自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

「議事録非開示」の実態を制度化する「特定秘密保護法」の危険

2014-10-25 18:27:02 | 牛豚と鬼

本日、平成26年(2014年)10月25日の毎日新聞朝刊の一面は「原発ADR:議事『不開示』」の記事であった。平成26年10月14日には、国と国民の安全を確保するために「特定秘密保護法」が必要だとして、その施行令および運用基準等が閣議決定されたばかりである。

しかし、国と国民の安全を確保するために公開すべき情報を、国こそが「議事録非開示」で日常的に秘密にしているのが実態であり、そのような行政の秘密主義をさらに強固にして、無知蒙昧にして支配欲旺盛な国が、賢明な国民を「見ざる言わざる聞かざる」にさせて、破綻に向けて暴走してしまうようで恐怖を覚える。

宮崎口蹄疫でワクチン接種して全頭殺処分したことで、地域と農家は戦場と化してしまったことは記憶に新しい。家畜の処分と我が国の安全保障とは関係ないと言われるかも知れない。しかし、「ワクチン接種で感染拡大を阻止できる」という世界の常識を無視し、国民が知るべき情報を「議事録非開示」として、科学的根拠のない防疫措置を実施している国の実態を知れば、情報の隠蔽を実質的(精神的)に制度化するような「特定秘密保護法」がいかに危険であるかが認識できる。

口蹄疫の防疫対策は、制度的には家畜衛生部会の「牛豚等疾病小委員会」が検討しているが、第4回から第19回までは議事概要しか公開せず、議事録は非開示となっている。

ここでは、平成22年9月14日の「議事録開示請求」に対して、農水省が平成24年5月21日に黒塗りの議事録を開示した実例を紹介したい。

この情報開示までの過程で情報公開・個人情報保護審査会は、「諮問庁(農水省)から提出された(非開示の)理由説明書は、うそだらけの杜撰(ずさん)なものであり,主権者を愚弄するもので遺憾である」と、厳しく情報開示を指示した。それでいてなお黒塗りの議事録開示のふてぶてしさである。

とにかく戦時を思わせる「黒塗りの議事録」を見て欲しい。すべての情報が黒塗りにされ、しかもマスメディアが情報の捏造に協力する時代はもう来ているのである。この点について、ワクチン接種に関する議論があったと思われる第12回牛豚等疾病小委員会の議事録について当ブログで問題点を指摘している。

「君あり、故に我あり」が私の信条であり、国民のために誠実に真実を追究して、国民の幸福に貢献することは義務だと思っている。税金で仕事をし生活している議員や学者を含む公務員が、「我あり、故に君あり」と国民の支配に熱心であることは、国民の基本的人権を無視した憲法違反であり、公務員を免職すべき行為である。

人種差別と憎悪と支配欲に満ちた異常人格者が、ドイツを支配した「ヒトラーの権力掌握への道(前編)(後編)を決して忘れてはならない。


2014.10.26 更新1  2014.11.17 更新2


ニック・マークスが語る地球幸福度指数

2014-10-20 16:58:34 | 自然と人為
NHK「スーパープレゼンテーション」で、ニック・マークスが語る「The Happy Planet Index(地球幸福度指数)」を知った。これから「地方創生」について考えていきたいが、考え方の貴重な資料になると思うので、まずは、TED日本語(動画)講演の文字起こしを紹介したい。

ニック・マークスの講演は、冒頭でマーティン・ルーサー・キングの言葉「私には夢がある」(2)から入り、アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの実弟で1968年に、民主党の大統領候補指名選のキャンペーン中に暗殺されたロバート・ケネディの言葉「国民総生産は全てを測ることができる。人生の価値を高めるもの以外は。」を紹介している。この言葉は、半世紀も前にすでに経済と幸福との関係を鋭く指摘したものである。幸福な国として知られているブータンは1971年に国連に加盟した際に『繁栄と幸福』を強調したが、今やGDP(Gross Domestic Product/国内総生産)よりは、GNH(Gross National Happiness/国民総幸福量)を重視するブータン国の考えは、世界に影響を及ぼしてきている。

「地球幸福度指数(The Happy Planet Index)」は「地球資源の利用に対する幸福の産出量を測定し、その効率を知ることです。」、

    

