自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

我々は物語を生きている~他者を尊重し、幸せに暮らす。

2019-10-30 12:28:29 | 歴史

 イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ教授は著作『サピエンス全史』で、「人類の台頭はいかにして起こったか?」(動画:日本語TED)を問い、七万年前から三万年前にかけて、人類に言語から物語の想像力が生まれ、フィクションを信じる「認知革命(新しい思考と意思疎通の方法)」が登場したという。


1. 認知革命
 何故、「認知革命」が7万年前から3万年前に起きたのか?この時期は最終氷期と重なり、今から7万年前から7万5千年前に、「インドネシア、スマトラ島にあるトバ火山が大噴火を起こして気候の寒冷化を引き起こし、その後の人類の進化に大きな影響を与えた」という「トバ・カタストロフ理論」も関係しているのかもしれない。
 フィクションを信じて、物語を生きる動物は人類のみだと思う。洞窟壁画は、想像力の誕生を説明できる一つになるだろうが、「認知革命」の遺伝学的証明に期待したい。「われわれ現生人類(ホモ・サピエンス)はアフリカに起源し、寒冷化にもかかわらず、本格的に他の大陸への拡散を開始したのは約5万年前」と考えると、出アフリカは「認知革命」によって起きた移動かもしれない。

 ただし、今、ホモ・サピエンスのアフリカ起源説など人類史の常識が次々と覆されている(2018年10月19日)ので、原因を断定するよりは、認知革命したホモサピエンスの集団的行動力が他を圧し、人類を繁栄させて来たという程度に考えておきたい。
 一方、このことはフィクションによって敵を作る人類の戦争が、人類を滅亡させる危うさをも持っていることを示している。戦争やテロは、「正義」という言葉のもとに正当化される。集団での支配欲は、動物的本能の蠢きによるもの。腕力(暴力)によって、あるいは知力によってさえも他者を支配するのではなく、他者と支え合いながら生きることが、サピエンスとして求められる将来の理想と責任だと、私は思う。

 NHK番組「衝撃の書が語る人類の未来」は、「人類の技術の発達」に対する警告ではあるが、「人類の幸福への道の物語」ではない。
 人類進化をどう考えるか・・・。この番組を紹介し、「物語を生きる」ことの意味を考えてみたい。


 衝撃の書が語る人類の未来~サピエンス全史 ホモ・デウス 
 TED日本語:人類の台頭はいかにして起こったか?
 参考:認知革命を振り返る / 書評『サピエンス全史』
     人類の誕生とその進化:人間と動物の境界をめぐって
     アジアにおけるヒトの拡散―近年の研究成果と動向― p.76-89
     総説 現代人の起源―研究の現状と将来の展望― 海部陽介
     ブログ「雑記帳」:海部陽介「現代人の起源―研究の現状と将来の展望―」


2.農業革命
 フィクションを現実と考える認知革命を経て、人類は1万2千年前から食物の栽培(農業)を始めた。




「人類はなぜ農耕と牧畜を始めたのか」? 
 「大陸氷河の後退が始まり、気候が次に温暖化してくると、寒冷地を好む大型獣は北上して人間の住んでいるところから遠ざかって行った。狩りが困難になると人々は食用にできる植物を探すより選択肢がなくなった。しかし、大きな集団が採集生活で暮らせる土地は限られている、だとすれば、人類は一か所に定住して食料を調達する新しい方法を探さなければならなくなり、そこで考え出された新しい食料調達の方法が農耕と牧畜であった。」
 参考:農業起源の考古学―農耕牧畜はどのように始まり、世界に広まっていったか?
     人類はなぜ農業を始めたのか


3.人類の統一
 人類が戦争をしながらも世界的に繋がっている(人類統一)の扉を開く鍵は、「貨幣」、「宗教」、「帝国」の3つのフィクションです。 


3-1. 貨幣


3-1B. 資本主義
 それまで同じ大きさのパイを分け合っていた人類は、パイを大きくできるようになると、増えた分から、また資本を投入して、パイをどんどん大きくしていったのです。資本主義です。「資本主義」はハラリさんが指摘する3つ目の鍵「帝国」と結びつき、人類を統一へと導いていきます。


