自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

4月20日を「真実と命に真摯に向き合う祈りの日」に

2013-04-20 22:11:31 | 牛豚と鬼

 物語は神話から宗教、そして科学へと歴史的に変遷し、真実への信頼は神から科学へと移行してきました。そして自己中心的な生き方が個人の尊重と錯覚され、科学の進歩で便利な生活を楽しむ一方で、バラバラで孤独な個人が増えているように思います。
 また、自分たちを正当化し、自己を超越した真実に真摯に向き合わないことで、『原子力の安全神話』や『口蹄疫の殺処分神話』など命と真実を守るよりも、それぞれの支配者の権益を守るために現代の神話が生まれています。現代の神話という物語は、それぞれの分野をその時代に支配している人々によってつくられ、その人々のつながりによって世の中は動かされているようです。
 日本には世間はあっても社会はない、と言われます。西洋のキリスト教社会において教会における懺悔(告白)が個人を生んだと言われます。日本で個人が生まれるには何が必要でしょうか。私は研究の世界に生きて来たので、真実を求めることが当然と思ってきましたが、畜産現場の危機であるBSEや口蹄疫の対策に向きあったとき、真実と命に真摯に向き合わない産官学に遭遇しました。
 世間において真実と命に真摯に向き合うには、民の中に宗教心が育つことが大切だと思いますが、税によって仕事をする政治家を含めた公務員の使命を、「真実と命に真摯に向き合うことで、城(国・組織)よりも民を守ること」とすることも重要でしょう。4月16日には行政の審査では認められなかった熊本県の女性を水俣病と認定する最高裁判決がありました。4月20は、宮崎口蹄疫で殺処分された29万頭を忘れないために、「真実と命に真摯に向き合う祈りの日」にしたいと思います。口蹄疫の真相究明をコツコツと進めていますが、本日は3年目の祈りの日として、【検証】中国産稲わらの感染源の可能性を奉げます。

初稿  2013.4.20

 


第13回牛豚等疾病小委員会

2013-04-15 21:05:57 | 委員会

第13回牛豚等疾病小委員会 平成22年5月18日  

一部公開議事録  概要  委員名簿 
参考: 発生事例の現地調査

議題
(1)宮崎県におけるロ蹄疫の現状及び防疫対応について  p.3-14
 a)5月17日までに126例の発生が確認され、17日には1日で15例と発生が増加している。
 b)多くの農場で埋却場所選定中を含めて、封じ込めの最中である。
 c)前回(5月6日)の会議までは川南町に発生がほぼ限局していたが、高鍋町と新富町に発生が確認された。
 d)ウイルス侵入時期の推定は、抗体陽性でPCR陰性は感染から日数が経過し、PCR陽性で抗体陰性は感染後日が浅いと判断した。
 

質疑応答 p.8の10行目~p.14の6行目

発言者          発言量(1行=15.5cm)                        
               p.8-10       p.11-12     p.13-14

明石委員      21.9行 34.7%   -    -    -    -    
寺門委員(座長)  14.4行 22.8%   2.1行  5.0%   5.8行 23.8%
津田委員        -   -    13.6行  32.4%   -    -
今田委員       -   -      -   -       6.0行 24.5%
山本補佐      26.6行 42.1%    11.2行 26.7%   12.6行 51.6%
川田補佐       -   -        5.0行 11.9%   -   -
川島課長        -   -        9.6行  22.9%   -   -
平尾局長      0.3行  0.4%     0.5行    1.2%    -   -   
事務局計           42.5%         62.7%       51.6%

その他出席委員 佐藤委員、岡部委員
欠席者 田原委員長、清水委員

前回(5月6日)の小委員会では牛10例と豚13例の口蹄疫発生が報告されているので、遅くともこの会議でワクチン接種について検討すべきであった。本来はワクチン接種は殺処分を前提にするものではないし、直ちに使用しないのであれば備蓄ワクチンの必要もない。このことを検討するのが小委員会の役割だが、事務局は殺処分を前提にした特別措置法を準備するために時間を費やし、特別措置法を前提にしたワクチン接種の承認を求める小委員会となったと思われる。そのことは、会議終了後に公表された概要が会議に提案された概要案(p.47~48)が異議なく了承されたものてあり、委員の意見を聴く立場の事務局の発言が局長や課長を含めて多く、準備した防疫措置の必要性を説得する場であったことが伺える。津田委員はこの小委員会で認めた疫学調査チーム長であるが、その発言に局長、課長、課長補佐2名が対応している点が注目される。

