自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

「国を守る」ことは「憲法を守る」こと~何故、憲法9条を「戦争放棄」と素直に表現しないのか!(追記)

2019-05-21 22:42:17 | 自然と人為

 最近、YoutubeにNHK番組を投稿したら著作権違反で、使用できなくなった。さらにFacebookに投稿していた動画も見れなくなったので、ブログ「自然とデザイン」に動画を掲載する方法はOnedriveしかないかと思っていた。そうしたらブログ「ジャーナリスト同盟」も強制的に閉鎖!されたようで、これは「日本の風景」として紹介させていただくことにした。令和の最初の「憲法記念日」に放送された「令和の時代 憲法を考える」(動画)も一時消去されたので、早めにご覧いただき、とりあえず動画のアドレスを記録しておくことにする。
 https://www.facebook.com/100029053170448/videos/200657564246015/?id=100029053170448 令和の時代 憲法を考える

 いずれにしても、YoutubeもFacebookも、メディアもネット社会も、政府に従って言論統制に協力する嫌な時代になったもんだと思う。民放で「平成のダメダメ政治家ランキング 10位に山本太郎議員」と報じていたが、こんな番組で山本太郎議員を堂々と批判する恥ずかしくも恐ろしいメディアを裏で政権が動かしている。参考に山本議員の街頭演説「生きていて良かったと思える社会を」デモクラシータイムス「消費増税・安倍政権の暗闘~破局のシナリオ」「戦争で島奪還」 危うい!政治家の「軽さ」、さらに「維新と安倍・戦争発言丸山議員ととかしき自民府連会長」も紹介しておく。

 憲法は国内法の土台であるが、その99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と明記されている。丸山穂高衆議院議員は公務員であり、憲法9条に「戦争放棄」と明記されていることを知らないはずがない。国会議員は「言論の自由」で何を言っても許されると言い訳しているが、国会議員は国民の下僕であり、憲法を守る義務がある。自由民主党は憲法改正を党是とし、安倍首相はその先頭に立つとしているが、「変えるべきところは変える」という問題ではない。これを平気で言えるのは、日本は戦後70年以上もアメリカの属国であり、若い自衛隊員をアメリカのために戦わすことに心が痛まないからだ。アメリカの都合に合わせて「変えるべきは変える」のであり、日本国民にとっては絶対に「変えてはいけない」部分である。
 参考:「戦後国体」は「尊米攘夷」!?
     戦後日本が抱え続けた“平和主義と日米安保の矛盾”
     岩上安身による京都精華大学専任講師・白井聡氏インタビュー
     安倍総理はなぜ日本国憲法を忌み嫌うのか


 日本国政府は、日本国及び日本国民統合の象徴である天皇の令和初国賓として、トランプ大統領を迎え、ゴルフ・相撲・護衛艦乗艦(2)とおもてなしを考えているようだが、独立国の象徴天皇をアメリカ大統領の娯楽的接待と米国追従や政権の宣伝に利用することを恥ずかしく思わないのか!
 参考:トランプ大統領がツイッターで、安倍首相の国民騙す“関税密約”暴露!
     「日本の7月の選挙が終われば農業で大きな数字」
     安倍首相がトランプ接待で「大相撲の伝統」破壊!
     日本はどうしたのか 正気とは思えないトランプ“狂騒”<上>
     前嶋和弘氏:日本がトランプを接待することの意味
     トランプ大統領がツイッターで、安倍首相の国民騙す“関税密約”暴露!
     「日本の7月の選挙が終われば農業で大きな数字」
     田崎史郎、岩田明子の“安倍目線”がすごい!
     「こんな人に政治をやらしたたら絶対ダメ!」田中真紀子


 安倍首相は恥ずかしくもなく、モラルもなく、国民も愛さず、政治の私物化を喜んでやっているように見えるが、教養もなく、馬鹿丸出しだから国民は警戒しない。メディアも大切な友好国だからと問題にしない。
 しかし、緊張感のない腐りきった怠惰な政治と国内情勢からは、未来への国民の希望は生まれない。
 参考:田中角栄の言葉を引用:
     戦争を知らない世代が政治の中枢となった時はとても危ない
     「朝鮮半島・中国から攻めてきたらどうする?」的な愚かな質問に対して
     山本太郎議員の回答は完璧です。

