自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

真実は誰のために?

2015-01-31 13:29:22 | 委員会
2013年4月1日投稿

 今日はエプリルフール、1年に一度『嘘』を楽しむ日。『嘘』が楽しめるのは、皆が真実の下に生きているという信頼があるから。ことに、学者や報道や行政は、真実を追求する、あるいは真実の下で仕事をするのが使命のはず。今日では、その信頼の根底が揺らいでいる。

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上記の記事は、3月28日のある地方紙の報道である。この記事は農水省の報告を読まない読者のためにある。農水省の最終報告とは「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめに関する補完報告(2013.3)」のことである。この「補完報告」そのものが、真実に真摯に向き合おうとしない問題の多い報告であるが、報道にはそれを批判する目がなく、むしろ読者に真実を知らせないことに新聞が協力している例である。

 私が「補完報告」を問題とするのは以下にまとめた通りですが、新聞社や皆さんはどう判断されるだろうか。

  「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ」に関する補完報告の問題点

1.2010年に宮崎で発生した口蹄疫のウイルス(O/JPN/2010)は、2010年に中国で分離されたウイルスと一致率が99.37%~99.53%と極めて高い相同性を示した。
 このウイルスは、2009年までに東南アジアの国々に拡がり、香港でも同ウイルスに近縁のウイルスがしばしば分離されていることから、少なくとも2010年初期までに東南アジアの国から中国に侵入し、極めて短期間のうちに中国国内でも感染が拡大したと推測された。
 このような科学的な分析結果が得られたにもかかわらず、結論では「今回の発生に関しても、この東アジア地域で流行していたウイルスが、人あるいは物を介して我が国に侵入したと推定された」と、ウイルス侵入源の解明は重要にも関わらず、韓国から侵入したとする報道を否定しない一方で、中国から日本への侵入も曖昧にしている

2.「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ(2010.11.24:以下、中間取りまとめと略す)」(p.25の1~5行目)では、中国産稲わらを使用した多くの農場で感染が確認されているにもかかわらず、稲わら使用時期とウイルス侵入時期が一致しないとして感染源の可能性を否定している。しかし、この「中間取りまとめ」で推定しているウイルス侵入時期は申告によるものであり、根拠となるデータが示されていない。さらに、第11回牛豚等疾病小委員会では、「同一ロットの輸入稲わらを使用した25農場では感染が認められない(p.15)」と報告している。10例の発生が確認された段階での報告であるが、同一ロットとは口蹄疫発生農場が使用した稲わらと同一ロットのことではないのか?何と同一ロットなのか?25農場とはどの農場なのか?
 疫学調査は感染源と感染経路を追究するためにあるが、中国からのウイルス侵入を曖昧にし、中国産稲わらが感染源である可能性も曖昧にしたのでは、何のための疫学調査であり、「補完報告」なのか。

3.牛の感染実験では、ウイルスを舌に接種すると接種部位は1日後、鼻は2日後、口唇では4~5日後に水泡が確認されている。このウイルス接種牛に同居させた場合は、同居5~6日後に鼻や舌をはじめ四肢にも水疱が確認されたが、口唇には認められない牛(No.3)もいた。なお、同居牛1頭(No.4)は左前肢のみ同居3日に水泡が確認されているが、他の部位はいずれも同居6日に確認されている。さらに同居牛には明瞭な跛行や流涎等の症状は確認されていない。症状から、「同居牛にも短時間に水平伝播することが確認された」(p.10の2行目)となぜ結論できるのであろうか

4.豚の同居感染では、2頭のウイルス接種豚に4頭を同居させているが、同居後2日に3頭で水泡が認められ豚の水平伝染は牛より早い。実際には豚の群飼頭数は多いので、さらに早く感染は拡大すると思われる。しかし、同居後5日に水泡が認められ、牛と同程度の水平伝搬の時間を要した豚(No.5)もいる。
 豚でも牛でも、当然のことだが感染には個体差がある。牛では感染牛に健康牛を同居させた場合、血中ウイルスの遺伝子検査によると感染時期は発症後半日から平均1.7日(p.45)と短く、同居しても感染させない感染牛(No.8)もいることが確認されている。
 このように感染源と感染経路の疫学調査にウイルスの遺伝子検査(PCR)は欠かせない。

