」と「憲法改正」という矛盾に満ちた自民党結党以来、「対米従属」のためにアメリカに協力して「戦争ができる国」にするために、安倍首相は「憲法改正」を政治家の使命としている。憲法は権力が国民を支配することを禁止するためにあるのに、その禁じ手を首相自ら破ろうとしている。まるでヒトラー再現だ。憲法に無関心で、憲法と民主主義を守る「自立した個人」が育たない日本の国内問題もあるが、それよりも日本国憲法9条は、多様な価値観を持つ世界の人々が平和に生きる国際的な土台(動画)である。人間の集団が狂暴になるのは戦争中だけではない。ドイツ敗戦後にヒトラーへの復讐心に燃えた集団の狂気の異常を、アフター・ヒトラー 前編後編(動画)は教えてくれる。戦争には正義も理由も何もない。戦争は絶対悪である! 終戦直後は日本の武装解除を目指した米国は、時が経つに従い「平和」のためと称して敵国を作り、産軍複合体が防衛戦略で儲ける国になってしまった。戦争を放棄した日本の主体性を主張しないで、没落の傾向が見え始めた「米国」と共に戦う憲法改悪に何の意味があるのか!

政治も経済も「情報」である⑧常識とは何だ!
 「歴史」は勝者によって書かれるように、「常識」はその時代の支配者によってつくられる。人によって“生きる価値”の尊さと重みは変わらないし、「お金」や経済も人によってその機能が変わるものでもない。全ての人々が“生きる価値”を全うするために、「お金」と「経済」は本来はある。しかし、人類が生きていく本来の姿から、今の資本主義の「常識」は2つの道を誤っている。
 その一つ、物々交換を補う役目であった貨幣が、今では主人公になってしまった。もう一つ、現在の資本主義は、人類が生きる自然と生態系を無視している。そのことを指摘しているのが、“里山資本主義(動画)”だ。
 参考:日本解剖~経済大国の源泉~戦後40年の歴史
     日本の経済 NHKスペシャル 20年後(2029年)の日本
     お金の仕組みと資本主義社会の崩壊! 
     NHKスペシャル「21世紀への奔流 第8回 マネーが国家を揺るがす」
      (NHKアーカイブ)
     マネーワールト資本主義の未来
     (1)世界の成長は続くのか?(動画) (2)国家vs.超巨大企業(動画)
     (3)巨大格差 その果てに(動画)
     マネーワールト資本主義の未来第1集「お金が消える!?」(動画)
                        第2集「仕事がなくなる!?」(動画)
                        第3集 借金に潰される!?(動画)


政治も経済も「情報」である⑨カルロス・ゴーン事件
 カルロス・ゴーン事件は日本もフランスも政府が絡んでいる。もともと政治と経済は一体であったにしても、民のためではなく財界のため、富裕層が絡んだ政治・経済の事件である。従業員と系列会社を切り捨てて、経営が軌道に乗ったと評価され、会社の支配者になったら、会社の金を私物化して億単位のお金を自由に使ってどこが悪いと開き直る。欲望の行きつく先の例だ。欲望の資本主義と政治で汚してしまった悲しい日本の社会の裾野は広く、かつ深いことを示す事件の一旦かも知れない。

政治も経済も「情報」である⑩新しい政治・経済を考える
 岸、佐藤、安倍という同族政権はアメリカ従属を大義名分とし、そのことが有利な大企業支配の政治を続けてきたが、高度経済成長期を経て、規模拡大によるコストダウンの時代から、里山資源を活用し、生活の質を考える政治の時代が来ている。科学も人工の世界を求めるのではなく、生物学や生態学を含めて、自然に生かされた生活を求め、それが幸福と思うようになるのではないか。生活の質を考えるとは、幸せとは何かを考えることでもあり、自然の一員である人間が自然を征服することではなかろう。人間が自然を征服できるはずもない。

政治も経済も情報である⑪日本と世界の半世紀(1960年~2010年代)
 今、時代は大きく変化しているが、国民にとって意味不明に政権が長期化すると、支配者は国民の真の幸せが見えず、自分の思い込みを大切にする弊害があちこちに噴出する。今はそういう時代だと思う。
 1960年、安保闘争で倒れた岸内閣を引き継いだ池田内閣は、「所得倍増計画」で政治から経済の時代に転換した。1964年の東海道新幹線営業開始東京オリンピック開催は国家的事業として心に残り、堺屋太一(1961年)の「巨人・大鵬・卵焼き」も懐かしい。そして、1970年代の日本大阪万博に始まり、田中角栄の「日本列島改造論(72年)」と続くが、第1次オイルショック第2次オイルショック(73年、79年)で高度経済成長は終焉する。

 「経済成長」よりも「生活の質」が問われる時代になったが、これは政治状況にも影響し、宮澤喜一政権(1991年11月5日-1993年8月9日)の後、自民党が分裂して細川内閣、羽田内閣、村山内閣の非自民・非共産連立政権が出現した。この自民党からの政権移行は麻生内閣(2008年9月24日- 2009年9月16日(358日)後の鳩山、菅、野田内閣(2009年9月16日-2012年12月26日(888日)でも続いた。しかし、その後は安倍内閣(2012年12月26日-)の長期政権が続き、「生活の質」を追求するよりは、「政治の質」がますます劣化しているように思う。