    自民党憲法草案の危険性⑦ 緊急事態条項

 私のブログで、『憲法の「平和主義」と「戦争放棄」の違い』について書いたことがある。今、「平和主義」の名のもとに「平和」が脅かされそうな危険な政治が蠢く「令和」の時代を迎えている。
 「平和主義」の表現は曖昧で、「平和主義」と言いながら、一方では国を守るために武力の保持は当然だという考え方が前面に出てくる。武力で国を守るのが、現実的で平和だという考えだ。こうして日本が世界に宣言している「戦争放棄」の憲法は否定され、戦争は世界からなくならない。平和は一国だけでは守れないから、世界に呼びかける必要がある。かといって、気に入った国同士が徒党を組もうと呼びかけるのはみっともない。日本は戦争の責任を取り、自ら「戦争放棄」を宣言した。一方、仮想敵国を作ることは、アメリカ属国を続けるには有利に働く。NHKは何故、北朝鮮のロケット発射を騒ぎ立てるのか。北の脅威を国民の日常生活に持ち込むこと自体が、「戦争放棄」の憲法違反行為だとも言えるぐらい、憲法9条は気高い理想を掲げている。
 日本国憲法第2章に明記されている【戦争放棄】は、明瞭に【軍備及び交戦権の否認】を世界に宣言している。「平和主義」と「戦争放棄」は同じ4文字なのに、何故、憲法9条に明確に書かれている「戦争放棄」をNHK、自民党、公明党、日本維新の会、希望の党などは使わないのか。2枚舌、二重人格だ!

 令和の最初の「憲法記念日」に放送された「令和の時代 憲法を考える」(動画・削除! Facebook:動画で、NHKは自民党の指示に従ったのか、しきりに「憲法改正の是非」を問うている。私は「憲法記念日」は憲法を大切に考える日だと確信しているので、ここでは何故、国民が求めていない「憲法改正の是非」を憲法記念日にNHKは問うのか考えてみたい。


 自民党の憲法改正案について、上記4項目(自衛隊の明記、緊急事項、参議院の合区解消、教育の充実)を改正すべきとし、自衛隊を「国防軍」にする話がないまま、NHK番組では4項目の是非を問うている。「参議院の合区解消」と「教育の充実」は憲法を改正する必要はないので、明らかにカモフラージュだと思うが、まさか「軍国主義教育」を復活させるために憲法9条が邪魔だと思っているのではなかろうね?! 一方、「緊急事項」については一切論議されていないが、これこそ憲法改正の真の目的だからそーっとしているのか?「緊急事項」の問題については、「5.3憲法集会2019」で 高山佳奈子氏 (京都大学教授)(動画)が指摘しているように、災害対策基本法で対応できる。自然災害以外の緊急事項とは何を示すのであろうか?憲法に「緊急事項」を入れることには多くの問題が指摘されているが、憲法を改正して「共謀法」に根拠を与えて、自己中心的に国民を支配しようとしている。
 参考:2017.5.23 NEWS23「共謀法」衆議院通過
     安倍内閣は憲法を改正して、自己中心的に国民を支配しようとしている
     共謀罪は憲法13条、19条、21条、31条に違反する。
     「共謀罪」法の施行 違憲の法律は廃止こそが必要
     護憲 vs 改憲 アベ改憲のアレがそーとーキテる(動画)
     ヤバすぎる緊急事態条項特集(動画)
     「改憲のもう一つの危険な狙い 自民党草案(緊急事態条項)」(動画)
     自民党の憲法改正の本丸・緊急事項の危険性(動画)
     殆どの日本人が知らない自民党憲法草案の危険性② 「緊急事態条項」(動画)
     「令和新時代に新憲法を」の大合唱が始まる!?(動画)


