自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

組織か個人か? 国家か国民か?~歴史は相似的に反復する

2017-12-30 20:20:39 | 自然と人為

 組織か個人か? 国家か国民か? 今、世論操作がメディアによって行われ、個人より組織、さらには国家が大切なのは当然とする雰囲気が作られつつある。

 「日馬富士の暴行事件」を連日のように大袈裟に取り上げていたフジテレビ(産経新聞)や日テレ(読売新聞)にNHKも個人より組織を大切にしたいのだろう。本来は相撲界のモンゴルのボス「白鳳」を懲罰し、被害を受けた貴ノ岩を救済すべき話を、日馬富士が同郷の「貴ノ岩」に何故暴行したのかを追求することなく、弟子を思う親方の貴乃花の孤独な抗議を相撲協会が処罰するという構造にすり替えた。それが事実だと言うのだろうが、物事には多様な意図がからみ、ある意図をメディアが取り上げれば、情報を与えられた多くの人は、それを事実だと思うようになる。メディアの仮想現実が現実を動かす。

 貴乃花親方の相撲道指導で仲間との飲食を禁止されていた貴乃岩は、お世話になった高校の集まりということで参加した場にモンゴルの3横綱が待っていた。事実を知らせるメディアはこの事態が異常だとは思わないのか?この点は以前このブログでつぶやいたことがあるので、その稚拙な意見を改善したり、くどくどとは言わない。
 参考:貴乃花と白鵬~相撲道か団結力か?
     「横綱は受けて立つ」、双葉山の相撲道
     相撲道から武士道へ、そして「人間として生きる価値」を全世界の教育の基本に


 ただ、相撲協会危機管理委員会 高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)が厳しい口調で警察に届け出た貴乃花を叱責していたことが気になる。警察や検察という社会の正義を受け持つ人が、自分の立ち位置によって見方を変えると言うのは危険だ。これが相撲協会ではなく現役の検事長であったら、危険な時代になると善良な国民を危険分子としてあの小林多喜二のように拷問死させかねないとゾッとする。

 今、私たちはそういう危険な時代にいると教えてくれたのは、NHK番組「こころの時代『父に問う 今と未来を知るために』 動画全編(60分)で、「歴史は相似的に反復する」と伝えてくれた辺見庸である。

 皆さんも危険な時代を予感しながらメディアの情報に接していただきたい。危険な時代が来ないようにするには、我々一人一人が自覚して社会の妄動を防ぐしかない。何かに依存するのではなく、自分がそう生きるしかない。
 論説:中国100年の屈辱 その11 1937 辺見庸(2)(3)
 
 河野談話(1993)や村山談話(1995)は、日本軍「慰安婦」問題で多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけたと認め、植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたと陳謝した。なお、慰安婦は沖縄にもいたが慰霊碑から削除されている。
 しかし、安倍首相の「戦後70年談話」(2)は、日本の「侵略」と「謝罪」について消極的だ。慰安婦問題は決着済みとし、女性の尊厳を無視して慰安婦少女像の撤去まで求めている。それだけではない。稲田明美元防衛大臣は南京事件はなかったと全面否定している。

 NHK番組『こころの時代 辺見庸「父を問う―いまと未来を知るために」』の動画は、ネットで見つけることが出来ない。そこで、政府によって歴史的真実が歪曲されないように、大切なこの番組の一部(1-14分)を公開したが、全編「石井ノブ」さんが公開されているのを見つけた。ありがたく、ここに紹介させていただき感謝したい。

「歴史は相似的に反復する」
山下清「切り絵」と堀田善衛「時間」が伝える日本人と日本軍10-13分

仮想現実の同心円から真実を求める知性へ 武田泰淳「汝の母を!」
母子丸焼きした軍の行為を思考の無限同心円の中心に置く(33-39分)
戦争に触れない小津安二郎の静謐な日本美(41-42分)


 番組の最後の部分で、イスラム7ヵ国からの難民入国を一時停止したトランプ大統領をおぞましいと批判した。中東各国で難民を生み出したのはアメリカではないか! アメリカの民主党は国民を大切にし、共和党は国家を大切にする。トランプの「アメリカ・ファースト」とは、アメリカ国家を第一に考えるとの宣言であり、日本でもそうだが富裕層にとって国民より国家を大切にする方が自分の利益が守られる。皮肉なことに政治を私物化する安倍首相が国を守るとの名目で軍事国家化を進め、国民より国家を大切にする「おぞましい動き」が顕著となってきた。