「グラフの横軸はエコロジカルフットプリントです。資源の使用料と地球への負荷を示しています。縦軸は『幸せに生きられる年数』を示しています。国の福利に関することです。『幸せ』を掛け合わせた平均余命のようなものです。国における人生の量と質を示したものだとも言えます。黄色い点が世界の平均値です。グラフの右上は幸福を生み出してはいるが、そのために大量の資源を使っている国で、アメリカ、ヨーロッパ諸国、一部の湾岸諸国がここにはあります。左上は地球を犠牲にせず良い暮らしが行われています。ラテンアメリカです。一番上にある国はコスタリカです。コスタリカは99%のエネルギーを再生可能な資源から生み出し、2021年までにカーボンニュートラルを実現する約束した最初の国の一つです。1949年には軍隊を廃止しました。そして、健康や教育といった社会プログラムにお金を使っています。コスタリカの識字率は世界最高水準で、しかもラテンの気質を持ち社会とつながっています。我々はよく考えなければなりません。未来に向けて目指すべきは、北米や西欧型の社会ではなく、ラテンアメリカのような社会かも知れないのです。」

国の繁栄を難しい経済学で考えなくても、「君あり、故に我あり」と考えるだけで、君は地球であり、自然であり、世界の国々であり、隣国であり、地域の人々であり、隣人であり、家族であり、愛する人であることは当然のことだと理解できる。「経済は知っていても経済学は知らない」として反リフレ派を馬鹿にし、お金と市場が全てかのようにお札を刷ってインフレ目標を設定し、トリクルダウン(2)とかで大企業や資本家を優遇し、そのお零れが庶民にも滴り落ちるとして、格差を拡大させている「理論経済学」というもののどこを信用しろというのであろうか。

「我思う、故に我あり」は科学革命に貢献した点は認めるにしても、それが行き過ぎて「我あり、されど君は認めず」となった自己中心主義は、解脱すべき欲望はあっても正当化すべき何の根拠もない。それは地球にとっても、世界にとっても、国や人々にとっても、もろくて危なくて迷惑な「唯我独尊」に過ぎない。

小金芳弘氏は「永年抱いていた(理論)経済学に対する不満について述べておきたい」とし、「現在の(理論)経済学は経済現象をあたかも(自然法則にしたがって動く)自然現象と同じように扱おうとしている。つまり,人間が作り出している経済外的要因のさまざまな影響を受けている経済現象を,あたかも(物的法則に従って動いている)自然現象と同じように扱い,その経済現象の変動に関する法則性を立証しようとしている。経済現象―物価,景気,雇用,賃金,株価など-は,人間がかかわってこそ現れる現象であり,経済以外の政治,文化などさまざまな要因が複雑に影響をし合っているのに,それらを除去して実験室の中で起こっている現象と同じように扱おうと思考している。その結果,理論経済学では,経済外的要因と経済との間の相互依存関係がどうなっているのか,それは時代や地域によって違うのかどうか,などについてほとんど取り上げてこなかった。」と批判されている。

経済外的要因にこそ『幸福』は存在している。経済理論には新古典主義と制度主義があるようだが、アダムスミスの国富論に始まるのが新古典主義で、『道徳感情論』に始まるのが制度主義と考えてよかろう。1971年にブータンは国の繁栄に『幸福』という尺度を導入したが、1972年にローマクラブは『成長の限界』を発表している。我が国も1970年代にオイルショックを経験している。それにも関わらず経済理論では経済成長を目指す新古典主義が国の経済政策を支配している。今こそアダム・スミス「ルネッサンス」により、経済学に『幸福』を導入した制度主義を主流とするパラダイム変換する時であろう。

制度主義の宇沢先生は自然や人間の心を大切にされた。里山資本主義やスモールマート革命等の現場から積み上げた事例で制度主義の理論を深めて、幸福な国を目指したいものだ。


参考:エイジアン・ブリーズ(Asian Breeze) No.50,p.1.(2007.6)

   :幸せになるための5つの行動




地方をどう創生するか~アベノミクスと日本経済の未来③

2014-10-18 21:29:58 | NHK

地域経済の活性化を考える

      『日本経済“未来型モデル”を求めて』 第2部(動画)

司会「本日、ご出演のシューマンさんは、今VTRでご紹介したアメリカでの地域経済活性化の試み、「スモールマート革命」を提唱していらっしゃいますが、シューマンさんは「スモールマート革命」は高齢化社会でも適したシステムだとお考えでしょうか。」