 アメリカのトランプ大統領は、国民の支持を意識してアメリカ第一主義を謳い、英国国民は「EU離脱」を選択した。いずれも移民受け入れに拒否反応を示し、協調よりも独立を求めるのは、庶民の生活感覚から来るものだろう。国の独立は、個人の独立により守られる。国民の幸せを守るには何が必要かを政府も国民も共に考え、混沌とした時代だからこそ、共に自然と生きる夢と幸福を語り、追う必要があろう。
 参考: グローバル化の疲弊 民主主義の危機(動画)


初稿 2019.4.27


日本と世界の半世紀(1960年~2010年代)~政治も経済も情報である⑪

2019-04-26 13:12:49 | 自然と人為
 古希を過ぎれば、1960年からの半世紀以上の歴史を青春から体験しながら生きてきたことになる。その経済と政治の日本と世界の動きを、当時はどう捉えていたかは別にして、今の私から眺めてみたい。

 人は他者との関係で生きている。しかし、他者という対象は見えるが、自己の姿は普通は見えないので、競争社会を意識すると、「自己に克」より「他者に勝」ことに熱心になる。厳密に言えば、「人それぞれの生き方には違いがある」が、「組織に生きる」と組織外の人を含めて、他者のためより自己のために生きるようになる。組織や国のためとは、その組織や国に住む全ての人民を含むが、往々にして「自分の考える組織や国」のために生きていることに気が付かない。そうして、物事の捉え方は、我々庶民と支配者では違うことを知ったばかりだ。
 今、時代は大きく変化しているが、国民にとって意味不明に政権が長期化すると、支配者は国民の真の幸せが見えず、自分の思い込みを大切にする弊害があちこちに噴出する。今はそういう時代だと思う。

 私にとっての半世紀の歴史は、「三種の神器」の「神武景気」を含めて、高度経済成長期(動画)の青春から始まる。
 1960年、安保闘争で倒れた岸内閣を引き継いだ池田内閣は、「所得倍増計画」で政治から経済の時代に転換した。1964年の東海道新幹線営業開始東京オリンピック開催は国家的事業として心に残り、堺屋太一(1961年)の「巨人・大鵬・卵焼き」も懐かしい。そして、1970年代の日本大阪万博に始まり、田中角栄の「日本列島改造論(72年)」と続くが、第1次オイルショック第2次オイルショック(73年、79年)で高度経済成長は終焉する。
 参考:慾望の経済史~日本戦後編~第2回 奇跡の高度成長の裏で~60s(動画)
     高度経済成長の前後解説
     日本経済『第2の転換期』
     【日本のエネルギー、150年の歴史④】
      2度のオイルショックを経て、エネルギー政策の見直しが進む
     慾望の経済史~日本戦後編~第3回 繁栄の光と影が交錯する~70s(動画)


 一方、アメリカは1960年に民主党のケネディが共和党のニクソンを破り、翌年43歳で第35代アメリカ合衆国大統領に就任し、1963年11月に暗殺されるまで、キューバ危機、東ドイツにより作られ、ケネディ大統領とフルシチョフの直接協議によっても除去されなかったベルリンの壁、ソ連優位の宇宙開発競争、人種差別反対の公民権運動が高まり、マーティン・ルーサー・キングの演説「私には夢がある。(動画)」で有名な「ワシントン大行進」(1963年8月)等を経験した。
 1970年代に入ると、ニクソン・ショック(71年)の「ドルと金の兌換停止」によって、ドルを基軸とする国際通貨制度(ブレトンウッズ体制:1944年)が崩壊した。その裏でドルと金の交換ではなく、エネルギー(石油)をドル基軸で支配する体制(ペトロダラーシステムペトロ(石油)とドルをくっつけた造語)をニクソンは用意していた。1973年に、イスラエル・エジプト・シリア間の戦争が原因で、サウジアラビアがイスラエルの同盟国である米国への原油輸出を停止し、石油輸出国機構(OPEC)加盟国は、原油価格を4倍に吊り上げ、世界にオイルショックを与えた。
 しかし、1974年にはアメリカはサウジアラビアとペトロダラーシステムの密約(ワシントン・リヤド密約)をし、さらにこのシステムは他のOPECのメンバーに拡大され、現在に至っている。
 参考:日本の金融史(12)ニクソン・ショックと石油・ドル本位制
     中国、「ペトロダラー再循環」体制への挑戦
     ユーロ:「基軸通貨」の夢でなく「多極化」への適応
     ロシアとドル:「新冷戦」か「歴史の始まり」か?
     サウジが45年ぶりに破ったタブー、原油の「政治的武器」利用示唆か
     谷口智彦「通貨燃ゆ」


 アメリカにとってお金がドル基軸で世界を回れば、莫大な貿易赤字(経常赤字)と財政赤字の双子の赤字があっても、お金(ドル)はいくらでも発行できる。アメリカの支配者にとっては、原子力をはじめとしてエネルギーと軍は必須なのだ。日本の貿易黒字も日本で使われないで、利益を求めてアメリカの資産、株、国債等に戻っていく。
 中国とアメリカの関係はベトナム戦争の終結と関係し、1972年にニクソン訪中、米中国交正常化が1979年にカーター政権下で実現した。
 なお、中華民国(台湾)の蒋介石は1975年に死亡しているが、中国にとっては激動の1976年であった。周恩来(1月)、朱徳(7月)が死去し、7月には死者25万人と言われる唐山大地震も発生し、9月には毛沢東が死去。10月には四人組逮捕により10年に及んだ文化大革命が終了した。そして、鄧小平は日本をモデルとした改革開放(動画)(2)を進め、今ではアメリカとの貿易、金融戦争(動画)(2)を始めている。
 参考:米国の歴史の概要 – 変動の時代:1960~1980年
     中国改革開放を支えた日本人(前編)(後編)
     アメリカvs.中国 前編 “情報・金融覇権”に挑む中国 ―ブロックチェーンめぐる攻防
     アメリカvs.中国 後編 “ハイテク覇権”をめぐる攻防 ―舞台裏に密着 そして日本は


