自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

宇宙と地球と生命について学ぶ  ⑤人類の誕生

2018-03-31 17:45:46 | 自然と人為

 人類の誕生には地球の変動が大きく影響しているので、まずNHKのNHKスペシャル 地球大進化~46億年・人類への旅~」と、NHKスペシャル 生命大躍進」から学ばせていただこう。
  第1集 生命の星 大衝突からの始まり第2集 全球凍結 大型生物誕生の謎
  第3集 大海からの離脱第4集 大量絶滅第5集 大陸大分裂 目に秘められた物語

  第6集 ヒト 果てしなき冒険者 推薦「サイエンスZERO 人類700万年の歴史」
   200万年前 ホモ・エルガステル(アウストラロピテクス「華奢型」) ホモ・エレクトス
              パラントロプス・ロブストス(アウストラロピテクス「頑丈型」)

  第7集 - 最終回 そして未来へ
NHKスペシャル 生命大躍進 第1集 「そして”目”が生まれた」(中国)
  第2集「こうして”母の愛”が生まれた」(中国)
  第3集「ついに“知性”が生まれた」

 5000万年前、アフリカから分離した(インド)大陸がユーラシア大陸と衝突し、700万年前にはヒマラヤ山脈は5000m以上に隆起していた。そこから吹き降ろす乾燥した風はアフリカの熱帯雨林を縮小し、サハラ砂漠が誕生し、乾季・雨季が発生した。その頃、ヒト(猿人)は樹木から降りて、2足歩行することでチンパンジーと別れた。この初期の猿人(2)(サヘラントロプス属(トゥーマイ)オロリン属、アルディピクス属(ラミダス・カダバ)の3つの属は「草原またはサバンナには進出せず、樹上と地上の両方を往来して生活していた」と考えるのが自然であろう。一方、300万年前のアファール猿人、アウストラロピテクス(ルーシー)は「草原またはサバンナでの生活に適応していた」と言われていたが、アファール猿人「ルーシー」の死因は「地面に向かって垂直に落下」して亡くなったことが明らかにされたので、2足歩行はしていても樹上生活が主体ではなかったろうか。
 180- 5万年前   ホモ・エレクトス 30万年前 ホモ・サピエンス
 420-300-100万年前 アウストラロピテクス ㇽ-ㇱ-  ホモ・ハビルス  
 440万年前      アルディ(ラミダス猿人)(2)(3)(3)pdf
 600-700万年前 ガダバ
       人類誕生 オロリン
               サヘラントロプス(トゥーマイ)(2)(3)
参考:人類進化の700万年 書き換えられる「ヒトの起源」 (Kindle版)
    人類誕生:イーストサイドストーリーの草原説から、森林説へ
参考: 人類のルーツへの旅①猿人 オロリン トゥーマイ アウストラロピテクス(ルーシー)
     ②猿人~原人 ホモ・ハビルス ③原人 ホモ・エルガステル, ホモ・エレクトス (2)
     猿人の草原説やルーシーの死因は違う。ホモ・ハビルスは、猿人と原人の中間的
     段階。ホモ・エルガステルはホモ・エレクトスの変種で、ホモ・エレクトスが重要!

   サイエンスZERO 人類700万年の歴史
      50万年前 旧人 ホモ・ハイデルベルゲンシス ネアンデルタール人
      200万年前 原人 ホモ・ハビルス ホモ・エレクトス
      400万年前 猿人 アルディピテクス(ラミダス猿人) アウストラピテクス

   人類進化の考古学―私たちホモ・サピエンスの行動や技術は特別なのか?
    石器テクノロジーの発達とデザインの変遷
    260万年前 人類最古の石器オルドワン(石器が語る“最古のイノベーション”)
    『最古の石器とハンドアックス――デザインの始まり』
    最古のアシューリアン石器
    『ネアンデルタール人と新人サピエンスの交替劇』


