第25回参院選(21日投開票)の選挙戦で最後の日曜となった14日、主要6政党が候補者を擁立した大阪選挙区(定数4)では、最後の1議席を巡って女性の新人2人がデッドヒートを繰り広げた。リベラル勢力の復権を目指す立憲民主党・亀石倫子氏(45)と、16年の前回参院選に続いて2議席獲得を狙う日本維新の会の梅村みずほ氏(40)だ。報道番組のコメンテーターなども務める「美人弁護士」と、2児の母である「庶民派フリーアナウンサー」の戦いを追った。

(古田 尚)

 なにわの地で熱い女の戦いが続いている。残り1週間となった選挙戦。弁護士として、最高裁がGPSを利用した捜査は令状がなければ違法との判断を示した事件などを担当した亀石氏は「自由に生きちゃダメですか?」をキャッチフレーズに、「社会を覆う窮屈さから自由になろう!」と声を上げる。庶民の町・大阪では、ともすれば女性の反感を買いかねないキャリアウーマンだが、高さわずか約50センチの台から有権者に目線を合わせ、男女の雇用や賃金格差についても訴える。

 メディアでも活躍する著名候補だけに、陣営は当初、「無所属で出馬しても10万票は取れる。無党派層を取り込む伸びしろも一番ある」と期待していたが、公示前は独自の情勢調査で5位と苦戦。旧民主、民進の候補者は前回、前々回の参院選とも落選するなど大阪では地盤を失っており、重点選挙区として枝野幸男代表(55)、蓮舫副代表(51)ら党幹部が何度も大阪入りしてきた。

 陣営は選挙戦中盤に来て3、4番手に浮上したと見込んでいる。ラストサンデーのこの日も枝野代表が応援に駆けつけて「豊かさを感じられないのは政治が間違っているから。皆さんの1票で政治を変える。動かす。投票に行ってください」と訴えた。

 一方、フリーアナウンサーの梅村氏は「庶民派」を前面に打ち出して対抗。7歳男児、5歳女児の母として「日々の食費、スマホのプラン見直し、保険見直し、最後は住宅ローン。当たり前の節約です。(維新の金看板)『身を切る改革』なんです」と声を張り上げる。子供連れの女性とハグをするなど「主婦、母親の味方」をアピール。擁立が6月中旬にずれ込んだため有権者への浸透が心配されたが、松井一郎代表(55)は「家庭の母として、永田町とは全く違う感覚を持っている」と太鼓判を押す。

 維新は13年の参院選でトップ当選した東徹氏(52)も擁立しており、松井氏は「(家庭内で)東と梅村に1票ずつ分けてもらいたい」と異例のお願いを続ける。16年参院選に続く2議席獲得へ、東氏が6年前に得た約106万票を効率よく分散しようと躍起だ。

 4月の大阪府知事・大阪市長ダブル選、6月の堺市長選で連勝するなど、橋下徹氏(50)の政界引退後も底堅い人気を誇る維新。前回に続く2議席獲得か、はたまた20年間大阪に根を張って活動してきた美人弁護士によるリベラルの復権か。対照的なキャリアの2人は、ともに双方への批判は控えつつ最後の1議席を争う。最終盤まで情勢は拮抗(きっこう)の様相だ。

 ○…与党は自民現職の太田房江氏(68)、公明現職の杉久武氏(43)が立候補。自民は2人目の候補者擁立を見送り、公明は「常勝関西」と呼ばれる地盤を誇るだけに、維新・東氏とともに優勢が伝えられる。13年参院選で共産候補として15年ぶりに大阪選挙区での議席を獲得した現職・辰巳孝太郎氏(42)、国民民主の新人でスリランカ出身のタレント・にしゃんた氏(49)も、4議席目を巡って追い上げを図っている。

 ◆大阪(改選定数4)

 浜田  健53 諸新

 太田 房江68〈1〉自現

 東   徹52〈1〉維現

 足立美生代47 諸新

 亀石 倫子45 立新

 にしゃんた50 国新

 杉  久武43〈1〉公現

 梅村みずほ40 維新

 尾崎 全紀48 諸新

 数森 圭吾39 諸新

 辰巳孝太郎42〈1〉共現

 佐々木一郎68 諸新

※敬称略、届け出順。<>数字は当選回数。年齢は21日の投開票日現在