 EC(European Communities:欧州共同体)が1967年に誕生し、1969年にイギリスの加盟に反対していたフランスのド・ゴール大統領が退陣し、1973年に第1次オイル・ショックが起きて、ヨーロッパ経済の統合の必要性がさらに高まったことが要因で、英国は1973年に加盟し、1981年にはギリシア、86年にスペイン、ポルトガルが軍事独裁政権が倒れ、民主化が進んだ結果ECに加盟し、12ヵ国体制となった。さらに、1993年にはECに加えて外交、内務の3つの柱を持ったEU(European Union:欧州連合)が発足している。ユーロ(2)は、1999年に決済用仮想通貨として導入され、3年後の2002年に現金通貨としてのユーロが発足した。ユーロはヨーロッパでは25の国で使用され、そのうち19か国が欧州連合加盟国である。英国は今でもポンドを使用しているので、ユーロによる通貨の世界基軸化には興味はないのだろう。それよりも、英国国民は「EU離脱」を選択した。移民受け入れに拒否反応を示し、統合よりも独立を求めるのは、アメリカを含めてエリートに反発する庶民の生活感覚から来るものだろう。国の独立は、個人の独立により守られる。エリートは庶民の幸せを守るには何が必要かを考え、混沌とした時代だからこそ、利害対立より共に夢を追う必要があろう。

 1979年、ソ連のブレジネフ政権が社会主義を掲げる親ソ派政権を支援するためにアフガニスタン侵攻したが、ソ連軍の駐留は10年に及び泥沼化した。このため1980年のモスクワ・オリンピックをアメリカのカーター大統領がボイコットを呼びかけ、イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、日本などが不参加を表明した。結局、中国も含め60ヵ国が参加しないという、オリンピック史上政治に翻弄された最悪の大会となった。なお、日本には柔道の山下泰裕選手、マラソンの瀬古利彦選手などがいた。
 ゴルバチョフは1985年からソ連共産党書記長としてペレストロイカを掲げて改革にあたり、市場経済の導入を図り、1988年にアフガニスタン撤退を決定し、89年までに完了した。89年にはソ連首脳としては30年ぶりに中国を訪問し、中ソの国交を正常化させた。さらに、89年に東欧革命が起こった。同年11月にベルリンの壁が開放されて、ドイツ統一が実現したことを受けて、同年12月にブッシュ(父)・アメリカ大統領とのマルタ会談で冷戦の終結を宣言した。1990年のノーベル平和賞(動画)を受賞した。91年、ソ連邦初代にして最後の大統領となった。
 参考:ゴルバチョフ、87歳の自己評価【前編】
      「グラスノスチなくしてこの世界に自由はなかった」
     ゴルバチョフ、87歳の自己評価【後編】
      「プーチンに言ったよ、自分を神の代理だと思っているのかと」


 1980年には日本の自動車生産量がアメリカを抜いて世界一となり、ジャパン・アズ・ナンバーワンの夢(動画)を追っていたが、米英仏独が日本に円高を迫り、アメリカとの貿易摩擦の過熱を解消するために、為替レートを円高に誘導することを容認した1985年9月のプラザ合意により、中小企業を中心に円高不況に見舞われた。日本政府は円高を憂慮し、通貨量を増大させた。通貨発行量を増やしても円安にはできなかったが、円高を食い止めることはできた。そして、通貨発行量が増大したことで、お金が行き場を失う。それが、バブル景気を招くことにつながった。しかし、石油や鉄鉱石などの原料は輸入に頼っていたため、当初は原料を安く仕入れることができるという円高メリットもあった。急激な円高にも関わらず金融緩和もあり、日本経済は不動産バブルを含めて好調であり、1989年末(昭和最後の年)は株価が最高値を付けた。
 参考:日本は2度「敗戦」した?プラザ合意が産業界に落とした影【書評】
     プラザ合意


 一方、1981年にアメリカの大統領に就任したレーガン大統領は、アメリカの経済力と軍事力の強化を図ろうとした。それまでのケインズ政策とちがって「小さな政府」を主張したレーガンは、政府支出の抑制、大幅な減税、規制緩和などのレーガノミクスと呼ばれる政策を行った。 
 しかし、一方で、軍事支出の激増によって財政赤字は拡大し、アメリカは高金利政策をとったのでドル高になり、アメリカの輸出競争力を弱めた。1980年代のアメリカは財政赤字と経常収支の赤字が同時に進行する「双子の赤字」 に悩まされ、アメリカ国内では保護主義が台頭し始めた。
 参考:レーガノミクスとは何か:バラ色のシナリオ
     レーガノミクスで減税と公共事業は高金利の悪影響に勝てなかった
     トランプはレーガンと似ている?1980年代のアメリカに学ぶ今後の見通し