議題
(2)今後の防疫対応について  p.14-47
 a)ワクチン接種のシミュレーション
   川南町の10例目を中心に半径10km以内のワクチン接種を3、4日で完了する。
 b)ワクチンを打った動物はキャリアになる可能性があり、抗体を保有するとか、出荷制限の問題もあり、早期に淘汰するのが適当と考えている。
 c)「今後の防疫対応について」の事務局の考え方
 1)今回のウイルスは10年前に確認されたウイルスと比べ、臨床症状が強く出ること、伝搬力が強いという特徴があると考えられる。
 2)川南町を中心とした多発地帯については、ワクチンの使用を検討すべき時期が来ている。ただし、現行のワクチンは発症を抑えるものの感染を防ぐことができないこと、感染抗体とワクチン抗体の識別が困難であることなどにより防疫上の支障を来すおそれがあることから、その使用は慎重に検討されるべきである。なお、ワクチンを接種した家畜については、早急かつ計画的に淘汰するべきである。

川島課長:今の状況について、先ほど来御議論をいただいた状況を含めて、ワクチンを応用することについて御意見をいただきたい。

 質疑応答 p.17の12行目~p.19の23行目

 筒井オブザーバー(動衛研疫学調査チーム長)による説明と寺門委員のコメントであるが、この部分がなぜ非開示なのか。ワクチン接種という重要事項の審議にもかかわらず田原委員長は欠席し、寺門委員が座長を務めている。寺門委員は岡部委員、明石委員とともに、国際ルールであるOIEコードが「ワクチンを接種してもNSP抗体検査で陽性のものだけを殺処分すれば清浄国回復ができる」ように変更されていることを無視した今回の防疫指針の作成に係わっている。ただし、防疫指針には寺門委員の指摘した「ワクチン接種と殺処分」の関係は明示されていなかったので、そのことを特別措置法により実施することになるが、何時殺処分を前提にしたワクチン接種についての論議がなされたのか。本来は5月6日に開催された第12回牛豚等疾病小委員会で「国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能と考える」と津田委員が発言(NHK報道)しているので、この時にワクチン接種後に殺処分すべきかどうかの審議をしているはずであるが、その論議を隠ぺいするために『議事録』ではなく『議事メモ』を黒塗りで開示したのではないか。今回はワクチン接種に関する説明を事務局として筒井オブザーバー(動衛研疫学調査チーム長)がしているように、第10回牛豚等疾病小委員会で設置を決めた疫学調査チームの事務局を実質的に担当したのは動衛研疫学調査チームであると思われる。

 質疑応答 19の24行目~p.47の2行目

発言者                  発言量(1行=15.5cm)                        
       p.19の2423の15 p.23の1634の16 p.34の1736の30   p.37の147の2

明石委員 11.9行 12.9% 60.2行 26.8%  6.1行 13.2% 31.0行 12.9%
寺門座長  12.7行 13.7% 28.0行  9.7% 6.0行  13.0%  57.4行  23.8%
岡部委員  -  -       50.8行 17.6%  8.4行 18.1%   7.3行    3.0%
津田委員  18.1行 19.6%   -   -   21.2行 45.8%   5.2行    2.2%
今田委員    5.1行   5.5%    -   -  0.3行    0.6%  4.6行  1.9%
筒井オブザーバー  - - 32.2行 11.1%  4.3行  9.3%   7.3行    3.0%
伏見調整官 2.7行  2.9%    7.9行   2.7%  -    -    2.0行   0.8%
小倉専門官   -  -   22.5行 7.8%   -   -     -    -
山本補佐   -  -    -   -    -   -    8.1行   3.4%
川田補佐   -  -     -   -    -   -   39.4行   16.4%
嶋崎補佐  3.7行  4.0%   -   -   -   -    -   -
川島課長  30.9行  33.4%  64.3行  22.3%  -    -   35.2行 14.6%
平尾局長     7.3行 7.9%  22.9行  7.9%   -    -    43.4行  18.0%
事務局計      48.2%       51.8%         9.3%        56.2%

