自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

常識とは何だ!~政治も経済も「情報」である⑧

2018-11-18 15:39:35 | 自然と人為
 「歴史」は勝者によって書かれるように、「常識」はその時代の支配者によってつくられる。人によって“生きる価値”の尊さと重みは変わらないし、「お金」や経済も人によってその機能が変わるものでもない。全ての人々が“生きる価値”を全うするために、「お金」と「経済」は本来はある。しかし、人類が生きていく本来の姿から、今の資本主義の「常識」は2つの道を誤っている。

 その一つ、物々交換を補う役目であった貨幣が、今では主人公になってしまった。経済の実態である生産や労働から、経済の主役が仮想物の「お金」に逆転した。お金で何でも買えるし、お金がないと生きて行けない。経済の目的が利益第一主義となり、お金の量=労働と生産物の価値の量」というお金の裏付け(動画)を失い、「お金の量>価値の量」となってしまった。溢れたお金は政府の借金で発行されたものであり、その借金は子供の代まで税金として残される一方で、富裕層は株や不動産で豊かになる。同じ人間なのに貧富の差が拡大し、貧しさは2代、3代と受け継がれる。豊かなはずの『日本の貧困率(15.6%、2015年)の高さは国際的に見ると、米国(16.8%、2015年、資料OECD)に次いでG7中ワースト2位。さらに、ひとり親世帯ではOECD加盟国35カ国中ワースト1位』だ。(7人に1人が生活に苦しむ?経済大国・日本の「貧困」の実態)より引用。この経済の実態の矛盾を誰も気にしない。
 参考:経済について大西先生から学ぶ~政治も経済も情報である②
     国家経営のあり方(前編)(後編)


 もう一つ、現在の資本主義が人類が生きる自然と生態系を無視していることを指摘しているのが、“里山資本主義”だ。人類は自然から離れては生きて行けないのに、自然から離れることが進歩だと錯覚し、宇沢弘文『自動車の社会的費用』が指摘した環境汚染等の長期の経費の負担を、利益を追求する経済は無視している。
 参考:なぜ人類は「お金」という概念を生み出したのか?
     経済について大西先生から学ぶ~政治も経済も情報である②


1.時代遅れの資本主義~自立した個人が自由に生きる社会を求めて
 戦後の貧しい時代は、政治の力は実体経済の回復に向けられた。しかし、年収1億円以上が珍しくない豊かな時代になると、多くの国民には実感はないかも知れないが、政治は富裕層を優遇するようになった。貧富の差が世襲されるように、権力と関係する政治も世襲される。権力を求めるという点で、政治と大企業、富裕層が繋がるのは、何処の国も同じなのかもしれないが、豊かな国のはずの日本で貧困層が多いのは何故だろう。それは政治の世襲により、政治家と大企業や富裕層との繋がりが強くなり、政治家に国民の為の政治という感覚がずれてきているからであろう。国民のために何が必要で、何が大切か、その基準は育った環境で変わってくる。戦後の物のない時代と今の豊かな時代では、資本主義の使命は変わっているが、世襲の人脈ではこの変化に気が付かない。これは戦争から敗戦、そして戦後と続く日本の権力構造は政治の対象が変わっただけで、「政治とは人間の尊厳を尊重すること」という政治の本質を問う意味では変わっていない。
 参考:2018.7.16「資本主義がダメな理由(1)」大西つねきの週刊動画コラムvol.35 (動画)
     2018.7.23「資本主義がダメな理由(2)」大西つねきの週刊動画コラムvol.36 (動画)
     2018.9.24「大西つねきの政治の原点(1)金融編」 (動画)
     2016-10-01 大西つねき講演「目からウロコの財政金融基礎知識」 (動画)
     ”生きる価値”を問う~政治も経済も「情報」である⑥


2.日本の政治の支配者が犯した罪~原爆投下とソ連侵攻
 1945年7月26日、日本に対する無条件降伏を勧告したポツダム宣言を知った『日本政府首脳は・・・鈴木首相が「黙殺する」という声明を発表した。それは連合国側に「拒否」と受け取られ、連合軍に次の軍事ステップである原爆投下に踏み切らせる口実を与えた。』大本営陸軍部は1945年4月20日、「国土決戦教令」(2)を発表していたという。
 原爆を広島に落とす口実を与えたのは日本政府であり、長崎に落とされても本土決戦を主張した陸軍は、的確な国際状況判断より自分たちの妄想を優先させた。国民を大切にしない政治が、戦争の惨禍だけでなく、日本への2つの原爆投下とソ連侵攻を許す結果となった。
 しかし、良心的な番組のはずの「サンデーモーニング:2018.11.18」は、ソ連の北方4島侵攻(動画)について明らかな嘘の報道をしていた。
                参考:ヤルタ秘密協定と北方領土問題の真相
  