以下は意見の概要を示します。ことにシューマン氏の[冒頭部分]は私の理解で解説的に意訳しました。

シューマン「その通りです。スモールマート革命とは地域と結びついた中小企業が、地域資源を地域で循環的に活用することでお金も地域で循環し、地域経済の自立性と競争力を高め、新たな資産を生み出す効率の良い経済にできることです。アメリカでは「地域で地元の中小企業が多ければ多い程、雇用を生み出すことができる(小さな企業の大きな雇用創生力)」という研究(ハーバードビジネスレビュー)や、「地域企業が多い程、一人当たり所得の伸びも多い」という調査報告(FRB)があります。地元の企業は社会の分配の平等性のために重要です。」

「VTRで紹介されたベリングハム市では、地元の人が地元でお金を落とすと、そのお金の経済的価値が高くなることが示されています。オーストリアのギュッシングにおいても自立の重要性が示されました。よく地域経済についてグローバル経済から離れていると勘違いしますが、そうではありません。ギュッシングはエネルギー自給によって経済力が高まり世界とつながる。皮肉かも知れませんが、地域経済を強化していく中で、グローバル貿易は実は拡大する可能性があるのです。何故かというとスモールマート革命は資産を生み出す戦略であるからです。」

司会「藻谷さんはオーストリアの試みを「里山資本主義」と呼ばれていますが、オーストリアの試みが高齢者が増加する日本の地方においてどのように生かされていくとお考えですか。」

藻谷「『里山資本主義』はNHK取材班と一緒に書かせていただいた本の題名なのですが、去年、私の予想と違い非常に評価していただき、よく売れました。これは今まで無価値の資産、山に生えた木だとか退職された方とか、そういう金銭的に価値がないと思われている資産を活用することによって、一つには思わぬ輸出産業を生みます。オーストリアの場合は木材ボイラーの競争力が高くなっている。他方で、競争力がないとしても水や食料や燃料とある程度自給できる人がいることで、GDPは増えなくても、実際には豊かな生活を営む人が増えると社会的安定性が増す。この2つを社会の保険のようなもの、サブシステムとして導入したらどうかということを言っています。
 ちなみに、スイスとかシンガポールといった国は、これらをうまく組み合わせていて、国際競争をしているようでいて実は非常に地元産のものを大事にしている。スイスフランは今、非常に高いですからドイツより物価が高くなります。はるかに高いのに、スイス人が市場競争の中でスイス製品を選んでいる。このことでスイス経済が強化されて、チーズとか時計のように非常に競争力のある製品が生まれいる。実はローカルな経済とグローバルな経済をうまく組み合わせる方が、グローバルだけよりは強いのではないかというのが、「里山資本主義」の発見です。」

ベネシュ 「二人のとっても良い発想、仰る通りだと思います。ただ、スイス、オーストリア、アメリカは連邦政府で、州の方に財源、権限がある。日本のように東京一極集中型、官僚主導型の経済圏では、そういう方法が成功しますか?」

藻谷「仰る通りです。ただ、経済規模的にはオーストリアは日本では東北地方とか中国5県と同じ規模、九州はもう少し大きい。東京とは違う地方独自でローカルマーケット相手にやって行くと、ヨーロッパの一国と同じようなパワーを持つ企業は生まれてくる。政治的には難しいが、地域を市場とする民間企業の活力には大いに期待しています。彼らが東京に出てこずに世界に直接売りに行くケースが少しづつ出てきている。まだ小さい動きですが、それが出来ていくと日本の政治が地方分権に向かう。よういう順番かなと思います。

シューマン「アメリカは政治的には地方分権しているかもしれない。しかし、経済は集中化しています。アメリカ経済の一つの問題は経済の半分以上が地元の中小企業に依存していますが、長期投資の大半、99%がフォーチューン500社の株に投資されています。これは効率が極めて悪い。長期投資のシステムを塗り替えなくてはなりません。これができれば地場産業はさらに成長します。」