 参考: 映画『すべての政府は嘘をつく』予告編

 南京虐殺事件 1937年12月は明治維新から70年、安倍首相の「戦後70年談話」(動画)のように70年もすれば統治機構は腐敗し、国民のためと称して一部の富裕層の富が守られるようだ。
 1937年(昭和12年)に日中戦争が始まると、政府は国民に戦争への協力を促うながすため「国民精神総動員運動」(2)を始め、翌年には「国家総動員法」が発令された。
 今も、安倍政権の富裕層を大切にするアベノミクスによって格差が拡大し、年収300万円時代に突入し、安倍首相国会発言で見えた「国家総動員法」の時代の危機が迫っている。

 戦争は人間を鬼畜にする。鬼畜日本兵だ。徴兵制となり、兵隊にとられたとき、人は鬼畜にならず静謐な日本人でいられるだろうか。今、安倍政権が危険なだけでなく、安倍政権を支持する若者の中に、戦争を危惧する番組を「反日」で「放送法違反」と批判する一方で、「国粋主義」が正義だと日章旗と旭日旗(大日本帝國海軍の軍旗)を振りデモをする。不安定な時代に自分の考えが正しいと思い込み、強い国を求めるのだろうが、そんな若者が鬼畜日本兵にならないように、どんな状況に追い込まれようと、戦争だけは止めなければならない。

      施行70年日本国憲法 サンデーモーニング 2017.5.7

 安倍9条改憲は憲法理念を破壊する「壊憲」であり、国を強くすることは百害あって一利なし。初めは集団的自衛権を行使し、世界で戦争をするアメリカの属国として戦い、世論の批判が大きくならないように国民の締め付けが始まるだろう。国家が強く自由になればなるほど、国民は弱く不自由になる。その様な視点が放送から排除されること自体が放送法違反であり、日本を戦争への道に歩かせる。
 参考: CIAのスパイだった岸信介!満州アヘンの売人 
      朝日新聞・高橋純子氏 「安倍政権の気持ち悪さ伝えたい」


初稿 2017.12.30 更新 2019.9.5 

国民一人一人が平和を守るために考えよう ④核兵器も戦争もテロも差別も絶対悪だ!

2017-12-25 18:08:42 | 自然と人為

 映像の世紀プレミアム 第6集「アジア 自由への戦い」は100年前の映像をもとに、ヨーロッパのアジア植民地化、即ち文明の遅れを遅れた人種と見做す差別にからの解放の戦いを記録したものである。

 中国清朝の復活を夢見た「満州国溥儀」は、見かけの権力の主から日本(関東軍)の権力に支配され、転落する哀れで悲しい人間の生き様を見せてくれる。中国の王朝制度も戦前の日本の天皇制も、その制度を維持する者たちにより権力が利用された。民主主義は国民に主権があるが、第2次世界大戦前の中国も日本も主権は王(天皇)の名を借りた官僚・軍閥組織の支配者層にあった。

 明治維新は英国留学の機会を与えられた薩長武士や外様大名の雄藩、例えば若死にし明治政府では活躍していない忘れられた薩摩藩家老小松帯刀(たてわき)等が英国の支援を受けて支配者となり開国したものであり、勤皇の志士という紙芝居的歴史観から脱却しなければなるまい。日本を開国させたことによる英国の利益、新しい日本の天皇制の支配者達が何をしたのか、さらに考えていく必要があろう。

 「ガンジーとボーア」(動画)は英国の植民地であったインドのエリートであったが、国民を英国植民地支配から解放するために戦った。ガンジーは民衆とともに非暴力主義で闘ったが、ボーアは独立のためにドイツ軍、そして日本軍と戦う相手を選び、さらにソ連軍と戦う道を求めて飛行機事故で亡くなった。武力により英国から独立していたにしても、武力を求めたドイツ、日本、ソ連からインドは何を求められていただろう。