 1990年代に入ると日本は「平成」となり、バブルに浮かれ、バブルが弾けても「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と集団で動き自己の確立ができず、失われた10年、20年、そして30年と、新しい日本の進むべき道が見えないまま、平成は終わろうとしている。それを象徴しているのが、儲け第一主義により経営破綻し、自主廃業?!した「山一証券(動画)」だと思う。これと比較し、日本の実績と収入に甘えることなく、自分の投球方法に拘り、世界の野球で通用することを目指して、ノーヒット・ノーランを成し遂げ、身体に変調を感じながらもリーグを移ってまでやり直し、2度もノーヒット・ノーランを達成した「野茂英雄(動画)」は、これまでの「日本人の殻」を破った「新しい日本人」だと思う。
 参考:マーケットの歴史 1983~2017年
     バブル経済と平成不況
     慾望の経済史~日本戦後編~
      5 崩壊 失われた羅針盤~90s
      最終回「改革の嵐の中で~2000年代
     平成史スクープドキュメント
      第1回 大リーガー NOMO~“トルネード” 日米の衝撃~
      第2回 バブル 終わらない清算~山一証券破綻の深層


 日本の国際的地位は90年代以降大きく低下し、「国際社会に名誉ある地位を占めるための7 つの提言」では、「グローバルな視点から日本の行方を考える」とし、90年代の「失われた10年」に続く低迷の長期化と財政事情の悪化により、その世界的な役割に「かげり」が出ているとし、高齢化問題や人口減少問題への前向きな対策が必要と提言している。「平成5年(1993年)年次経済報告 バブルの教訓と新たな発展への課題 経済企画庁」においても、長引く景気の低迷、浸透するバブルの崩壊の影響、経常収支黒字の急増など、1992年から93年前半にかけての日本経済は,多くの課題に直面することとなった。・・・まさに日本経済にとって大きな試練の時期だったと言えよう」としている。
 「経済成長」よりも「生活の質」が問われる時代になったが、これは政治状況にも影響し、宮澤喜一政権(1991年11月5日-1993年8月9日:644日)の後、自民党が分裂して細川内閣、羽田内閣、村山内閣の非自民・非共産連立政権が出現した。この自民党からの政権移行は麻生内閣(2008年9月24日- 2009年9月16日(358日)後の鳩山、菅、野田内閣(2009年9月16日-2012年12月26日(888日)でも続いた。しかし、その後は安倍内閣(2012年12月26日-)の長期政権が続き、「生活の質」を問うよりも「政治の質」が劣化しているように思う。
 参考:トランプ経済が「レーガノミクスの再来」ではない理由
     レーガノミクス vs トランポノミクス
     バブルを招いた「レーガノミクス」 はたしてトランプ氏は?
     レーガノミクスとの共通点と相違点 トランプノミクスが日本に与える影響は?
     トランプの政策はレーガノミクスと異なる
     アベノミクスとレーガノミクスとの相違と類似
     レーガノミクスはインフレ退治法、アベノミクスはデフレ退治法


 日本が低成長にあえいでいる間にアメリカは高成長を謳歌し、ヨーロッパは通貨統合を成し遂げ、中国は躍進した。97年から98年にかけて深刻な経済危機を経験したアジア諸国さえ、急速に回復している。ただ、ロシアの市場経済への移行はもたついているそうだ。アメリカでは1990年代後半に入って、マイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾンが台頭した。今ではグーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、アップル(5社まとめてGAFMA)というそうだ。いずれも無国籍大企業であり、マイクロソフトがアップルから世界首位を奪ったそうだが、フェイスブックやスマホを使いこなせない「老いぼれ」には論評の資格はないし、どう評価すべきかはもう少し考えたい。ここでは、今の時代を考える資料を紹介しておきたい。
 参考:「明日の日本を神奈川から考えるつどい」
     第一部 「これからの日本のリベラル政治」講師 寺島 実郎
     第二部 シンポジウム
        「アベノミクスで本当に経済は良くなるのか」 水野 和夫氏
        「今、私たちに求められていること」 山口 二郎氏
     多摩大学創立20周年記念シンポジウム
       寺島実郎学長基調講演 1/42/43/44/4
     1990年代日本をとらえなおす - 東京大学
     90年代以降の日本と世界- 鹿児島国際大学
     3月11日の東日本大震災をきっかけに一気に急落。
     金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉 著者インタビュー(1)(2)
     「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」水野和夫
     見えたり、金融資本主義の正体
     藻谷浩介氏:データで見る日本経済の本当の病状
     なぜ日本経済の一人負けが続くのか
     日銀が株価を維持 安倍首相が自慢する「株価が高い」
     何故か日本ではお金持ちが急増中!


 21世紀の資本
 資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きい。資本から得られる収益率が経済成長率を上回れば上回るほど、それだけ富は資本家へ蓄積される。そして、富が公平に再分配されないことによって、貧困が社会や経済の不安定を引き起こすということを主題にしている。
  実はみんな読み切れないトマ・ピケティ『21世紀の資本』
  21世紀の資本主義はどこへ ~トマ・ピケティに問う~
  21世紀の経済社会を構想する -政治経済学の視点
  21世紀のドイツ 政治・経済・社会からみた過去・現在・未来
  21世紀のガバナンス:日本の課題とアメリカの経験総括論文


初稿:2019.4.26 更新 2020.2.23(ブログ目次削除)

動画集2: 松岡正剛の千夜千冊,MMT,その他

2019-04-12 21:56:53 | 自然と人為
松岡正剛の千夜千冊『交貨篇』
 経済史 市場 企業前史 資本論 貨幣論 グローバリズム 
 オリエント経済 リスク論 ポスト・エコノミクス