大田「日本の中央集権は特に財政がそうですね。日本の地方で、地方税で賄う比率は平均して3割から4割で、地方交付税とか補助金でかなり中央から移転しています。どこかの誰かが払った税でザービスのかなりの部分を担われているとすると、本当に経済を立て直して行こうとする真剣さが失われていくと思う。ですから、財政の地方分権化を合わせてやっていかねばならない。これが一つの問題。
 それから、地域軸、環境軸が経済に出てきているのは確かで、このこと自体は素晴らしい。しかし、日本では小さいから弱者で保護しないといけないとか、地方は財政支援で守らねばいけないと、弱いところを弱いまま守る発想になりがちだった。
 先程来、シューマンさんも藻谷さんも言われているように、本当の強さを持つためには、消費者に受け入れられなくてはいけない。ニーズにしっかり答えていくダイナミズムを創意工夫が必要である。その点は十分に確認しておかねばならない。地方のものをそのまま活かせばうまくいくという程甘くはない。」

司会「財政面の自立というところまで持っていけるかがポイントかと思うのですが。」

藻谷「財政に関して言うと、東京も2020年までに70歳以上の高齢者が34%増える。その一方で納税する方は微減または横ばいです。ですからどこも財政はきつくなっていきます。そのためにはトータルで支出を減らさねばならず、そのためにも財政の分権が重要ですよね。この範囲内でやってくれ、細かい指示はしないから帳尻を合わせなさいということを地方、地方に考えさせる。太田先生の仰る通りだと思います。」

浜田「今、太田先生の仰った弱いから助けるのではなく、むしろそこに強みがあるというのは日本の農業について最も言える。日本の花は世界的に珍重されている。それから日本食は世界的で、良い食材は日本料理だけでなく中国料理、その他についても日本の野菜でなくてはいけない。TPPで日本の農業を守るのが勝ちだと言われているが、農業の日本の強いところを輸出産業として伸ばす環境を作ることが、コメに700%の関税を掛けて守ることより有効だと思う。」

続いて「和食」や「観光」の問題が日本を売り出す方法として取り上げられ、日本の未来の産業について語られるている。ただ、私には輸出だとか財政だとかを語るのは仮想現実の世界であり、ニッポンの里山で豊かに暮らす価値を見出して欲しいと思う。

初稿 2014.10.18 更新 2014.6.3

地方をどう創生するか~アベノミクスと日本経済の未来②

2014-10-13 17:37:01 | NHK

日本の高齢化社会への人口推移予測と地域経済のあり方

  『日本経済“未来型モデル”を求めて』 第2部(動画)

司会「第2部です。今日は、『日本経済“未来型モデル”を求めて』と題して議論をしています。 第1部ではアベノミクスの1年を振り返り、今年、2014年、日本の経済は順調に成長していくことができるのか議論をしてきました。第2部は長期的に日本の経済を見据えた場合に持続可能な未来型の経済モデルとはどんなものなのか考えていきます。」

司会「長期的な視点から日本を取り巻く状況を見たときに、考慮に入れて置かねばならないことが2つあります。グローバル化と高齢化の二つです。まず、加速するグローバル化、これは成長のチャンスでもある反面、1握りのグローバル企業に富が集中してしまって傘が拡大してしまうのではないかという懸念もあります。そして私達、日本の社会に今、深刻な影響を及ぼすのが少子高齢化ですね。こちらのデータをご覧頂きましょう。日本の将来の人口を予測したものです。

         

2010年に1億2800万人程だった人口は減少を続けていきます。2048年には1億人を下回り2060年にはおよそ8600万人にまで減少してしまう。15歳から64歳までの働く人口、所謂、生産年齢人口ですけれど、赤で示した所、ご覧のように減少を続けていきます。2010年に8000万人を上回っていたのですが、2060年にはおよそ4400万人にまで減少する。一方、65歳以上の老齢人口が、青い部分ですが、2030年まで増加し、2060年には総人口に占める割合が4割にまで達すると予測されています。こうした状況では目覚しい経済成長を遂げるというのは難しいという指摘もあります。」

--- 高齢化社会における経済のあり方を議論した後に ---

司会「本当に、年を取って私達が安心して暮らしていくことができるかどうか、それは足元の生活、地域社会や地域の経済をどうやって維持をしていくかが非常に大事になってくるということだと思います。このヒントになる取り組みをご覧いただきたいと思います。」

VTR①:ギュッシング(オーストリア東部、人口4000人余りの町)
         

