自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

第11回牛豚等疾病小委員会

2013-03-30 21:56:16 | 委員会

第11回牛豚等疾病小委員会 平成22年4月28日

 一部公開議事録   委員名簿
参考: 発生事例の現地調査

議題
(1)宮崎県におけるロ蹄疫の発生について  p.2-24
a)事務局説明(山本補佐) 10例目までの報告 p.2末行~p.10の25行
1例目:4月19日の午前中に動物衛生課の方に連絡がありまして、19日の午後に立入検査、20日早朝にはPCRで口蹄疫の遺伝子が確認された。
2例目:1例目の通報に先立つ4月16日に乳用、肉用混合経営という農場で、飼養牛1頭で舌のびらん、乳頭潰瘍を確認しましたけれども、同居牛に異常がないことから経過観察、20日の朝に届出、21日早朝に6検体でPCR陽性。
3例目:20日に流涎、潰瘍潰等が認められたということで家保に通報があり、21日に3検体でPCR陽性。2例目と近い。
4例目:2例目、3例目と近い。19日に症状、21日立入検査、22日PCR陽性。
5例目:4例目と近い。22日届出、23日3検体中1検体でPCR陽性。症状軽微。
6例目:1例目の発生確認で22日に5頭採決。23日に3月31日の検体ともにPCR陽性。
7例目:2例目の疫学関連で24日に立入検査。5頭中4頭が(PCR)陽性、5頭全頭の抗体陽性。肥育舎は3棟、いずれでも発症牛が認められて、いずれで採材された個体についても陽性が確認された。
8例目、9例目、10例目は会議(28日)の直前に感染確認が公表された。
8例目:27日に届出、28日早朝5検体全頭でPCR陽性。
9例目:7例目の疫学関連で27日に届出。9検体(4検体はプール)中1検体のみ陰性。
10例目:26日に豚1頭異常、27日多くの豚に急激に症状拡大、28日朝6時全5検体陽性。

報告における非開示個所
  6例目 開示すべき個所(p.5の9行目)と指示されたが非開示
  7例目 非開示(p.6の22~26行目,p.7の5~6行)
  8例目 非開示(p.7の13~17行目)
  9例目 非開示(p.7の18、20~22行目、4~6行目)
 10例目 非開示(p.9の15行~末行、p.10の1~24行目)
  
家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会議事録の一部開示決定について、情報公開・個人情報保護審査会が農林水産大臣に交付した答申書によると、口蹄疫発生の7例目から10例目については、上記の部分について一部非公開を認めている。しかし、6例目については開示すべきとされた個所であるが、なぜか非開示のままにしている。これらは発生状況の説明部分であり、非開示にする法的根拠が問われ、農水省の強い意向が反映されているように思える。なお、7例目、8例目、9例目は安愚楽牧場(全国規模の経営)の直営農場であり、10例目は宮崎県畜産試験場の養豚部門である。

 b)事務局説明(武久専門官) 防疫対応のスケジュール p.10の26行~p.13の8行目
   本日、認められました8 、9 、10 例目を除く7 例の防疫対応状況は、7例でのみ殺処分が終了していないが、ほかの6例は殺処分がすべて終了している。また、7例目および5例目は汚物物品の埋却が終了していないが、残りの5例は消毒まですべて終了している。

   c)事務局説明(川田補佐) 疫学関連情報 p.13の9行~p.16の8行目
 1) 2例目と4例目の距離は180mで同一の獣医師が診療
 2) 中国産の稲わらを使っているということが確認されております。これにつきましては、現地中国の処理工場であるとか、ロット番号であるとかいうものの確認が一部取れてございます。この稲わらを同一ロットで輸入して使用しているのが25農場ございました。そのうちの25農場について異常がないことが確認をされております。(p.15) 
 この会議までに10例の発生が確認されているだけなのに、なぜ25農場について異常がないことが確認できるのか?