 日本は明治維新後、「世界に追いつき追い越せ」と日清・日ロ戦争で朝鮮と満州を侵略した。第2次世界大戦後、朝鮮は南北に分断され、北朝鮮・金日成(キムイルソン)(動画)は南北統一を目指して南下し、朝鮮戦争が勃発した。戦争は必ず大義名分を伴うが、必ず大量の国民の暮らしに死と破壊をもたらし、戦費が苦しい生活(2)をもたらす。

 個人として戦うことに優れていた(動画)アメリカ生まれ香港育ちの大スターブルース・リー(動画)がいる。彼は若くして亡くなったが、生前「あなたは中国人? アメリカ人?」と問われてこう答えた。「自分は人間だ。偉そうに語るつもりはないが、天の下、人類は一つの家族だ。ただ、人はそれぞれ違うだけでね。」

 もう一人、個人として戦うことに優れていたボクシング界ヘビー級チャンピオン「カシアス・クレイ」(動画)(予備)がいる。彼は人種差別に抗議してキリスト教からイスラム教に改宗し、「モハメド・アリ」(動画)と改名した。
   
                     モハメド・アリの言葉(動画)
 彼は「自分がなりたい自分になるのだ。」と言い、「自分が正しいと思うことに従って生きるべきだと考え」、徴兵命令を拒否した。そのためにチャンピオンもプロボクサーの仕事も奪われた。我々は戦争の動きに敏感に反応して、仕事を奪われない選挙で「安倍政権拒否」が出来るだろうか。

 風をよむ「核兵器と日本」(動画)では、国際NGO(ICAN)が2017年のノーベル平和賞を受賞したことをテーマにしていた。
 番組で紹介された安倍首相は国会答弁で、「もし核攻撃を受けたとき、同盟国が確実に報復する。日米の共同宣言において核も含めて通常戦力ということにおいて確実に報復するということを明らかにしてくれました。」と言う。とんでもない話だ。核抑止論があるにしても、攻撃されたら攻撃してくれると言うのは、幼稚園児並み以下の答弁だ。安倍首相は戦争をしないために外交があることさえ認識していないのか? そう思われるとんでもない答弁だ。

 健全な民主主義では立法、行政、司法の3権分立がしっかり守られなければならない。安倍首相は政治を私物化し、権力の行使こそ国民の負託に応えるものとして、自分の価値観で行政や司法まで人事権と予算を自由に行使し、国民を差別する独裁国家に向かいつつある。

 しかも、原爆を開発してすぐ、なんらためらうことなく日本の広島、長崎に落とした人種差別の国アメリカに従いながらも、戦後の自民党政権「保守リベラル」(動画)は憲法の「戦争放棄」を柱に立てて、「世界平和に対するに信頼」を慎重に築いて来た。今や「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領に嬉々として従い、権力の行使に慎重であった「保守リベラル」の実績を間違いだと堂々と壊している安倍政権の日本よ、アメリカとともに世界から孤立して何処に行く?

 この地球上に生きる人類や動植物を絶滅させるかもしれないほど大量に保有されている核兵器の禁止は当然のことながら、武力で相手を倒そうとする戦争やテロをいつまで人類は続けるのだろう。日常のそれぞれの生活を大切にするには、差別を絶対悪にすることから始めなければなるまい。いずれの国の政治も世界の人々の生活を守る責任がある。生活を破壊する差別を政治に許すことはできない。その為に「他者を尊重し謙虚に生きるこ」とは、我々一人一人から始めることが出来る。我々一人一人に出来る「他者を尊重し謙虚に生きる」輪が大きくなって、政治が全ての人々の幸福の為に存在するように、若い人とともに祈りたい。そういう人間になりたい。
 参考:安全保障法制成立——日本の防衛・安保体制の大転換
    安保法成立 サンデーモーニング 2017.10.29
    国難は安倍首相だ! サンデーモーニング 2017.10.29
    風をよむ「リベラルは今・・・」 サンデーモーニング 2017.10.29
    岸井成格
    「報ステ」バノン氏『トランプ大統領大胆な声明へ』 2017/12/18
    「報ステ」トランプ米大統領 2017年12月19日
    「テレ朝」トランプ米大統領 国家安全保障戦略 発表 2017年12月19日
    「NHK」トランプ大統領「国家安全保障戦略」強いアメリカ追求 2017年12月19日