 NHK番組では、憲法に「自衛隊の明記」することの「憲法改正の是非」が問われ、自民党は、「自衛の措置をとるための実力組織として自衛隊を保持」することは、今までの9条の「戦争放棄・軍備及び交戦権の否認」と矛盾するものではないと主張し、学者が自衛隊は憲法違反だというから、憲法9条に自衛隊の存在を明記したいと言う。自衛隊をアメリカの誤ったイラク戦争に派遣するなど、海外に活動の場を拡大している理由も、自衛のためだと説明するのか?正直者の顔をしながら、堂々たる詭弁に徹する政治家。国を守るために「武力」が必要と、「戦争放棄」の崇高な「日本国憲法」の意志を無視し、嘘を嘘とも思わない人間性なのか、それが泥沼を歩く「政治家」の現実的仕事だと思っているのか。いずれにしても、失礼ながら理想も清々しくもない嫌な政治家のイメージだが、下記のNHKの「条文イメージ」も卑劣だ。



 災害救助で国民に信頼されている自衛隊は、軍隊と規定するよりも「国際災害救助隊」と改名し、憲法に則って軍艦も飛行隊も廃棄すべきであり、アメリカの要望に応じて軍備を拡大する必要は全くない。
 朝鮮戦争勃発直後の1950年8月、GHQの指示で始まった日本の再軍備で、最初に組織された警察予備隊は、軍人が公職追放の対象になっていたため、全国の警察から集められた隊員が米軍キャンプで訓練を受けた。まもなく1951年3月、GHQは旧軍の下級将校を追放解除とし、警察予備隊幹部として迎えた。
 自衛隊にはアメリカの属国としての歴史がある。第2次世界大戦では、ドイツ占領地を奪回する戦いで、米ソは西と東からともにドイツと戦い、エルベ川での出会いでは共に勝利を喜んだ。その後、独裁者・スターリンとの米ソ冷戦が始まり、アメリカは「戦争放棄」した日本に同盟国として再軍備を求めた。しかし、国民の憲法に対する愛着が深いので、解釈改憲により自衛隊の存在を曖昧にしてきたが、自衛隊の暴走を抑えるためにも曖昧で組織に欲求不満をもたらす軍ではなく、「国際災害救助隊」として世界に貢献する名誉ある組織とすべきであろう。

 憲法改正は自民党の党是だと胸を張っているが、「国を守る」とは「憲法を守る」こと。憲法第2章の「戦争放棄」は、「GHQにより作られたものではなく、当時の幣原総理の提案」(動画)であったという証言が残されている。憲法がアメリカにより押し付けられたとし、「憲法改正」を主張したのは、戦犯により公職追放された人々であり、自分と国を同一視し、政治を私物化をしている議員と同じ行為だ。それが首相ともなれば影響が大きく、国民を守るための憲法が危うくなる。戦後70年以上も経過して、世界の状況は変わってきたと安倍首相は何故、国民に定着している憲法を改正しようとするのか。国民に人気のあった田中角栄首相は、「憲法はすでに4分の1世紀以上の歴史の中にあります。しかも国民に消化され定着しております。」と1972年に明言している。自民党の党是と言うには、首相によってあまりに国民との距離の違いがありすぎる。

 参考:日本国憲法誕生 全編
     総理の祖父・岸内閣“改憲の原点”『憲法調査会』肉声を発見(動画)
      2016.2.25 報道ステーション

     戦後史の一つの事実: 安倍晋三の祖父、岸信介と自民党の正体(朗読)
      (CIA・アメリカ・日米安保)2013.2.2

     自民党は改憲政党だったのか
     「改憲は立党以来の党是」という安倍首相の大嘘
     【報ステ】安倍総理“2020年に憲法改正を実現”(19/05/03)(動画)
     <社説>安倍首相の改憲姿勢 憲法軽視の弊害もたらす
      琉球新報 2019年5月8日     
     2014.06.08 「憲法を知らぬ保守を叱る!」by小林よしのり(動画)
     第九十九条【憲法尊重擁護の義務】
      天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を
      尊重し擁護する義務を負ふ。

