自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

真実は誰のために?

2015-01-31 13:29:22 | 委員会
2013年4月1日投稿

 今日はエプリルフール、1年に一度『嘘』を楽しむ日。『嘘』が楽しめるのは、皆が真実の下に生きているという信頼があるから。ことに、学者や報道や行政は、真実を追求する、あるいは真実の下で仕事をするのが使命のはず。今日では、その信頼の根底が揺らいでいる。

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上記の記事は、3月28日のある地方紙の報道である。この記事は農水省の報告を読まない読者のためにある。農水省の最終報告とは「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめに関する補完報告(2013.3)」のことである。この「補完報告」そのものが、真実に真摯に向き合おうとしない問題の多い報告であるが、報道にはそれを批判する目がなく、むしろ読者に真実を知らせないことに新聞が協力している例である。

 私が「補完報告」を問題とするのは以下にまとめた通りですが、新聞社や皆さんはどう判断されるだろうか。

  「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ」に関する補完報告の問題点

1.2010年に宮崎で発生した口蹄疫のウイルス(O/JPN/2010)は、2010年に中国で分離されたウイルスと一致率が99.37%~99.53%と極めて高い相同性を示した。
 このウイルスは、2009年までに東南アジアの国々に拡がり、香港でも同ウイルスに近縁のウイルスがしばしば分離されていることから、少なくとも2010年初期までに東南アジアの国から中国に侵入し、極めて短期間のうちに中国国内でも感染が拡大したと推測された。
 このような科学的な分析結果が得られたにもかかわらず、結論では「今回の発生に関しても、この東アジア地域で流行していたウイルスが、人あるいは物を介して我が国に侵入したと推定された」と、ウイルス侵入源の解明は重要にも関わらず、韓国から侵入したとする報道を否定しない一方で、中国から日本への侵入も曖昧にしている

2.「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ(2010.11.24:以下、中間取りまとめと略す)」(p.25の1~5行目)では、中国産稲わらを使用した多くの農場で感染が確認されているにもかかわらず、稲わら使用時期とウイルス侵入時期が一致しないとして感染源の可能性を否定している。しかし、この「中間取りまとめ」で推定しているウイルス侵入時期は申告によるものであり、根拠となるデータが示されていない。さらに、第11回牛豚等疾病小委員会では、「同一ロットの輸入稲わらを使用した25農場では感染が認められない(p.15)」と報告している。10例の発生が確認された段階での報告であるが、同一ロットとは口蹄疫発生農場が使用した稲わらと同一ロットのことではないのか?何と同一ロットなのか?25農場とはどの農場なのか?
 疫学調査は感染源と感染経路を追究するためにあるが、中国からのウイルス侵入を曖昧にし、中国産稲わらが感染源である可能性も曖昧にしたのでは、何のための疫学調査であり、「補完報告」なのか。

3.牛の感染実験では、ウイルスを舌に接種すると接種部位は1日後、鼻は2日後、口唇では4~5日後に水泡が確認されている。このウイルス接種牛に同居させた場合は、同居5~6日後に鼻や舌をはじめ四肢にも水疱が確認されたが、口唇には認められない牛(No.3)もいた。なお、同居牛1頭(No.4)は左前肢のみ同居3日に水泡が確認されているが、他の部位はいずれも同居6日に確認されている。さらに同居牛には明瞭な跛行や流涎等の症状は確認されていない。症状から、「同居牛にも短時間に水平伝播することが確認された」(p.10の2行目)となぜ結論できるのであろうか

4.豚の同居感染では、2頭のウイルス接種豚に4頭を同居させているが、同居後2日に3頭で水泡が認められ豚の水平伝染は牛より早い。実際には豚の群飼頭数は多いので、さらに早く感染は拡大すると思われる。しかし、同居後5日に水泡が認められ、牛と同程度の水平伝搬の時間を要した豚(No.5)もいる。
 豚でも牛でも、当然のことだが感染には個体差がある。牛では感染牛に健康牛を同居させた場合、血中ウイルスの遺伝子検査によると感染時期は発症後半日から平均1.7日(p.45)と短く、同居しても感染させない感染牛(No.8)もいることが確認されている。
 このように感染源と感染経路の疫学調査にウイルスの遺伝子検査(PCR)は欠かせない。