松岡正剛1360千夜千冊『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』
ナヤン・チャンダ
松岡正剛1361千夜千冊『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイアモンド
松岡正剛1362千夜千冊『10万年の世界経済史』 グレゴリー・クラーク
松岡正剛1363千夜千冊『物質文明・経済・資本主義』 
フェルナン・ブローデル
松岡正剛0151千夜千冊『経済の文明史』 カール・ポランニー
松岡正剛1364千夜千冊『史的システムとしての資本主義』 
イマニュエル・ウォーラーステイン
松岡正剛1365千夜千冊『長い20世紀』 ジョヴァンニ・アリギ
松岡正剛1366千夜千冊『アングロサクソン・モデルの本質』 渡部亮
松岡正剛1367千夜千冊『マネーの進化史』 ニーアル・ファーガソン
松岡正剛1368千夜千冊『図説 お金の歴史全書』 ジョナサン・ウィリアムズ
松岡正剛0257千夜千冊『円の誕生』三上隆三
松岡正剛1262千夜千冊『1985年』吉崎達彦
松岡正剛1352千夜千冊『マッド・マニー』 スーザン・ストレンジ

・MMT
 「消費増税はいらない」世界注目の経済学者が来日(19/07/16)
 【記者会見】MMT提唱者 ステファニー・ケルトン ニューヨーク州立大学教授
 【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】概論、MMT(現代貨幣理論)

金貸しは、国家を相手に金を貸す
フェリックス・マーティン「21世紀の貨幣論」

「世界経済はロスチャイルド家に支配されている」
世界の総資産の半分を支配した男、マイヤーロートシルト。
  ロスチャイルド家の基礎を築いた人物
  マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドが1774年に策定した『世界革命行動計画』

覇権の起源 2008年8月14日 田中 宇
 覇権の起源(2)ユダヤ・ネットワーク 2008年8月29日 田中 宇

公共貨幣フォーラム in Japan 公共貨幣で新国生み

民主主義に対する批判(2013~2017年の発言まとめ) 西部邁 伊藤貫
 『三島由紀夫が割腹自殺した本当の理由』 伊藤貫×西部邁
 「西部邁 & 伊藤貫」の思想

生活の党 小沢一郎党首と京都大学原子炉実験所 小出裕章先生との対談
  2013.05.31

安冨歩さん「マイケル・ジャクソンの思想」トークショー(上)(下)
 安冨歩氏 講演会「マイケル・ジャクソン革命宣言」2015/10/20


安冨歩×岩上安身 脱出口はどこだ!
 『幻影からの脱出——原発危機と東大話法を越えて』(明石書店)刊行記念
 岩上安身氏講演 「隠されたフクシマの真実と教訓」 2012.05.13 佐賀
 「福島原発の安倍政権の狂気政策」

中国 黄河源流への旅① 「銀川から天空の畑へ」
 中国 黄河源流への旅② 「大草原から花湖へ」
 中国 黄河源流への旅③ 「伝説の地 星宿海へ」

映画「美しき緑の星」
 「美しき緑の星」映画解説 中山康直
 【ネットで超話題!】映画「美しき緑の星」まとめ - NAVER まとめ
縄文エネルギー研究所所長 中山康直さんによる縄文時代考察

経済学者 宇沢弘文 (2014年 86歳没)TPPは「社会的共通資本」を破壊する(2)
あの人に会いたい「哲学者 梅原猛」 (2019年 93歳没)
東大入学式祝辞 講演:上野千鶴子 (1948年生まれ)
ホセ・ムヒカ
   本当のリーダーとは
   多くの事を成し遂げる者ではなく、
   自分を遥かに
   超えるような
   人材を育てる者

  世界一貧しい大統領ムヒカ前大統領
   国連持続可能な開発会議(リオ+20)
    2012年6月20日~22日,ブラジル(リオデジャネイロ)

  世界でいちばん貧しい大統領から日本へのメッセージ
  ホセ・ムヒカ氏来日特番!「幸せとは何か?」 池上彰と対談

欲望の経済史~日本戦後編~

 1 焼け跡に残った戦時体制 終戦~50s
 2 奇跡の高度成長の裏で~60s
 3 繁栄の光と影が交錯する~70s
 4 ジャパン・アズ・ナンバーワンの夢~80s
 5 崩壊 失われた羅針盤~90s
 最終回「改革の嵐の中で~2000年代


平成史スクープドキュメント
 フェイスブック(第1回,第2回)
第1回 大リーガー NOMO~“トルネード” 日米の衝撃~
第2回 バブル 終わらない清算~山一証券破綻の深層
第3回“劇薬”が日本を変えた~秘録小選挙区
第4回 安室奈美恵 最後の告白
第5回 “ノーベル賞会社員”~科学技術立国の苦闘
第6回 東京 超高層シティー 光と影
第7回 自衛隊変貌の30年~幹部たちのの告白~
第8回 情報革命 ふたりの軌跡 ~インターネットは何を変えたか~
 NHK