オーストリア東部、人口4000人余りの町、ギュッシング。有力な産業もなく財政難に苦しんでいたこの町は、地域で見過ごされてきた豊かな森林に着目しました。まず、木材を燃料とするバイオマス発電で、町で使われるすべての電力をまかなうことを実現。さらに、発電に伴う熱で作った熱湯を住宅や事業所に供給。給湯や暖房に利用し、今や町で必要なエネルギーの7割以上を自給しています。

     

ギュッシング町長「利用されない木材が何千トンも森で朽ちていくのに、なぜ、数千キロも離れた所から石油やガスを運ばなくてはならないのでしょうか。私達は疑問に思ったのです。」

年間6億円もの燃料費が不要になった上、余ったエネルギーを売ることで町の財政を再建することが出来たのです。   

オーストリアは木材を燃料として利用する技術開発を積極的に進めています。

ボイラー会社研究員「30年前、薪を使っていた頃の燃焼効率は60%でした。これに対し最新のボイラーは90%以上にまで達しています。」

燃焼効率は劇的に向上し、エネルギーコストは石油の半分にまで抑えられています。この安いエネルギーを求めて、ギュッシングにはドイツなどから50社程の企業が進出、多くの雇用が生まれています。

VTR②:べリングハム(アメリカ、ワシントン州、人口8万)
     

アメリカでも地域に根ざした経済モデルの試みが始まっています。
ワシントン州、ベリングハム市の人気レストラン。名物メニューの材料は全て地元産。フルサークルバーガー、地域循環バーガーと銘打っています。地元の人の店で地元の商品を買い、地元にお金を落とすという意識を根付かせることで、地域経済を活性化させる試みです。

      

市民「大型チェーン店でお金を使っても、この地域には残りません。株主への配当になってしまうだけです。」

こちらのスーパー、人気の秘密は新鮮で安心な地元産の品々。売り上げが伸びたことで、毎年のように地元の従業員を増やしています。こうした企業が多いこの地域の失業率(7.1%)は全米平均(7.7%)を下回っています。

市民「ここで買い物をすれば、私が支払った代金から多くのお金が地元に還元されるのです。」

地元の商品の購入を12年前から呼びかけてきたNPO代表デレク・ロングさんは、地元の企業を結びつけることで、より多くの富が地域にもたらされると言います。
「これまでの経済のあり方が変わり始めています。環境を重視し、地域に密着したものへと姿を変えつつあります。地元での取引を増やしていけば、地域の経済は一層強化されるでしょう。」

自治体も後押しをしています。地元企業のソーラーパネルを使用すれば発電量に応じた報奨金(1キロワット/時当たり0.54ドル [1年間で最大5000ドル] )が州から支払われます。その為、価格面で中国製にかなわなくても普及は進むと言います。

ソーラーパネル製造会社部長「低コストで製品を作ることが出来ればもっと多く売れるという経済性の理論はできるでしょう。しかし、私達にとって重要なことは、このように小さな会社でも地域に根ざしていることで、地元の業者、地元の自治体、そして地元の人々から、実に様々なサポートを得られるということなのです。」

この会社はNPOと協力し、収入の少ない人が家を購入した際、電気料金が安く済むようソーラーパネルを寄付することにしています。企業の利益が地元に還元され、それが人々の地元商品を購入する動機になっているのです。こうした試みが続くベリングハム市は10年で経済規模が2倍になる成長を見せています。

初稿 2014.10.13 更新 2017.12.21 

地方をどう創生するのか~アベノミクスと日本経済の未来①

2014-10-11 21:30:01 | NHK
 2014年1月25日、NHK,BSの「グローバルディベートWISDOM」という番組で「日本経済“未来型モデル”を求めて」 が放送された。
 司会 20年以上にわたり停滞し、デフレが続いてきた日本経済。安倍政権の経済政策「アベノミクス」で、今年景気は本格的に回復するのでしょうか。さらに、長期的な視点から超高齢化社会を迎える日本にはどのような経済モデルが必要なのでしょうか。今日は「日本経済“未来型モデル”」と題して議論していきます。
  賃上げ(動画)), 財政問題(動画), 構造改革(動画), 生活インフラ(動画)