      参考:自民党日本国憲法改正草案
       第2章「戦争の放棄」を「安全保障」とし、第9条 2を「前項の規定は、自衛権の
       発動を妨げるものではない」とし、これに9条の2「国防軍」を追記している。これは
       憲法の理想を首相が否定し、国民が憲法を縛る明確な第99条違反だ。


 1955年の自由党(吉田茂)と民主党(鳩山一郎)の保守合同により自由民主党が結党され、55年体制といわれる保守と革新の2大政党の時代を迎えた。しかし、その一方では米ソ冷戦を背景として、1954年(昭和29年)から1964年(昭和39年)にかけて、米CIAが自民党に秘密資金を提供していたことをアメリカは公表(2007年)している。
 発足時の自民党綱領には、「五、平和外交の積極的展開」として、「原水爆の禁止を世界に訴える」とあるが、安倍政権は自国第一主義のトランプにポチのように尾を振り、かつて広島、長崎に原爆を落としたアメリカの意向に従って原水爆禁止に消極的だ。「六、独立体制の整備」には「現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う」とし、「世界の平和と国家の独立及び国民の自由を保護するため、集団安全保障体制の下、国力と国情に相応した自衛軍備を整え、駐留外国軍隊の撤退に備える」とある。「現行憲法の自主的改正」とはアメリカからの独立を前提としたものであろうが、戦後70年経てもなお属国に甘んじているので、「自主的改正」とは言えない。

 「戦争放棄」を「安全保障」とし、自衛隊を「国防軍」にするという自民党の改憲草案の本音は、NHKの討論では表に出されていない。これまでは、解釈改憲で自衛隊の活動範囲を拡大し、「美しい国、日本」を「誇りなき国、日本」にしてきたが、「戦争放棄」を止めて自衛隊を「国防軍」としてアメリカとともに戦うとは、すでに「国防」の拡大解釈であり、日本を何の理想に向かわせようとしているのか? 「戦争放棄」を止めて自衛隊を「国防軍」としてアメリカとともに戦争に参加させることは、再び日本を戦争への危険な道を歩ませることになる。「国防」と美しい?接頭語をつけても、「軍」は人を殺し、街を破壊する。核戦争になれば人類滅亡さえ危惧されている。もう本気で戦争はできなくなっている。現在の日本国憲法の「戦争放棄」を世界中が尊重し、他国を尊重しなければならない時代になっている。国際政治に求められる戦争のない道を歩む努力に、日本は冷や水を浴びせるのか!
 自民党の立党宣言には「第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する」とある。これは日本だけでなく、世界の人々に共通であり、各国に求められる時代となっている。安倍首相は「党是」を私物化解釈をして、「緊急事項」で、さらに国まで私物化しようとしているのか?!立党宣言に示された自民党員の尊厳を党首自らがが崩すのか? 怒れ! 自民党員!
 参考:「平和といのちと人権を! 5.3憲法集会2019 ―許すな!安倍改憲発議―」(動画)
     元NHKプロデューサー・永田浩三さんのスピーチ産経新聞
     自民党60年 立党の精神は今(上) (下)


 「令和の時代 憲法を考える」(動画)では、国民投票についての議論がなされたが、国民投票法の条文が見つからないので、ここでは参考資料のみを紹介しておく。
 参考:国民投票法で何が決まったのか(前編) (後編)
     南部さんの国民投票法講座
     日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)一部改正案について