 2017年5月末の学術雑誌「PLOS ONE」(2)に717万年前の「人類最古の化石、ヨーロッパで発見」と発表された。人類の「アフリカ単一起源説」で資料をまとめてきたが、この発表をどう位置付けてよいのやら途方に暮れている。また、我々の祖先ホモ・サピエンスの誕生は20万年前と思っていたが、最近の報告では30万年前の起源とされている。「生物としてのヒト」を研究する自然人類学は最近、急速に発達している様で、ここ数年で新しい方向が見えてくることを期待したい。多地域進化説もあるが、ここでは人類はアフリカで進化し、約180万年前に人類初の出アフリカをしたホモ・エレクトス「直立する人」は「北京原人やジャワ原人としても知られ、10-5万年前のジャワ原人の化石も発見」されていることを記憶に留めておこう。
 参考: ホモ・エレクトスとホモ・サピエンスの出アフリカ
      700万年の進化の歴史
      ホモ・サピエンス起源の謎―母なる大地アフリカをいつ、なぜ出て行ったのか?
      アフリカ以外最古約19万年前ホモ・サピエンス化石新発見

 なお、ホモ・サピエンス(2)への道については、これからも書き直され詳しく解明されることを期待しているが、「猿人」と「原人」をつなぐものとして「ホモ・ハビルス」が、「原人」と「旧人」をつなぐものとして「ホモ・ハイデルベルゲンシス」の存在は注目しておきたい。
 参考: ホモ・ハイデルベルゲンシス(2)(3)(4)
      出アフリカ/文化の"爆発", ホモ・サピエンスの「親戚」、絶滅する
       ホモ・サピエンスの大拡散:オーストラリア・日本, ヨーロッパ, アメリカ大陸
       化石とゲノムで探る人類の起源と拡散, 21世紀の人類学の始まり


 また、「人間とチンパンジーのDNAは99%一致」するというのは誤解を与えやすい。『DNAに見えた「人間の証し」』では、「DNAの変異の数ではなく位置が重要で、多様な遺伝子の発現時期や発現場所を変化させるような領域の重要性」について論じている。
 参考: 人類歴史年表過去1000万年の気候変動の概要

初稿 2018.3.31 更新 2018.4.1


宇宙と地球と生命について学ぶ  ④生命の誕生

2018-03-24 21:07:45 | 自然と人為

 地球で生命が誕生してから40億年、生物の絶滅と進化について今回は学習したい。1万年程前に農業を始めて文明を発達させた人類の進化については興味のあるところであるが次回以降にして、まずは動画を中心に生命誕生の場についてご覧いただきたい。
 全地球史アトラス
  3.原始生命誕生4.生命進化の第1ステージ
  5.生命進化の第2ステージ6.生命進化の第3ステージ
 地球の誕生と生物の進化
 生命の誕生を、出来るだけ解りやすく説明してみる。
 NHK高校講座 地学基礎
  地球の変遷と生物の進化(先カンブリア時代)
  地球の変遷と生物の進化 古生代(動画40分)
 生命の神秘―
  生命はどのようにして生まれたの
  あらゆる生命のルーツを探る
  人類誕生
 地学基礎112B 地球の歴史1 地球誕生 海の誕生(動画:5分)
 生命誕生の真実 DEEP SEA,DEEP SECRETS(動画1時間19分)
 未知なる深海への旅 海底の生物たち(動画45分)
 地下6400キロの旅(動画1時間30分)

 生命の素材は宇宙に満ちてはいても、生命は原始地球の深海熱水噴出孔、海底の土の中、海底の岩石の表面等で生まれた”地球を食べて生きる”微生物と考えるのが自然であろう。
 地球誕生から6億年、40億年前の生命の誕生とは現在の生物の起源を問う問題でもある。最初の“細胞(コモノー ト)”は、核のない原核細胞であった。約20億年前に核のある真核細胞への進化を経て、多細胞生物へと進化したのは約10億年前とされている。なお、真核生物の核ができるとき細胞内共生が起きた。真核生物は、古細菌と真正細菌の細胞内共生によって誕生したとされている。

 “最初の細胞”(コモノー ト)は古細菌と真正細菌に分化したので、両者が共有するFFRPは、すでにコモノート内に存在したはずである。これを証明する研究も後で説明するように報告されている。
 参考: 古細菌と真正細菌を共通に制御する転写因子群, FFRP

 原核細胞にはリボソームがあるが、このリボソームは、数本のRNA分子と50種類ほどのタンパク質からなる巨大なRNA・タンパク複合体である。最初の“細胞(コモノー ト)”は、真正細菌と古細菌に分化したとされているが、今存在する細菌はすべてDNAを持っているので、RNAからDNAへの進化を説明する材料がない。しかし、原核生物ではDNAからRNAへの転写とリボソームによる翻訳(タンパク質合成)は同時に進行するので、もともと生命誕生にDNAは必要なかったのではないか? DNAよりRNAが先に原核細胞で作られるか取り込まれて生命となったのではないか?DNAは生命維持の保存系で、実行部隊はRNAである。私は専門家ではないので単純な推論だが、RNAの原型としてFFRPの様なものがあった。それが私なりのRNAワールドの解釈だ。