初稿 2017.12.25 更新 2017.12.27

国民一人一人が平和を守るために考えよう ③利己主義が民主主義を破壊する

2017-12-19 13:05:09 | 自然と人為

 アメリカ国務省出版物を翻訳したものに、民主主義の原則 – 概要:民主主義とは何か日米関係等がある。民主主義について10点を説明した最後に、「民主主義社会は、寛容と協力と譲歩といった価値を何よりも重視する」とある。私は人との関係において「他者の尊重」、「謙虚さ」が必要だと考えているが、「寛容」、「協力」、「譲歩」と言葉は違い思いも様々であろうが、いずれも利己的の対極にあり、利己主義は民主主義の対極にある。

 「利己主義が民主主義を破壊する」とブログに書いたことがあるが、政治家が利己的であると政治を私物化し、民主政治を破壊する。このブログで安倍政権を何度も批判しているのは、
 参考:市会は市民のため、県会は県民のため、国会は国民のために!
     政治は国民、市民のためのはずだが、実は自分のための政治?
     国を守ることと国民を守ることの大きな違い
     公私混同の総理の犯罪~見識と道徳を持たない政権与党
     施行70年日本国憲法~国民の幸福と国家の暴走

政治や行政は国民の生活を守るために権限を与えられているにも拘わらず、「国民の尊厳」と「国民の尊重」を見失い、国民を差別した政策を実施し、戦争という危機に追い込みかねないからだ。具体的に安倍政権の問題を指摘すると次のようになる。

 ・ アベノミクスにより大企業優先の経済政策を堂々と実施し、貧富の差を拡大させた。
 
 「富裕層や大企業を豊かにすると、富が国民全体にしたたり落ち(=トリクルダウン)、経済が成長する」というアベノミクスの理論的支柱とされるエール大学名誉教授浜田宏一氏はNHKからアベノミクスの評価について問われ、安倍首相のダボス会議の演説を高く評判し、尋ねられてもいない靖国神社の話を唐突にしたり、アベノミクスの金融政策は「+A」、財政政策は「B」、一番なすべき第3の矢の構造改革は「E」でABEになると、ダジャレにもならない学者らしくなく非論理的で無責任な答えをしていた。
 一番大切な構造改革が、行政の長である首相によってできないのであれば、アベノミクスは失敗ではないか。しかも企業の儲けは内部留保され貧富の差を拡大させている。
 参考:地方をどう創生するのか~アベノミクスと日本経済の未来①
     アベノミクス終了 浜田教授の懺悔と黒田総裁の暴走


 ・ 地球温暖化対策に熱心に取り組まず、利己主義的に既存の電力供給システムを守り、世界ビジネスから取り残されつつある。

 前回は、1人1台のコンピュータ時代からスマホまで情報革命をした スティーブ・ジョブズを紹介した。これを受け入れたのは消費者であり、政府の支援は必要なかった。
 しかし、地球温暖化防止のエネルギー革命は電力供給システムの変革を求め、国の支援が大きく影響する。すでに電気自動車の時代を迎えようとしているが、12月17日(日)、NHKで放映された激変する世界ビジネス ”脱炭素革命”の衝撃番組導入部(4分)は、パリ協定から離脱した「アメリカファースト」のトランプ大統領のアメリカも、既存の大企業を保護して批准が遅れた安倍首相の日本も、世界のビジネス戦争から取り残されつつあることを示している。地球の環境を大切にしない利己主義が、経済活動を世界から孤立させている。

 ・ 「戦後レジームからの脱却」と国民主権を堂々と批判し、平和憲法を変えようとしている。

 戦後の憲法を一度も改正していないので古いと思っている人がいるようだが、戦争放棄の憲法は世界の先端を行く国民を守る憲法だ。
 いろいろ変えたい点があるにしても、利己主義の安倍首相や自民党に変えさせるのは危険だ。2017年衆議院選後に海外メディアも安倍政権の長期化と憲法改正を懸念している。
 参考:2013年総選挙圧勝の安部首相のテレビ発言
     施行70年日本国憲法 サンデーモーニング 2017.5.7
     憲法改正めぐる攻防 サンデーモーニング 2017.5.14
     風をよむ「最近の国会審議」 サンデーモーニング 2017.5.14
     安保法成立の問題点 サンデーモーニング 2017.10.29
     国難は安倍首相だ! サンデーモーニング 2017.10.29
     風をよむ「リベラルは今・・・」 サンデーモーニング 2017.10.29
 参考: 私の憲法関連ブログ

