自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

組織を動かすシステムを提案し、世界に学びながら、これを組織で実現しよう

2014-04-21 13:50:41 | 牛豚と鬼

 日本が高度経済成長期にあった昭和40年代の前半、私が学生の頃、日本は社会主義の国だと半分皮肉を込めて語られていました。ことに農業は法律、予算等の行政の権限を持つ政府主導により支配され、その利権と情報に群がる政治家、学者、メディア、業者等の利己的利益を満足させる方法と方向によって動かされて来ました。それは、どこの国でも、どの時代でもありうることで、欲望と競争が活力となることを肯定している人間集団の性というか宿命なのでしょう。そうして集団、組織に従順になれというのが日本の道徳となり、日本人の無意識に蓄積されてきました。真実を追求するにはとても生きづらい社会であり、空気のなかに溶け込むこと、さらには利権の匂いを嗅ぎつけて、その支配層に食い込む才能がある人が世間的に出世したと称賛されて名を残すことになるのではないでしょうか。それでも組織内の出世だけでは世間の評価は小さいので、さらに叙勲、学会賞、新聞社賞などが欲しくなり、名誉を求めることが品格を高めるのではなく、本人がどこまで意識しているかは別にして、真実の隠ぺいとねつ造に協力して日本の支配層に忠誠を尽くすことになっていると思います。「実れば実るほど頭を垂れる稲穂」ではなく、「枯れても天に槍指す麦の穂」が尊敬される時代になったようです。枯れても活力があるなら、「一粒の麦、支配層に槍を刺す」であって欲しいものですが。

 これが、日本では真実が語られない背景なのでしょう。だから「空気を読んで組織に従順に仕事をしろ」と言うためにわざわざ筆をとっているのではありません。組織の人間は、個人では組織を動かせません。「組織を動かすシステムを提案し、世界に学びながら、これを組織で実現しよう」と言いたいのです。例として、私はタイの華僑、タニン・チャラワノンのシステムを学びたいと思っています。

「アジアの未来 2002 タニン・チャラワノン氏 (日経新聞社)」
http://www.nikkei.co.jp/hensei/asia2002/speaker/dhanin.html

タニン・チャラワノン(タイ華僑) 年間総売上高数兆円
http://new22nozawa.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-a21f.html

チャイナリスク吹き荒れる中国で一人勝ちのCPグループ
~「風険投資」で投資を拡大し続けるハイリターン経営とは? (日経ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35603

アジア立志伝 第1話「風険投資で中国に挑む~タニン・チャラワノン」
http://www.nhk.or.jp/asianleaders/archives/20130509.html

 豪商だからどうこう言うのではなく、タイに移住した父の「種子から飼料、養鶏のシステム化」に学び、中国政府と太いパイプを作りながら、政府ができない農業・食品システム等を構築し、農業部門は農家の主権を認めているところに注目しています。「そのシステムがないところにシステムを考えて、早く進出することこそがチャンス」なのであり、政府と結びついてシステムを構築したことが農村の生活と主権を向上させていると思います。

「地域生活共同体」は農家に主権があり、多くの兼業農家こそが大切であり、これを専業農家が指導できるつながり(システム)を創ることが重要であり、これを強い経済力で動かすことに意味はありません。地域を守ることは生活を守ることであり、農業は産業ではなく生活だと思います。専業であれ協業であれ、大規模経営を指導する現在の農政の考え方の大変革が必要です。しかし、地域の資源と農家の主権を活かして農家の生活を向上させることは、政府、行政の仕事だけでは荷が重すぎます。理想的な共産主義にはその可能性があるのかもしれませんが、私は組織の権限と個人の自由を両立させるには、「自我の終焉」が必要だと思っています。「それぞれの地域の資源をいかに活用して主権を持った農家が生活していけるか?」、地域の行政と共に模索しながら共同体のシステムを構築し、その資源と情報から全国のシステムを構築する。それは農協の仕事とも言え、生協の仕事でもありましょう。農家の主権、生活の質の向上を目指すには、生協の歴史、情報と資源が生かされるのではないでしょうか。