 報告における非開示個所
   p.14の25行目の地域名は開示すべきとされた個所であるが、非開示になっている。

   d)事務局説明(伏見国内防疫調整官) 各国の防疫措置 p.16の9行~p.16の24行目

 質疑応答 p.16の25行目~p.25の2行目

    発言者        発言量(1行=15.5cm)

  • 明石委員        4.6行    2.5%           
  • 川田補佐        2.7行    1.5%           
  • 津田委員        55.1行       29.7%           
  • 山本補佐        8.7行    4.7%           
  • 田原委員長      15.5行     8.4%           
  • 寺門委員        17.0行    9.2%           
  • 川島課長        53.0行    28.6%           
  • 佐藤委員        8.1行    4.4%           
  • 姫田課長        15.5行     8.4%           
  • 平尾局長        4.9行    2.6%
    その他出席者 伏見国内防疫調整官、今田委員、清水委員
    欠席者 岡部委員

川田補佐は中国産稲わらを25農場で使用しているが、いずれの農場でも異常がないと疫学的調査の報告をしている。この川田補佐に対する質問から質疑が始まっているが、寺門委員の質問に対して、川島課長や田原委員長が応答し、これに佐藤委員と津田委員が加わり、議論が過熱し(p.19~20)て平尾局長まで発言している。p.25で田原委員長は次の議題(2.今後の対応について)がメーンでしょうがと発言しているほど、ここは質疑応答の場なのに何が語られたのであろうか。


(2)今後の対応について p.25の3行目~p.27の24行目
 
 
 1) 豚の発生では、この農場からの蔓延防止措置が十分にとられているので、直ちに現在の対策の有効性を否定するものとは考えにくい。
 2) 発生が確認された大規模系列農場については、九州地方のすべての関連農場を家畜伝染病予防法に基づく隔離下に置きつつ、出荷、移動ができないという状態にしまして、立入検査による清浄確認を進めていく

 質疑応答 p.26の9行目~p.27の24行目

    発言者        発言行(1行=15.5cm)

  • 寺門委員        6.9行   27.6%            
  • 山本補佐        5.2行   20.8%            
  • 伏見調整官        1.1行         4.4%          
  • 佐藤委員        4.3行   17.2%            
  • 津田委員           5.0行   20.0%            
  • 田原委員長         0.6行    2.4%          
  • 川島課長         1.0行     4.0%          
  • 平尾局長        0.9行    3.6%
    その他出席者 明石委員、今田委員、清水委員
    欠席者 岡部委員

 今後の対応についての論議はあまりなされていない。 委員会後に公開された「概要」では、「徹底的な疫学調査による感染源及び感染経路の究明を進めるべきである」とあるが、「概要」に示されるような議論がなされたとしたら、これを非公開にしなければならない理由はない。

(3)その他   事務連絡1)    p.27の25行目~p.30末行
 1) 口蹄疫疫学調査チームのメンバー報告
 
 2) 先ほど動物衛生課長からも話がありましたように、あす現地で調査、1例目の発生農
場しか行けないのですけれども、1例目の発生農場に行き、その後、現地で第1 回のこ
のチームの検討会を開催するという運びになっております。

 質疑応答 p.28の11行目~p.28の30行目

    発言者        発言行(1行=15.5cm)

  • 田原委員長       3.9行   41.5%            
  • 山本補佐        3.2行   34.0%            
  • 平尾局長            2.3行   24.5%          

この質疑応答で予定された議題の審議は終了し、田原委員長は事務局に議事運営を渡した。伏見国内防疫調整官の説明自体が黒塗りの前に削除されているのか、行の文字に空欄が多い。また、川島課長や山本補佐の説明をなぜ削除する必要があるのか。この委員会では概要は検討されていないが、公表されたのは以下の通りである。

 概要

初稿  2013.3.30

 

 

  
  


第10回牛豚等疾病小委員会

2013-03-26 22:29:41 | 委員会

第10回牛豚等疾病小委員会 平成22年4月20日  一部公開議事録   委員名簿

議題
(1)宮崎県におけるロ蹄疫か疑われる事例について  p.3-9.
   a) 事務局説明 p.3-5. 山本補佐,坂本研究管理監

  論議(黒塗り・非公開) p.5下から4行目~p.9末行

    発言者          発言量(1行=15.5cm)
   山本補佐           14.9 行          20.1%
   坂本研究管理監         9.9 行          13.4% *p.6の6行目不明
       伏見国内防疫調整管      4.2 行            5.7%
   川島課長                        1.4 行            1.9% *p.20の25~27行目、連続発言?
 