 ・ 日米軍事同盟によるアメリカの核の傘が安全とし、一方では北朝鮮問題で国民の不安を煽り、国民を騙し続けるる安倍首相は危険だ。

 アメリカ国務省出版物に日米関係について次のように書いてある。
 「第2次世界大戦後の日米の同盟関係は、長期にわたり、東アジアにおける米国の安全保障上、要の役割を果たしてきた。その同盟は、およそ5万3000人の米軍部隊が配備され、日本国内の基地を利用できることで、アジア太平洋地域における米軍の前方展開を容易にし、その結果、米国の安全保障戦略を強固なものにしている。」
 当然のことながら米軍基地は日本を守るためにあるのではなく、米国の東アジアにおける安全保障のためにある。米国のために遠くに基地を作ったもんだ。しかも「日本側にとっては、日米の同盟と米国の核の傘が、近隣諸国、とりわけ中国と北朝鮮への対応において駆け引きできる余地をもたらしている」とある。日本にとっては中国と北朝鮮との対応の駆け引きに使えるそうだ。日本を危険にさらしておいて、馬鹿にするな!

 外交は利己主義ではなく、相手国を尊重し謙虚でなければ成果は上がらない。 北朝鮮対策に政府はミサイル防衛、累計2兆円もの国民の大金を使い、北朝鮮をあからさまに敵対視し、アメリカを儲けさせている。幼稚園児並み以下の幼稚な喧嘩しかできない政府に、国民は怒らないのか!? そのお金を脱石炭電力供給システムに使う方が、はるかに日本のためになる。
 参考: 米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析
      「死の商人」外交も大失敗 破綻はアベノミクスだけではない


初稿 2017.12.19 更新 2017.12.22


国民一人一人が平和を守るために考えよう ② 点と点をつなぐ

2017-12-17 10:21:40 | 自然と人為

 「人類に戦争は不可避であり、自衛のために軍隊が必要だ」と思わされているバラバラな個人が多くなると、政府の戦争を止められない。
 点と点をつなぐとは、物と物、人と人をつないでシステムを創ることだと解釈しているが、平和を守るために人と人を繋がなぎ、「戦争絶対反対」の人々の輪(システム)を熱意をもって創らなくてはいけない。

 スティーブ・ジョブズ伝説のスピーチ(抜粋20分)の言葉で有名な「stay hungry stay foolish」(全訳)がある。彼は「ハングリーであれ、馬鹿になれ」と、ある時は暴君になるほど熱中して点と点をつなぎ、コンピューター革命を実現した。
 アナザーストーリーズ 知られざるスティーブ・ジョブズ~伝説のスピーチの真実~(59分)
 じゅにあのTV視聴録 アナザーストーリーズ 運命の分岐点


 殺人や破壊のための兵器開発は、金儲けのために熱意なき技術者が動員され、戦争も金儲けのために憎しみを煽り国民を動員する。最初は自衛隊の海外派兵から始まるだろうが、国が自衛隊を戦争に派遣することは敵対する国をつくること。対立をエスカレートさせてはいけない。コンピュータ技術もあらゆる技術も金儲けのために戦争に利用されるが、そのことをあまり意識をしないで利用される技術者も多い。

 真剣な技術開発はジョブスの言うように「ハングリーであれ、馬鹿になれ」と一心不乱になるものだ。そんな気持ちで兵器開発が出来るだろうか。バラバラな個人は兵器開発に動員されても、日常の仕事だと思うだろう。良心なき政治家や国民に奉仕することを使命と考えない公務員も、金儲けのために政府が動くことに責任は感じないであろう。戦争の準備は金儲けのために日常的に行われている。ぜひ、スティーブ・ジョブズ~伝説のスピーチの真実~(59分)を、時間がなければ(抜粋20分)でもいいからご覧いただきたい。真の技術開発というものの熱情が伝わってくるであろう。