 ポツダム宣言受諾後のソ連の戦闘や、ソ連対日宣戦布告の資料があるように、日本政府のポツダム宣言受諾が遅れたことが、ソ連の参戦に口実を与えてしまったと思う。この表現では、アメリカもポツダム宣言受諾後に、原爆を2回も日本に落としたと言うのと同じではないか?
 参考:ポツダム宣言受諾か否か…会議の最中、人類史上2発目の原爆が落とされた
     「国土決戦教令」
     大本営陸軍部「国土決戦教令」の衝撃
     敗戦と新憲法~政治も経済も「情報」である⑤
     戦後(独立後)の政治~政治も経済も「情報」である⑦


3.豊かな時代における経済成長至上主義のアベノミクスの誤り
 2006年(平成18年)9月、「美しい国づくり内閣」と命名し、「戦後レジームからの脱却」を訴えて、世襲だからこそ52歳の若さにして「憲法改正」に熱心な「安倍内閣」が出現した。「美しい言葉」を使って過去を目標とするのが保守かも知れないが、「アメリカに押し付けられた憲法」を改正すると言いながら、「アメリカに押し付けられた基地」で沖縄や国民を苦しめ、アメリカに従属する矛盾した政治で国民ではなく大企業や富裕層を優遇している。それが世襲で首相となった安倍政治の「常識」なのだろう。もっとも基地があることでアメリカを身近に感じる沖縄の若者や、大企業は憧れの就職先であり、富裕層に仲間入りすることを夢としている若者もいるだろう。金融緩和でお金をばら撒けば、株は高騰して富裕層は儲かるだろうが、そのお金は貧困層には廻って来ない。 
 若者の個人的な夢と政治の実態は何時の時代も乖離するが、「自立した個人」とは「他者を尊重できる個人」に成長することだと思う。
 参考:「戦後レジームからの脱却」という大嘘
     安倍晋三の「戦後レジームからの脱却」とは、対米隷属の強化のこと
     日本国内における富裕層、貧困層の格差問題
     所得1億円超の金持ちほど税優遇される現実
     「アベノミクスの功罪(1)」大西つねきの週刊動画コラム(2)(3)
     DVD「目からウロコの経済の話」〜予告編


4.マネー資本主義の誤り
 お金が主役となり、経済をお金だけで考える金融工学(マネー資本主義)が、経済をさらにおかしくしている。2006年 ガウス賞を受賞した伊藤清先生の「伊藤の定理」は、確率論的な動きを積分することで、ランダムな曲線を方程式で表すことを可能にしたが、これが金融工学に利用され、ノーベル経済学賞を受賞したそうだ。ノーベル賞はノーベルの遺言に従って、物理学、化学、医学生理学、文学、平和の5つの賞が設けられたが、経済学賞はスウェーデン国立銀行が創立300周年を記念して1969年から始まったもの。しかも、ノーベル経済学賞受賞者の作った最高のヘッジファンドが多額の損失を抱えて破綻したこともあり、経済学賞の権威は大きく失墜した。お金の裏付けである「お金の量=価値の量」(動画)は守らねばならない。ここでは伊藤清先生の研究を中心にして、金融工学の資料を集めておいた。金融工学はこれから経済学でどのような位置を占めるのであろうか?

関西確率論セミナー(1985年) 講演者 伊藤 清(1915年9月7日-2008年11月10日)
ガウス賞記念講演会 14:00~15:00(プログラム最下段)
伊藤清先生:米国ウォール街で最も著名かつ尊敬される日本人
  佐和 隆光 氏 (京都大学 名誉教授) WindowsMedia版 5:08-35:20(日本語)
伊藤清先生と確率解析-分布系列から標本路へ
  福島 正俊 氏 (大阪大学 名誉教授) WindowsMedia版 0:43-25:45(日本語)