5.同居させた牛では同居後5~6日に明瞭な水疱形成が起こった。また、同居牛においては血清中や唾液中へのウイルス出現は水疱形成が確認された日より1~2日前に起こっていた。これらの結果から、「中間取りまとめ」の潜伏期間の推定は概ね正しいことが確認されたとある。しかし、どの牛から採血したか、また採血時と水疱形成時は同一とは限らないので、届出が遅れた農場の申告に基づいて推定したウイルス侵入時期には全く根拠はない。

6.ウイルス接種牛の1頭ではウイルス接種後19~33日にプロバング検査によって咽喉頭粘液中にウイルスが検出され、キャリアー状態になっていることが確認された。このことから、症状を呈していないものも含めて殺処分を行ったことの妥当性が確認されたとある。しかし、NSP抗体検査やPCR検査で陽性のものを殺処分することは妥当であるが、感染していても伝染力のない牛(先に説明したNo.8)もいるので、症状を呈していないものを健康なものを含めて殺処分(予防的殺処分)を行ったことの妥当性は絶対に認められるものではない

7.感染は殺処分ではなくワクチン接種で阻止できたのであり、ワクチンをできるだけ早く接種して、ワクチン接種畜のNSP抗体検査陽性畜に限り殺処分するOIE規則を無視した重い責任が問われる。ワクチンは効果があるかどうかわからないとされてきたが、「国内に備蓄されているワクチンは今回分離されたウイルスと近縁であり、中和試験の結果からも、国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能」なことは、平成22年5月6日に開催された第12回牛豚等疾病小委員会の議事メモに書かれていることをNHKの報道番組で明らかにされている。議事録にしても「補完報告」にしても、国が口蹄疫対策に関して科学的事実を隠ぺいすることは犯罪行為であり許されない。

8.備蓄ワクチンが有効であったことを公開することも大切であるが、備蓄ワクチンを英国まで出張して調査した記録を報告していた動薬研ニュースは口蹄疫発生後に何故か廃止されている。一方、宮崎口蹄疫で使用した備蓄ワクチンについては、豚病会報で解説しているが、英国に保管してある備蓄抗原と国内に保管している備蓄ワクチンの違いについては説明していない。備蓄ワクチンは口蹄疫感染を確認して1週間以内に摂取しなければ、英国等のワクチンバンクに世界中の口蹄疫の抗原が保管され、韓国のようにワクチンを緊急輸入できるので備蓄の意味はない。1週間以内に使用しない国内備蓄ワクチン購入は、明らかに不法な予算要求である。また、緊急ワクチンの輸入をしていないとすれば、これも備蓄抗原の保管に違法な予算を要求していることになり税金の無駄遣いだ韓国では予防的殺処分では感染拡大を阻止できないので、2010年12月22日にワクチン接種を決定してワクチン製造を英国のメリアル社に発注し、12月26日, 1月2日には仁川空港に到着している。日本では備蓄しているワクチンが今発生している口蹄疫ウイルスに効果があるかどうか判らないと説明されてきたが、英国等のワクチンバンクには世界の口蹄疫の抗原が保存されているので、発生している口蹄疫ウイルスに最適なワクチンを迅速に生産し供給できることを韓国の緊急ワクチン輸入は明らかにしてくれた

9.ケースコントロールスタディとして、発生があった症例(ケース)群と発生がなかった対照(コントロール)群の2群に分けて比較分析をしているが、ワクチン接種して殺処分をした場合に、感染していたかどうかを区分した根拠は何か?根拠もなく発生と発生でないと区分するケースコントロールスタディには意味はない
 第11回牛豚等疾病小委員会(平成22年4月28日)では、「発生が確認された大規模系列農場については、九州地方のすべての関連農場を家畜伝染病予防法に基づく隔離下に置きつつ、出荷、移動ができないという状態にしまして、立入検査による清浄確認を進めていく」とあるが、その疫学調査の結果こそ、この「補完報告」で公表すべきである。川南町にあった大大型農場の系列第6農場はワクチン接種して殺処分されているが、感染していなかったという証拠はあるのか?