 
 
   津田委員(動衛研)       5.2 行            7.0%
       今田委員(動衛研)       1.4 行            1.9%
       寺門委員(元動衛研)    16.9 行           22.8%
   明石委員(元動衛研)      5.8 行             7.8%
   清水委員                        1.6 行             2.2%
   田原委員長                  12.7 行           17.2%
   欠席 佐藤委員,岡部委員

  1例目で口蹄疫発生がPCR検査で確認されたことから、発生までの診断経緯と検査法の説明がなされた。これについての質疑の部分は、農水省は①公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある、②特定の個人若しくは団体に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがあるという理由で公開を拒否している。しかし、発言者は農水省動物衛生課と動物衛生研究所(以降、動衛研)および動衛研OBが職務として発言したものであり、議事録を公開することで審議に著しい支障を及ぼすおそれや、個人や団体に不当な利益や不利益を及ぼす議題とは考えられない。口蹄疫の発生を知らされて質問が多いことは、口蹄疫対策について熱心であることを示している。発言が少ないことは事態を熟知しているか、関心が低いか、多くを質問しない方が良いと立場をわきまえているかのどちらかであろう。欠席を含めて発言が少ないことは、小委員会において賛成に協力する人員として期待されているのであろう。真摯に委員の任務を果たそうとしている人にとって、むしろ議事録を公開することが本人の利益(名誉)になるのではないか。
 なお、口蹄疫の検査は20日の早朝に結果が出ているので、欠席者には出席できなかった時間的事情があろうが、委員長は鹿児島県在住のはずである。検査結果の前に委員会の開催と出席を要請されていたのであろう。議事録には一般には示されている会議開催時間が消されている。

 
 
(2)今後の対応について
 1.1例目の措置  p.10
   疑似患畜として全頭殺処分・埋却
 2、移動制限区と搬出制限区 p.11の前半
   移動制限区域10km、搬出制限区域20kmで対応
 3.疫学調査の方針
 1)2000年の発生時には、移動制限の開始後、直ちに血清採材等によるサーベイランス
  を始めた。(P.11の後半)

 2)今回は、サーベイランスの開始時期は移動制限開始1週間後から開始、採血の開始が
  1週間後からで、これ以前は電話等の聞き取りで臨床症状を確認する。(p.12の中段から)
 

 a)今回の発生事例では、舌や口腔のびらんや発熱あるいは食欲不振という臨床症状が
 認められるので、臨床表示に基づく診断がある程度機能すると考えている。
  そのため、今回は移動制限区域以外の地域の農場について、検査による伝播の機会を
 低減する観点から、電話によって聞き取りを徹底することによって臨床症状の有無を指標
 に清浄性を確認していこうと考えている。また、こうした電話による聞き取りで臨床症状を
 確認する取り組みについては、もちろん移動制限区域内の農場についても適用する。
 
 

 b)防疫措置の開始当初は発生当該農場における疫学調査を徹底し、疫学関連のある農場
 を特定して防疫の対象にする。これは非常に重要なので、こちらに検査資源とか人的資源
 を集中させることを目的に、移動制限の取り組みを始めた当初の1週間は疫学調査に注力
 し、1週間を経過した段階から血清を採材したサーベイランスを開始する。

 4.防疫対策の徹底を指示する消費・安全局長から各都道府県知事あての徹底の
   通知文書案(p.13の中段から)
 5.疫学調査チームの設立(p.14の中段から)

  論議(黒塗り・非公開) p.14下から2行目~p.22末行

       発言者          発言量(1行=15.5cm)
    山本補佐                10.3 行           6.0%
    坂本研究管理監            13.1 行           7.7%
        伏見国内防疫調整管         14.7 行           8.6%
    川島課長                           27.5 行         16.1%
 
 
 
    津田委員(動衛研)          10.9 行           6.4%
        今田委員(動衛研)              0.0 行           0.0%
        寺門委員(元動衛研)          43.7 行         25.7%
    明石委員(元動衛研)           7.2 行            4.2%
    清水委員                             5.7 行            3.3%
    田原委員長                        26.1 行          15.3%
   