 生命が「外の環境を認識して適応反応する」仕組みについて究明するため、沖縄海溝の熱水チムニーで生育する古細菌のパイロコッカス菌を使用した研究があり、遺伝子の転写を制御するたんぱく質であるFFRP(Feast/Famine Regulatory Protein:饗宴-飢餓・制御たんぱく質)の働きを、アミノ酸リジンの利用を例にして次のように説明している。
 「栄養源であるアミノ酸のリジンが多いと、図1のようにFFRPは8量体を形成(2量体4つが会合)し、FFRP遺伝子上流に位置するDNAに選択的に結合する。この結果、FFRP遺伝子の転写が抑制されて細胞中のFFRPの数が減少し、代謝関連遺伝子上流には結合できなくなるため、パイロコッカス菌の全代謝系は活性化されて”饗宴モード”に入り、菌は活発に増殖しはじめる。 一方、リジンが少ない低栄養状態では、図2のようにFFRP8量体は2量体へと解離し、FFRP遺伝子上流部に位置するDNAとの結合は弱まり”飢餓モード”に突入して菌の増殖が抑えられる。」

 少し興味があって実力不相応に深入りしてしまった。物事にはいろいろな考え方があって、多様であることが自由であることもあるが、科学は人類共通の正解を求めて推理することが楽しいし、正解を求めることを仕事とする学会がある。とんでもない珍論を言うことは恥ずかしいが、その一方で、正解を記憶することが勉強だとすることは苦痛である。勉強は楽しみながらするもんだ。私は何が正しいのか推論する楽しさから、WEBに公開されている資料を集めて知ることを楽しんでいる。ここからは生命に関する資料を、自習のためさらに集めておいた。

  生命史
  生命の旅1 共通の祖先から原核生物、そして全球凍結へ
  生命の旅2 全球凍結から真核生物の繁栄へ
  生命の旅3 多細胞生物とメスとオスの登場
    エディアカラ生物群(動物群) 多細胞生物
  生命の旅4 エディアカラ生物群の繁栄と超巨大噴火
  生命の旅5 眼の誕生とカンブリア大爆発

地球の歴史上5回起きた大量絶滅 -6回目が進行中-
1回目 オルドビス紀末の大量絶滅 約4億4300万年前、
    生物種の85%が死滅した大量絶滅。
2回目 デボン紀後期の大量絶 約3億7400万年前、
    海中の酸素濃度減少と寒冷化が進み、生物種の82%が絶滅。
3回目 ペルム紀末の大量絶滅 約2億5100万年前、
    海生生物の95%、生物種の90%以上が絶滅。
    [世界規模で海岸線が後退した形跡、これによって食物連鎖のバランスが崩れた]、
     [大規模な火山活動により大気に放出されたメタンと酸素が化学反応を起こして、
      酸素濃度が激減した。

4回目 三畳紀末の大量絶滅 約1億9900万年前、
    爬虫類や大型の単弓類(哺乳類型爬虫類)の多くの種が絶滅
    (生物種の76%が絶滅したと考えられている。)
5回目 白亜紀末の大量絶滅 約6550万年前、
    恐竜や翼竜、魚竜、アンモナイトなど生物種の70%が絶滅
    (メキシコ・ユカタン半島沖に落下した隕石衝突) 

 科学の進歩は著しく、我々は知らないことばかりだ。真実を知ることにより考え方も変わる。このブログでどこまで真実を伝えられるかは自信がないが、真実を知りたい意欲はある。真実を伝えていると思う資料を集めて情報を公開することに意義があると考えているが、資料を紹介するには著作権の問題がある。出版物は出版費用も必要だが、最近はネット上に出版物が紹介されていることが多くなった。私のように小さな活字が読めなくなったものには、Kindle版が安くてすぐ読めるので重宝だ。いろいろな学会や研究会報告も会員同士の情報交換だけでなく、一般市民に情報を公開することの意義が大きくなるだろう。