 アメリカは自己主張の強い国で世界中の戦争に関わっている。日本は武士道、剣道、柔道、相撲道に茶道、華道、書道と力から感性まで「道」にあふれた国である。「道」に溢れた日本が明治維新後戦前まで、西洋に追いつけ追い越せと「道」を踏み外してしまった。戦後70年、これまで維持してきた「道」をアメリカに従属して踏み外そうとしている。戦争は全ての道を踏み外す。再び「道」を踏み外すのではなく、「平和道」という新たな道を人と人をつないで創り、戦争放棄を世界に伝道して行こうではないか。

初稿 2017.12.17

国民一人一人が平和を守るために考えよう ① 個人について考える

2017-12-15 18:04:54 | 自然と人為

 私の残された人生で若い人に伝えておきたいことは、前回のブログ「肉牛生産の原点を若い人に伝えたい。」と前々回のブログ「相撲道から武士道へ、そして『人間として生きる価値』を全世界の教育の基本に!」に引き続き、「国民一人一人が平和を守るために考える」ことだ。

 平和について考える際に参考になると思い、
   再録「100分de平和論」   NHKオンデマンド 100分de平和論
を紹介しておいた。
  参考: まるいの日記「100分de平和論」  よりみちねこ「100分de平和論」

 平和を守る責任は最終的には世界のいずれにおいても個人にあるが、人は集団で生活しているので組織の一人として、国民の一人として言動に制約と責任が求められることになる。組織は大きくなるほど国の権限を利用しようとし、権力者も自分の力を大きくしたいために大きな組織を優遇する。メディアを含めて公的に振舞うと国民から信頼されている機関も真実に基づくと言うよりは、権力との関係で公開される情報には何らかの意図が含まれていることが多い。

 しかし、篠田桃紅104歳。新作を発表し続ける現役美術家は、「川は3本の川では満足に私には表現できない。私には何本も川がある」と書道家の枠を抜け出して、社会から与えられた枠のない生き方で強い自己主張をしながら、その一方では自然や他者に対して謙虚に生きる孤高な真の個人であり続ける稀有な人だ。「個人の尊厳」は「他者の尊重」によって守られると思っていた私に、「謙虚に生きる」ことの価値の大きいことを教えていただいた。
 参考: 美術家 篠田桃紅 102歳
     「墨象」を確立させた104歳の美術家・篠田桃紅の随筆集
     篠田桃紅 NHK教育
     一生自由 篠田桃紅103歲的智慧話語:只要有一口氣在,人生還沒有結束
     美術家 篠田桃紅さん「103歳になってわかったこと」(2)


 次に社会で生きる単位として、恋人や夫婦がある。旅する音楽家 デュオ・三木で知られ、地域における病院や海外の演奏活動をされてわが町福山の自慢の三木健嗣・登志江夫妻は、夫婦としても幸福で、社会にも幸福をもたらす生き方をされている。
 幼少よりクラシックの英才教育を受けてきた東京芸術大学附属音楽高校第13期の同級生。高校で出会い、大学から結婚とズーッとご一緒なのは羨ましい。お互いに優しいから夫婦も社会も幸福にしているとは思うが、プロフィールにご主人の出身地しか書かれていないのは、「何故福山在住?」と好奇心旺盛な野次馬は、ひょっとしてご主人が強いから結婚できたのかと邪推してしまう。

 社会の最小単位の夫婦でさえ、奥さんに干渉されすぎて逃げ出したくなる夫や、「男尊女卑的な夫はいらない。即バイバイよ!」と言う奥さんまで、漫画チックな二人から深刻な不信と憎悪の関係まで様々な関係がある。これに周囲の人間関係が絡み人生を複雑にしている。しかし、「他者の尊重」や「謙虚に生きる」ことが社会の幸福の原点であり、競争的教育を止めれば誰でも身に着けることが出来るような気がするのが・・・。

 「100分de平和論」の『戦争と人の心』でフロイト「人は何故戦争をするのか」が紹介されている。人間には「生の欲動」と「死の欲動」があり「死の欲動」が戦争に向かわせる、と解説されていた。フロイトがそう分析したにせよ、それは動物としての本能を学者として客観的に説明しただけだ。文化の発達で「死の欲動」が抑えられる可能性があると言うよりも、人間である証明として戦争は絶対悪だと説明すべきだろう。

 私は核兵器禁止だけでなく、「戦争は人間のやることではありません」と義務教育から教え込むのが世界の教育の原点であると考える。

初稿 2017.12.15