10.「口蹄疫の疫学調査に係る中間的整理について(2010.8.25)」は、第15回牛豚等疾病小委員会及び口蹄疫疫学調査チーム第5回検討会で検討され了承されている。しかし、「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ(2010.11.24)」とその「補完報告(2013.3.27)」は「口蹄疫疫学調査チーム報告書」となっているが、両報告ともに疫学調査チームの持ち回り検討会を含めて一切の検討がなされた報告はない。それでも「口蹄疫疫学調査チーム報告書」とするのは法的には報告書の偽造と言えるのではないか。

11.国が新たな防疫対応を講じる場合には、基本的に食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会 (以下「牛豚等疾病小委員会」という。)の意見を聴くこととなっている。また、食料・農業・農村政策審議会議事規則によれば、委員会および議事録は非公開とすることができる。しかし、議事録を非公開とする場合は議事要旨に代えるとしながら、牛豚等疾病小委員会の第4回から第19回までは(議事)概要のみで、議事要旨は公開されていない。 このように今回の口蹄疫防疫措置については、科学的事実が隠蔽されただけでなく、憲法のもとにある公務員や行政の責任と義務に反した背任行為が随所に認められ、ワクチン接種後に直ちに殺処分した科学的根拠もなく、それを主導した国、県は2,350億円の経済被害と金銭では償うことができない遺伝資源、環境および地域社会の破壊等への重い責任が問われる。

初稿 2013.4.1 更新 2015.1.31(日付更新を含む)


猛威を振う鳥インフルエンザ、そして口蹄疫~誰も責任を取らない中空構造①

2015-01-25 19:49:04 | 中空構造
 昨年12月から1ヵ月の間に、宮崎、山口、岡山、佐賀と鳥インフルエンザが発生し、岡山の20万羽を含む35万6千羽が殺処分された。

 農水省の鳥インフルエンザに関する情報によると、韓国では昨年1月以降、あひる農場を中心に鳥インフルエンザの発生が続き、7月に一旦終息するまでに、548農場、1400万羽が殺処分された。このような莫大な殺処分となったのは、発生29農場の周辺336農場の殺処分(予防的殺処分が原因である。この鳥インフルエンザは2ヶ月後の9月から再発生し、この1月19日までに47農家の発生が確認され、すでに53農場、95万7千羽が殺処分されている。ただし、何故かOIEへの報告9月の発生時以来ない。

 韓国は口蹄疫でも同様な防疫措置(p.50)で348 万頭の牛と豚を殺処分したが、この予防的殺処分を中止してワクチン接種に切り替えたことにより口蹄疫発生を終息させることができた。日本は口蹄疫の防疫指針に予防的殺処分を取り入れ、ワクチンを利用しようとしない

 「ウイルス感染とワクチン」で、山内一也先生は鳥インフルエンザと口蹄疫の違いについて、「鳥インフルエンザの免疫効果は138週間も続くという報告があり、これは産卵鶏の最大飼育期間100週間を超える。口蹄疫ワクチンの免疫持続期間はおそらく鳥インフルエンザワクチンほど長くはないと推測される。両ワクチンで大きな違いは、鳥インフルエンザワクチンは予防ワクチン、口蹄疫ワクチンは緊急ワクチンとして使用する点」とウイルスの効果は確実にあることを丁寧に説明されている。また、「養鶏問題に関する議員連盟」は鳥インフルエンザ対策の見直しを求める報告書(平成21 年12 月22 日)で要望もしている。
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 1/4
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 2/4
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 3/4
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 4/4
 しかし、口蹄疫も鳥インフルエンザも防疫対策としてワクチン接種を要望しても、現場(国民)に責任をとらない御用学者や官僚は全く聞く耳を持たない理不尽な横暴さである。