 NHKでオンラインの双方向番組が多くなってきているように、視聴者にとっては電波もインターネットも同じ環境となりつつある。全番組の公開と受信料を考慮したNHKオンデマンドになって欲しいものだ。それはNHKがそれぞれの時代に何をどう報道したかの軌跡を歴史に残すことでもあり、それによって政治家等がNHKを批判したり支配しようとしてもその痕跡を国民が知ることが出来る。国は国民に対して、NHKは視聴者に対してある意味での情報開示の義務がある。

 藻谷氏の「里山資本主義」は、地方(里山、里海)再生の動きの事例をNHKの番組を通して紹介されてきた。藻谷氏は、マネー資本主義から里山資本主義への転換を主張され、アベノミクスも批判されているが、「アベノミクス有害」の批判に首相が激怒(湯沢平和の輪,2014.9.30)しているそうだ。地方再生の動きを知ろうとしないで、どのような地方創生を目指すのであろうか。

 実は、首相が激怒する前に、冒頭に示した番組「日本経済“未来型モデル”を求めて」で、安倍内閣の官房参与としてアベノミクスを指導している浜田宏一氏(エール大学名誉教授)が藻谷氏とは初対面、白川元日銀総裁は大学の教え子ながら、両者ともに経済学を知らないと激怒している。経済の一面しか表せない経済学が現実の経済より優れていると言うのであろうか。ここでは浜田氏の発言を中心に書き起こしておいた。私も経済学は学んでいないので、浜田氏の発言、ことに単語には聞き取れないところが多い。その場所は(○○○?)としている。

参考:白川方明・日本銀行総裁への公開書簡(浜田宏一氏から)
    :市場を思い通り動かそうとする政策に危うさ=退任会見で白川日銀総裁

以下は番組から浜田氏の発言を書き起こしたものです。
アベノミクスの1年(動画)

司会 アベノミクスが打ち出されてから1年、まずは皆さんにこの1年を振り返ってその評価を出していただきたいと思います。始めに、アベノミクスで日本経済はどのような変化を見せているのか、そこから見ていきたいと思います。

VTR:日経平均株価は16291円と56.7%上昇、1ドルは87.65円から105.31円と20円の円安、GDP成長率は0.7%から 2.6%に増加、完全失業率は4.3%から4.0%(11月)と減少。

安倍首相講演(一部)「日本経済は長引くデフレからぬけだそうとしている。今年は春に賃上げもある。久しぶりの賃金上昇で消費が伸びる。日本の財政状況も着実に改善し、財政健全化の軌道に乗りつつある。」  参考:外務省:安倍総理大臣のダボス会議出席(概要)
司会 安倍総理大臣は今週ダボス会議で日本の総理大臣として初めて基調講演を行い、アベノミクスの成果を世界に向けてアピールしました。  安倍総理大臣の基調講演と浜田氏の評価(動画)

司会「まずはダボス会議に出席していらっしゃる浜田さんに伺いたいと思います。今、VTRでご覧いただいたように、ダボス会議に安倍総理大臣が出席して日本経済の復活をアピールした訳ですけれど、海外の受け止めはどうなのでしょう。」

浜田1「私も会場におりましたし、皆の言うところによれば大変力のこもった講演である。特に第3の矢、構造改革に対して日本政府の決意がちゃんとあるんだよということを示された、ということで海外のメディアからも非常に高い評価を得られていると思います。つい総理の施政方針演説等では、お役所の人の書いた文章というか、非常に硬ぐるしい形の講演が多いが、この場合は聴衆の心に迫る講演であったということです。
 あの、靖国のことについても、僕はアメリカの知人にちょっと聞いてみたんですけれど、自分の思っておられることを非常に素直に真剣に訴えかけられたということで、靖国問題に対しては賛否両論のある方面からも着実にメッセージが伝わったという風に反響が帰ってきているようです。」

注:唐突に靖国とは何だ?と思ったが、首相の基調講演後にシュワブ会長が、「安倍晋三首相は講演でアジアの安定の話をしたが、首相の靖国参拝によって近隣国との関係を悪化させているのではないか」(2)(3)と質問したことに対する首相の回答の評価のようだ。それにしても浜田氏は、この番組における発言からは質問に誠実に答える学者というよりも、自分の考えや主張が先に出る自己主張の強い人に見える。