サイエンススペシャルE+フランケンシュタインの誘惑
#2「原爆誕生 科学者たちの罪と罰」
 ナチス・ドイツの原爆開発を恐れたアインシュタインを含めた世界有数の科学者たちは原爆を開発し、日本への使用に反抗はしたが、政治の力は強かった。しかも、世界で唯一の被爆国日本は、核保有国やNATO諸国の大多数とともに「核兵器禁止条約」に参加してはいない。今や原爆開発の量は、世界で1万5千個を超えるという。この使えない原爆開発に、未だに熱心な国もある。 政治の愚かさはいつまで続くのか?
 参考:「核兵器禁止条約」の概要(広島市)

 一方、アインシュタインの理論で知られていたブラックホール(地球から5900万光年のM87銀河にある)の撮影に、地球規模の望遠鏡と研究協力で成功したというニュースも報じられた。世界の研究協力による新しい科学への幕開けだ。この研究を契機とし、政治の力も世界の競争・対立から世界平和へと向かう幕開けになるとを期待したい。
 アインシュタインの「一般相対性理論」により予測されていたブラックホールは世界規模の望遠鏡(装置)と研究協力により実証できた。これからの新しい研究は、ダークマターとダークエネルギーも含めて、一人の天才によるだけではなく、世界規模の協力が必要となる。研究も「競争」ではなく「協力」の時代が来る!
コズミックフロント NEXT「史上初!ブラックホール直接観察」(動画)
 参考:ブラックホール撮影、初の成功 国立天文台など国際チーム(動画)

退位礼正殿の儀 2019.4.30 (動画)
 天皇陛下 最後のおことば(動画)

剣璽等承継の儀 2019.5.1 (動画)
 即位後朝見の儀(動画)
 皇族方から祝賀(動画)

動画配信

 無料登録すると映画「みつばちと地球とわたし」30分短縮版が見れます

大西つねき「個人の心の自由」(動画)
 
CGS新番組「ケミストリー」「経済学を三人が斬る!」
 【第1回 武田邦彦 松田学 大西つねき】 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回

裸出歯鼠(不老長寿)

『この地球に山や森は存在しない』 (前編) (後編) (解説編)

20190505「風をよむ」

国民の意識にない日本の危険な「政治状況」
白血病患者激増~患者数が、昨年の約7倍~福島、茨城、栃木、東京
  大熊町では白血病で沢山死んでいる
  原発情報 2018年1月 国道6号線帰還困難区域の放射線量測定(車内からの測定)
ノーニュークス たんぽぽ舎・動画
   原発反対福島大規模集会

護憲 vs 改憲 アベ改憲のアレがそーとーキテる
 ヤバすぎる緊急事態条項特集
 「改憲のもう一つの危険な狙い 自民党草案(緊急事態条項)」
 自民党の憲法改正の本丸・緊急事項の危険性
 殆どの日本人が知らない自民党憲法草案の危険性② 「緊急事態条項」
 「令和新時代に新憲法を」の大合唱が始まる!?

令和の時代 憲法を考える (NHK)

スピノザ「エチカ4真理」

”堕ちた平成”日本は中国に呑まれるのか

日本国憲法誕生 全編(動画)
 日本国憲法の草案はメイドインジャパン(動画)
 「憲法と日本人~1949-64 知られざる攻防~(動画)
 Japanデビュー:2回天皇と憲法~憲法の日本の120年(動画)
 NHKスペシャル「憲法70年 平和国家はこうして生まれた」(動画)
 「憲法を考える」① ~ 民衆が作った「五日市憲法」とは?(動画)
 「憲法を考える」② ~日本国憲法は「米国の押しつけ」か?(動画)
 「憲法を考える」③ ~あなたにとっての憲法とは?(動画)
 「日本国憲法を生んだ密室の九日間」(1993.2.5 放送)(動画)
 総理の祖父・岸内閣“改憲の原点”『憲法調査会』肉声を発見(動画)
  2016.2.25 報道ステーション

 戦後史の一つの事実: 安倍晋三の祖父、岸信介と自民党の正体(朗読)
  (CIA・アメリカ・日米安保)2013.2.2

 2014.06.08 「憲法を知らぬ保守を叱る!」by小林よしのり(動画)
 日本国憲法 誕生の真相 ~ 映画「日本の青空」(30分ダイジェスト) 動画
 災害時に備え「緊急事態条項」が必要というロジックに騙されるな!(動画)

"戦争しないと”丸山穂高議員に「言論の自由」あるか?―より深刻な安倍首相の「実績」

『安倍総理への質問』

「日米安保体制に指一本触れるな」はCIAの巨額資金提供と引き換えに自民党結党時に合意された密約だった!?

Michael Jackson Man In The Mirror≪ 日本語字幕・和訳≫

市街地を暴走するイノシシ

その時歴史が動いた「チャプリン襲撃計画 五・一五事件」(42:50)
 その時歴史が動いた「我が言は万人の声」斎藤隆夫
 声でつづる 昭和人物史 斉藤隆夫 2017/5/29
 世界市民と愛国心(チャップリン動画集