 自民党の「日本国憲法改正草案」を読んだ。もっと検討すべき箇所は多いが、ここでは大幅に追記するにとどめた。新しい時代、「令和」に入ったからこそ、もっと「戦争放棄」を大切に考え続けたいと思う。
 参考:乱心トランプ、衆参ダブル濃厚?! あたふた安倍(デモクラシータイムス) 動画
     改憲へ 自民党広報が本気を出してきた(デモクラシータイムス) 動画
     “TOKIOが安倍首相と会食”で露呈したジャニーズ情報番組進出の危険性!
     「日本の戦後について(1)」大西つねき (2)
     安倍首相の改憲行為は憲法99条違反!しかし、今の日本はアメリカの属国なので、
     アメリカの意向で動く限り、三権分立はなく首相の思うままの行政が許される。
     スピノザ「エチカ4真理」 主体の解釈学(デカルト的契機)
     主体は真理に到達できるが、真理は主体を救うことができない時代となってしまった。
     “戦争で取り返すしか” 日本維新の会 丸山議員
     「北方領土を戦争で取り返す」日本維新の会はネトウヨの巣窟だ!
     日本(世界)支配の構造⑨ 戦争は作られる!
     「安保法制改正等議案」 主要各社の社説の表題と冒頭でどう読み取る
     【憲法学者・樋口陽一氏の危惧:
     今回の改憲論は『政治的な主張』と呼べるレベルのものではなく、「フェイク(虚偽)」
     です】そう!フェイクです。自国第一主義のトランプは軍需産業の儲けのため、
     日本の若者を戦場で戦わせたい。それを安倍首相は、日本を守るためと言う。
     「安倍首相は世界の恥」「悪名が歴史に残る」
     国民のためではなく、アメリカのために生きて、薄笑いの安倍首相!
     前文部科学事務次官 前川喜平氏講演会 「憲法とわたし」
     古館伊知郎が訴える緊急事態条項の危うさ



初稿 2019.5.10 更新 2019.6.5

日本沈没、地方沈没と自然の積極的活用(追記)

2019-05-21 22:41:04 | 自然と人為

 1973年に発表された小松左京の「日本沈没」映画化 (予告:動画)されて大反響を得た。当時は新しかった「プレートテクトニクス」理論の壮大な拡大解釈(2)を背景に、日本という愛すべき国土を失ったとき、日本人は世界で孤立しないで生きていけるかを問う小説(映画)であった。
 参考:(解説 町山智浩 × 春日太一の映画塾!:59分(動画) 荻昌弘氏の解説(動画)

 そして最近、「日本地図から四国が消滅。イギリス国立鉄道博物館が驚愕の展示という記事を見つけた。新幹線だけしか考えていない外国人にとっては、「四国」の意識はなく、「四国沈没」を展示しても、気にしなかったのだろう。これと似た現象として、日本を愛せない「政治経済の志の低さ」と自然を愛せないで「人工の世界」を良しとする社会的現象により、大阪や東京等大都市への人口集中による「地方沈没」が始まっている。

 「日本沈没」が発表されて37年、2010年2月18日の日本経済新聞夕刊は、「工業化で疲弊する農業」(画面右下をクリックして150%にする)と題して、日本の農業(畜産)に対する私の思いを取り上げてくれた。最後の部分をここに再録させていただく。
 「三谷さんは35年も牛のハイブリッド生産の研究と普及にこだわり続けてきた。
 F1牛(交雑牛)は乳牛の副産物だから安く、強健で繁殖能力も高い。種を組み合わせれば相当なものを作れるという。米国に負けない自信の技術を研究10年で確立、全国に普及するために「畜産システム研究会」を立ち上げた。そして10年でF1牛の肥育は全国に普及定着した。
 「ところが、北海道旭川市の斉藤晶さんの牧場と出合って、自分は現場のことを考えて一生懸命やってきたつもりだったが、斎藤牧場が見せてくれる自然の大きさ、美しさ、それを作り出す牛と斎藤さんのすごさに比べて何とちっぽけなことかと教えられた。」
 早春に牛を放牧すると、牛は草がまだ短く少ないので、懸命に草を探して食べ歩く。草は地をはうように生き残る芝の草地となり、石ころだらけの厳しい山が庭石の美しい庭園に生まれ変わっている。
 「牛がどうしようもない山をまさに宝の山にして見せてくれた。あそこで学んだのは、牛と自然の関係、人と自然の関係という意味で非常にいい勉強をした。これは日本の宝だと思った。
 三谷さんはF1雌牛を里山に放牧して、子牛を生産するシステムを考え出した。放牧牛が評価され、牛の放牧で里山を管理する夢が一歩動き出した。
 「農業には多様な役割があり、農業が報われる道を探したい。」
                          (編集委員 工藤憲雄)