司会「ちなみに浜田さんはこれまでのアベノミクスの成果をどう見ていらっしゃいますか。」

浜田2「これは半ば冗談でもありますが、金融政策は当然効くことである訳ですが、それが思った以上に効いている。そういう意味でA+であろう。財政政策は財政を使うということは財政長期収支にマイナスにも効くから、まあ、AではなくてB。そして問題は第3の矢になりますけれども、これは政府のできることは今限られていて、一番なすべきことは規制改革である。しかし、規制があるので喜んでいるのはどちらかと言えば官僚である。そういうお役人に自分が利益を得ているようなことを止めさせることは、侍に鎧を脱げと言うことでなかなか厳しいということで私はEとつける。そうするとA,B,Eとなってアベノミクスがまた戻ってくるというのが私の評価です。」

注:第3の矢(構造改革)の評価は、官僚の反対で規制改革ができないのでEとし、「アベノミクスがまた戻ってくる」と言うのは内閣官房参与として無責任な発言である。それこそ「政府のできることは今限られていている」のではなく、役人が利益を得ているようなことを止めさせることは、「政府がやるべきこと」ではないか。冗談にしても、これではアベノミクスの失敗を始めから認めているようなものだ。

VTR:アベノミクスの評価について出席者や内外からの意見を聞いた後に

司会「はい、世界の声でも様々な課題が指摘をされてきている訳ですけれども、果たして今年、2014年、アベノミクスに死角はないのでしょうか。」

VTR&司会:アベノミクスの今後を左右する賃上げ、財政問題、構造改革。日本経済はこの3つの課題を乗り越えて順調に成長できるのか議論していきます。

賃上げ(動画)
司会「まずは、賃上げについてです。安倍総理大臣はダボス会議の基調講演の中で、先ほどお聞きいただいたように、今年の春には賃上げもある。久かたの賃金上昇で消費が伸びると述べています。賃金の上昇は経済の好循環につながるというのは分かるんですが、問題はそれが一部に留まらず広く拡がっていくのかどうかだということだと思います。そこで、浜田さんにお伺いします。浜田さんは日本での賃金上昇の動きが拡がっていくとお考えでしょうか。」

浜田3「はい、思います。もし、アベノミクスが証券市場とか円の為替市場だけに留まっているのであれば、それはいろいろ投資家の心理とかそういう問題にも影響されるので、本当に回復に結びつくとは必ずしも考えられません。しかし、現在、有効求人倍率、どのくらいの雇用が求職者に対してあるかというのが1を越えるような状態になってきている。それからデフレギャップが1.5%以下になってきている。そういう実質に移っている訳です。ですから、(マツノ?)さんがよく言われるように(トリックダウン?)の政策であることは事実なのですが、それが滴り落ちているということが、だんだん実際のデータから出ている。特に(FT?)で読んだんですけれど、景気の先行指標であるところの「機械受注」というのは大幅に昨年度もだし、今もずっと伸びている。そういう事実を見るとアベノミクスに対する批判者の方は事実を見ているのであろうかどうだろうかと考えます。理屈でいろいろ言ってそれが働かないと、言われることは勝手ですけれど、20年間近く続いた不況気味の日本経済が変わって、それで世界の主要(新聞?)、ニューヨークタイムズとかウオールジャーナルで安倍首相の演説の効果もありますけれども、全面的に取り上げられる。そういう時代になってきたということは積極的に評価していただきたいものだと思います。」

注:(マツノ?)、(トリックダウン?)、(FT?)は、素人には聞き取れない言葉。「マツノ」は民主党議員の松野信夫氏、「FT」は「フィナンシャル・タイムズ」のことか?「トリックダウン」と聞こえたのは司会者が説明している「トリクルダウン」のことで、続く話にも聞き取れない言葉が多く出てくる。

司会「今、トリクルダウンという言葉が出てきましたが、(これは、)まずは富裕層中心に富を得て、それが次第に低所得者層にも拡がっていく。つまり、大企業がまずは利潤を手にして、それが賃金という形で、最終的には中小企業、中小企業で働いている人たちも拡がっていくという考えですけれども。」

財政問題に関する論争(動画)
--- 賃金問題、財政問題について出席者から意見が出た後に ---
司会「(藻谷さんの考えは、賃上げは大切だが、現場はそうはなっていない。また、国債発行して景気対策をするより、)財政再建、規律(医療・社会福祉システム)をしっかりすることが先で、(安心社会になれば)消費が回復するということですね。」