3-2. 宗教
 社会秩序はすべて想像上のものだから、みな脆弱であり、社会が大きくなればなるほどさらに脆くなる。宗教が担ってきたきわめて重要な歴史的役割は、こうした脆弱な構造に超人的な正当性を与えることだ。




3-3. 帝国
 この本では「帝国は境界線を自在に変え、無尽蔵の欲を持つ」と特徴づけています。帝国は自らの基本的な構造もアイデンティティも変えることなく、次から次へと異国民や異国領を飲み込んで消化できる。現在のイギリスの国境はかなり明確だが、一世紀前には地球上のほとんどどんな場所でも、大英帝国の一部になりえた。


 人類の統一は「資本主義」と「帝国のビジョン」が結びつき、経済成長を追い求めることで成し遂げられたというのです。

4.ホモ・サピエンスからホモ・デウスへ

 人間至上主義の下で育った生物工学、人体拡張技術、AI技術等、テクノロジーの進歩は、人類に何をもたらすのか。「人類は昨今の素晴らしい業績に背中を押されて、人間を神にアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウス(神の人)に変えることを目指すだろう。」


 自分のことしか考えない人類は、地球環境を破壊するだけでなく、仕事の効率を優先して、人間関係も破壊するだろう。
 「21世紀は進歩の列車に乗る人は、神のような想像と破壊の力を獲得する一方、後に取り残される人は、絶滅の憂き目に遇いそうだ。『ホモ・デウス』になれるのは、一部のエリートだけ。社会的な価値を持たない「無用者階級」になる。」という。
 しかし、「生産方式」はテクノロジーの進歩によって変化するだろうが、「生産」は消費によって維持され、「消費者は神様だ」とか「消費者は王様だ」とも言われる。テクノロジーが独り歩きする心配はない。



 人類は真理を探究する道として「科学」を発達させてきた。しかし「物語」では戦争やテロでさえ「正義」と主張する。人間至上主義は自己至上主義につながる。自己を主張することは、他者との関係を破壊しかねない。例えば、「日本の自衛隊は、日本を守るためにある」と考えるのは、戦争を肯定した大きな間違いだ。戦争を否定する立場から考えれば、世界の軍隊は人類の幸福を守るためにある。地球の陸上環境を守るだけでなく、熱帯低気圧の勢力を拡大させないように、海水を撹拌して冷却する等、海洋環境も世界で協力して守る。お互いに他者を尊重して生きるしか、人類の生き残る道はない。
 『理性の物語』で正義を主張することは苦しい。耳の遠い人にもテクノロジーで『感性の物語』「ストラディバリウスをこの手に!若き音楽家たちの挑戦」(22分)を聞かせてあげたい。
 参考:人類の暗い未来への諸対策
     これからは「消費者が王様」の時代に
     消費者は王様
     消費者は王様?
     なぜ人は消費するのか : 他者という視点


5.「物語を生きる」ことを「無」から考えた西田哲学
 『理性の物語』を考えるのが哲学だと思う。日本の哲学者「西田幾多郎」は、禅の研究から「物語を生きる」意味を「無」から考えた。
 参考:西田幾多郎記念哲学館”哲学の世界”を体験! 2019.3.27放送
     京都大学 西田幾多郎 無の哲人:禅の思想から日本哲学へ Kyoto-U OCW
     西田幾多郎哲学論集 松岡正剛