 宮崎で口蹄疫が発生した当時、官僚は(当然のことながら?)政権党(民主党、社民党、国民新党)の議員ではなく、それまで付き合いの深かった地元の自民党議員と綿密な打ち合わせをしていた。宮崎口蹄疫発生に関係した多くの不自然な言動が現場に見られただけでなく、県や国の不誠実な感染源と感染経路の調査もあり、科学的事実よりも利害関係の調整、真実の追究よりも身内のために真実を握りつぶすことを実力だとした日本の悪しき伝統に由来した悪質な事件であった。

 それは日本の誰も責任を取らない中空構造が、君(国民、自然を含む他者)ではなく我の自己利益追求を最優先して、憲法を厳しくは守らない米国追従官僚と大資本、政治屋家業(稼業)、これに御用マスメディアと御用学者がつながり、3権分立の立法、行政、司法が癒着した政治的独占支配の病巣となったことに起因している。この事件を法的に裁かない限り、原発問題、沖縄基地問題と同様に日本の畜産、獣医行政に夜明けは来ないであろう。

 世間と違い、国というものは憲法によって成立している。日本人だけでなく人類はもともとすべてが一つの世界に生きていた。人口が増加し秩序が乱れると暴力も増加することで国が生まれた。日本は地方の豪族支配から国となり、荘園を所有する貴族の平安時代から大地を一所懸命に守り生きる武士の鎌倉時代、そして戦国時代を経て戦争をしない徳川幕府の鎖国時代が続き、日本文化を成熟させながら、その一方で江戸末期の攘夷論が明治維新を生み、自国を守るためと称して他国を侵略し、大政奉還からわずか78年(現在は戦後70年)で敗戦によって「すべてが一つの世界」に覚醒した。そして中空構造の柱として戦争を永久に放棄した現憲法がある。

 現憲法は米国に押し付けられたものではなく、象徴天皇に見られるように日本の歴史であり、「すべてが一つの世界」を明記した世界遺産であり、暴力を否定した人類の夢である。公務員である政治家、官僚、学者が憲法を守らない時には厳罰に処しなければ、国は腐敗し、崩壊してしまう。

参考 憲法の価値を実現する


牛豚と鬼「命と自由を守る民間ネット」

2015-01-20 19:47:47 | 牛豚と鬼

 このネットでは口蹄疫対策に関する最新の科学的知見と国際動向を紹介し、畜産関係者と市民が新しい防疫体制の構築に参加するための情報を発信してきました。しかし、市民に影響を与えるマスメディア、ことにNHKは英国や欧州における口蹄疫対策の最新情報を報道せず、完全に農水省の広報機関に堕してしまっています。
 国の権限で働く獣医行政・研究の目的はどこにあるのでしょうか。BSEも口蹄疫も感染源を曖昧にして隠蔽し、被害を最小にすることよりも権威と権限、そしてそこから得られる利権を最大にすることを目指しているように見えます。それは日本の政治の裏側にある実態であり、獣医行政だけでなく日本の社会に沈殿している利権をめぐる腐敗と無縁ではないでしよう。そして今や家畜の命だけでなく、国民の命と自由を軽視し、憲法で守られている国民主権、基本的人権の尊重と恒久平和主義を無視する安倍・麻生リベンジ内閣は、政権を追われた倍返しの怨念で国民支配の政治を始めようとしています。ここではNHKの報道を監視し、口蹄疫だけでなく「命と自由を守る民間ネット」へと情報発信を広げていきたいと思います。

はじめに 自然と人為
「自然とデザイン」ライブラリの回覧 (第1回8部回覧)

平和への不安を煽るNHK報道部
戦後68年 いま、"ニッポンの平和"を考える(1) 35分
戦後68年 いま、"ニッポンの平和"を考える(2) 40分

口蹄疫に関する資料
真実は誰のために?
「口蹄疫対策検証委員会報告書を科学的に検証する」
疫学調査チームは何のための仕事をしたのか
日本獣医学会微生物学分科会長からのメール
牛豚等疾病小委員会開催状況(第1回~第20回)
OIEは口蹄疫ワクチンをどう考えてきたのか?
韓国における口蹄疫発生とワクチンの効果について
2007年英国口蹄疫疫学調査から全頭殺処分の問題点を考える    宮崎口蹄疫事件から5年~誰も責任をとらない中空構造⑦