 参考: 牛が拓いた斉藤晶牧場 

 残念ながら日本経済新聞夕刊「工業化で疲弊する農業」は、クリックしても読めない。直接、新聞のコピーを掲載しておくべきだった。この新聞発表の前年の2009年11月14日(土)、15日(日)に富士山岡村牧場(動画)で研修会を開催し、懇親会に70名、講演会のみの参加14名を加えて84名の参加をいただいた。この「富士山岡村牧場」は「大谷山里山牧場」とともに、2017年10月21日に広島県で開催された第31回畜産システム研究会:テーマ「自然と地域につながる肉牛生産」で発表して頂いた。また、「ふくやま環境会議」の依頼で定年退職を記念して「ハイブリッド社会の共創」と題して講演したこともある。
  

 しかし、2010年に口蹄疫が発生し、ブログ「牛豚と鬼」を発信し始め、「口蹄疫」を勉強するのに時間を取られてしまった。専門でないことに頭を突っ込んで「里山の放牧管理」の仕事がおろそかになってしまった。ブログ「自然とデザイン」に改名したのは2013年9月からだが、この頃からテレビ放映された番組を皆さんと共有することに、また時間を割いてしまっている。 参考: 「自然とデザイン」ライブラリの回覧 2013-09-25
 また、この頃すでに「現場に行くことが出来なくなって1年を経過し、現場での情報交換ができなくなっていますので、しばらく休ませていただきます」と記しているので、2012年秋には里山の放牧管理の仕事は出来なくなったようだ。大谷山里山牧場シルバー世代が作った牧場(動画))に放牧牛が到着(2011.8.29)し、途中から預かっていたもう1頭の放牧牛を返した日(2012.6.24)までは牧場に行き写真を撮ったが、子牛(弟)が生まれた(2013.2.28)の写真は「朝日新聞」から切り抜いている。

 私の仕事は「自然とデザイン、システムの共創」に関するものだったが、地方から若者が流出して高齢化社会となり、空き家が多くなり、顔なじみの住民も少なくなり、お祭りも廃れ、お葬式と墓参りも少なくなり、お寺の維持さえ困難が予想される時代になった。これからの放牧による里山管理は、経済的行為というよりも社会的維持管理の側面が強くなるのではないか? 県単位の畜産や農業試験場は土地の所有と維持管理に自治体としての責任を持ち、その管理を民間に委託する方法を検討する時期に来ているのではなかろうか。里山の放牧は自治体が民間に委託する方法を検討しては如何であろうか。大学や試験研究機関と行政と住民、政治が信頼をもって語り合い、「地方沈没」を防ぎ、地方で豊かに生活できる町づくりに真剣に取り組んでいただきたい。

 若者の都市への流出の一方で、農業の高齢化も進み、既に町へのクマ、サル、イノシシの出没が話題にされるようになった。高齢者が農業を維持できなくなると、里山は人が住めない野生動物の楽園に戻る。経済成長を追い、国防軍で日本を守るのではなく、自衛隊を「国際災害救助隊」として、世界から感謝される組織にするだけでなく、「牛の放牧」を含めて里山を管理し、いつまでも「美しい日本」を守って欲しい。
 参考:スピノザ「エチカ4真理」 主体の解釈学(デカルト的契機)
     主体は真理に到達できるが、真理は主体を救うことができない時代となってしまった。


 渡辺京二「逝きし世の面影」は、明治以降、日本の文明は滅んだという。「維新」と云う幻想(山伏太賢さまのブログより転載)では、『明治以前の「循環と調和」を尊ぶ、即ち「和を以って尊しと為す価値観」、これこそが我が国最大最高の武器である』としているが、戦争を放棄し、自然の循環と調和を尊び、和を以て貴しとなすことこそ、『日本沈没』や『地方沈没』ではなく、『日本人が世界の人の目標』となれる道ではなかろうか。