6.ユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史と「ホモ・デウス」の解説
 Forbs Official Columnist 首藤 淳哉氏は、『「ホモ・デウス」が描く、私たちが想像もしなかった未来』(2018/09/06) で、「人類の歴史を振り返ると、飢饉や疫病、戦争によって人々の生存は脅かされてきた。ところがいまやこれらは克服されつつある。もちろんこれらの問題が根絶されたわけではないが、実際には飢饉で死ぬよりも肥満で死ぬ人の方が多く、疫病よりも老化で、戦争よりも自殺で死ぬ人のほうが多いのが現実だ。ハラリは、この3つの問題を克服しつつある人類は、次のステージに向かうのではないかと見ている。次なるステージで人類が目指すのは、不死と幸福と神性の獲得だ。サピエンスは自らを神(デウス)にアップグレードさせ、ホモ・デウスになるのではないかというのが、本書の予見する未来である。」と解説している。
 NHK おはよう日本(2018年10月18日)でも、人間は神になる!?『ホモ・デウス』とはを紹介し、「歴史上にない変革の時代だからこそ、『ボーッと生きていてはいけないよ』ということ」としている。

 次の若い世代に求められるのは、競争的世界で生き残る力を磨くことではない。2万年前の人類よりは幸福になるためには、『ボーッと生きる』よりも、感性を感動させて生活を楽しめる時代を、大人が率先して準備していく必要があろう。他者との競争ではなく、他者を尊重することが生活の質を向上させる、と私は思う。


初稿 2019.10.30 表示ズレ修正 2020.5.6 

こころの時代~宗教・人生~ 「終わりなき“平和への巡礼”」

2019-10-17 16:56:38 | 歴史

 1970年に日本で発足し、90を超える国や地域の様々な宗教者が
国連と連携して行う活動ー世界宗教者平和会議(WCRP)はノーベル平和賞を授与されるべき素晴らしい宗教活動だ。今年は、第10回大会が2019年8月20日~8月23日に、ドイツのリンダウで開催されたが、NHK始め報道機関はWCRPのことさえ報道していないと思う。リンダウでは世界各国の若手研究者の育成を目的として、毎年、交流のための「リンダウ・ノーベル賞受賞者会議」も開催されている。
 参考:世界宗教者平和会議日本委員会
     世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会 新理事長に植松誠主教 201810月5日
     (公財)世界宗教者平和会議(wcrp)日本委員会青年部会
     世界宗教者平和会議(WCRP)の最新ニュース
     特集・第10回世界宗教者平和会議世界大会に向けて 2019.8.20~8.23

 私が世界宗教者平和会議(WCRP)のことを知ったのは、NHKテレビ番組「こころの時代」~宗教・人生~ 「終わりなき“平和への巡礼”」の牧師・日本聖公会首座主教 植松誠氏のお話を聞いてである。
 奈良市にお住いの登山歴豊富な男性のブログ「私の山歩きと旅」-「こころの時代へようこそ」にある「書き起こし」は貴重な資料であり、何度も読み返して理解を深めることができるので、ここに紹介させていただいた。
 こころの時代 書き起こし
  第1回 川田殖「わたしが出会った人々ー信頼への道筋ー
  第842回 植松誠「終わりなき“平和への巡礼”」
  第851回 田内基「共に生きる―孤児が教えてくれたもの―」
 宗教の時間 書き起こし
  第1回 沼野尚美「〝残される者〟に寄り添う」
  第257回 田上太秀「釈尊にとってのあの世とは」

 「書き起こし」は貴重な資料であるが、話し言葉は文章にするより、動画の方がインパクトは大きい。「書き起こし」と動画の両方があれば、多くの方に印象を残すが、動画については著作権を持ち出して、受信料を払っていても、さらにお金を払えばもう一度番組が観れる仕組みが作られている。公共放送に於いて番組を制作することは、できるだけ多くの人に情報を発信し、多くの人の批判を受け付けることではなかろうか。情報を知らない人や、情報と情報の関係については、無料で情報提供することは、罰せられることよりも報道に貢献していると思う。私は、宗教・人生・平和について考える下記の番組を、皆さんと共有したいと思い、フェイスブックにすでに投稿している。人生は憎むことよりも許すことにより救われる。