 


4月20日を真実を明らかにする日に

2014-04-20 16:21:29 | 牛豚と鬼

 口蹄疫や鳥インフルエンザが発生すると自衛隊まで動員して大量殺処分が実施されています。ワクチンや早期発見の検査法が開発されているにも関わらず、これを防疫対策に採用する動きはありません。ワクチン接種をすると輸出入ができないという経済的利益・不利益を重視して、家畜を守ることよりも「ワクチンを使用せず、摘発淘汰(関係家畜の殺処分)により迅速に清浄化を達成する」ことが国の基本防疫策とされているからです。口蹄疫は人の健康被害には影響を与えないにもかかわらず、これを大量殺処分することを国策として、膨大な補償金を税金で支払うことが許され続けるのでしょうか。
 本日4月20日は、宮崎口蹄疫の発生が公表された日、初発農場の濡れ衣を着せられた水牛農場の池亀獣医師は、無念の内に昨年4月22日に他界されました。4月20日は殺処分された約30万頭の家畜と池亀獣医師を悔やみ、真実を明らかにすることを祈念する日としたいと心に誓っています。口蹄疫 http://www.satousi.com/fmd.html#S00 だけでなく、BSE http://www.satousi.com/bse.html についても、元気である限り情報発信を続けて行きたいと思っています。

 「農学栄えて農業滅ぶ」と言われてきましたが、大学は現実社会とつながらない教育研究によって、現実社会から遊離した学生を卒業させ続けてきました。とくに農学の看板を下ろして、生物学の先端を行くかのごとく2つの顔をもった大学では、生産現場を大切にする雰囲気は失われて久しいのではないでしょうか。獣医学の領域においてさえ、家畜の大量殺処分に異議申し立てがない状況ですから。税金で国民から仕事を委任され生活をしている議員、官僚、学者、研究員を含む公務員が、現場を知らないから現場に責任を持たなくなり、利己的な利益のために真実を追求しようともしないことが、現場を見え難くしています。

 さて、最近は経済成長を含めて強い国であることを希求する、支持する人が多くなってきているようです。しかし、地球の資源は有限であり、経済的および軍事的な力を求めることは他国や自国の民の主権を軽視し、格差も拡大させます。社会の進歩とは食料からエネルギーまで地域で自給自足を目指し、人々がつながる地域生活共同体(分散・自立型社会)への転換を目指すことであり、それは利己的な個人から利他的な個人への成長が求められる時代への転換を目指すことではないでしょうか。

 皆様と情報を共有するために、「未来への責任~自然とデザイン」のビデオライブラリーを作成していますが、ここではインターネットで学べる情報を提供させていただきます。地域生活共同体への転換の話題にしていただければ幸いです。TED日本語版には英語も表示されますので、スピーチの勉強にもなりますよ。
 なお、明日(4月21日)から4日間、BS1で24時からBS世界のドキュメンタリーでシリーズ「ネルソン・マンデラ」 http://www.nhk.or.jp/wdoc/ が放映されます。

スペースシップアース(宇宙船地球号)の未来
http://www.nhk.or.jp/co-pro/recent/20131129.html

TED日本語版:

フランス・ドゥ・ヴァール「動物のモラル(情けは人のためならず)」 
http://digitalcast.jp/v/13332/

ジル・ボルト・テイラー「奇跡の脳(脳卒中体験~境界を知らない幸せな右脳)」
http://digitalcast.jp/v/18436/

ボイド・ヴァーティ「マンデラが教えてくれたこと"ウブントゥ"(君あり、故に我あり)」
http://digitalcast.jp/v/18542/

ローレンス・レッシグ「政治と金(国の支配を国民の手に取り戻せ)」 
http://digitalcast.jp/v/17074/

マイケル・サンデル「市民生活が市場主義に支配されてはいけない」
http://digitalcast.jp/v/17891/

デビッド・クリスチャン「ビッグ・ヒストリー(18分で語る宇宙創成から現代までの歴史)」
http://digitalcast.jp/v/11611/