 NHKで放送されたものは「情報公開」と「解説の意義」が大きいが、大切な番組だと思ってYouTubeに登録したものが、いとも簡単に著作権侵害を理由に強制的に削除されてしまう。その一方でコマーシャル付のNHK番組をYouTubeで見ることも多くなった。まあ、公開されることに意義があるので、コマーシャルは気にしない。貴重な古い番組が一部欠けて不完全なYouTubeもある。一部の音声が消えているYouTubeもある。一部を2重に録画して余分な時間にしたYouTubeもある。

 YouTubeは何時でも無料で見れるが、NHKには受信料を払っていても情報操作を感じる報道番組もある。政治経済の問題は、その人の立ち位置や、人を大切にするか、お金を大切にするかの価値観によって見え方も違えば、伝え方も違うであろう。それも含めて長い時間を経ても、いつでも見れる情報公開こそNHKの使命であろう。見逃したNHK番組をどうすれば安く簡単に見直せるのだろうか? 受信料を払っている視聴者には、いつでも安く番組を観れるようにするのはネット時代のNHKの仕事だと思うが、ここでは突っ込んで考える時間もない。取り敢えず現時点で利用できるものを集めて公開させていただくことにした。
 
NHKスペシャル「生命」40億年はるかな旅解説1解説2
 第1集 海からの創世  (動画54分),解説1解説2
 第2集 進化の不思議な大爆発 (動画54分),解説1解説2
 第3集 魚たちの上陸作戦 (動画54分),解説1解説2
 第4集 花に追われた恐竜(中国)(動画54分),解説1解説2
 第5集 大空への挑戦者(中国) (動画54分),解説1解説2
 第6集 奇跡のシステム“性”(動画54分),解説1解説2
 第7集 昆虫たちの情報戦略 (動画54分),解説1解説2
 第8集 ヒトがサルと別れた日 (動画54分),解説1解説2
 第9章 ヒトは何処へいくのか(動画54分),解説1解説2

NHKスペシャル 海・知れれざる世界
 第1集 プロローグ 魔の海からの旅立ち(動画1時間4分)
 第2集 最後の秘境 海底大山脈 (動画1時間8分)
 第3集 めぐる生命の輪 ~深海に潜む不思議な生きものたち~ (動画1時間19分)
 第4集 深層海流二千年の大航海(動画1時間15分)
 第5集「クジラだけが知っている」(動画1時間19分)
 第6集「波・驚異のパワー」(動画1時間18分)
 第7集「眠る巨大資源」(動画1時間21分)
 第8集「~最終回~ 奇跡のバランスが崩れるとき」(動画1時間13分)

 NHKスペシャル 生命大躍進
  第1集「そして”目”が生まれた(中国)」 (動画59分)
  第2集「こうして”母の愛”が生まれた(中国)」 (動画49分)
  第3集「ついに“知性”が生まれた」 感想1感想2(動画49分)

初稿 2018.3.24



宇宙と地球と生命について学ぶ  ③地球誕生

2018-03-23 14:09:38 | 自然と人為

 天の川銀河には、ビッグバンからたった5億年後に誕生したと推定される恒星が発見されているが、太陽系の形成は46億年前だからビッグバンから92億年後、超新星の爆発により飛び散った物質が集まり誕生したと思われる。その様子を説明している資料を紹介させてただく。
 【宇宙の誕生】太陽の誕生
 太陽の誕生 [太陽系] 惑星の旅①
 全地球史アトラス 1.地球誕生 2.プレートテクトニクス
 地学基礎112B 地球の歴史1 地球誕生 海の誕生(動画:5分)
 ホーキング織野の宇宙を語る 地球科学

 地球の誕生については、さらに「太陽系と地球の誕生」や、「太陽系の形成と進化」にも詳しい説明がある。現代の地下6400キロの旅(動画1時間30分)も地球の営みを知るうえで参考になろう。
 今回の「宇宙と地球と生命について学ぶ」は資料の収集が目的であるが、ここに私の学習のつもりで「地球の誕生」の概略をまとめておく。

