口蹄疫は東日本大震災で忘れかけられていましたが、原発の放射能汚染で牛の問題が再び注目を集めています。口蹄疫も原発も学者・専門家が科学的事実に真摯に向き合わないことが惨事の大きな原因となりました。原発推進の学者・専門家集団を原子力村と言うなら、口蹄疫は殺処分するしかないとしてワクチン不使用を主張するグループは家畜衛生村と言えましょう。
その家畜衛生村により、福島の家畜改良センターで日本学術会議、日本畜産学会、日本獣医学会、家畜改良センターの主催で、口蹄疫や鳥インフルエンザに関するシンポジウムが開催され、ワクチンに関する科学的事実の隠蔽がなされようとしています。なぜ隠蔽だと断言できるのか、それは演者が農水省のワクチン不使用の政策を支えている権威者であり、これに批判的な学者を排除しているからです。そのような農水省の政策を支持するプロパガンダのシンポジウムを学術会議、畜産学会、獣医学会が主催することに社会的責任は問われないのでしょうか。
今、福島の家畜改良センターに求められていることは、科学的事実と真摯に向き合うことであり、放射能汚染牛を集めて除染研究をすることです。セシウムは体内でカリウムと同じ動きをしますから、放射能汚染されていない飼料を給与すれば体外に排泄できるはずです。セシウム吸着剤の使用も検討すべきです。もちろん排泄物の処理が問題になりますが、殺処分の前にできるだけ命を守る研究をすべきです。
口蹄疫のときも殺処分時にデータを収集することなく、中国の高速鉄道事故のように証拠を地中に埋めてしまいました。ワクチン接種した家畜を殺処分して被害を拡大したことに対して科学的な検証もなされず、感染源や感染経路も解明されていません。これでは29万頭の命が報われませんが、また放射能汚染を放置したまま殺処分では、家畜も死んでも死に切れないでしょう。
2011.8.1 開始