自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

所有と税金の価値が変わる『循環経済とお金の発行について』~所有から循環的使用へ、税金中心からお金の発行の見直しへ!

2019-06-19 11:32:43 | 自然と人為

 経済は生産から消費への循環システムであり、その循環を補助するのが「お金」である。しかも、「お金」は借金により発行されている。
 『国の借金1062兆円 「国民1人当たり837万円」』というのは、大きな誤解を与える。『日本銀行の「資金循環データ」(2016年)によると、国が発行する債券、 国債 の94.5%は国内で購入されているのだ。国内というのは、その多くが金融機関ということになるが、金融機関が自分たちで国債を買っているわけではない。私たち国民や企業が預貯金に預けているお金の運用先として、国債が購入されているのだ。つまり、国の借金のほとんどは、日本国民から「借りている」と言うことができる』わけだ。政府は国民から借金することでお金を発行して、国民の生活のためにではなく、政府の都合でお金の無駄使いを平気でしている。
 参考:日本の未来~“生きる価値”を大切にする経済と政治を考える
     日本は世界最大の金持ち国!? 政府が赤字でも国が豊かな理由
     資金循環統計の解説 2019年2月


 一方、「政府がすべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する制度」であるベーシックインカム(動画)について話題にされることが多くなった。これは政治において国民生活の基本を守ろうとするものだが、今のところ税金の配分方法の問題と考えられているようだ。しかし、生活の基本を守る問題は、お金の発行方法から見直すべきである。現在の「お金」は政府が国民から借金することにより発行されているが、そこには「お金」に対する深い考えや理念が全くない。お金の発行は地球を大切にし、自然を大切にし、人間を大切にして国民生活を守るために、国民を代表した国会の承認を経て、政府の責任の下に発行されるべきものだ。分業化の時代には、生活には様々な商品が必要であるが、その商品を購入するために、ベーシックインカムを税金からではなく、お金を発行して国民に配布する。一般に経済は生産から消費までの循環を回すことだと考えれれているが、国民の生活を熟慮したお金の発行により、消費から生産へと経済を循環させるエネルギーとすることができる。地球を守り、自然を守り、人間を大切にするために発行される「お金」は、人や街や自然を破壊する軍事費には使ってはならないことは当然であろう。
 参考:「ベーシックインカム」
     日本経済の現状とベーシック・インカムという考え方 2010年05月08日
     分配社会のすすめ 後半より ベーシックインカム 2012年02月18日
     フィンランド政府が2年間ベーシックインカム給付をして分かったこと 2019.06.17
     ベーシックインカムが日本で導入されたらどうなるかを考えてみよう


 また、これまでの商品を所有するのではなく、国民の間で循環的に使用することで、資源を繰り返し利用して経済効果を得るビジネスモデルである『循環経済(サーキュラー・エコノミー)』(動画)について、「キャッチ!世界のトップニュース-ワールドEYES」(2019.6.17)で報道していた。
 生産物の廃棄は資源の無駄使いと環境汚染に繋がる。一方、高級車や宝石、そして「お金」の所有は富の象徴とされるが、使用されないものの所有は、その所有者の自尊心を満足させても、「循環経済」(動画)では弊害となる。また、経済活動の基本である生産から消費の循環を「消費税」で歯止めをかけることは、経済のイロハを知らないバカげたことだ。「お金」にしても「経済」にしても、新しい時代というものは、多くの人が何を大事にするかを深く考え、これまでの固定観念を打破することにより生まれる。
 参考:「無駄」を「富」へと変えるサーキュラー・エコノミーで新たな競争優位性を手に。
     サーキュラーエコノミー(循環型社会イメージ動画) ㈱焔作成
     SDGs(持続可能な開発目標)達成のカギは「サーキュラーエコノミー」
      ~映画Closing the Loopが完成~