注:藻谷氏と浜田氏の意見がつながるように、()にまとめておいた。

司会「浜田さんはこの藻谷さんの考えをどう思われるのでしょうか。」

浜田4「よく現実は違うんだ。学者の考えていることは空論だと強く言われるが、逆に言うと経済学200年以上の歴史を全く無視して自分の考え方を述べておられる、という点で、経済は分かっているかもしれないが、経済学を分からないでしゃべっておられると思うぐらいおかしい。それからですね、今日も私、(ロゴフ?)とかジェイコブ・フランケルとか会って来ましたが、そういう人達と僕は何十年と研究している訳ですから、経済学をそんなに軽蔑しないでもいいじゃないかということを強く、初対面ですが申し上げたいと思います。しかも証拠はアベノミクスで経済の活況があるということは、・・・『藻谷:経常赤字ですけどね』・・・ 経常赤字も(ジジカーブ?)のことが分かっていないのですね。時間が経てば治るということはどこの経済学の教科書にも書いてある。・・・『藻谷:どのくらいの時間が経てばね』・・・それから銀行は確かに経済成長の重大な問題ですけれどもデフレに関係あるなんてのは、・・・『藻谷:今そのことを話していない』・・・(スリーウィ?)以下の知識だと思う。そういう知識を一般の人に向けて、しかも日本銀行元白川総裁がそれに乗って自分の言いたいことを言ったというのは大変不幸なことだったと思います。
 財政問題に変わりますが、僕も今日は興奮しないで来るつもりだったんですが、まあ議論が高まるのは良い。財政はIMF(国債通貨基金)にも行きますし、それからEC(ヨーロッパ委員会、すなわちEUの政府)にも行きました。日本は皆240%大変だ、大変だと言っている。しかし実際は、日本の財務省の考える財政収支というのは資産の点を全然考えないグロス等の概念で、純概念にすると日本の財務部門の状態はアメリカとあまり変わらないというのが、財務省を出た高橋洋一さんとか昔、財政政策をしていた宮本さんなんかが、そういう問題を実際に内部に(いてて市場?)で説明している。」その悪宣伝というか非常に巧妙な秀才技みたいな人が多い訳ですから、それが世界に過ぎている。過剰宣伝みたいなものがあると国民の皆さんには分かってもらいたいと思います。」

注:(ロゴフ?)はケネス・ロゴフ、(ジジカーブ?)はJカーブのことか?(スリーウィ?)は意味不明だが3流に近い意味か?「経済は分かっているかもしれないが、経済学を分からないでしゃべっておられる」というところに現場より理論が重要だという浜田氏の考えがよく出ている。しかも事柄よりも知人の名前が出てくるのもこの人の特徴だ。しかし、後半の(いてて市場?)は、高橋洋一さんとか、宮本一三さんが、内部にいる時は「巧妙な秀才技」で悪宣伝をしていたという意味なのか?

司会「かなり学問的に入り込んで来たなと感じがします。3つ目の課題「構造改革」に行かせていただきます。」

構造改革(動画)
--- 3人がサービス産業や労働市場の問題を指摘したが、浜田氏は指名されず。浜田氏の「構造改革」に関する意見は、浜田2「官僚が邪魔をしているので困難とE評価にした」ことに尽きるのか。

 ここまではアベノミクスの評価について浜田氏の考えを紹介してきた。アベノミクスはマクロ経済学の理論が正しいことが前提になっているようだが、経済学者の間にもリフレ政策を批判する人もいる。また、現場は理論についてくると考えて良いのだろうか。さらに、マクロ経済学と消費税増税の関係はどうなっているのであろうか。

 どのような日本経済“未来型モデル”であれば、「地方創生」ができるのであろうか。続けて「日本経済“未来型モデル”を求めて」を紹介しながら考えていきたいが、アベノミクスについては「アホノミクス」と明快な批判をされている浜矩子教授の動画を紹介させていただく。

参考:
アベノミクスの真相と国民本位の行財政のあり方:浜矩子
「何をどう選ぶのか:岐路に立つ我ら~「日本の今」の中にある福音:浜矩子
安倍政権の正体 - 妖怪は女性にしか倒せない - 浜矩子
浜矩子 (はま のりこ)さん アベノミクスについて語る

初稿 2014.10.11 更新 2017.12.21