5.同居させた牛では同居後5~6日に明瞭な水疱形成が起こった。また、同居牛においては血清中や唾液中へのウイルス出現は水疱形成が確認された日より1~2日前に起こっていた。これらの結果から、「中間取りまとめ」の潜伏期間の推定は概ね正しいことが確認されたとある。しかし、どの牛から採血したか、また採血時と水疱形成時は同一とは限らないので、届出が遅れた農場の申告に基づいて推定したウイルス侵入時期には全く根拠はない。

6.ウイルス接種牛の1頭ではウイルス接種後19~33日にプロバング検査によって咽喉頭粘液中にウイルスが検出され、キャリアー状態になっていることが確認された。このことから、症状を呈していないものも含めて殺処分を行ったことの妥当性が確認されたとある。しかし、NSP抗体検査やPCR検査で陽性のものを殺処分することは妥当であるが、感染していても伝染力のない牛(先に説明したNo.8)もいるので、症状を呈していないものを健康なものを含めて殺処分(予防的殺処分)を行ったことの妥当性は絶対に認められるものではない

7.感染は殺処分ではなくワクチン接種で阻止できたのであり、ワクチンをできるだけ早く接種して、ワクチン接種畜のNSP抗体検査陽性畜に限り殺処分するOIE規則を無視した重い責任が問われる。ワクチンは効果があるかどうかわからないとされてきたが、「国内に備蓄されているワクチンは今回分離されたウイルスと近縁であり、中和試験の結果からも、国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能」なことは、平成22年5月6日に開催された第12回牛豚等疾病小委員会の議事メモに書かれていることをNHKの報道番組で明らかにされている。議事録にしても「補完報告」にしても、国が口蹄疫対策に関して科学的事実を隠ぺいすることは犯罪行為であり許されない。

8.備蓄ワクチンが有効であったことを公開することも大切であるが、備蓄ワクチンを英国まで出張して調査した記録を報告していた動薬研ニュースは口蹄疫発生後に何故か廃止されている。一方、宮崎口蹄疫で使用した備蓄ワクチンについては、豚病会報で解説しているが、英国に保管してある備蓄抗原と国内に保管している備蓄ワクチンの違いについては説明していない。備蓄ワクチンは口蹄疫感染を確認して1週間以内に摂取しなければ、英国等のワクチンバンクに世界中の口蹄疫の抗原が保管され、韓国のようにワクチンを緊急輸入できるので備蓄の意味はない。1週間以内に使用しない国内備蓄ワクチン購入は、明らかに不法な予算要求である。また、緊急ワクチンの輸入をしていないとすれば、これも備蓄抗原の保管に違法な予算を要求していることになり税金の無駄遣いだ韓国では予防的殺処分では感染拡大を阻止できないので、2010年12月22日にワクチン接種を決定してワクチン製造を英国のメリアル社に発注し、12月26日, 1月2日には仁川空港に到着している。日本では備蓄しているワクチンが今発生している口蹄疫ウイルスに効果があるかどうか判らないと説明されてきたが、英国等のワクチンバンクには世界の口蹄疫の抗原が保存されているので、発生している口蹄疫ウイルスに最適なワクチンを迅速に生産し供給できることを韓国の緊急ワクチン輸入は明らかにしてくれた

9.ケースコントロールスタディとして、発生があった症例(ケース)群と発生がなかった対照(コントロール)群の2群に分けて比較分析をしているが、ワクチン接種して殺処分をした場合に、感染していたかどうかを区分した根拠は何か?根拠もなく発生と発生でないと区分するケースコントロールスタディには意味はない
 第11回牛豚等疾病小委員会(平成22年4月28日)では、「発生が確認された大規模系列農場については、九州地方のすべての関連農場を家畜伝染病予防法に基づく隔離下に置きつつ、出荷、移動ができないという状態にしまして、立入検査による清浄確認を進めていく」とあるが、その疫学調査の結果こそ、この「補完報告」で公表すべきである。川南町にあった大大型農場の系列第6農場はワクチン接種して殺処分されているが、感染していなかったという証拠はあるのか?

