自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

多様な考え方と多様な状況~個人の尊厳と自然を守る

2017-08-24 18:34:00 | 自然と人為

 都市化が進むと個人の考え方もバラバラになり、自然や他者との日常的な繋がりが希薄になるように思うが、個人の考え方が尊重され個人の尊厳を守るのは自己ではなく他者である。人類を守るのも人工の世界ではなく自然である。世界には多様な考え方や情報があるが、政府やメディアによって一つの考え方や情報が選択される。それはその時の政府やメディアの体質にもよるが、時にはある事件を契機に大衆の雰囲気に大きな流れを作ることがある。

 日米韓の軍事演習は仮想敵国を想定して実施されるが、このことにより仮想敵国は態度を硬化し、いずれの国においても国民の愛国心を高揚させる。『国を守るため』の軍備が常識とされているが、軍と産業は結びつき、強くなろうとするのが常であり、軍の発言力が強くなり他国との対立がエスカレートすると、いずれの国の国民も自国を応援し、馬鹿を見るのも国民である。

 自国だけでなく他国も人類皆兄弟。戦争を煽る事件は過去におけると同様に、将来においても必ずある。「戦争放棄」の日本の憲法は、個人の尊厳を無視した戦争の悲惨さを経験した日本人の世界の平和を願う魂であり、文言の追加や訂正でその魂を失うことは決して許されない。必要があるなら憲法に矛盾しないように、法律に明文化すれば良い。「空」とか「無」の世界には憧れるが「個人」については曖昧な日本の文化では「憲法改正」ができる状況にはないと思っている。
 参考: バノン辞任と米国内紛の激化 2017年8月21日   田中 宇
      根っこ勉強会 第2回 「民主主義、主権在民、地方分権とは何か」 動画
      「安倍さんは武士(もののふ)として自ら進退を決めるべきだ 動画 
            村上誠一郎議員に岩上安身が訊く! 2017.8.21


 この夏は「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」を含めてHKドキュメンタリー「戦争と平和」の多くの番組が放送された。私は1943年生まれなので戦争の記憶はないが、「福山が空襲で空が真っ赤に焼けている」と母の言葉を聞いたように思うし、戦後の苦労も少しは知っている。それと74歳にもなり、「戦争放棄」の憲法を大切にしたいという思いが強くなったのかも知れない。ここしばらく「戦争と憲法」のことが頭を離れない。

 これに対してヒトラーは「大衆は女々しく愚かだ! 彼らを操るには憎悪を掻き立てるのが唯一有効な手段なのだ!」と大衆の感情を掻き立てる演説の表現方法を研究したという。今は時代が違うと思うかもしれないが、集団に憎しみと憎悪が拡がると選挙という方法によってさえ、ヒトラーの独裁が世界で繰り返されることを忘れてはいけない。
 参考: ヒトラー 権力掌握への道 前編, 後編

 アメリカは戦後日本の友好国で日米同盟も対等な軍事協力関係だと思っている人は多いかもしれない。しかし、「日米合同委員会」の決定事項が、憲法も含めた日本の法律よりも優先されることに気が付いている人は多いだろうか?沖縄基地の問題も日本の憲法が無視されている例だと気が付いているだろうか?「日本ファースト」とか「アメリカファースト」という言葉が政治家から発せられ、それが国民の支持を得るような危ない時代になってきた。国民の欲求不満を他国への攻撃に煽る政治を許してはいけない。人類皆兄弟、他者あっての自己であり、他国あっての自国であるという根本は何時の時代にあっても変わらず、我々を誤りから救ってくれる。あなたを救ってくれるのは他者であり、単純な利害や憎悪によって危ない道を作り出してはいけない。

 ここで経済、経済と経済第一主義に慣らされている農業に専門の立場から警告を一つ。農業や畜産の仕事で生きている我々は、利益は必要だが利益が目的ではないはずだ。人の住む里山に対して獣が住む奥山があり、その干渉地帯である外山に牛を放牧するという話を聞いたことがあるが、それは日本短角種の放牧をしている岩手県の外山畜産研究室のことで一般的な地名ではないらしい。いずれにしても里山が獣害で荒らされるというのは資源を放置していることで、野鳥のために柿の実を残しているという日本の優しい風流な話とは程遠い。利益の為の黒毛和牛オーナー制の安愚楽牧場(2011年11月7日放送)が世間を騒がせたように、農業の世界にも道を踏み外す誘惑があり、経済重視の風潮に流されないようにしなければ・・・、その為の良い方法、システムは作れないものかと思う日々である。

 夏休みを利用してもう少し考えてみたい私のブログ
 グローバル化の終焉と経世済民
 メディアは、なぜ真実を伝えないのか? 我々は知らぬ間にメディアに洗脳されている
                          ~アベノミクスの誤りを例にして
 ”経世済民”で世界に誇れる日本のリーダー・保科正之(3代将軍家光の異母弟)


初稿 2017.8.24  畜産システム研究会・研究所追加 2017.8.28

憲法を守る~政治の原点

2017-08-14 17:54:34 | 自然と人為

 日本の政治の原点は「日本国憲法」にあり、憲法を守ることが政治の原点だと思うが、「憲法改正」を政治家としての使命だと公言する首相が、こともあろうに政治を私物化しても内閣総辞職をしないで居座っている。議会の多数を握れば内閣を組閣でき、衆議院の解散もできる。日本は国民主権の国のはずなのに、個人と組織や国の権力の関係に無頓着で曖昧な国のようだ。