 まず原始太陽からの距離によって惑星の水が氷になる。この位置が小惑星帯(メインベルト)の辺りで「凍結線」とされている。凍結線の内側に岩石型惑星ができ、外側には水、アンモニア、メタンなどの水素化合物が凝集し固体となる巨大ガス型惑星ができた。岩石型惑星を中心に複数回のジャイアントインパクト(サイエンスZERO 動画:28分)があり、水星、金星、地球、火星ができた。ガス型惑星として木星、土星、天王星、海王星がある。馴染みの冥王星は2005年にその近くに冥王星よりも大きな天体「エリス」が確認され、現在では1000個以上も確認されている太陽系外縁天体(エッジワース・カイパーベルト天体の一員の準惑星と2006年にされている。なお、彗星はこのカイパーベルトと小惑星帯の一員で、太陽を周回する大きな軌道を持つものである。
 参考: 宇宙の神秘―地球誕生―
      地球の歴史―「ルーツを探る」 (木ノ本景子
      先カンブリア時代① 冥王代―
      先カンブリア時代② 始生代(太古代)を知る手がかり―
      先カンブリア時代③ 大陸生成―
      先カンブリア時代④ 冥王代~始生代(太古代)時代の生物―
      先カンブリア時代⑤ 原生代―
      先カンブリア時代⑥ 全球凍結―
      先カンブリア時代⑦ 中原生代の大陸変化―


 月は地球にとって最後のジャイアントインパクトであり、これが四季のある地軸を持つ地球を生んだが、冥王星の「カロン」衛星もジャイアントインパクトの可能性が示されている。また、他の衛星も、活火山を持つ木星の衛星「イオ」や低温の液体窒素や液体メタンなどを噴出する 海王星の衛星「トリトン」など、太陽からの距離や大きさ、惑星と衛星の大きさと距離、微惑星の衝突等様々な状況で、その存在様式も変わるようだ。


初稿 2018.3.23

宇宙と地球と生命について学ぶ  ②宇宙誕生から量子論を学ぶ

2018-03-19 18:13:16 | 自然と人為

 宇宙誕生の話から地球誕生の話をまとめるつもりだったが、量子論が面白くて、紹介するには物理・数学が苦手な私の能力では限界があるが、このまま中途半端に次へ進みたくもない。そこで、私が面白いと思った関係資料を、自習のために紹介させていただくことにする。

 宇宙は膨張しているので、すべての銀河や星は遠ざかっているが、その始まりは何時、何処で起きたのか?
 『宇宙は真空のエネルギーを持っており、このエネルギーは急膨張する性質があります』と、宇宙創生を解明する「インフレーション理論」で有名な佐藤勝彦氏は説明し、『インフレーションというのは、宇宙創成の10のマイナス44乗秒後に始まって、10のマイナス33乗秒後に終了した・・・とてつもなくわずかの時間に起きた宇宙の異常膨張のことをいいます』と説明が続いている。

 『10のマイナス44乗秒』の根拠は?から疑問が始まった。調べてみると「インフレーション理論」に『プランク時間で10のマイナス44乗秒後に、宇宙を支配する1つの”重力”が生まれた』とあった。我々は空間や時間、質量の原点をゼロや無と考えることに矛盾は感じない。しかし、極微の世界を扱う量子力学ではゼロ(無)を厳密に定義する。数学・物理学が恐れる最も危険な概念:『異端の数ゼロ』も読んでみたい本だが、どんどん興味が湧いて先に進めないので、「量子力学では時間の最小単位であるプランク時間(Sp)が(5.39106×10-44)秒で、プランク時間に光が進む距離を空間の最小単位(プランク長,Lp)とし、Lp=1.616199×10-35mであることだけは確認しておこう。

 なお、「超ひも理論」(動画)では「物質も光も一本の超ひもの振動として表現され、超ひもの長さをプランク長Lpとし、振動が超ひもの端から端まで伝わるのに要する時間をプランク時間Spとする。超ひもの振動は光速Cで伝わる」とされている。距離を点ゼロとすると一般相対性理論と素粒子の標準モデルで無限大が出るので、プランク長を点ではなく「超ひも」として無限大の問題を解消したものと私は解釈している。
 参考: 解説:NHKスペシャル「神の数式」第2回:宇宙はどこから来たのか
      NHKスペシャル 神の数式「第二回 宇宙はなぜ生まれたのか」(49分)


 「プランク」は、それまでの時空の考え方や重力の仕組みを根本的に変えた理論である「量子力学」の父と尊敬されているマックス・プランクに由来している。19世紀末から20世紀初頭は鉄の生産が盛んとなったが、当時の鉄の生産の温度管理は職人の見た色感覚に頼っていた。鉄などの金属を加熱していくと次第に赤熱していく。 熱放射による可視光線は温度が上がるにつれて順に赤・橙・黄・緑・青・紫の色を含むようになり、極めて高温の太陽はこれらの色が混ざり合って青白く見える。マックス・プランクの熱放射公式(実験式)の構築(動画29分)では、光のエネルギーは最小単位の整数倍の値しかとれず不連続なものとなってしまった。こんな途方もないことがあり得るのだろうか? フランク自身の疑問が、古典力学から量子力学への飛躍をもたらした。
 参考: エレガントな宇宙(超ひも理論)第1回アインシュタインの見果てぬ夢(動画48分)
      ドキュメンタリー - 時間と空間の謎 (動画1時間30分):後半重複
       ハイレベル高校物理 原子導入
       1/14 電子発見までの歴史
       2/14 プランクの量子仮説
       3/14 光電効果とアインシュタインの光量子説