参考:マネー資本主義(動画) 
  第1回“暴走”はなぜ止められなかったのか~
  第2回“超金余り”はなぜ起きたのか?~
  第3回 年金マネーの“熱狂”はなぜ起きたのか~
  第4回 ウォール街の“モンスター”金融工学はなぜ暴走したのか~
  最終回 ~危機を繰り返さないために~
  リーマン・ショックがなぜ起こったか、経済理論で説明できますか?
  金融工学の嘘とホント(第1回)(第2回)
  金融工学という詐欺
  数理ファイナンスが示唆する分散投資のウソ①
  金融工学と数学と物理学の違い ①
  不確実な未来に備える数学の力 —金融の世界に革命を起こした2つの数学理論—

  日本の貨幣の歴史貨幣の誕生貨幣史貨幣誕生のメカニズム
  貨幣誕生の歴史紙幣誕生の経緯を調べてみる


5.欲望の民主主義、欲望の資本主義(資料)
BS1スペシャル「欲望の民主主義~世界の景色が変わる時~」 (前編)(後編) 動画
欲望の民主主義 分断を越える哲学』より「民主主義は情報処理の特定の形なのです。民主主義とは、一つの制度であり、同時に人間の行動を組織化する方法です。」
欲望の時代の哲学「マルクス・ガブリエル 日本を行く~」(動画)
B1スペシャル「欲望の資本主義~闇の力が目覚める時」 (前編)(後編) 動画
B1スペシャル「資本主義の未来」(動画)
(1)~お金が消える!?(2)仕事がなくなる!?(3)借金に潰される!?
マネーワールド「資本主義の未来」(動画)
(1)世界は成長を続けられるのか(2)~国家×超巨大企業」(3)巨大格差 その果てに


欲望の経済史~日本戦後編~(動画)
1 焼け跡に残った戦時体制 終戦~50s
2 奇跡の高度成長の裏で~60s
3 繁栄の光と影が交錯する~70s
4 ジャパン・アズ・ナンバーワンの夢~80s
5 崩壊 失われた羅針盤~90s
最終回「改革の嵐の中で~2000年代

欲望の経済史~ルールが変わるとき~ (全6回)
①時が富を生む魔術~利子の誕生(動画)
②空間をめぐる攻防(動画)
③勤勉という美徳(動画)
④技術が人を動かす(動画)
⑤大衆の夢のあとさき(動画)
特別編(動画)

6.月収1000万円以上分の所得は国庫納付へ
 「所得1億円超の金持ちほど税優遇される現実」がある。所得1億円までは所得税負担率が上昇していくが、1億円を超すと負担率が下がっていく。欲望の時代、自由と欲望の違いを明らかにしなければならない。自由であることが資本主義を成功させてきたが、欲望には際限がない。お金への欲望は日本では卑しいとされたはずだ。労働や仕事で名声を得て、それが収入になることはあっても、収入が目的の仕事は人間を卑しくする。庶民の感覚で言えば、月収1000万円以上のお金は生活に必要ないので、この分は国庫納付しては如何か。土地の国有化の考えもあるが、政治家や官僚の裁量権を大きくすると、彼らも欲望で国民の為の仕事を忘れる。「貧乏だけど仕事で名声を得る」ことが日本人には好きな物語だ。とにかくお金が目的にならない社会を、皆で知恵を出し合い、創って行くことがこれからの時代に必要だ。
 数億円も所得がある人は、新しい事業(高齢化社会対策、労働力不足対策、少子化対策、里山資源管理等)を国に任せるのではなく、これを健全な事業に育てるための名誉ある投資に使うべきであろう。
 参考:語られないアメリカの格差 格差拡大の原因は「富裕層と貧困層の分離」に
  どうする格差大国アメリカ〜なぜ「中間層」はこんなに衰退したのか
  アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ
  アメリカで機会格差の拡大が起きた理由
  格差拡大の原因は何か。「グローバル化」より影響大な「偏向型技術進歩」
  格差と貧困
  アメリカ経済を考える「格差問題に関する米国の論点(6)~一般教書では教育に力点」
  これから「格差」の話をしよう。なぜトップ1%の資産が、残り99%より多いのか?
  アメリカの格差と貧困がどれほどのレベルに達したのかがわかる
  国連人権高等弁務官事務所公式レポート



初稿 2018.11.18 更新 2019.1.28 更新(ブログ目次削除) 

古い政治と新しい政治~政治の常識を根本的に変えるのは若者の皆さんだ。

2018-11-09 22:04:53 | 自然と人為

 2018年11月9日、また銃乱射事件(アメリカ・カリフォルニア州で元海兵隊員により、12人が死亡)が起きた。PTSD心的外傷後ストレス障害)が疑われ、本人も現場で自殺している。戦争は人格を破壊すると言われるので、本人も海兵隊の犠牲者であったのだろうが、このことは戦争の犠牲者が、さらに一般社会の犠牲者を生む連鎖反応だ、と私は思う。