 戦後の天皇は政治には関与しないことで象徴天皇となっているが、内閣の助言と承認により国事行為として衆議院を解散する(7条3項)とある。また、69条には「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」とある。衆議院の解散はどこで決めるのかは明記していないが、「総辞職しないのであれば解散を」とも読める。しかし、第四章41条で「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」のに、行政府の長である内閣総理大臣に国会の解散権があるというのは矛盾であり、「首相の解散権」を当然のように報道するメディアも真実を報道していない。また、「抜き打ち解散」「バカヤロー解散」で実行された「内閣総理大臣の解散権」は第7条に示された国事行為である天皇の政治利用が戦後早々に、吉田内閣によって始められていたことになる。
参考: 「日本国憲法」 1947年5月3日施行  衆議院の解散に法的根拠はある?  
 第一章 天皇
 第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
   一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
   二 国会を召集すること。
   三 衆議院を解散すること。
 第四章 国会
 第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
 第五章 内閣
 第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。


 憲法は国の根本秩序に関する法規範であり、日本国憲法前文で、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三原則を宣言し、第1章天皇で「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とされ、第2章で戦争の放棄、3章で国民の基本的人権、4章で国民主権である国会が国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関であると謳っている。

 憲法の中で最も大切にしたいのは第2章「戦争の放棄」だ。第9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とある。自衛隊の前身である警察予備隊は、1950年の朝鮮戦争勃発時、GHQの指令ポツダム宣言(2)の受諾に伴い発せられるポツダム命令)により国会の議を経ずして総理府の機関として組織された。吉田首相は「警察予備隊は軍隊ではない」と再軍備を否定したが、これが「解釈改憲」の始まりとされる。GHQ指令なので首相の権限ではなかったが、アメリカ軍基地とともに憲法に汚点を残すことになる。

 国会で多数を握れば内閣を組閣できるが、多数を握っているからといって国会を軽視して閣議決定で「集団的自衛権」のように憲法の解釈を変えるのも独裁国家への危険な道で、政治の私物化とともに決して許されることではない。憲法はアメリカにより押し付けられたと安倍首相を含めて主張する人々がいるが、押し付けられたのは自衛隊であり米軍基地である。憲法には日本人の考えが大きく反映しており、内容こそを問題にすべきだと思う。どこにも組織があり組織の権限を強くしたいのが人間の性、軍事力の強化を憲法は認めていないし、自衛隊の名誉のためにも災害援助に特化すべきだと思う。
 参考: アメリカ誘導下で憲法改正へ向けて着々と進む
 閣議決定から戦争法へ ②25年にわたるアメリカの要求・圧力と日本歴代政権の対応
 【アメリカからの安倍政権への指令書】「第3次アーミテージレポート」とは
 <資料> 『集団的自衛権と憲法との関係について』 ――内閣法制局1972年10月14日


 時代とともに人の考えは移り彷徨うとも、どのような時代であれ政治の原点は平和憲法を守ることだと信じている。ここでは戦後の憲法について資料を集めたが、さらに皆さんにお知らせしたい動画を紹介させていただく。

報道特集 戦争と憲法 ~平和憲法の原点に迫る (2017/8/5 放送)
前川さんの話をきく会(2017年8月2日(水)福島県文化センター)
2017年7月30日(日)君島東彦「憲法をめぐる最近の政治情勢」
サンデーモーニング・風をよむ「~”保守”~」2012年10月28日放送
岡野八代教授(同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科)の講演動画を3本ご紹介します

8月15日終戦記念日に平和を願い追記
 北朝鮮の馬鹿な三代目が国民を鼓舞するために、グアム島近海に大陸間弾道弾を発射すると宣言している。これにアメリカの自制心の働かない大統領が「これは戦争だ」とわめき、日本の馬鹿な3代目が日本の存立危機事態になった場合は迎撃すると呼応している。喧嘩はエスカレートし馬鹿を見るのはどこの国も国民だ。日本の3代目は閣議決定で憲法を無視した「集団的自衛権」を解釈憲法として不法に採用し、「戦争放棄」から米国に追従して「戦争ができる国」への道を歩もうとしている。日本の平和憲法は世界に誇るべきでみっともないものでは決してない。戦後72年にしてなおアメリカ軍基地がおかれ、いつまでも属国とされていることを恥としない安倍首相こそ、政治の私物化までして恥ずべきでありみっともない。

「国民にとって実に不幸」 河野洋平氏が安倍外交を批判

なぜ岸信介は「A級戦犯」として起訴されなかったのか
安倍晋三の爺さんの岸元総理大臣は、A級戦犯ですが、死刑を逃れるために、アメリカのスパイになり、国を売った「売国奴」だそうです。アメリカ公文書館の記録に残る事実です。
岸信介はA級戦犯だったのに何で総理大臣になれたのですか?
安倍首相の祖父・岸信介衝撃発言!あれは「侵略戦争だった!!」
小田実 後藤田正晴 遺言

初稿 2017年8月14日 追加更新 2017.8.20