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       口蹄疫対策民間ネット(2013年改訂版)

はじめに(ブログの開設にあたって)
はじめに(口蹄疫という鬼)

このネットは、宮崎口蹄疫の防疫対策の検証を通して、新しい防疫体制の構築に参加するための民間ネットです。防疫体制は生産体制と密接に関わってきますので、現場の方々と共にこのプログに問題点や改善案等を提示し、このネット上の作業それ自体が家畜防疫を総合的に推進する一役(翼)を担っていくことになれればと願っています。

NHK宮崎放送局制作ドラマ「命のあしあと」
追跡!A to Z  口蹄疫“感染拡大”の衝撃
「ワクチン接種したら、殺処分しかない」という非情な虚構
特報フロンティア なぜ”SOS”はとどかなかったのか
「殺処分神話」を生んだ動衛研村話法
ワクチン接種後に殺処分した本当の理由は?

 これまでこのネットで作業してきました内容は畜産システム研究会報第34号、35号にまとめて発表し、要望のまとめは酪農雑誌「デーリィマン」に投稿しましたので、ここにその内容について掲載させていただきます。

Ⅰ.口蹄疫の被害最小化対策を考える.畜産システム研究会報第34号,11-45.(2011.2) 引用文献

Ⅱ.口蹄疫被害最小化のためのマネジメント -遺伝子検査とワクチン接種-. 畜産システム研究会報第35号,39-63.(2011.12) 引用文献 16. Charleston Online Material

Ⅲ.口蹄疫対策に関する最新の科学的知見と国際動向
  -殺処分を最小にする世界最先端の防疫対策を準備すべき- 
   
デーリィマン61,44-45,2011.12

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 この度、山内一也東大名誉教授とのメール対談:「口蹄疫との共生」を考える、を週1回の予定で下記の通り掲載させていただくことになりました。

メール対談:「口蹄疫との共生」を考える

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A.畜産システム研究会シンポジウム(2011年7月23日)
B.「口蹄疫被害最小化のためのマネジメント -遺伝子検査とワクチン接種-」
 はじめに
1) 「口蹄疫禍」を新しい時代の夜明けに  スライド1-2,14
2) マネジメントと論理的、科学的な基本認識の共有  スライド2
3) 口蹄疫感染とウイルス排出と抗体産成の関係  スライド3,4
4) 口蹄疫の伝染時期と防疫対策  スライド5,6
5) 口蹄疫のワクチン対策と遺伝子検査  スライド7,8,9
   6) 韓国の口蹄疫対策基本方針変更
   7) 近隣諸国の口蹄疫対策
   を含んでいます。
8) 口蹄疫対策の最前線、感染源と感染経路の疫学調査 スライド10,11
9) なぜ、口蹄疫にワクチンを使わないのか ー科学と経済の問題ー    スライド12
10) 口蹄疫防疫体制の強化のために   スライド13.14

参考文献 スライド 1-14(pdf)

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「口蹄疫を終息させるための被害最小化問題」と対策(2010-10-21)
なぜ簡易遺伝子検査法の開発導入を稚拙な論法で否定するのか(2010-11-30)
日本獣医学会微生物学分科会長からのメール(2010-12-01)
獣医・専門家は、なぜ「ワクチン接種後に殺処分の必要はない」ことを紹介しないのか(2010-12-03)
我が国の口蹄疫対策と海外専門家の評価(2010-12-13 )
疫学調査チームは何のための仕事をしたのか(2010-12-17)
国際シンポジウム「国境なき家畜伝染病防疫対策の取り組み」(2012-01-05)
口蹄疫対策強化月間は県・国の責任を農家に転嫁するプロパガンダ(2012-02-08)

口蹄疫対策民間ネットについて(旧版)

初稿 2011.7.20 更新 2015.4.7 日時セット 2015.1.20


「実は暴力は減ってきている」 TED:スティーブン・ピンカー

2015-01-13 22:30:00 | 自然と人為
今年は戦後70年の節目を迎えるので、「平和と進歩」に関してメディアの報道は多くなり、放送内容をお伝えしたり、「ビデオライブラリ」を提供して、「我々はこれからどう生きていくべきか」、皆様と考える機会も多くなるものと期待しています。