10.「口蹄疫の疫学調査に係る中間的整理について(2010.8.25)」は、第15回牛豚等疾病小委員会及び口蹄疫疫学調査チーム第5回検討会で検討され了承されている。しかし、「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ(2010.11.24)」とその「補完報告(2013.3.27)」は「口蹄疫疫学調査チーム報告書」となっているが、両報告ともに疫学調査チームの持ち回り検討会を含めて一切の検討がなされた報告はない。それでも「口蹄疫疫学調査チーム報告書」とするのは法的には報告書の偽造と言えるのではないか。

11.国が新たな防疫対応を講じる場合には、基本的に食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会 (以下「牛豚等疾病小委員会」という。)の意見を聴くこととなっている。また、食料・農業・農村政策審議会議事規則によれば、委員会および議事録は非公開とすることができる。しかし、議事録を非公開とする場合は議事要旨に代えるとしながら、牛豚等疾病小委員会の第4回から第19回までは(議事)概要のみで、議事要旨は公開されていない。 このように今回の口蹄疫防疫措置については、科学的事実が隠蔽されただけでなく、憲法のもとにある公務員や行政の責任と義務に反した背任行為が随所に認められ、ワクチン接種後に直ちに殺処分した科学的根拠もなく、それを主導した国、県は2,350億円の経済被害と金銭では償うことができない遺伝資源、環境および地域社会の破壊等への重い責任が問われる。

初稿 2013.4.1 更新 2015.1.31(日付更新を含む)


牛豚等疾病小委員会開催状況(第1回~第22回)

2014-09-10 17:33:54 | 委員会

牛豚等疾病小委員会 第1回~第7回 第8回~

 国が新たな防疫対応を講じる場合には、基本的に食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会(以下「牛豚等疾病小委員会」という。)の意見を聴くこととなっている。
 また、食料・農業・農村政策審議会議事規則では、会議を公開することにより、公正かづ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、又は特定の個人若しくは団体に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合には食料・農業・農村政策審議会に属する部会の部会長は、会議を非公開とすることができるとされ(同規則8条の準用規定に基づく同規則3条2項)、議事録についても会議の運営に著しい支障があると認められる場合には、部会長は議事録に代えて議事要旨を一般の閲覧に供するものとすることができる(同規則8条の準用規定に基づく同規則4条)とされている。(情報公開・個人情報保護審査会)p.16

 しかし、第4回から第19回までは、議事概要のみ、または議事概要さえ公開されず、議事要旨は公開されていない。このことは、国民の知る権利を奪い、行政や委員の責任を隠ぺいするおそれがあり、非公開にすることで、むしろ公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるとともに、特定の個人若しくは団体に不当な利益をもたらすおそれがある。行政の審議内容は公開を原則とするものであり、これを非公開とする例外扱いは、国民のためではなく行政のために情報を容易に隠ぺいすることを許すことになり、限りなく減らすこと、すなわち情報の開示を要求していかねばならない。


委員名簿
第22回(平成27年4月30日) 配布資料 議事録
第21回(平成27年3月 2日) 配布資料 議事録
第20回(平成24年6月21日)概要(PDF:82KB) 配付資料 議事要旨(PDF:178KB) 委員名簿
第19回(平成23年7月12日)概要(PDF:78KB)
第18回(平成23年6月24日)概要(PDF:76KB)
第17回(平成23年6月10日)概要(PDF:83KB)
第16回(平成23年1月25日)概要(PDF:43KB) 配布資料(持ち回り審議)(PDF:49KB)
第15回(平成22年8月24日)概要(PDF:58KB) (宮崎県における口蹄疫発生に関する審議)  議事録一部開示
第14回(平成22年6月13日)概要(PDF:73KB) (宮崎県における口蹄疫発生に関する審議)  議事録一部開示
第13回(平成22年5月18日)概要(PDF:65KB) (宮崎県における口蹄疫発生に関する審議)  議事録一部開示
第12回(平成22年5月  6日) 概要(PDF:62KB) (宮崎県における口蹄疫発生に関する審議)  議事録一部開示
第11回(平成22年4月28日)概要(PDF:53KB) (宮崎県における口蹄疫発生に関する審議)  議事録一部開示
第10回(平成22年4月20日)概要(PDF:61KB) (宮崎県における口蹄疫発生に関する審議)  議事録一部開示
第 9回(平成21年7月24日)概要(PDF:11KB) 配付資料 委員名簿
第 8回(平成20年5月 9日)概要(PDF:67KB)
第 7回(平成19年6月29日)概要(PDF:12KB) 配付資料
第 6回(平成18年11月1日)概要(PDF:11KB)
第 5回(平成17年7月29日)議事概要(非公開) 配付資料
第 4回(平成17年7月12日)議事概要(非公開) 配付資料
第 3回(平成17年4月28日)議事概要(速記録) 配付資料
第 2回(平成16年5月10日)議事概要(議事要旨)(PDF:119KB) 配付資料
第 1回(平成15年12月16日)議事概要(議事要旨)(PDF:133KB) 配付資料 委員名簿

口蹄疫 情報公開請求(みやざき・市民オンブズマン) 