  「こころの時代」~宗教・人生~「終わりなき“平和への巡礼”」①



 神仏とはあなたと私を超えたところ、多数決を超えたところにある。多数決は過半数を超える意見を尊重する方法だが、残りの人の意見は切り捨てられる。多数決は自分たちの主張を通すために、小異を捨てて大同団結する方法でもある。しかし、「一人ひとりの命は、かけがえのない大切なもの」である。そのことを、民主主義はどうやって尊重していくのか。人間の知恵を超越した存在であるいずれの神仏も、一人一人の命を真に大事なものとしている。人間では完成の到達点がないところに平和や幸福、さらに人生はある。だから神仏を信じて、一人一人の命と人生を大切に生きることが宗教の大切な教えだと思う。今の日本では、宗教が政治に関係して絶対多数を支えていることに、大きな矛盾を感じる。

 前回の「カザフスタンの秘宝 幻の海の水鏡・トゥズバイル湖」で、私は永遠という言葉を1億年単位で具体的に想像することができた。今回は、牧師・日本聖公会首座主教 植松誠氏のお話から、神仏と人生・幸福・平和の関係について、さらに考えを深めることができた。
 また、アナザーストーリーズ「マンデラと“ゆるし”~アパルトヘイトとの闘い~」の「ゆるしと和解」とも重なり、マンデラの人格を実感できた。この録画も投稿した。

 南アフリカのアパルトヘイトに反対したマンデラは、1964年、45歳の時に政治犯として無期懲役の判決を受けて、27年間の獄中生活で強制労働を強いられた。そのような環境においても人種差別のない世界を求め続け、読書等を通して学習に没頭し。「ゆるしと和解」の世界を悟った。



  「こころの時代」~宗教・人生~「終わりなき“平和への巡礼”」②





 平和の巡礼の中で大きな一つの問題は日韓のことだと私は思っている。日韓関係はどうしてこんなにギクシャクしているのか。日本の政治家たちは、あれはもう解決済みだと言う。そうしたらその解決済みの生き方をしてほしい。悔い改めるというのは百八十度転換するという、もともとの言葉はそういう言葉なんですけど、でもそういう生き方になったかどうか。「謝罪したじゃないか」というのは、そういう意味では、「あんたも許すといったじゃないか」みたいな。でも謝罪・許しにはなかなかなりえない。やっぱりそれは身をもってどういう形でその人の生き方が変えられるか。韓国、あるいは韓国の人と北朝鮮の人たちと接する時に、どういう言葉をもって、どういう行動をもってその人たちと関わるか、というとこで、それがみたい、と私なんかは思いますね。(牧師・日本聖公会首座主教 植松誠)


初稿 2019.10.17

地球の歴史:カザフスタンの秘宝 幻の海の水鏡・トゥズバイル湖

2019-10-14 13:35:12 | 歴史

 以前、NHK番組で気に入ったものをYouTubeに投稿していたら、著作権違反で削除され使用できなくなった。(YouTubeの著作権とは? 放送で公表したものは共有財産!)それでも皆さんと情報を共有したいので、最近はフェイスブックを利用させていただいている。最近紹介した「驚き!地球!グレートネイチャー「シルクロード・幻の海が残した秘宝」 (動画17分)は、シルクロードにあるカザフスタンの秘宝(幻の海の水鏡・トゥズバイル湖)が、1億年前海であったと教えてくれる。