 新しい経済の在り方を求めて、2012年に活動を開始した『新経済連盟(Japan Association of New Economy(略称:JANE))』は設立7周年を迎え、代表理事の三木谷浩史(楽天株式会社 代表取締役会長兼社長)は2019年 年頭所感で、「更なる我が国の国際競争力強化に向け、本年は明治維新、戦後に続く「第三の開国」を活動テーマに掲げたい」と述べている。先の見えない日本の淀んだ政治経済の空気の中に、「デジタル技術」と「循環経済」による新しい経済を求めた胎動が始まっている。これに新しい「お金の発行」方法と「ベーシックインカム」を組み合わせるとともに、自衛隊を「武装解除」して、自然災害の多い日本を守るとともに、「世界緊急災害救助隊」としても装備を充実させて、憲法9条で「戦争放棄」を世界に宣言した日本の「第三の開国」の在り方が世界に尊敬され、戦争を必要とする軍産共同体のアメリカに代わり、外交によっても世界をリードして行くことを期待したい。
 参考:新経済連盟 neweconomycom
     新経済サミット2013
     新経済サミット2014
     新経済サミット2015
     新経済サミット2016
     スタートアップが成功する秘訣 -NEST2016(動画)
     新経済サミット2017
     セッション 1 :サステイナブルな未来のビジョン -サーキュラーエコノミー
       とLiving Anywhere- 2017/05/17(動画)
       YOSHIKI、<新経済サミット>で三木谷浩史らと対談(動画)


 「お金の発行と支給」は健康的な国民生活を保障するだけでなく、国民生活を豊かにしなければならない。若い人と高齢者では運動量も好奇心も違うであろう。基本的には政府の支給する部分は、「年金」を含めて年齢によって異なるベーッシクインカムと教育・研究や医療の分野に配布されるべきであろう。経済は生産によって刺激されると考えている人が多いだろうが、消費の増加が経済を活性化する。生活必需品の生産は、ベーシックインカムで刺激をし、生活の豊かさを求める活力によって新しい市場が開発される。この豊かな生活は、自主的な労働によってもたらされる。このために民間の活力を保つためには、労働費として最低限の時間給を国会で決めておく必要がある。働き方として、これまでの月給制から働きたいときに働く時給制にし、生活を心から楽しめるようにすべきであろう。大切なことは、強制的な労働ではなく、働く意欲が経済を活性化することである。必要なら一日当たり働く上限の時間数を決めておけばよい。国民生活の最低限の保障と自由をどう考えるかは、この国の将来をどう考えるかと同じことで、将来の重要な検討事項となろう。


初稿 2019.6.19 追加更新 2019.6.22

グローバル化と軍事化の裏にある支配者の歪んだ欲望(追記)

2019-06-01 16:00:00 | 自然と人為

 グローバル化とは、経済のみならず環境問題も、地球が1つになって考えねばならなくなった時代の流れを言う。これに対して軍事化とは、常に仮想敵国を想定した軍備の増強である。グローバル化と軍事化が並行して行われることは世界の矛盾であるが、世界の支配者にとっては矛盾を矛盾とは考えない支配欲に起因し、その矛盾した動機は国民支配と金儲けへの欲望からであろう。戦争は作られる!(2)。軍事と言えども、国民の命と税金を利用した経済行為であることに違いはない。日本の国を守るために軍備が必要なのではなく、アメリカのために戦うための再軍備である。ことに軍産複合体と言われるアメリカの支配者は、国民支配と金儲けのために仮想敵国を作って軍を持ち、戦争をしたがっている。そして、日本の産軍複合体もこれに従う。
 国を守るとは国民を守ることであり、それは戦争をすることでは絶対にない!「戦争放棄」を憲法で世界に宣言している日本という国が、アメリカの圧力によって「再軍備」したり、アメリカの核の傘に頼って「核兵器禁止条約」に反対する等もってのほかだ。それよりも武装解除(2),(3)をして、戦争放棄の先頭に立つことこそ、国民を守る日本の唯一の道だ!
 戦争対策ではなく、自然災害防止対策と災害時の緊急支援、高齢化社会に安心して暮らせる社会の構築こそ、今の日本に求められている緊急の政治課題ではないか!
 参考:トランプ大統領、国賓として来日 天皇陛下と会見へ
     令和初の国賓でトランプ来日 「ゴルフ・大相撲」のおもてなしで日本経済守れるか?
     日米首脳が自衛艦視察 艦内で“武器取引”
     安倍首相、「空母化」を約束 大統領、F35「105機」歓迎
     トランプ大統領「この素晴らしい新しい装備で、護衛艦はわたしたちの国々を守って
     くれる。さまざまな地域の紛争、また、離れた地域の紛争にも対応してくれることにな
     る」と述べ、「日本防衛」とは無縁の海外の米軍主導の紛争への参戦を期待した。
     トランプ米大統領来日「日本経済新聞」関連記事
     まずは知る事から始めよう ⑩日本(世界)支配の構造⑩ 戦争は作られる!
     山本太郎「総理の指示:参議院 予算委員会」2018年5月28日
     安倍政権の「圧力」、望月衣塑子記者や前川喜平氏らが明かす。2019年06月01日