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第13回牛豚等疾病小委員会

2013-04-15 21:05:57 | 委員会

第13回牛豚等疾病小委員会 平成22年5月18日  

一部公開議事録  概要  委員名簿 
参考: 発生事例の現地調査

議題
(1)宮崎県におけるロ蹄疫の現状及び防疫対応について  p.3-14
 a)5月17日までに126例の発生が確認され、17日には1日で15例と発生が増加している。
 b)多くの農場で埋却場所選定中を含めて、封じ込めの最中である。
 c)前回(5月6日)の会議までは川南町に発生がほぼ限局していたが、高鍋町と新富町に発生が確認された。
 d)ウイルス侵入時期の推定は、抗体陽性でPCR陰性は感染から日数が経過し、PCR陽性で抗体陰性は感染後日が浅いと判断した。
 

質疑応答 p.8の10行目~p.14の6行目

発言者          発言量(1行=15.5cm)                        
               p.8-10       p.11-12     p.13-14

明石委員      21.9行 34.7%   -    -    -    -    
寺門委員(座長)  14.4行 22.8%   2.1行  5.0%   5.8行 23.8%
津田委員        -   -    13.6行  32.4%   -    -
今田委員       -   -      -   -       6.0行 24.5%
山本補佐      26.6行 42.1%    11.2行 26.7%   12.6行 51.6%
川田補佐       -   -        5.0行 11.9%   -   -
川島課長        -   -        9.6行  22.9%   -   -
平尾局長      0.3行  0.4%     0.5行    1.2%    -   -   
事務局計           42.5%         62.7%       51.6%

その他出席委員 佐藤委員、岡部委員
欠席者 田原委員長、清水委員

前回(5月6日)の小委員会では牛10例と豚13例の口蹄疫発生が報告されているので、遅くともこの会議でワクチン接種について検討すべきであった。本来はワクチン接種は殺処分を前提にするものではないし、直ちに使用しないのであれば備蓄ワクチンの必要もない。このことを検討するのが小委員会の役割だが、事務局は殺処分を前提にした特別措置法を準備するために時間を費やし、特別措置法を前提にしたワクチン接種の承認を求める小委員会となったと思われる。そのことは、会議終了後に公表された概要が会議に提案された概要案(p.47~48)が異議なく了承されたものてあり、委員の意見を聴く立場の事務局の発言が局長や課長を含めて多く、準備した防疫措置の必要性を説得する場であったことが伺える。津田委員はこの小委員会で認めた疫学調査チーム長であるが、その発言に局長、課長、課長補佐2名が対応している点が注目される。

議題
(2)今後の防疫対応について  p.14-47
 a)ワクチン接種のシミュレーション
   川南町の10例目を中心に半径10km以内のワクチン接種を3、4日で完了する。
 b)ワクチンを打った動物はキャリアになる可能性があり、抗体を保有するとか、出荷制限の問題もあり、早期に淘汰するのが適当と考えている。
 c)「今後の防疫対応について」の事務局の考え方
 1)今回のウイルスは10年前に確認されたウイルスと比べ、臨床症状が強く出ること、伝搬力が強いという特徴があると考えられる。
 2)川南町を中心とした多発地帯については、ワクチンの使用を検討すべき時期が来ている。ただし、現行のワクチンは発症を抑えるものの感染を防ぐことができないこと、感染抗体とワクチン抗体の識別が困難であることなどにより防疫上の支障を来すおそれがあることから、その使用は慎重に検討されるべきである。なお、ワクチンを接種した家畜については、早急かつ計画的に淘汰するべきである。

川島課長:今の状況について、先ほど来御議論をいただいた状況を含めて、ワクチンを応用することについて御意見をいただきたい。

 質疑応答 p.17の12行目~p.19の23行目

 筒井オブザーバー(動衛研疫学調査チーム長)による説明と寺門委員のコメントであるが、この部分がなぜ非開示なのか。ワクチン接種という重要事項の審議にもかかわらず田原委員長は欠席し、寺門委員が座長を務めている。寺門委員は岡部委員、明石委員とともに、国際ルールであるOIEコードが「ワクチンを接種してもNSP抗体検査で陽性のものだけを殺処分すれば清浄国回復ができる」ように変更されていることを無視した今回の防疫指針の作成に係わっている。ただし、防疫指針には寺門委員の指摘した「ワクチン接種と殺処分」の関係は明示されていなかったので、そのことを特別措置法により実施することになるが、何時殺処分を前提にしたワクチン接種についての論議がなされたのか。本来は5月6日に開催された第12回牛豚等疾病小委員会で「国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能と考える」と津田委員が発言(NHK報道)しているので、この時にワクチン接種後に殺処分すべきかどうかの審議をしているはずであるが、その論議を隠ぺいするために『議事録』ではなく『議事メモ』を黒塗りで開示したのではないか。今回はワクチン接種に関する説明を事務局として筒井オブザーバー(動衛研疫学調査チーム長)がしているように、第10回牛豚等疾病小委員会で設置を決めた疫学調査チームの事務局を実質的に担当したのは動衛研疫学調査チームであると思われる。