 大陸はマントル対流の力で変形しながら分裂と移動・合体を繰り返している。10億年前には超大陸「ロディニア」ができたが、この時期は海の中でようやく小さな多細胞生物(菌類)が出現するようになった時期であり、陸生生物はいない岩石大陸だったと考えられる。
 「魚の時代」とも呼ばれているデボン紀の開始時期にあたる約4億2000万年前、複数の大陸同士(ローレンシア大陸バルティカ大陸など)が衝突し、小規模なユーラメリカ大陸が赤道直下に誕生した。
 約3億年前のペルム紀にはユーラメリカ大陸は大規模な超大陸であるパンゲア大陸の一部となった。約2億5千万年前~2憶年前の三畳紀は超大陸で有名なパンゲア大陸が誕生し、再び分裂を始めた時期である。なお、超大陸パンゲアを取り囲んでいた、唯一の広大な大洋をパンサラッサ(Panthalassa)と言う。パンゲア大陸は約2憶年のジュラ紀に、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂を始めた。
 参考:Plate Tectonics, 540Ma - Modern World - Scotese Animation 022116b
     地質時代 氷河時代の年表
     パンゲア超大陸の誕生 ― マイケル・モリーナ
     240 million years ago to 250 million years in the future

     パンゲアの分裂から現在までの大陸移動
     シミュレーションで大陸移動の再現に成功!
     マントル対流の数値シミュレーションによって再現された
     2億年前から現在までの大陸移動

     大陸移動(2億4千万年前~)





 カザフスタンの幻の海の水鏡・トゥズバイル湖は、日本の国土面積ほどある世界最大の塩湖・カスピ海黒海地中海とともに1億年前のパンゲア大陸のテチス海に由来した塩の大地である。596万年前から533万年前にかけてテチス海は塩湖化しながら縮小もしくは完全に干上がった時期が確認され、533万年前、再び大西洋とジブラルタル海峡で繋がると、200年以上かけて海水が流れ込み地中海が形成された。地中海は、現在でも大西洋より塩分濃度が高くなっている。
 参考:トゥズバイル塩湖とウスチュルト台地
     カスピ海は湖か? 海か?




 西側でカスピ海、北西はカザフスタンと国境を接するトルクメニスタンは、テチス海の生物の遺骸による豊富な石油や天然ガスを埋蔵し、天然ガスの採掘地で陥没した場所は安全のために火をつけたが「燃える“地獄門”」と言われ、50年間も燃え続けている。首都はアシガバートは砂漠の町であまり知られていないが、素晴らしい夜景だ。


 日本とハワイの距離(6000㎞)は年間6㎝接近しているので、1億年後には陸続きとなる計算となる。1億年後の地球は、アフリカ大陸やアメリカ大陸は複雑な痩せた大陸となり、日本海は消滅して、日本はユーラシア大陸に押し付けられている。計算(シミュレーション)とは言え、地球は2億5千万年後再び一つの超大陸になり、日本は消滅すると考えられている。

 何故、人類は自国を守るという口実で、他国を破壊し殺戮する軍隊をいつまでも持とうとするのであろうか?『戦争放棄』の日本国憲法を変えることは、「美しい国・日本」を「醜い国・日本」にすることだ!
 日本は地震大国であるだけでなく、地球環境を破壊する温暖化で台風の被害も大きくなることが予測されている。自衛隊の役割は破壊・殺戮ではなくて、地震・台風被害の予防と救出の世界の先頭に立つことだ。素人考えだが、台風が発達する前の熱帯低気圧発生の場で海水を冷却する方法を考えれば、巨大台風は発生しないのではないか?降雨か晴天を求めるのか天候制御の目的は多様であろうが、人類は協力して地球環境を守り、幸福を求めて歩み始める時期に来ているのではなかろうか。
 参考:大陸移動・プレート運動を実測する宇宙測地技術
     現在から2億5000万年後までの大陸移動とマントル対流の時間変化
     1億年後の地球 20億年前の地球から今後10億年の間で、太陽の放射は増大し、
     地上の全ての生物は絶滅すること、54億年後までに、太陽内部の温度が上昇し、
     ヘリウム中心核で水素核融合が起き大きく膨れ、赤色巨星と呼ばれる段階になる
     こと等、豊富な資料を提供している。
     気象を操る。人類が天候をコントロールした10の歴史
     潜水艦を使って台風の勢力を抑える技術を開発(日本)