初稿 2018.5.16 更新 2019.5.21

戦中・戦後~平成・「平成とは何だったのか(日本記者クラブ)!」 そして未来へ。

2019-05-01 21:57:37 | 自然と人為

 民間報道番組「NEWS23」は、『冤罪事件から10年。村木厚子さん「新たな挑戦」』を2019年4月4日放送した。平成から令和へと新しい時代となったが、2009年6月14日 大阪地検特捜部により逮捕されて10年経過した冤罪事件(障害者郵便制度悪用事件(2))を、平成時代に国民の記憶に残しておこうという深い配慮だったと思う。記憶に残る番組に感謝したい。

 2019年4月30日は、天皇の「退位礼正殿の儀(動画)」の日であった。天皇は多感な若いころ戦争体験をし、天皇の戦争責任を痛切に感じられたのだと思う。災害の見舞いだけでなく、長崎広島沖縄サイパンパラオ・ペリリュー島等の慰霊の旅をされ、「象徴天皇」としての道(動画)を誠心誠意創りながら歩み続けられた。老齢化していくと平和と国民の幸福を誠心誠意祈る行動が困難になるとの天皇自身の御自覚から、強い譲位の意志によって退位された。
 参考:特攻隊員が妹に送った手紙(動画)
     象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(ビデオ)(平成28年8月8日)
     退位礼正殿の儀 2019.4.30 (動画)
     天皇陛下 最後のおことば(動画)


 平成は1989年1月8日に始まるが、戦中・戦後、ことに天皇とともに戦争への懺悔を切り離しては語れない。ここでは、たまたま目についた3点の資料を紹介しておく。一つは「特攻隊員が妹に送った手紙」。もう一つは、戦後日本を代表する国際的な知識人であり、たえず全体的視野で深く人を愛し、戦争を拒否し、平和を愛した加藤周一氏(1919―2008)の作品である映画「しかしそれだけではない。加藤周一 幽霊と語る」(予告編)(DVD)(解説)。そして、もう一点は、2018/11/03【大竹まこと×姜尚中×室井佑月】の「終わりつつある戦後! 崩れ行く価値観」である。元厚生省の事務次官であった村木厚子氏の冤罪事件と3点の資料については、このブログでは資料の紹介に意義があると思っている。私もこれから勉強したい。
  
 平成が終わるのを受けて「日本記者クラブ」は、この30年を多角的に振り返り、現在の立ち位置を確認し、未来への視座を得ようと言う狙いの「平成とは何だったのか」シリーズを企画し、政治、経済、エネルギー、文化と各界の一級の識者21名が、平成という時代を総括している。各自の見解を自由に語っていただいてるはずだが、2名の録画が欠けている。報道の自由を仕事としている「日本記者クラブ」で何故?
(1) ノンフィクション作家・保阪正康氏 2018.5.16会見レポート
(2) 佐々木毅・元東京大学学長 2018.5.18会見レポート
(3) 吉川洋・立正大学教授 2018.5.31 会見レポート
(4) 宗像紀夫・元東京地検特捜部長(会見レポート)2018.6.14
 参考:検察の役割と政治をめぐって 2009/4/20
     宗像紀夫弁護士の見解に対する反論
     甘利問題、今なお消極見解を述べる宗像紀夫弁護士・内閣官房参与

(5) 佐佐木幸綱・歌人・「心の花」主宰 2018.6.27会見レポート
(6) 五味廣文・元金融庁長官 2018.7.2会見レポート
(7) 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長 2018.7.3会見レポート
(8) 吉川弘之・元東京大学学長・元日本学術会議会長 2018.7.24会見レポート
(9) 山崎史郎・元厚生労働省社会・援護局長 2018.8.22会見レポート
(10) 室﨑益輝・神戸大学名誉教授 2018.9.10会見レポート
(11) 経済学者 野口悠紀雄氏 2018.9.27会見レポート
(12) 俵万智・歌人 2018.11.2会見レポート
(13) 渥美公秀・大阪大学教授 2018.11.26会見レポート
(14) 斉藤惇・元日本取引所グループCEO 2018.12.04会見レポート
(15) 平成政治、そして国会改革 2018.12.14会見レポート
(16) 王貞治・福岡ソフトバンクホークス会長 2019.1.18(会見レポート)
 参考:ソフトB王会長「平成」語り尽くす 日本記者クラブで会見
(17) 原武史・放送大学教授 2019.3.29(会見レポート)
(18) 樋口恵子・評論家 2019.4.02会見レポート
(19) 井上亮・日本経済新聞編集委員(皇室、近現代史担当)2019.4.5会見レポート
(20) 東郷重興・元日本債券信用銀行頭取 2019.4.10会見レポート
(21) 番匠幸一郎・元陸上自衛隊西部方面総監 2019.4.12 会見レポート