今年の最初(2015年1月7日)の放送「スーパープレゼンテーション」は、スティーブン・ピンカーの「実は暴力は減っている」でした。まだ、日本語TEDにはないようなので、2007年に公開されている「The surprising decline in violence」のTranscript(暴力にまつわる社会的通念)を添えて紹介します。なお、日本語TEDには2014年にピンカー夫妻の対話をアニメにした「遠くまで及ぶ理性」とそのTranscript、さらに、このアニメの制作の背景も紹介されています。また、レベッカ・ゴールドスタインについては、専修大学の坂野明子「ホロコーストとシャボン玉 : レベッカ・ゴールドスタインMazel を読む」が参考になります。





このスピーチは、2011年に発売された「The Better Angels of Our Nature: Why Violence Has Declined」に詳しい。まだ翻訳はされていないようですが、2011-12-20 書評2013-01-09 書評、この本に関するスティーヴン・ピンカーとロバート・カプランの対談が参考になります。また、タイラー・コーエンの書評も参考になります。

なお、スティーブン・ピンカー著「暴力の人類史」がアマゾンから近々発売されるようで、次の書評がありました。
「人類は地球上から暴力を根絶し、平和に向かうことができるのか?
人間の攻撃性を生み出す内なる「悪魔」と、暴力を回避する内なる「天使」の正体とは――。
先史時代から現代にいたるまでの人類の歴史を通観しながら、神経生物学などの多様なアプローチで、暴力をめぐる人間の本性を精緻に分析。」
『言語を生みだす本能』『心の仕組み』『人間の本性を考える』などで知られる心理学の世界的権威が、これまでの知見を総動員し、壮大なスケールで大胆な仮説を提示する、未来の希望の書! !

本プログ「自然とデザイン」では、自然の一員である我々が平和に暮らすための考え方(デザイン)を「君あり、故に我あり」と「自他同一の感性」の共存、共創の思想を基軸として提案していますが、21世紀は脳科学の研究が飛躍的に進展すると思われ、人間の見方(物語)も大きく変化するかもしれません。しかし、人類は平和を求めて成長し続けること、それには「我あり、故に君あり」の利己的な競争ではなく、「君あり、故に我あり」の共存の思想が大切なことをスティーブン・ピンカーからも学んでいきたいと思い、本日はその「考える資料」を提供させていただきました。身近には意見の相違、競争、紛争はあるでしょうが、暴力は目的ではないのでスティーブン・ピンカーが言うように、これまでの長い歴史で暴力を抑制するために、「我々は何か良いことをしてきた」わけですから、「君あり、故に我あり」と「自他同一の感性」から湧きでる理性で暴力や戦争は抑制できると信じています。

2015.1.14 一部追加更新

「誠実な言葉」と「ごまかしの言葉」~個人と組織

2015-01-03 23:32:56 | 自然と人為
ある民放の旅番組でその土地の名産を試食し、「全然!」と声を発したタレントがいた。古い世代では全然は否定的に使われ、「全然美味しくない」なら耳に馴染む。ここは名産の試食なので全く美味しいという意味で使用したのであろうが、言葉が正逆反対の意味に使われるまで来たのかと驚いた。

犬とは言葉は通じないが心は通じる。言葉は変化するが心を相手に伝える人類の大切な手段だ。NHKは日本語を守る仕事をしていると思っている。ことに解説員は「誠実な言葉」で事柄を解説する仕事だと思っていたがたが、受け取り方によっては正逆反対の意味を持つ「ごまかしの言葉」も使うことをNHK解説スタジアム「政治・暮らし・世界 どうなる2015」で知った。

第一部「どうなる経済再生」に参加した解説者の担当部門はNHK解説委員室によれば次のようになり、席順で示しておいた。(印刷用はこちらを!スマホで読みにくい人のテスト用)