 質疑応答 19の24行目~p.47の2行目

発言者                  発言量(1行=15.5cm)                        
       p.19の2423の15 p.23の1634の16 p.34の1736の30   p.37の147の2

明石委員 11.9行 12.9% 60.2行 26.8%  6.1行 13.2% 31.0行 12.9%
寺門座長  12.7行 13.7% 28.0行  9.7% 6.0行  13.0%  57.4行  23.8%
岡部委員  -  -       50.8行 17.6%  8.4行 18.1%   7.3行    3.0%
津田委員  18.1行 19.6%   -   -   21.2行 45.8%   5.2行    2.2%
今田委員    5.1行   5.5%    -   -  0.3行    0.6%  4.6行  1.9%
筒井オブザーバー  - - 32.2行 11.1%  4.3行  9.3%   7.3行    3.0%
伏見調整官 2.7行  2.9%    7.9行   2.7%  -    -    2.0行   0.8%
小倉専門官   -  -   22.5行 7.8%   -   -     -    -
山本補佐   -  -    -   -    -   -    8.1行   3.4%
川田補佐   -  -     -   -    -   -   39.4行   16.4%
嶋崎補佐  3.7行  4.0%   -   -   -   -    -   -
川島課長  30.9行  33.4%  64.3行  22.3%  -    -   35.2行 14.6%
平尾局長     7.3行 7.9%  22.9行  7.9%   -    -    43.4行  18.0%
事務局計      48.2%       51.8%         9.3%        56.2%

その他出席委員 佐藤委員
欠席者 田原委員長、清水委員

半径10km以内の家畜にワクチン接種をし、健康な家畜まで含めて殺処分するという科学技術の発達を無視した防疫措置に委員はどのような反応をしたのであろうか。寺門委員、岡部委員、明石委員は変更された国際ルール(OIEコード)を無視した防疫指針の作成に係わっているので、事務局案に反対はしないであろう。p.23の16~p.34の16ではこの3委員と事務局、p.34の17~p.36の30ではこの3委員と津田委員が議論しているところが注目されるが、何が語られたのであろうか。ワクチン接種後にNSP抗体検査によって感染が確認されたものを殺処分するのであれば特別措置法も埋却地も必要はなく、速やかにワクチン接種して被害を最小にできたはずだが、なぜ小委員会ではそのことを検討しなかったのか。「ワクチンを打った動物はキャリアになる可能性があり、抗体を保有するとか、出荷制限の問題もあり、早期に淘汰するのが適当」と事務局が考えていたとしても、そのことを小委員会の結論としたのでは、委員は科学的に専門に関する事項を何も論議しなかったことになる。津田委員と今田委員は何を語り、佐藤委員は何故一言も発言しなかったのであろうか。いずれにしても、「ワクチンを接種して殺処分するなんておかしい」と小学生でも疑問に思う防疫措置は、この小委員会で決定された。しかもこの決定は新しい防疫指針(2011.10.1)に引き継がれている。委員の責任は重い。なお、新しい防疫指針の審議家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会も新しい委員で実施され、田原委員長、寺門委員、今田委員は牛豚等疾病小委員会の委員を退任している。

初稿 2013.4.15 更新中 2013.4.17


第12回牛豚等疾病小委員会

2013-04-05 22:43:16 | 委員会

第12回牛豚等疾病小委員会 平成22年5月6日(11:00~13:00)  
一部公開議事メモ  概要  委員名簿 
参考: 発生事例の現地調査

 牛豚等疾病小委員会の第4回から第19回までは『議事録』を公開していないが、食料・農業・農村政策審議会議事規則によれば『議事要旨』を公開しなければならない。しかし、農水省はこれを無視した議事規則違反を続けてきた。これに対して、牛豚等疾病小委員会の第10回から第15回までの議事録公開請求(平成22年9月14日)により、行政文書開示決定通知書(農林水産大臣,平成22年10月18日)で黒塗りの議事録(第12回については議事メモ)が開示された。これに対する異議申し立て(平成22年12月17日)に対しても、行政文書開示決定通知書(農林水産大臣,平成24年5月21日)で議事録の一部を開示するとしながら、議事要旨さえ分からない黒塗りにした変わり映えのしない議事録が再度開示されたのみであった。