 「インフレーション理論」には、さらに説明が続く。納得できるところだけ引用しておこう。
4.その時点(プランク時間)に、3次元の空間と1次元の時間が現れて、宇宙が誕生。
5.宇宙誕生直後から10のマイナス34乗秒後の間に加速度的に膨張する。
6.これが”インフレーション(超加速度的膨張)で真空のエネルギーを溜め込みます。
7.10のマイナス33乗秒後、真空の相転移は終了し、インフレーションは終わり、溜め込んだ真空エネルギーは熱エネルギーになり、ビックバンが誕生します。
  「時間と空間の始まり」では、宇宙は誕生直後からビッグバン直前
  までの10の34乗分の1秒の間に、「インフレーション」と呼ばれる・・・
  猛烈な加速膨張を起こしたと説明している。佐藤勝彦氏の説明
  合わせビッグバンの開始を10のマイナス33乗秒後と訂正した。
8.ビッグバン開始から10秒後から20分後にかけて「ビッグバン元素合成」がおこり、粒子と反粒子が生じたり、対消滅しながら、光子(光)を生成します。そして、素粒子や元素が誕生していきます。

 宇宙が膨張することによって温度が3,000度まで下がった38万年後、超高温高圧のエネルギーの下で生産され、光さえ直進できないカオス状態であった物質群は温度の低下とともに光が直進し晴れ上がり、この時代の情報を「宇宙背景放射」として観察できるようになった。138億年前の星のない「真空のゆらぎ」を電波で見ていることになる。
 宇宙で最初に生まれた星、ファーストスターは、「ビッグバンからおよそ1億5000万年後に・・・動きの遅い水素分子ガスは収縮して原始星となり、周囲からさらにガスを引き入れられるほどの重力をもち始めた。原始星が高温になると、分子は再分離し・・・、核融合が始まり、水素からヘリウムが作られた。このとき新しくできた恒星には質量の重い元素が含まれていなかったため、核融合反応を抑制しながらも、桁外れに巨大化していった。」 宇宙で最初に生まれた頃の星々は見つかっていないが、多分もういないのだろう。

 一方、ビッグバンから約8億年が経過した頃の宇宙には、銀河と呼べる天体が存在していることが、すばる望遠鏡などによって明らかにされている。天の川銀河の物質の半分は別の銀河からやってきたそうだが、大マゼラン雲と小マゼラン雲もそうかもしれない。さらに宇宙でも最大規模のアンドロメダ銀河とも約40億年後にぶつかると言われている。太陽は宇宙が加速膨張を始めていた46億年前にできたが、太陽ほどの星の寿命は100億年とされているので、アンドロメダ銀河とぶつかる頃は、まだ地球には生命が輝いているはずだ。

 しかし、人類の欲深さと浅はかさのために、一方では使えない核兵器を開発するために国民生活を犠牲にし、一方では小型化の核兵器を開発しながら核兵器を持つ国を脅して廃棄を迫り、国を守るという大義名分で国家同士の殺戮と破壊のために軍備を拡張する国が多い。
 他者を尊重できない馬鹿な支配者によって、地球の生命は太陽が活動を終わる前に絶滅しているかもしれない。
 参考: アインシュタインから南部へ ? 真空は空っぽでない(動画52分) 大阪大学 細谷裕
        (日本物理学会 2016年度科学セミナー
      『「物質」=「力」=「空間」!? 超弦理論の予言する世界』(動画1時間22分) 森田健
        S01scafe1 : サイエンスカフェ 静岡大学理学部編(番組一覧)
      最新宇宙論の3大謎に迫る(動画59分), 宇宙論の概要(19分)
        向山 信治(2017.8.4 京都大学丸の内セミナー)
        インフレーション(14分),ダークマター,(13分),ダークエネルギー,(14分)
      宇宙創生を解明する「インフレーション理論」 佐藤 勝彦 氏
      「真空の相転移で宇宙は始まった」 佐藤勝彦 氏
      NHK『宇宙に満ちる謎 ダークエネルギー』(動画58分),感想
      宇宙マイクロ波背景放射と宇宙の進化(pdfファイル) タイトルで検索