     
 アメリカの今の支配者トランプ大統領を日本の支配者安倍首相が国賓としてもてなした最後の日、2019年5月28日に「児童を巻き込む殺人事件(川崎”通り魔事件”)」が起きた。両者が関係があるはずはないが、希望のない淀んだ日本の空気の中で、安倍首相だけが病的にはしゃいでいる時に起きた事件には違いない。将来に夢のある子どもの命が奪われた深い悲しみとやり場のない憤りのある事件であった。その日の午後、帰国の途についたトランプ米大統領も、ヴァージニア州市職員が同僚に乱射事件の悲報を受けることになる。アメリカは、何度も銃乱射事件があるにも関わらず銃規制をしない。今回も対策は打たれないのだろうか? いずれにしても、日米の首脳は国民生活のカヤの外で、政治と軍事を楽しんでいるように見える。
 参考:川崎”通り魔事件”
     岩崎容疑者の同級生が語る素顔「おとなしいが、切れると豹変する奴」
     5・28川崎殺傷事件<本澤二郎の「日本の風景」
     米ヴァージニア州で市職員が同僚に乱射、死者12人に


 人類はいろいろな集団で生きている。「幸福」は他者との関係により生まれ、集団で生きる幸せの原点は他者を尊重することにあると思うが、今では「他者を尊重することより、自己を主張すること」を当然とする雰囲気の時代となったように思う。集団には市民として生きる個人と個人の関係で生じる社会現象と、社会全体と集団との間に生まれる力関係における個人の生き方が関係している。それぞれについて考えると、あの事件は、希望を失い集団から病的に孤立した個人の理由なき自虐的殺人であり、一方の支配層が権力を持つ軍事を含む国事行為の裏には、軍による殺人や破壊を「国民を守る」という偽善のもとに、国民に「犠牲を強制」する歪んで病んだ支配欲が潜んでいる。

 トランプ大統領は権力を維持するために、アメリカ選挙民の支持を求めて属国日本の支配者にそれを求め、日本の支配者安倍首相は日本国民にその犠牲を求めて自己の病んだ夢と利益を追求する。一市民の自虐的行為も支配者の支配欲も、どちらも病的だと思うが、メディアは両方がそうだとは伝えない。「川崎”通り魔事件”」については、どうすれば防げるかと対応策を求めるが、国賓問題とその裏にある支配者の欲望については対策を講じるべき問題が多いにも関わらず、日本のメディアは国事行為を祝賀するだけで、大変な問題だとは騒ぎもせず、問題視さえしない。日本の支配者は、その能力とは関係なく日本を支配する権力を求める集団を作り出し、日本もある意味では、自主的情報統制の戦時下体制に入っているのかも知れない。