その他出席委員 佐藤委員
欠席者 田原委員長、清水委員

半径10km以内の家畜にワクチン接種をし、健康な家畜まで含めて殺処分するという科学技術の発達を無視した防疫措置に委員はどのような反応をしたのであろうか。寺門委員、岡部委員、明石委員は変更された国際ルール(OIEコード)を無視した防疫指針の作成に係わっているので、事務局案に反対はしないであろう。p.23の16~p.34の16ではこの3委員と事務局、p.34の17~p.36の30ではこの3委員と津田委員が議論しているところが注目されるが、何が語られたのであろうか。ワクチン接種後にNSP抗体検査によって感染が確認されたものを殺処分するのであれば特別措置法も埋却地も必要はなく、速やかにワクチン接種して被害を最小にできたはずだが、なぜ小委員会ではそのことを検討しなかったのか。「ワクチンを打った動物はキャリアになる可能性があり、抗体を保有するとか、出荷制限の問題もあり、早期に淘汰するのが適当」と事務局が考えていたとしても、そのことを小委員会の結論としたのでは、委員は科学的に専門に関する事項を何も論議しなかったことになる。津田委員と今田委員は何を語り、佐藤委員は何故一言も発言しなかったのであろうか。いずれにしても、「ワクチンを接種して殺処分するなんておかしい」と小学生でも疑問に思う防疫措置は、この小委員会で決定された。しかもこの決定は新しい防疫指針(2011.10.1)に引き継がれている。委員の責任は重い。なお、新しい防疫指針の審議家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会も新しい委員で実施され、田原委員長、寺門委員、今田委員は牛豚等疾病小委員会の委員を退任している。

初稿 2013.4.15 更新中 2013.4.17


第12回牛豚等疾病小委員会

2013-04-05 22:43:16 | 委員会

第12回牛豚等疾病小委員会 平成22年5月6日(11:00~13:00)  
一部公開議事メモ  概要  委員名簿 
参考: 発生事例の現地調査

 牛豚等疾病小委員会の第4回から第19回までは『議事録』を公開していないが、食料・農業・農村政策審議会議事規則によれば『議事要旨』を公開しなければならない。しかし、農水省はこれを無視した議事規則違反を続けてきた。これに対して、牛豚等疾病小委員会の第10回から第15回までの議事録公開請求(平成22年9月14日)により、行政文書開示決定通知書(農林水産大臣,平成22年10月18日)で黒塗りの議事録(第12回については議事メモ)が開示された。これに対する異議申し立て(平成22年12月17日)に対しても、行政文書開示決定通知書(農林水産大臣,平成24年5月21日)で議事録の一部を開示するとしながら、議事要旨さえ分からない黒塗りにした変わり映えのしない議事録が再度開示されたのみであった。

ことに第12回議事録については黒塗りの『議事メモ』が開示されたが、これは2011年4月22日に放送されたNHK報道番組「特報フロンティア なぜ”SOS”はとどかなかったのか」では『メモ』とされて1ページが公開されている。このように行政が議事規則を無視し、一方では報道機関に公開し(NHK解説委員が家畜衛生部会の委員)、一方では民間からの再度の情報公開請求しても黒塗りの情報開示で済ますことが、法的に許されるのであろうか。しかも、公文書の公開に際して、議事録を『議事メモ』に変更するのも公文書偽造ではなかろうか。

1.NHKで報道された『メモ』(発言者は開示された『議事メモ』による)