 日本は戦後70年以上もアメリカの属国にされているが、そのアメリカは戦争により産軍複合体が儲け、市民社会における銃規制さえできない国だ。1791年制定の憲法修正第二条(2)に、「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」と定めてある。アメリカは銃乱射事件が繰り返されても、明治維新よりも前の憲法を未だに変えない国だ。いろいろ理由は言えるだろうが、アメリカの保守層・共和党の背景には軍需産業全米ライフル協会NRA)の力があり、政治家になるためには彼らの意見に従うのが近道と思うからだろう。政治家を志す動機が不純なのは、アメリカも日本も大きな違いはないのかも知れない。

 古い政治とは「国民の支配と自分の欲望が混合した下品で動物的な政治」、新しい政治とは「世の中を支配している下品で動物的な政治への怒りから立ち上がった政治」と、取り敢えず定義しておこう。官僚も自分の出世と国民の支配に満足する財務省タイプと国民の側に立って考えるタイプがあるだろう。今ではテレビ局も大企業でジャーナリストを目的とするより、社内での出世に熱心な社員が多いそうだ。これらの構造は何時の時代もあるのかも知れないが、国民が政治に拒否反応を示すのは、政治の美辞麗句と官僚の嘘、テレビ報道の真髄をつかない展開の裏に、胡散臭さを感じるからではなかろうか。

 日本の軍事力を強化しなければ外国に軽くみられるという意見もあるようだが、軍を動かすのは国民ではなく国家の支配者だ。国家の支配者は戦争の現場に責任を持たないし、国民はメディアによって不安を煽られる。しかし、いずれの国でも、戦争の被害は必ず国民に重くのしかかる。戦争は国の命令による殺し合いであり、いずれの国民にとっても、本当は敵も味方もないはずだ。

 若者の政治離れが進んでいる。若者に「政治への希望」を持って戴くために、「山本太郎」さん、「黒川敦彦」さん、「大西つねき」さんの動画を紹介しておく。今、政治の常識が変わりつつあるが、政治の常識を根本的に変えるのは若者の皆さんだ。

 20181102山本太郎街頭記者会見
 山口4区 黒川敦彦さん「これから二週間がんばってまいります!」 
 「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表・黒川敦彦氏
 「大西つねき」さんから経済を学ぶ
 経済について大西先生から学ぶ~政治も経済も情報である②

 三橋貴明【お金とは、経済とは何か?】
 自民党総裁選へのえも言われぬ違和感の正体(ダイジェスト)
 安倍首相の祖父・A級戦犯岸信介の正体(前)(後)
 志位和夫「日本共産党」委員長、定例会見 2018 10 18

講演会 “生きる価値”と『経済は「お金の量=生きる価値の量」で成立する』を考える
         人によって“生きる価値”の尊さと重みは変わらない。
         全ての人々が“生きる価値”を全うするために、「お金」と「経済」はある。

         参考:“生きる価値”を問う~政治も経済も「情報」である⑥

 講師 
 三谷克之輔(広島大学名誉教授)「人間=動物+道具+情報」30分
 大西つねき(フェア党党首)「消費税(動画)お金の発行のしくみ(動画)90分
 討論 60分

 主催 畜産システム研究所(移転記念講演会:事務所は東京の予定
 場所:福山市西部市民センター ホール(200~500人収容)
 日時:2019年4月28日(日)13:30~16:30
 参加費 無料

 参考:エマニュエル・トッドに聞く(動画)
 世界経済危機とアメリカ帝国の崩壊/講演
 世界経済危機とアメリカ帝国の崩壊/対談
 グローバリズムの弊害 保護貿易と米中関係
 エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く

 参考;里山資本主義 藻谷浩介さん(動画)
 第1回 現代日本社会はフィクションである!?
 第2回 日本人の議論はほぼ妄想から。
 第3回 知られざる国際競争力が高い国の共通点とは?
 第4回 日本人が目指すべきはヨーロッパ型か?アメリカ型か?あるいは?!
 第5回 子供に、生きる意味を聞かれたら?
 第6回 普通に目を覚ましたらよいだけのこと。
 第7回 みなさんの努力は間違っていない。