 司会者 西川吉郎・解説委員長(国際政治)
画面左 司会者から見て右側
関口博之・解説副委員長(経済政策・企業経営)
合瀬宏毅(食料・農林水産)
道傳愛子(東南アジア・途上国開発の課題)
後藤千恵(福祉・地方自治・社会保障)
村田英明(社会保障・医療・労働問題)
二宮徹災害・復興・建設)
画面右 司会者から見て左側
城本勝・解説副委員長(政治全般)
百瀬好道(欧州政治・経済)
寒川由美子(事件・事故・社会)
安達宜正(政治・選挙)
太田真嗣(政治全般)
藤野優子(社会保障)

また、発言順とパネルで示された「アベノミクス」に対する発言者の
評価パターンは次のようになる。



この意見分布で、トップバッターに指名された太田氏はやや良いにマークしながら、日が差しているところはまだ一部だけで、全体としてはまだまだ寒く消費が伸びないとし、副解説委員長の2名は、城本氏はやや良い部分を△にして、洒落なのか小さな抵抗なのか分からないが「小ワザ」だとし、最後に指名された関口氏は薄日は差してきているが来年が大切だとしている。これを受けて、西川解説委員長が「来年に大いに期待したいということですね」と締めくくっている。これがNHKの組織として決められたシナリオであろう。

このシナリオを意識してか、晴れにマークした④村田氏は雨にもマークして、2極分化だと言う。古来、経済は世を(おさ)め、民を(すく)うと名付けられたものでもあり、この番組は多くの国民に向けられた番組のはずなので、国民の大多数にとって晴れなのか雨なのかに答えなければ、2極文化は「誠実な言葉」のように見せかけた「ごまかしの言葉」に過ぎない。また、災害・復興・建設担当の⑨二宮氏は、曇から雨には「こうなってはならない」と×を付けている。いろんな表現があるものだ。

「アベノミクス」の評価を最も高くした⑦合瀬氏は、「こうなってもらわないと困る」と言う。合瀬氏は「食料・農林水産」を担当しているが、どのような見識に基づいて解説しているのであろうか。これでは「食料・農林水産」ではなく、誰かさんに気を遣うおしゃまな小学生並の見解ではないか。農政審議会の委員をしていた当時、口蹄疫対策の隠蔽・捏造をNHKが追求しなかった罪も大きいので、この解説委員に対する私の評価は厳しい。

⑤道傳氏は海外の論調を引用しながら、今回の選挙の目的は「経済」ではなく安保外交の「政治」を狙いとしたものとズバリ指摘するが、経済的には「曇ちょっと雨」としている。それなら、もっと雨よりのところにマークすべきではなかろうか。また、⑧後藤氏は「今、苦しい生活をしている人達にとっては残念ながら冷たい雨が続く」としながら、生活困窮者の支援と介護保険の新しい制度では、行政ではなく地域の取り組みを重視することが太陽(チャンス)になるとしている。理解しにくい論調だ。いずれもNHKの「空気」に配慮したということなのか?

③安達氏と⑩百瀬氏は経済的見識から、⑪寒川氏は経済成長よりも安定した暮らし求めるべきだとし、三者とも雨よりの評価をしている。それぞれの解説委員が何を重視して発言すべきかは、個人の見解と組織の方針を配慮してのことなのであろうが、私はこの三者の発言が「アベノミクス」の評価に対して最も「誠実な言葉」であり、ことに「経済成長政策」そのものに疑問を呈した⑪寒川氏の発言を高く評価したい。

このように解説者の発言の大勢をみると、個人的には「アベノミクス」に対する評価は明らかに低いが、NHKの職員としてシナリオに従った評価をしたと言うことであろう。来年のことを言うと鬼が笑うし、先のことは希望をもって発言するのが日本の風習であり、組織の方針にそれなりの配慮をした解説委員を批判するつもりはないが、厳しい状況が国民に迫って来ると危惧されているこの時期に、NHKという組織が国民の支配層に近い生活感覚と目線で番組を制作することは、『気がつけば貧困、そして戦争』という事態を招いてしまいはせぬかと心配している。国は国民の基本的人権を、組織は個人の尊厳を守ることが基本ではなかろうか。

2015-1-5 表部分更新  2015-1-6 スマホ用、印刷用を追加