ナチス黄金列車の謎 奪われた財宝の闇伝説」
 BS世界のドキュメンタリー「ロデオ 民主主義国家の作り方」
 アナザーストーリーズ「小野田少尉 帰還~戦後29年」

 約13億円で落札されたバンクシー作品。この絵にもまた、見る者を驚嘆させる仕掛けが。


初稿 2019.4.12 更新 2020.2.24


経済学の父「アダム・スミス」、そして経済史入門と現代の経済

2019-04-05 23:37:30 | 自然と人為

 ブログ「経済における「欲望」について考える」で指摘したが、日本語の「経済」は「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」という中国の「経世済民」に由来しているが、この言葉は経済より政治の意味に近い。
 一方、著書『国富論(1776年刊)』により「経済学の父」(動画)と言われるアダム・スミス(1723年~1790年)(2)は、何故、「経済学の父」と呼ばれるのだろう。アダム・スミスの没後100年にアルフレッド・マーシャル(1842年~1924年)が、『Principles of Economics(1890年刊):経済学原理』を発表し、「経済学(Economics)」という新しい学問分野が確立するまでは、イギリスではアダム・スミスが体系化し、リカード、マルサス、マルクスが関係したこの分野の仕事は「経世済民」と同様に「Political economy(政治・経済)」と呼ばれている(古典派経済学)。

 哲学者としてのアダム・スミスは、まず人間の社会的存在について考察し、著書『道徳感情論(1759年刊)』において、人間は利己的だが、人間本性の中には、他人に関心を持つ「共感(同感)」という感情があり、その共感の感情によって社会の秩序と繁栄が導かれるとした。そして『国富論』においては、冨の源泉を人間の労働に求め、人間の労働が価値を生み、労働が商品の価値を決めるとしているが、この人間中心の「労働価値説」は、デカルト(1596年-1650年)によりもたらされた「知識(真理)」や物質的な価値観とは違うスピノザ(1632〜1677)「欲望」という人間の本質(動画)を呼び起こしてくれる。我々は真理を知識として得るデカルトの考えに浸っているが、真理は「体得」するもの(動画)とし、人間を「自己と他者を大切にする群れ(動画)」としたスピノザの「理性」を、アダム・スミスの「見えざる手」、即ち、人間集団の労働生産性を高めるためには市場における自由な競争が必要とする「見えざる手」からも教えられたような気がする。
 参考:21世紀の人工知能(AI)は17世紀のスピノザを越えられるか?
     デカルトとスピノザ(動画)


 アダム・スミスは農業から商業、さらに産業革命により始まった工業化社会による分業化(現代社会の原型)という将来に夢を抱いたことであろう。このアダム・スミスの「見えざる手」は、新古典派経済学に継承され、アルフレッド・マーシャルにより需要・供給曲線で示され、「Principles of Economics(1890年)」の発刊により政治・経済から経済が分離され、経済学の道が拓かれた。現在使用されている「経済」は英語由来の政治を切り離した言葉(Economics)に由来している。

 「自然的自由の体系が確立された社会では、労働と資本の使い方は、所有者個人にゆだねられる。個人は、自分の労働や資本をどこに向けるべきかについて、政府よりも多くの注意を払い、労働と資本を自分にとって最も有利な方法で用いるであろう。個人が正義の諸法を守って行動するかぎり、このような個人の行動は、「見えざる手」に導かれて社会に最大の利益をもたらすであろう。こうして、政府による優遇・抑制政策がなくても、というよりも、むしろ政府による優遇・抑制政策がなければ、労働と資本は、社会にとって最も有利になるように、諸産業に配分されるであろう。優遇・抑制 政策の廃止によって、これ まで優遇されてきた貿易部門や輸出向け製造業部門の利潤率は低下し、他の部門の有利さが相対的に高まる。その結果、資本と労働は、自然に前者から後者へと移動するであろう。」
 参考:アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界 (堂目卓生著 中公新書:Kindle 版)

 『アダムスミスもマーシャルも人間の信頼が原点にあったが、マルクスは資本が労働者を搾取することを警告し、マーシャルの弟子・ジョン・メイナード・ケインズ (1883-1946)は1929年の世界恐慌を経験し、完全雇用を生み出す有効需要の開発を、国家が公共事業を興すことによって生み出すことを提唱した。シュンペーターは技術革新により工業が発達するとしたが、工業が発達するにつれて、人間の社会における関係も変わる。組織が大きくなる時、他者を尊重する自由な社会はどうすれば維持できるのであろうか?』
 参考:欲望の資本主義2019 偽りの個人主義を超えて 
     最終章 経済学の父が見ていた人間(動画)

     アダム・スミスの共感論と公平な観察者論
     アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)
     「アダムスミス」の思想とは?『道徳感情論』『国富論』や名言も
     マーシャルにおける心理学研究と経済学との連関(2)
     ケインズが『一般理論』で説いていたこと(2)(3)
     ケインズ経済学
     5分でわかる!経済学三大思想「新古典派、ケインズ、マルクス」の流れ

 アダム・スミスはイギリスの産業革命(2)の頃(18世紀半ばから19世紀)に活躍し、アメリカ独立戦争(1775-1783)も経験した。アメリカ独立宣言(1776年)(2)(3)はアダム・スミスの『国富論』発刊の年であり、『独立宣言』と『国富論』では、『独立宣言』は政治的にアメリカの独立の正当性を主張したが、『国富論』は経済的にアメリカの独立の正当性を保証したとしている。

 「スミスは、イギリスにとって「今なすべき こと」は、アメリカ植民地を自発的に分離することであると 示唆した。 しかし、スミスの示唆にもかかわらず、イギリス政府は、その後七年間、アメリカ植民地を 武力で制圧しようとし続け た。しかしながら、スミスが予想したとおり、アメリカの指導者たちは命がけで抵抗し、さらに、フランス、スペイン、オランダが アメリカ側について参戦したため、イギリスは1783年パリ条約を批准して、ついにアメリカの独立を承認した。」
 参考:アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界 (堂目卓生著 中公新書:Kindle 版)