初稿 2018.11.9 更新 2018.11.11


戦後(独立後)の政治~政治も経済も「情報」である⑦

2018-11-06 15:14:05 | 自然と人為
6.戦後の政治もまた、改憲をめぐる攻防から始まった
 憲法は占領軍(GHQ)の下に帝国議会で制定実施されたので、「押し付けられた」とか、「日本の意志が入っていない」とよく言われる。しかし、「家制度」が尊重される一方で、男女平等もなかった日本の「常識」を がらりと変えた憲法24条があることを多くの人は知らない。
 また、占領解放後の1952年10月1日に実施された衆議院議員総選挙で、「公職追放」組(参考:第一次戦犯指名)は、日本を反共の砦にしたい米国の思惑もあり、念願の政界復帰を果たした。日本が戦争をできないようにするためのGHQの政策に対して、戦争責任で公職追放された人々は戦後の憲法を否定した。そして戦後の政治は、「改憲をめぐる攻防から始まった」のである。今も、憲法改正論議は公職追放の岸信介の孫である自民党安倍首相の陣頭指揮で続いている。
 参考:「日本国憲法を生んだ密室の九日間」(1993.2.5 放送)(動画)
     第四次吉田茂内閣 1952.10.30-1953.5.21
     先人たちの底力 知恵泉 「白洲次郎」 前編後編 (動画)
     平和条約以後の沖縄と日本外交


7.「対米従属」と「憲法改正」の矛盾
 『1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効したが、その日の夜、吉田茂は「対米協調(というか追従)」を軸とし、アメリカの軍事力で守ってもらいつつ経済発展する道を選び、単独で「日米安全保障条約(安保条約)」に調印した。・・・日本がアメリカから独立したことで力を失った吉田と、逆に公職追放解除で力を得た鳩山・岸。時代は確実に動き始めた。そしてついに、翌1954年12月、自由党の吉田首相は辞任し、日本民主党の鳩山一郎首相が誕生した。・・・そして1955年10月、「日本社会党」が誕生、・・・1955年11月、今度は自由党と日本民主党が合流して、「自由民主党(自民党)」が誕生した。保守合同によりねじれと矛盾が混合して、国民が求めていない「憲法の自主的改正」を「党の使命」とする自由民主党が誕生し、自民党と社会党の55年体制が出来上がる。』(色めき立つ社会党と自由民主党の誕生)より部分引用
 ここに、「対米従属」と「憲法改正」の矛盾をはらんだ自民党政治が誕生し、現在、安倍首相は憲法改正を政治家の使命としている。憲法は権力が国民を支配することを禁止するためにあるのに、その禁じ手を首相自ら破ろうとしている。憲法は民主主義を守る「自立した個人」が育たない国内問題もあるが、それよりも多様な価値観を持つ世界の人々の生き方を束ねる国際的な土台(動画)である。人間の集団が狂暴になるのは戦争中だけではない。ドイツ敗戦後にヒトラーへの復讐心に燃えた集団の狂気の異常を、アフター・ヒトラー 前編後編は教えてくれる。
 第2次大戦で米国は日本に原爆を2発も落とした。戦後は日本の武装解除を目指したが、今は再軍備させて米国のために自衛隊を戦に参加させようとし、北朝鮮に対しては核武装解除を強く求めている。使えない核武装に拘る北朝鮮も時代錯誤だが、核兵器の小型化に熱心な一方で、核兵器禁止条約には反対し、日本にも反対させる米国もガキ大将そのものだ。しかも子供ではない。米国は産軍複合体が防衛戦略で儲けている国だ。戦争を放棄した日本の主体性を強く主張しないで、没落の傾向が見え始めた「米国」と共に戦うために、世界の平和を守る憲法9条をなし崩しで無効にしようとする愚かな日本の政治であることよ!政治にとって、戦争放棄は必須条件だ!

 参考:『映画 日本国憲法』予告編(動画)
     
 サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日は「沖縄屈辱の日」でもある。独立の気概を持たず、国民を犠牲にし続けるこの異常事態を、メディアは報道しない。「国民の為に働くという国やメディアのタガが緩めば、愛国心という道徳の美名(動画)の下に国家優先主義が頭を持ち上げ、気が付けば国民の自由が奪われている。
 参考:「愛国と教育」は何を目指すのか?(動画)

8.自民党の新綱領と新しい憲法の制定
 自民党の改憲案の前文には、『国民統合の象徴である天皇を戴く国家である』ことをわざわざ明記し、第一章 天皇の第一条には『天皇は日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存在する日本国民の総意に基づく』とある。これは日本国の伝統である家族制度を、国にまで拡張して、国の家長を天皇とした解釈であろうが、憲法の第一条に「天皇は日本国の元首」であると明示しながら、『その地位は国民の総意に基づく』とした矛盾はどう説明するのか!元首は地位ではないとしたら、何を示すのか!