第12回 牛豚等疾病小委員会 メモ  (1ページ目の映像から)
場所:本館4階 第2特別会議室
日時:平成22年5月6日(木)11:00~13:00

伏見調整官 ただいまより牛豚等疾病小委員会を始める。本日の会議は非公開とする。田原委員長に進行をお願いしたい。
田原委員長 それでは議事に入る。事務局より発生状況、防疫対策についてご説明いただき、ご意見ご検討をいただきたい。議事(1)宮崎県における口蹄疫の現状及び防疫対策についてご説明をお願いしたい。
山本補佐 (資料1を用いて説明。豚での発生が増加していること、小規模農場であれば、作業動線により近い房で初発している傾向が認められるが、大規模農場では必ずしもその傾向は認められないことに言及。)
伏見調整官 津田委員に、資料2-1(疫学チーム現地調査風景)と3-1(口蹄疫ウイルス日本分離株)についてご説明願いたい。
津田委員 資料2-1は4月29日に行った現地調査の写真である。防疫措置が完了した1例目のみを調査した。この農場は他の農場から離れた場所にあり、農場に通じる道は大型車両が入れない狭い道であり、周りを杉林と竹林に囲まれている。初発は出入口付近の牛舎で発生しており、牛舎の構造も甘いため、色々なものが接触してもおかしくない。聞き取りによると、飼料は、自車で購入に行っていたとのことで、飼料配送車による汚染ではないと考える。この発生が初発なのか続発なのかを確認するためには、さらに細かく情報を集め、発症例を時系列に結んで整理する必要がある。
 つづいて資料3-1であるが、今回の発生は1、2例目のウイルスはどちらも、変異が激しい領域であるVP1遺伝子の塩基配列が一致した。トポタイプはSEA(東南アジア)、遺伝子型はMya-98(ミャンマー98)であり、宮崎県で2000年に発生した際のタイプとは異なる。今回のウイルスは、2010年に香港で分離されているO型ウイルスに近縁であり、同じグループに現在、香港、韓国で分離されたウイルスが含まれる。
 現在国内に備蓄されているワクチンは今回分離されたウイルスと近縁であり、中和試験の結果からも、国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能と考える。

2.ワクチン接種が遅れた理由(川島動物衛生課長の説明)

 NHK報道番組では、備蓄ワクチンが有効であったのに、なぜワクチン接種を急がなかったのか、川島動物衛生課長にインタビューしている。報道には議事要旨の一部を開示し、インタビューにも応じられる内容を、なぜ情報公開請求されても開示しなかったのか。
 情報公開・個人情報保護審査会答申データベース検索で、開示請求をチェックして「家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会議事録の一部開示決定に関する件」の用語を入力して検索すると答申を読むことができるが、第12回牛豚等疾病小委員会の『議事メモ』を議事録として扱っていることや、非開示と開示指示の根拠が曖昧であり、農水省の意向が強く反映された答申となっている。

3.概要で公開されなかった重要審議事項

 第12回牛豚等疾病小委員会が開催された5月6日の前日までには、牛10例と豚13例の23農場に口蹄疫が発生し、ことに豚への感染が拡大していることが確認されている。一部報道されたメモによると、備蓄ワクチンが有効であると報告されていることや、ワクチン接種はすでに遅すぎる防疫措置であるにもかかわらず、概要にはワクチン接種については何も示されていない。
 また、感染拡大阻止のためには徹底的な感染源及び感染経路の究明を進めるべきであるが、感染源として中国産稲わらではなく、人やものによるウイルス伝播を念頭にすべきとし、半径3 km 以内の牛飼養農場全戸を対象とした血清学的検査についても移動制限区域の解除に際して実施すべきとしている。
 移動制限区域の解除に際して抗体検査を実施するのはOIEのルールとして当然のことであるが、今回は移動制限解除後に清浄化確認の血清学的検査を実施している。すなわち、感染拡大阻止のために最優先で実施しなければならない感染源及び感染経路の究明のための血清学的検査を否定するような概要であるが、このように5月6日に至ってもなお、感染拡大阻止を優先した防疫措置についての審議がなされていないとしたら、何を優先にした防疫措置の検討をしたのかが問われる。隠ぺいが必要な議事録なので、議事要旨を黒塗りにして『議事メモ』として開示したのであろうか。
 その後、半径10km以内の移動制限区域内の牛と豚で感染していないとみなされた全頭はワクチン接種して殺処分しているので、第11回牛豚等疾病小委員会で指摘された大規模系列農場を含めて、感染源及び感染経路の究明を目的とした疫学的血清検査(抗体検査とPCR検査)は実施しなかったことになる。すなわち、感染源である中国産稲わらと大規模系列農場は国により意図的に隠ぺいされたと言われても仕方がなかろう。

初稿 2013.4.5 更新1 2013.4.8 更新2 2014.10.23