        山本国際衛生対策室長        5.8 行            3.4%
    姫田総務課長                      3.4 行            2.0%
    濱岡動物衛生研究所長        1.9 行            1.1%
        欠席 佐藤委員,岡部委員

 2000年の発生時には、移動制限の開始後、直ちに血清採材等によるサーベイランスを始めたが、今回は電話による聞き取りで臨床症状を確認するという不自然な疫学調査の方針に誰も異を唱えなかったのか。寺門氏の発言と川島課長の対応が目立つが、この内容を何故非公開にするのか。むしろ国の方針を決定した議論は公開すべき義務がある。

(3)その他
 1.近隣諸国の状況
  稲わらについては、今のところ遼寧省と吉林省はロ蹄疫の発生がないということで、
  その中の限られた地域で生産されて保管管理されたもののみを大連の工場、23施設
  あるが、ここの工場で加熱処理をして輸入することになっている。(p.23)

  論議(黒塗り・非公開) p.24上から11行目~p.27上から4行目
 

      発言者            発言量(1行=15.5cm)
    山本補佐                0.0 行           0.0 %
    坂本研究管理監             7.1 行         13.8 %
        伏見国内防疫調整管          0.0 行           0.0 %
    川島課長                          18.8 行         36.6 %
 
 
 
    津田委員(動衛研)           0.0 行           0.0 %
        今田委員(動衛研)             0.0 行           0.0 %
        寺門委員(元動衛研)          3.5 行            6.8 %
    明石委員(元動衛研)          9.8 行          19.1 %
    清水委員                            1.6 行            3.1 %
    田原委員長                         3.0 行           5.8 %
    山本国際衛生対策室長        0.0 行          0.0 %
    姫田総務課長                      4.8 行           9.3 %
    濱岡動物衛生研究所長        0.0 行           0.0 %
        伊藤補佐                             2.8 行           5.4 %
        欠席 佐藤委員,岡部委員

 海外からの口蹄疫ウイルスの侵入経路の可能性の疫学調査についても非公開にすべきではない。ここでも川島課長の発言が目立つが、これを非公開にすべき理由はない。むしろ、ここで提案された初期対応に委員はどういう態度を示したのか、委員の名誉のためにも公開する必要がある。

 その他
 1.検討の概要案   概要
  〇 伏見国内防疫調整官 本日の検討の概要について事務局案を作成いたしましたので、
    これから配付させていただきます。

  論議(黒塗り・非公開) p.28上から12行目~p.31末尾
 

       発言者            発言量(1行=15.5cm)
    山本補佐                   2.0 行           3.0 %
    坂本研究管理監               1.5 行            2.2 %
        伏見国内防疫調整管            4.6 行            6.9 %
    川島課長                            19.4 行          28.9 %
 
 
 
    津田委員(動衛研)           12.7 行          18.9 %
        今田委員(動衛研)              0.4 行             0.1 %
        寺門委員(元動衛研)            7.0 行         10.4 %
    明石委員(元動衛研)            0.0 行            0.0 %
    清水委員                              3.6 行            5.4 %
    田原委員長                           9.8 行          14.6 %
    山本国際衛生対策室長         0.0 行            0.0 %
    姫田総務課長                       3.3 行            4.9 %
    濱岡動物衛生研究所長         2.8 行            4.2 %
    伊藤補佐                               0.0 行            0.0 %
        欠席 佐藤委員,岡部委員

 あらかじめ配布された議事の概要についての議論に多くの時間を割いている。川島課長の発言が一部カット(p.31中段)されているのは不自然であるが、それでも川島課長の発言時間が長く、第10回牛豚等疾病小委員会の審議内容における主導権を発揮していることがうかがえる。また、これだけの議論を経ながら、訂正されたのは当該農場(1例目)の疫学調査を症状が確認された4月9日からではなく、その1週間前の4月2日からとした点だけであり、初動対応についての重要な指示(検査による疫学調査をしないで電話による調査をする)については概要から削除されたままである。議事録だけでなく概要も審議された重要な事項を隠ぺいしている。今回の防疫措置を決定した最初の小委員会から、感染拡大の阻止ではなく不可解な初動対応をなぜ委員は承認したのか。その責任を明らかにするためにも、議事録は公開すべき義務がある。

初稿 2013.3.26