 ブラックホールの中心は空間の曲率と密度が無限大になり光さえ出ることができない「重力の特異点」があるとされている。数学的には理解できないが、宇宙は一つではないとする説もある。いずれにしても真空のゆらぎから、何故インフレーションが起きたのだろうか?マルチユニバースなら重力が無限大とされるブラックホールの底で向こう側にインフレーションを引き起こす何かが起こり、ビッグバンで分離され別の宇宙ができるのかなとも思うが、それにしても最初のインフレーションは何故起きたのだろう?

 宇宙はビッグバンで生まれて138億年になる。誕生38万年後に宇宙は晴れ上がり見えるようになった。ということは138億年前の宇宙の晴れ上がりを、現在、観察しているということだ。理論的にはビッグバンからおよそ1億5000万年後に水素やヘリウムを主成分とするファーストスターができたとされるが、「ファーストスター ~宇宙の一番星」は短命で今はもうないし、見えない。宇宙誕生からわずか4億年後(134億年前)の宇宙に存在している銀河も発見されている(2016年3月7日)。「IKKI'S HOMEPAGE」の「天文学史」によれば、「107億年以降、 銀河が急激に減少」しているそうだ。

 宇宙誕生から現在までについて説明される宇宙誕生の図の右端が、ラッパのように空いているのは何故だろう?この開口部分が現在で、天の川銀河もこのあたりにあり、ダークマターもダークエネルギーも「真空のゆらぎ」もここにあるとすると、宇宙は風船のように閉じた空間ではなくて、もう一つの宇宙はブラックホールワームホールでつながった我々には見えない別の世界なのだろう。この辺りは素人が説明できることではなく、そう解釈しているというだけだ。良い資料が公開されているので、これを参考にして皆さんが考えてください。
 参考: 「加速膨張する宇宙」2011年ノーベル物理学賞の意義 前編 後編
       KEK 宇宙物理グループ 研究内容
      宇宙の膨張が加速している! 日本科学未来館 前編 後編
      日経サイエンス 宇宙の誕生と終焉 最新理論でたどる宇宙の一生
        佐藤勝彦 編 目次 プロローグ 宇宙創生から未来へ 佐藤勝彦
       天文月報 2016年4月号 目次
        コスモスな日々,再び―突然,星を作らなくなった銀河の発見:100億年前


初稿 2018.3.19 追加更新 2018.3.21

宇宙と地球と生命について学ぶ  ①生命誕生から宇宙誕生へ

2018-03-08 18:00:08 | 自然と人為

 人類700万年の進化の歴史には、地球変動による環境の変化が大きく影響している。そのことを学んでいたら生命の誕生(詳細版)まで知りたいと思うようになった。まず、生物の素材である有機物については、彗星にアミノ酸(動画59分)が見つかっているので、その起源は太陽系生成の宇宙にあるのかも知れない。また、土星の衛星「エンケラドゥス」の氷の隙間から水素を含んだ水蒸気が噴き出していることも観測された。地球の深海熱水噴出孔には多様な生物がいることはよく知られているので、水素やメタンをエネルギー源として生きている生物が生命の始まりと考えてもおかしくはない。
 参考: ハイパースライム(2)
      深海の科学 3つの研究
       地球の古環境の研究 北里洋
       現在の、”活動している地球”の研究 木下正高
       知られざる微生物の研究 高井研
 高井研著「生命はなぜ生まれたのか 地球生物の起源の謎に迫る」 (幻冬舎新書) Kindle版
   解説: (1)(2)

 Blue Earth 117 海底下生命圏(pdfファイル)
   生命は地球内部で どのように生きているのか?その機能・進化・起源に迫る


 物質の状態は個体、液体、気体の状態にあることは、我々古い世代にとって常識であったが、宇宙では電気を帯びた粒子を含む高温気体であるプラズマが99%もあり、無機物にも生命の特徴があることも発見されている。生命の誕生の可能性は宇宙に満ちているのかもしれないが、まず「生命の誕生と進化」を学習する前に、「宇宙の誕生」について調べておこう。