初稿 2019.10.14 更新 2020.2.20(ブログ目次削除)



塩田の町、下駄の町 広島県福山市松永町

2019-10-09 17:46:47 | 歴史


        塩田と下駄の町、松永町(動画1分)

 昭和37年まで広島県立松永高校は、現在の松永駅の南の線路沿いにあった。学校の南側はグランドがあり、その南側には塩田が続いていた。私は中学校(大成館)では野球部に所属していたし、当時は松永市であり、地域の松永中学校や精華中学校にも多くの仲間がいた。高校では仲間と一緒に野球ができると楽しみにして、高校入学式の前から野球部に所属して春季練習に参加した。しかし、入部者は同じ中学の仲間一人しかいなく、楽しみがなくなったので、入学後には退部してしまった。高校の部活動で青春を謳歌した経験がないのが残念だが、今でも野球部に在籍していたら、どんな高校時代が送れただろうと、ちょぴり青春を懐かしむこともある。

 高校は卒業後、現在地に移転し、当時グランドの南側にあった塩田は廃止され、高校と塩田の跡地は今では新しい松永の市街地として賑わっている。なお、1966年(昭和41年)5月1日に松永市は福山市と合併し、私は大学、就職と故郷を離れていたので、青春時代と言えば、松永市と塩田に隣接していた松永高校が強く印象に残っている。
 福山市となり、現在は通学範囲も拡大した。私の時代は自転車通学はあったが、松永駅に隣接しながら、通学に松永駅を利用する高校生のことは考えられなかった。最近では選挙の投票場所を駅構内に設置することを考えているところもあるようだが、駅から徒歩20分、乗車駅までと乗車時間を含めて、毎日、通学する高校生に、高校の立地条件の自然環境を活用したカリキュラムは用意されているのだろうか?遠方に通学するに必要な学習環境や宿泊施設等への配慮はなされているのだろうか?時代が変わるということは、あらゆる生活環境も変わることであり、私たちは時代とともに充実した生活を送れているだろうか?

 どこもそうであろうが町が大きくなると、地域の仲間意識は希薄になる。地域の溝掃除や草刈りを含めて、共同作業に協力する住民が減少した。下水道の完備等、公共施設の改善の必要があるにしても、地域住民の繋がりが希薄になっていくような気がする。私は歩行困難で一人で外出できなくなり、私自身が地域に貢献できなくなって申し訳ないと思っている。しかし、聞くところによると、子供会まで希望者のみで運営されているそうだ。何を配慮されているのか知らないが、自主参加は大人の意識であり、地域に馴染んだ子供と地域から疎外された意識を持つ子供が育つのではないかと心配だ。地域の問題として、便利な社会になっていくにつれ、個人の確立と共同作業の尊重の問題は、これからの重要課題になると思う。


  市街地化した松永駅南側から用水路(羽原川)と北側(丘の上の大成館中学校)を見る

 ここで江戸時代からの松永の塩田と下駄の町の歴史を簡単にまとめておきたい。関ヶ原の戦い以降、安芸ほか山陽・山陰8か国(112万石)を領有していた毛利家は防長2か国(29万8千石)に減領され、安芸・備後50万石が福島正則によって領有されたが、そのうち安芸および備後北部・西部は浅野長晟(42万石)に、備後南部と備中国西南部(現在の笠岡市や井原市の大半)は徳川家康の従兄弟の水野勝成(10万石)に分割(1619年)された。
 松永湾の干拓は福山藩士本庄重政により1660年から着手され、1667年に塩浜とし塩田の基礎がつくられた。そして、明治に入ると塩水を煮詰めるための燃料となる木材の輸送用水路のそばで、下駄屋の主人丸山茂助が塩を運ぶ船の帰路の空荷に着目して、「塩が下駄を生む」ことになる。
 参考:塩田として誕生した、福山市松永町
     承天寺の周辺地図