 なお、アダムスミスが生れた頃はイギリスでの議院内閣制が始まっているが、これはピューリタン革命(1642年-1949年)を経て、絶対王政から一時的ではあるがクロムウェルの独裁政権コモンウェルス:共和国)、そして名誉革命(1688年)を経てウィリアム3世とメアリ2世による立憲王政が開始されている。

 「イギリスの名誉革命は日本では江戸時代の元禄(1688年~1704年)に始まった。イギリス議会での言論の自由は保障され、国王は「君臨すれども統治せず」という立場に置かれたが、上位の聖職者および大貴族からなる上院と、 地主貴族および富裕な商工業者からなる下院とに分けられ、十八世紀を通じて下院の発言力は徐々に強まっていった。」
 参考:アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界 (堂目卓生著 中公新書:Kindle 版)

 また、これよりさらに100年前の1588年前には、スペイン全盛期の強力な艦隊がイギリス艦隊に敗れている。また、ルターによって1517年に始まった宗教改革から、ほぼ百年後に起こった三十年戦争(1618-1648)は、最後にして最大の宗教戦争であった。この100年単位の史実は、歴史の記憶の参考にしたい。
 参考:映画『無敵艦隊』無敵艦隊 [DVD]
     エリザベス対フィリップ「無敵艦隊」無敵艦隊/アルマダ

産業革命と社会問題
経済学 名著と現代
 私が大西つねき氏から学んだ「現代の政治・経済のあり方」は、自分自身が自立した個人であるかを問う哲学の問題から、“権力や強者を求める”現在の政治・経済から“生きる価値を大切にする”政治・経済を実践的に追及する未来への夢を与えてくれた。ことに物々交換から貨幣を媒体にした現在の市場において、お金の発行が「生活の価値」を高めることに使われているのか?お金が「生活の価値」を向上するためではなく、「生活の格差」を拡大させる媒体となっているのではないでしょうか?本来は「生活の価値」を向上させるために発行されるお金が暴走してしまうのを止めるには、「お金の発行量」=「生活の価値の量」とし、我々一人ひとりの価値観を見つめ直すことから始めなければいけないのではないでしょうか?      --- 三谷克之輔 ---
  
  参考:大西つねきの週刊動画コラムvol.9:お金の発行の仕組みの本質(3:43-13:03)

 マネーストック(2)とは、従来マネーサプライと呼べれていたもので、金融部門から経済全体に供給されている「通貨」の総量のことで、通貨残高ともいう。小泉内閣のもと2005年に郵政民営化法が成立し、2007年から郵便公社は郵便、保険、郵貯、孫口の4つの株式会社に分割された。これに伴い、「マネーサプライ統計」については、2008年6月9日公表分(2008年5月速報計数)から、内容の見直しを行うとともに統計名称を「マネーストック統計」に変更された。マネーストック統計には、通貨の範囲に応じてM1、M2、M3、広義流動性の4つの指標があるが、最大の変更点は、M1の対象金融機関が「ゆうちょ銀行」などのすべての預金取り扱い金融機関に拡張されたことだが、統計データの連続性を重視してゆうちょ銀行等(※2)を除外した日本銀行や国内銀行等の(除くゆうちょ銀行※1)M2が利用されることが多い。
 ※1 日本銀行、国内銀行(除くゆうちょ銀)、外国銀行在日支店、信用金庫・信金中金、農林中央金庫、商工組合中央金庫
 ※2 ゆうちょ銀行、農協・信農連、漁協・信魚連、労金・労金連、信用組合・全信組連


 30年間変わらない大卒初任給

---マネーストック(M2) ---国債残高(政府借金) ---GDP(国内総生産) ---銀行貸出残高
          大西つねきの週刊動画コラムvol.63:我々自身が変わらなければいけない


 1990年代末に金融システム不安が強まった時期には、将来の不意の支出に対応する通貨の予備的需要が高まったことから、景気が悪化する中でマネーの伸びが高まるという現象が起きた。

 年年歳歳花相似 歳歳年年人不同 我々は過去を懐かしむだけでなく、今なお未来に責任を持たねばならない。その未来への希望を皆さんにも一緒に考えていていただきたく、福山市西部市民センターホールで『大西つねき』講演会を開催します。
図をクリックしてください!

 「経済は欲望と競争により進化?」するとする「経済史入門」を疑問符とともに学んでみたい。また、神戸大学で公開されている「現代の経済」を解説抜きで教材として紹介しておきたい。
やりなおす経済史
1)経済史は欲望のドラマだ!
2)資本主義はどのように生まれたのか?
3)なぜあの時、世界大戦へと突入したのか?
4)今知っておきたい、90年代のバブル崩壊物語
5)2000年以降の世界経済史
6)中国はなぜ日本を超える経済大国になったのか?

現代の経済 神戸大学
第1回 経済学とはどんな学問なのか?:市場とGDPのお話し
第2回 お金のお話し
第3回 アダム・スミスという人のお話し
第4回 経済をコントロールするお話し:マルクス、ケインズ
第5回 再び「経済自由化」のお話し:フリードマンとTPP
第6回 インフレとデフレのお話し:アベノミクスとインフレターゲット
第7回 政府と日銀の経済政策:財政政策と金融政策と国債
第8回 日本経済の諸問題:円高と年金問題
第9回 世界経済の重要性
第10回 貧しい国と豊かな国


初稿 2019.4.5 更新 2019.4.8