 ものの考え方とは、ある事象に対する反応の違いであり、人それぞれの立場によって反応が違うとは知っていたつもりだが、庶民と支配者によっても大きく反応が違うことを北野幸伯氏のロシアの情報から気づかされた。庶民と国を動かす支配者とでは、欲望も組織の力を利用する力も大きく違っているので、それも当然かもしれない。病的な軍国主義者であり、アメリカの属国としてその夢を実現しようとしている安倍首相により、「戦争放棄」の日本国憲法は無視させられつつある。すでに安倍政権は2018年12月18日に、日本の新たな軍事方針「防衛計画の大綱」(大綱)と、2019~23年度の武器調達計画を示す「中期防衛力整備計画」(中期防)を閣議決定している。
 災害救助で国民に親しみのあった自衛隊の正式名称は、安倍内閣の下に実質的には「国防軍」に変化している。そこで、ここでは日本の国防費と消費税を例にして、支配者の態度について考えてみたい。
 参考:北野の声 北野幸伯 公式ホームページ
     空母向け含むF35を105機購入へ その裏側に苦渋の決断 2018.12.21
     違憲の攻撃能力へ27兆円 空母化・F35明記 新「防衛大綱」・中期防 閣議決定


 国民生活を潤す生産活動に、消費税を何故課税をするのか?2%の消費税率引き上げで、見込まれる税収増は約5兆6千億円という。そうして国民の生活の場から奪う税金の額は、まだ実践能力は未知数の開発段階にある戦闘機F35を105機追加購入して、147機体制とし、総額は6.2兆円で、消費税より多いだそうだ。しかもそれを空母に搭載するという。「日本は戦後空母を保有してこなかったが、先の閣議決定で、現在2隻保有するヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型を飛行甲板の改修などにより事実上の空母(政府呼称は「多用途運用護衛艦」)として運用する計画が了承された。」
 国民の生活は生産と消費活動によって営まれる。政治は税金によって国民生活を守っているが、軍事費に消費税等の税金を使うことの意味を問い直そう!すでに大企業は内部留保したお金で経済活動ができる状態で、事業のために銀行から借金をする必要がなくなっている。借金をしないということは、大企業の生産活動にお金を発行する必要が無くなっている状態を示すのではなかろうか?発行されたお金は軍事費、不動産、株等の投資に使われる。今こそ、国民生活の基本は税金ではなく「お金の発行方法」(2)から見直す必要があろう。
 参考:日本政府、米にF35を105機購入の意向示す トランプ氏「同盟国中、最大の部隊に」
     F35 147機 総額6.2兆円
     105機を追加購入し、147機態勢
     消費税増収分の使い道(2018年10月)
     いずも型搭載F-35はどの程度戦力になる?
     空母向け含むF35を105機購入へ その裏側に苦渋の決断
     違憲の攻撃能力へ27兆円
     安倍政権は18日、5年間で過去最大の27兆4700億円を計上し、前中期防の24兆
     6700億円から2兆8千億円増額した。安倍政権下で進む大軍拡路線をさらに加速さ
     せるものだ。
     安倍首相“幇間”外交大失敗 トランプ手の平返しで円安叩き


 「旧東ドイツで育ったドイツのメルケル首相は、2019年5月30日に米東部ボストン郊外のハーバード大卒業式で講演し、第2次大戦後の欧州復興の原動力となった米『マーシャル計画』が1947年にハーバード大で発表されたことに触れ、『ベルリンの壁』の向こう側にある『自由』に憧れていた自身の経験を紹介しつつ、自由を阻害する保護主義や単独主義などの「壁」を壊して国際的な協力を進めるよう呼び掛け、『心の中の壁を壊せば敵が友に変わる』と主張した。トランプ米大統領を間接的に批判した形で、卒業生らは熱狂的に拍手した。」
 参考:独メルケル首相がトランプ氏批判 「壁」崩し国際協力を
     民主党がトランプの岩盤支持層を切り崩せない本当の理由
     トランプを支持しているのは誰か?アメリカ「極右化」の真実
     アメリカの世論調査機関ピュー・リサーチの調査では、高卒以下の白人の57%が
     トランプ候補を支持しているのに対して、クリントン候補を支持する比率は36%に
     すぎない。逆に大卒以上の高学歴者では、クリントン候補支持52%に対して、トラ
     ンプ支持は40%と逆転している。


 個人の欲求不満は集団を動かし、集団の欲求不満は国や世界までもを動かすことがある。人は他者との関係で「幸福」になれるので、他者を尊重する社会を構築すること、そのような社会を維持することが、人類が幸福に生きる前提として何よりも重要だと、私は確信している。


初稿 2019.6.1 更新 2019.6.16