ことに第12回議事録については黒塗りの『議事メモ』が開示されたが、これは2011年4月22日に放送されたNHK報道番組「特報フロンティア なぜ”SOS”はとどかなかったのか」では『メモ』とされて1ページが公開されている。このように行政が議事規則を無視し、一方では報道機関に公開し(NHK解説委員が家畜衛生部会の委員)、一方では民間からの再度の情報公開請求しても黒塗りの情報開示で済ますことが、法的に許されるのであろうか。しかも、公文書の公開に際して、議事録を『議事メモ』に変更するのも公文書偽造ではなかろうか。

1.NHKで報道された『メモ』(発言者は開示された『議事メモ』による)

第12回 牛豚等疾病小委員会 メモ  (1ページ目の映像から)
場所:本館4階 第2特別会議室
日時:平成22年5月6日(木)11:00~13:00

伏見調整官 ただいまより牛豚等疾病小委員会を始める。本日の会議は非公開とする。田原委員長に進行をお願いしたい。
田原委員長 それでは議事に入る。事務局より発生状況、防疫対策についてご説明いただき、ご意見ご検討をいただきたい。議事(1)宮崎県における口蹄疫の現状及び防疫対策についてご説明をお願いしたい。
山本補佐 (資料1を用いて説明。豚での発生が増加していること、小規模農場であれば、作業動線により近い房で初発している傾向が認められるが、大規模農場では必ずしもその傾向は認められないことに言及。)
伏見調整官 津田委員に、資料2-1(疫学チーム現地調査風景)と3-1(口蹄疫ウイルス日本分離株)についてご説明願いたい。
津田委員 資料2-1は4月29日に行った現地調査の写真である。防疫措置が完了した1例目のみを調査した。この農場は他の農場から離れた場所にあり、農場に通じる道は大型車両が入れない狭い道であり、周りを杉林と竹林に囲まれている。初発は出入口付近の牛舎で発生しており、牛舎の構造も甘いため、色々なものが接触してもおかしくない。聞き取りによると、飼料は、自車で購入に行っていたとのことで、飼料配送車による汚染ではないと考える。この発生が初発なのか続発なのかを確認するためには、さらに細かく情報を集め、発症例を時系列に結んで整理する必要がある。
 つづいて資料3-1であるが、今回の発生は1、2例目のウイルスはどちらも、変異が激しい領域であるVP1遺伝子の塩基配列が一致した。トポタイプはSEA(東南アジア)、遺伝子型はMya-98(ミャンマー98)であり、宮崎県で2000年に発生した際のタイプとは異なる。今回のウイルスは、2010年に香港で分離されているO型ウイルスに近縁であり、同じグループに現在、香港、韓国で分離されたウイルスが含まれる。
 現在国内に備蓄されているワクチンは今回分離されたウイルスと近縁であり、中和試験の結果からも、国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能と考える。

2.ワクチン接種が遅れた理由(川島動物衛生課長の説明)

 NHK報道番組では、備蓄ワクチンが有効であったのに、なぜワクチン接種を急がなかったのか、川島動物衛生課長にインタビューしている。報道には議事要旨の一部を開示し、インタビューにも応じられる内容を、なぜ情報公開請求されても開示しなかったのか。
 情報公開・個人情報保護審査会答申データベース検索で、開示請求をチェックして「家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会議事録の一部開示決定に関する件」の用語を入力して検索すると答申を読むことができるが、第12回牛豚等疾病小委員会の『議事メモ』を議事録として扱っていることや、非開示と開示指示の根拠が曖昧であり、農水省の意向が強く反映された答申となっている。