 2019年5月1日からは令和の時代となり、剣璽等承継の儀(動画)即位後朝見の儀(動画)、そして皇族方から祝賀(動画)が行われた。即位礼正殿の儀は2019年10月22日に行われるようだ。
 「象徴天皇」として、明仁(あきひと)上皇が創られた「平和と国民を守る道」を今上天皇が誠心誠意歩まれるには、「象徴天皇」の地位と名誉にかけて、戦争は絶対阻止することが使命となろう。それは政治に天皇が口を出すことでは絶対にない。そのことこそ、憲法に示されている今上天皇の「象徴天皇」としての義務である。「国体の維持」とは、誰かのイメージを守ることではなく、具体的に「憲法を守る」ことである。

 日本国憲法は是非読んでいただきたい。ことに、第1章天皇第1条【天皇の地位・国民主権】および第2章戦争の放棄第9条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】は記憶するほど読んでいただきたい。
 憲法の前文では、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」に始まり、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」そして、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とある。
 そして「第一章 天皇」では、第一条【天皇の地位・国民主権】で、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とあり、第二条【皇位の継承】、第三条【天皇の国事行為と内閣の責任】、第四条【天皇の権能の限界、天皇の国事行為の委任】、第五条【摂政】、第六条【天皇の任命権】、第七条【天皇の国事行為】、第八条【皇室の財産授受の制限】と続いている。
 さらに、今日論議されている「第ニ章・戦争放棄」の第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】に次の2項が明記されている。
 1  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 参考:『映画 日本国憲法』予告編(動画)
     ビデオニュース 2013.5.3世界は日本国憲法をどう見ているのか(動画)


 平成天皇・皇后(現上皇ご夫妻)が、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」され、「象徴天皇」を誠心誠意、具現化されながら歩まれた道は偉大だと思う。国民や他者を尊重することから、自立した個人が生まれるが、世界の国々には、他者に勝つことに快感を覚える人々がまだまだ多い。他者を尊重し、自我に克つことこそ、世界に誇れる日本人だと思っている。それを象徴しているのが「象徴天皇」だと確信している。令和天皇の最初のお仕事が、「自国第一主義と武力を誇りとするアメリカ大統領を国賓として迎えること」とは、日米首脳は皮肉な政治道徳を恥ともしないのであろうか?

 私の未来への夢は、他者を尊重して自立する人々が多いのが世界常識となることだ。そして、国は税金を何に使うかではなく、何のためにお金を発行するかを考えねばならない。そのことで政治の方向と責任をさらに明確なものにすることができる。大西つねき氏の「「個人の心の自由」(動画)と、「『お金の発行』方法(動画)で世界をリードして行く」という意識と誇りを多くの国民が持つことも夢となった。
 参考:「MMT(現代貨幣理論)について」大西つねきの週刊動画コラムvol.76
     「MMT(現代貨幣理論)の論理構造と実践的意義」
      京都大学レジリエンス実践ユニット・MMT勉強会【講師:青木泰樹】
     「現代貨幣理論(MMT)が大論争」週刊西田一問一答
     水野和夫氏基調講演「資本主義の終焉 未来をつくる脱成長モデル」

     CGS新番組「ケミストリー」
     「経済学を三人が斬る!」【 第1回 武田邦彦 松田学 大西つねき】  第2回
     第3回  第4回  第5回  第6回


初稿 2019.5.1 更新 2019.5.3(憲法記念日) 更新2 2019.5.8