                    住民たちに守られているお地蔵様(動画1分)
 四国巡礼八十八カ所は有名だが、江戸時代を境に起きるお遍路の庶民への広がりは四国に限ったことではなく、伊勢・西国・坂東・東北など、全国各地の霊場へ巡礼する様になる。また、「お地蔵さんのお遍路」もある。松永にも住民たちに守られているお地蔵様(地蔵さん巡り)があるが、その由来については江戸時代に開発された塩田と関係があるようだ。福山藩士である本荘重政が松永塩田築造の際、潮崎神社を現在地に遷座し、塩浜の鎮守とし、「それまで松永の産土神は隣村の神村(現 神村町)の八幡宮だったが、当社遷座後は、塩浜で塩業に携わる人の産土神となった」と言うから「お地蔵さん巡り」も本荘重政氏の影響が大きかったのではないかと思う。


初稿 2019.10.9

認知革命 一神教

2019-10-04 22:41:23 | 歴史

 イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ教授は著作『サピエンス全史』で、「人類の台頭はいかにして起こったか?」(動画:日本語TED)を問い、七万年前から三万年前にかけて、人類に言語から物語の想像力が生まれ、フィクションを信じる「認知革命(新しい思考と意思疎通の方法)」が登場したという。
 「認知革命」の物的証拠は一点では明示しにくいが、洞窟壁画は祈りのために画いたものと考えれば、ある意味では想像力の誕生を説明できるだろう。いずれにしても、寒冷化にもかかわらず、「われわれ現生人類(ホモ・サピエンス)はアフリカに起源し、本格的に他の大陸への拡散を開始したのは約5万年前」であったのは、「認知革命」によって起きた移動と考えられよう。以上が人類進化に関する私の理解だが、詳しくは次のNHK番組を紹介しておきたい。

 衝撃の書が語る人類の未来~サピエンス全史 ホモ・デウス 
 参考:12分で解説【サピエンス全史】人類はウソに生かされていた
     【20分解説】サピエンス全史(上)(下)|ユヴァル・ノア・ハラリ【全人類必読の書】
     「サピエンス全史」一駅で名著を解説
     9分で解説】ホモデウス【衝撃の未来】神になる人類と家畜になる人類

     認知革命を振り返る / 書評『サピエンス全史』
     人類の誕生とその進化:人間と動物の境界をめぐって
     アジアにおけるヒトの拡散―近年の研究成果と動向― p.76-89
     総説 現代人の起源―研究の現状と将来の展望― 海部陽介
     ブログ「雑記帳」:海部陽介「現代人の起源―研究の現状と将来の展望―」


イスラエル ユダヤ教入門【前編】【後編】
ユダヤ人が長い間迫害されてきた理由
最初の一神教は古代エジプト王国で生まれた。
古代エジプト3人の女王のミステリー
  クレオパトラ・ネフェルティテイ・ハトシェプスト
アクエンアテン
 ツタンカーメンの父でもあるこの王は、アメンホテプ4世として即位してから5年後、二つの重大な決定を下す。「アテンに仕える者」を意味するアクエンアテンに改名し、現在のアマルナに遷都することにしたのだ。新首都は太陽円盤の地平を意味するアケトアテンと名づけられた。何もない砂漠が推定3万人の都市となり、大規模な宮殿や神殿が大急ぎで建設された。さらにこの王は、宗教や美術、政治を一新しようと試みたものの、その死後は数多くの非難を浴びることとなる。息子のツタンカーメンまで、「神々に見捨てられ、災厄の国となった」と父の時代を批判する勅令を発布している。後の王朝は、アクエンアテンを「犯罪者」や「反逆者」とみなし、彼の彫像や絵を破壊して歴史から消し去ろうとした。
アメンホテプ4世 別名アクエンアテン (紀元前1353年? - 紀元前1336年頃?)
ネフェルティティ
エジプト新王国

我々は物語を生きている~経済と貨幣の歴史①


初稿 2019.10.4