3.概要で公開されなかった重要審議事項

 第12回牛豚等疾病小委員会が開催された5月6日の前日までには、牛10例と豚13例の23農場に口蹄疫が発生し、ことに豚への感染が拡大していることが確認されている。一部報道されたメモによると、備蓄ワクチンが有効であると報告されていることや、ワクチン接種はすでに遅すぎる防疫措置であるにもかかわらず、概要にはワクチン接種については何も示されていない。
 また、感染拡大阻止のためには徹底的な感染源及び感染経路の究明を進めるべきであるが、感染源として中国産稲わらではなく、人やものによるウイルス伝播を念頭にすべきとし、半径3 km 以内の牛飼養農場全戸を対象とした血清学的検査についても移動制限区域の解除に際して実施すべきとしている。
 移動制限区域の解除に際して抗体検査を実施するのはOIEのルールとして当然のことであるが、今回は移動制限解除後に清浄化確認の血清学的検査を実施している。すなわち、感染拡大阻止のために最優先で実施しなければならない感染源及び感染経路の究明のための血清学的検査を否定するような概要であるが、このように5月6日に至ってもなお、感染拡大阻止を優先した防疫措置についての審議がなされていないとしたら、何を優先にした防疫措置の検討をしたのかが問われる。隠ぺいが必要な議事録なので、議事要旨を黒塗りにして『議事メモ』として開示したのであろうか。
 その後、半径10km以内の移動制限区域内の牛と豚で感染していないとみなされた全頭はワクチン接種して殺処分しているので、第11回牛豚等疾病小委員会で指摘された大規模系列農場を含めて、感染源及び感染経路の究明を目的とした疫学的血清検査(抗体検査とPCR検査)は実施しなかったことになる。すなわち、感染源である中国産稲わらと大規模系列農場は国により意図的に隠ぺいされたと言われても仕方がなかろう。

初稿 2013.4.5 更新1 2013.4.8 更新2 2014.10.23


第11回牛豚等疾病小委員会

2013-03-30 21:56:16 | 委員会

第11回牛豚等疾病小委員会 平成22年4月28日

 一部公開議事録   委員名簿
参考: 発生事例の現地調査

議題
(1)宮崎県におけるロ蹄疫の発生について  p.2-24
a)事務局説明(山本補佐) 10例目までの報告 p.2末行~p.10の25行
1例目:4月19日の午前中に動物衛生課の方に連絡がありまして、19日の午後に立入検査、20日早朝にはPCRで口蹄疫の遺伝子が確認された。
2例目:1例目の通報に先立つ4月16日に乳用、肉用混合経営という農場で、飼養牛1頭で舌のびらん、乳頭潰瘍を確認しましたけれども、同居牛に異常がないことから経過観察、20日の朝に届出、21日早朝に6検体でPCR陽性。
3例目:20日に流涎、潰瘍潰等が認められたということで家保に通報があり、21日に3検体でPCR陽性。2例目と近い。
4例目:2例目、3例目と近い。19日に症状、21日立入検査、22日PCR陽性。
5例目:4例目と近い。22日届出、23日3検体中1検体でPCR陽性。症状軽微。
6例目:1例目の発生確認で22日に5頭採決。23日に3月31日の検体ともにPCR陽性。
7例目:2例目の疫学関連で24日に立入検査。5頭中4頭が(PCR)陽性、5頭全頭の抗体陽性。肥育舎は3棟、いずれでも発症牛が認められて、いずれで採材された個体についても陽性が確認された。
8例目、9例目、10例目は会議(28日)の直前に感染確認が公表された。
8例目:27日に届出、28日早朝5検体全頭でPCR陽性。
9例目:7例目の疫学関連で27日に届出。9検体(4検体はプール)中1検体のみ陰性。
10例目:26日に豚1頭異常、27日多くの豚に急激に症状拡大、28日朝6時全5検体陽性。

報告における非開示個所
  6例目 開示すべき個所(p.5の9行目)と指示されたが非開示
  7例目 非開示(p.6の22~26行目,p.7の5~6行)
  8例目 非開示(p.7の13~17行目)
  9例目 非開示(p.7の18、20~22行目、4~6行目)
 10例目 非開示(p.9の15行~末行、p.10の1~24行目)
  
家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会議事録の一部開示決定について、情報公開・個人情報保護審査会が農林水産大臣に交付した答申書によると、口蹄疫発生の7例目から10例目については、上記の部分について一部非公開を認めている。しかし、6例目については開示すべきとされた個所であるが、なぜか非開示のままにしている。これらは発生状況の説明部分であり、非開示にする法的根拠が問われ、農水省の強い意向が反映されているように思える。なお、7例目、8例目、9例目は安愚楽牧場(全国規模の経営)の直営農場であり、10例目は宮崎県畜産試験場の養豚部門である。

 b)事務局説明(武久専門官) 防疫対応のスケジュール p.10の26行~p.13の8行目
   本日、認められました8 、9 、10 例目を除く7 例の防疫対応状況は、7例でのみ殺処分が終了していないが、ほかの6例は殺処分がすべて終了している。また、7例目および5例目は汚物物品の埋却が終了していないが、残りの5例は消毒まですべて終了している。