 この点について現憲法と比較してみよう。現憲法の前文では、『「諸国民との協和」による成果とわが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する』とある。第一章 天皇については、『第一条 天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存在する日本国民の総意に基く』とある。天皇は象徴であり、その地位は国民の総意に基づくのだから矛盾はない。しかも現憲法の第2章 戦争の放棄は、自民党案では第2章 安全保障に変えられ、第9条の2に国防軍が追加されている。一方で国民の自由を道徳で規制し、もう一方で戦争を準備する。これが時代に逆行した自民党の常識であろうが、彼らはその古い常識を誇りにしているようだ。その一方で、「自立した個人」が育たない日本にあって、現天皇・皇后は「象徴天皇」を見事に根付かせていただいた。
 参考:日本国憲法誕生 全編(動画)
     日本国憲法の草案はメイドインジャパン(動画)
     「憲法と日本人~1949-64 知られざる攻防~(動画)
     Japanデビュー:2回天皇と憲法~憲法の日本の120年(動画)
     NHKスペシャル「憲法70年 平和国家はこうして生まれた」(動画)
       「憲法を考える」① ~ 民衆が作った「五日市憲法」とは?(動画)
      政府が明治維新150年を祝う式典 天皇陛下は出席せず



初稿2018.11.4 更新 2019.3.13 更新(ブログ目次削除)

5分で分かる「西郷どん」

2018-11-06 12:10:36 | 自然と人為
NHK大河ドラマ「西郷どん」①
NHK大河ドラマ「西郷どん」②
NHK大河ドラマ「西郷どん」③
NHK大河ドラマ「西郷どん」④

以下は項目のみ
「西郷どん」第1回『薩摩のやっせんぼ』
「西郷どん」第2回『立派なお侍』
「西郷どん」第3回『子どもは国の宝』
「西郷どん」第4回『新しき藩主』
「西郷どん」第5回『相撲じゃ!相撲じゃ!』
「西郷どん」第6回『謎の漂流者』
「西郷どん」第7回『背中の母』
「西郷どん」第8回『不吉な嫁』
「西郷どん」第9回『江戸のヒー様』
「西郷どん」第10回『篤姫はどこへ』
「西郷どん」第11回『斉彬暗殺』
「西郷どん」第12回『運の強き姫君』
「西郷どん」第13回『変わらない友』
「西郷どん」第14回『慶喜の本気』
「西郷どん」第15回『殿の死』
「西郷どん」第16回『斉彬の遺言』
「西郷どん」第17回『西郷入水』
「西郷どん」第18回『流人 菊池源吾』
「西郷どん」第19回『愛加那』
「西郷どん」第20回『正助の黒い石』
「西郷どん」第21回『別れの唄』
「西郷どん」第22回『偉大な兄 地ごろな弟』
「西郷どん」第23回『寺田屋騒動』
「西郷どん」第24回『地の果てにて』
「西郷どん」第25回『生かされた命』
「西郷どん」第26回『西郷、京へ』
「西郷どん」第27回『禁門の変』
「西郷どん」第28回『勝と龍馬』
「西郷どん」第29回『三度目の結婚』
「西郷どん」第30回『怪人 岩倉具視』
「西郷どん」第31回『龍馬との約束』
「西郷どん」第32回『薩長同盟』
「西郷どん」第33回『糸の誓い』
「西郷どん」第34回『将軍慶喜』
「西郷どん」第35回『戦の鬼』
「西郷どん」第36回『慶喜の首』
「西郷どん」第37回『江戸無血開城』
「西郷どん」第38回『傷だらけの維新』
「西郷どん」第39回『父、西郷隆盛』
「西郷どん」第40回『波乱の新政府』
「西郷どん」第41回『新しき国へ』
「西郷どん」第42回『両雄激突』
「西郷どん」第43回『さらば、東京』
「西郷どん」第44回『士族たちの動乱』
「西郷どん」第45回『西郷立つ』
「西郷どん」第46回『西南戦争』


初稿 2018.11.6 更新 2020.2.23