 宇宙は昔から一定不変だと思っていたら、宇宙にも時間と空間が存在し、生まれてから138億年経過し、今も膨張している。しかも宇宙は無から創世されたという。
 アインシュタインのE = mc2は有名であり、質量とエネルギーの等価性(物質からエネルギーが生まれ、エネルギーから物質が生まれる)はエネルギーの保存則であり、美しい数学の対称性で示されている。
 参考:ネーターの定理
     物理的な対象に対称性があれば、そこには保存則があり、その逆も成立する。


 エネルギーと質量の関係はなんとなく分かるが、空間と時間は独立した別の存在であり、物質の最小は原子だとする常識で育った我々の世代では、時空の世界とか素粒子の世界は何もかもチンプンカンプンだ。いろいろ知りたいと思い資料を集めたが、古い常識が頑固で、次から次へと疑問が湧いてくる。子供のころからきちっとした常識を身に着ける教育が必要だと身に染みて思う。ここでは独学の資料集めが目的なので、詳細は各自がこの資料で勉強していただきたい。勉強したくない人は宇宙の絶景でも楽しんでいただきたい。
 NHKコズミックフロント 138億年の超絶景! 宇宙遺産 (動画59分)

 ビッグバンによって宇宙が生まれたと思っていたら、「ビッグバンは宇宙の始まりではない」そうだ。興味深いけど、そこは専門家に頑張っていただくことにして、無とは真空エネルギー(動画16分)のゆらぎ(量子的ゆらぎ)であり、宇宙創成の瞬間には、インフレーション(動画14分)により一瞬のうちに無から時空が生まれ、急激な膨張により過冷却状態になり、真空の相転移(動画16分)で超高温高圧のエネルギーが生まれた。これがビッグバンである。
 エネルギーと質量は等価なので温度が下がっていくと素粒子(クォークとレプトン)が生まれ、重力は質量に比例するのですべての粒子に働き、弱いが遠い距離まで働く「重力」が生まれ、強いがごく短距離で働く原子核の核力(「強い力」)、電子と原子核を結びつけて原子を作る力や原子同士を結びつけて分子を作る力の「電磁気力」、力が届く距離が非常に短い「弱い力」の4つの力(2)が生まれた。
 参考: 「時間とは?」「空間とは?」
     光速 重力 質量 時間の原因について
     ノーベル物理学賞でたどる標準理論100年の歴史
     標準模型を越える新たな素粒子理論を探る
     最新宇宙論の3大謎に迫る ダークエネルギー・ダークマター・インフレーション
      (動画59分) 向山 信治(2017.8.4 京都大学丸の内セミナー)


 もう少し丁寧に宇宙のことを考えるには、アインシュタインの一般相対性理論と素粒子論を学ぶ必要があり、微細な世界と宇宙を説明する統一理論は現在研究中らしい。面白いのは理論が数学で語られ、高エネルギー加速器で理論を実証したり素粒子レベルの様々な研究が行われ、高エネルギー出力ができるほどビッグバンに近い状況を作り出せるそうである。ザックリ言わせていただければ宇宙も地球も生物も最小単位は素粒子であり、何事も相互作用していて単独では存在できないし、説明もできないということ。俺が俺がと思っていても俺を認識するのは他者であることと似ているが、ここでは私の学習の参考になった資料を紹介しておく。
 参考:
  Kindle版 空間の謎・時間の謎 宇宙の始まりに迫る物理学と哲学 (中公新書)
     相対性理論相対論はなぜ生れたか?
     宇宙が急速に膨張したのは真空にもエネルギーがあったから
     一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線- 須藤 靖(動画51分)
  Kindle版 重力とは何か――アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る解説
   サイエンスZERO ヒッグス粒子!素粒子の不思議ワールドへの招待(動画30分)
   サイエンスZERO 宇宙の起源に迫る 消えた反物質の謎ダークマター(動画43分)
  NHK神の数式(動画49分)
      第1回 この世は何からできているのか~天才たちの100年の苦闘
     第2回 “重さ”はどこから生まれるのか ~自発的対称性の破れ 驚異の逆転劇
     第3回 宇宙はなぜ始まったのか~残された“最後の難関”
     第4回 異次元宇宙は存在するか~ 超弦理論 “革命”
  NHK リサ・ランドールの 世界 5次元の 宇宙 ワープする宇宙(動画一部36分)
     国立天文台・理研講演会 宇宙が物語る物質の起源(動画1時間33分)



初稿 2018.3.8 更新 2018.3.12