   c)事務局説明(川田補佐) 疫学関連情報 p.13の9行~p.16の8行目
 1) 2例目と4例目の距離は180mで同一の獣医師が診療
 2) 中国産の稲わらを使っているということが確認されております。これにつきましては、現地中国の処理工場であるとか、ロット番号であるとかいうものの確認が一部取れてございます。この稲わらを同一ロットで輸入して使用しているのが25農場ございました。そのうちの25農場について異常がないことが確認をされております。(p.15) 
 この会議までに10例の発生が確認されているだけなのに、なぜ25農場について異常がないことが確認できるのか?

 報告における非開示個所
   p.14の25行目の地域名は開示すべきとされた個所であるが、非開示になっている。

   d)事務局説明(伏見国内防疫調整官) 各国の防疫措置 p.16の9行~p.16の24行目

 質疑応答 p.16の25行目~p.25の2行目

    発言者        発言量(1行=15.5cm)

  • 明石委員        4.6行    2.5%           
  • 川田補佐        2.7行    1.5%           
  • 津田委員        55.1行       29.7%           
  • 山本補佐        8.7行    4.7%           
  • 田原委員長      15.5行     8.4%           
  • 寺門委員        17.0行    9.2%           
  • 川島課長        53.0行    28.6%           
  • 佐藤委員        8.1行    4.4%           
  • 姫田課長        15.5行     8.4%           
  • 平尾局長        4.9行    2.6%
    その他出席者 伏見国内防疫調整官、今田委員、清水委員
    欠席者 岡部委員

川田補佐は中国産稲わらを25農場で使用しているが、いずれの農場でも異常がないと疫学的調査の報告をしている。この川田補佐に対する質問から質疑が始まっているが、寺門委員の質問に対して、川島課長や田原委員長が応答し、これに佐藤委員と津田委員が加わり、議論が過熱し(p.19~20)て平尾局長まで発言している。p.25で田原委員長は次の議題(2.今後の対応について)がメーンでしょうがと発言しているほど、ここは質疑応答の場なのに何が語られたのであろうか。


(2)今後の対応について p.25の3行目~p.27の24行目
 
 
 1) 豚の発生では、この農場からの蔓延防止措置が十分にとられているので、直ちに現在の対策の有効性を否定するものとは考えにくい。
 2) 発生が確認された大規模系列農場については、九州地方のすべての関連農場を家畜伝染病予防法に基づく隔離下に置きつつ、出荷、移動ができないという状態にしまして、立入検査による清浄確認を進めていく

 質疑応答 p.26の9行目~p.27の24行目

    発言者        発言行(1行=15.5cm)

  • 寺門委員        6.9行   27.6%            
  • 山本補佐        5.2行   20.8%            
  • 伏見調整官        1.1行         4.4%          
  • 佐藤委員        4.3行   17.2%            
  • 津田委員           5.0行   20.0%            
  • 田原委員長         0.6行    2.4%          
  • 川島課長         1.0行     4.0%          
  • 平尾局長        0.9行    3.6%
    その他出席者 明石委員、今田委員、清水委員
    欠席者 岡部委員

 今後の対応についての論議はあまりなされていない。 委員会後に公開された「概要」では、「徹底的な疫学調査による感染源及び感染経路の究明を進めるべきである」とあるが、「概要」に示されるような議論がなされたとしたら、これを非公開にしなければならない理由はない。

(3)その他   事務連絡1)    p.27の25行目~p.30末行
 1) 口蹄疫疫学調査チームのメンバー報告
 
 2) 先ほど動物衛生課長からも話がありましたように、あす現地で調査、1例目の発生農
場しか行けないのですけれども、1例目の発生農場に行き、その後、現地で第1 回のこ
のチームの検討会を開催するという運びになっております。

 質疑応答 p.28の11行目~p.28の30行目

    発言者        発言行(1行=15.5cm)

  • 田原委員長       3.9行   41.5%            
  • 山本補佐        3.2行   34.0%            
  • 平尾局長            2.3行   24.5%          

この質疑応答で予定された議題の審議は終了し、田原委員長は事務局に議事運営を渡した。伏見国内防疫調整官の説明自体が黒塗りの前に削除されているのか、行の文字に空欄が多い。また、川島課長や山本補佐の説明をなぜ削除する必要があるのか。この委員会では概要は検討されていないが、公表されたのは以下の通りである。

 概要

初稿  2013.3.30