6日間の東京出張から帰阪しました。出張中はベッドで本を読みながら眠りに就くのが習慣です。
この出張では「ベンヤミン『歴史哲学テーゼ』精読」(今村仁司著、岩波現代文庫)がお供でした。歴史哲学者ベンヤミンの書いた18のテーゼを解説した本です。テーゼ自体は30ページほどですが、その解説が150ページにもわたります。
とても難解で、3回目の再読です。3回読んでもまだ、理解できないところがあります。半面、3回読んで、やっと理解できたこともありました。
今回、理解できたことはたいそう興味深く、読みながら、腑に落ちたと言うより、開眼に近いものを感じました。
話はこうです。
例えばある意見や出来事が起こると、それに対立したり矛盾した意見や出来事が起こる、その二つの意見や出来事が対立を越えて統合することで、新たなより高い境地のものが生まれる。
人類の歴史はこの繰り返しで進歩してきた。これは弁証法の考え方です。
ここまでは以前から理解していました。これから先が今回分かったことです。
つまりはこのようにして進歩してきた人類の未来はどう続くかです。
この統合は人類がある限り続くはずです。終わりがありません。と言うことは完成しないのです。完成するとすれば人類が滅亡する時です。その時は対立や矛盾は無くなり統合も生じません。人類を宇宙と置き換えてもいいかも知れません。もしくは宇宙よりもさらに広がりのあるものが存在しているかもしれませんが。
人類は存在する限り矛盾や対立を繰り返し、そして新たな段階へを進歩する。
これは置き換えて言うと
「人類の生きる目的は人類が存在する限り確定しない」
に繋がります。
人類が存在する限り対立矛盾を繰り返しながら次の段階へ進むのなら、「人類の目的」自体も変化するはずだからです。
仮に、人類の目的は変化しないとしても、対立矛盾を繰り返しながら進歩し続けている「今の人類」には「人類の目的」は分かるはずがありません。
「生きる目的とは」と言うような本が巷によく出回っていますが、私はそんな本を目にするために、「よくもこんな題名の本を作れるな」と感じています。
「生きる目的を示すなら、まずは宇宙とは何かを全て解明してくれ」と言いたいのです。「人は宇宙の一部分です。その宇宙の存在の目的が分からないのに、何で宇宙の一部である人の存在の目的が分かるのでしょうか」です。
生きる目的について、そんなぐらいにしか考えていませんでしたが、このベンヤミンの本を読んで、論理的に、「人(人類)の生きる目的が分からない」ことが分かりました。
もちろん、それぞれの個人が「『自分』の生きる目的はこうだ」と考えるのは自由で、それはその通りでしょうが。
ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読(今村仁司著、岩波現代文庫)には、他にも興味深いことがいっぱい書いてあります。ぜひお読みください。
水呑地蔵日記を読むより、いくらもためになります。
注、私の理解ではマルクスはこの弁証法を使いながら、「人類は労働者階級独裁」の段階に進んで、そこで完成すると言っていたと思います。つまりは「人が『神』になって完成する」と言っていたはずです。様々な考え方があります。ベンヤミンの考え方もひとつの考え方に過ぎません。
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この出張では「ベンヤミン『歴史哲学テーゼ』精読」(今村仁司著、岩波現代文庫)がお供でした。歴史哲学者ベンヤミンの書いた18のテーゼを解説した本です。テーゼ自体は30ページほどですが、その解説が150ページにもわたります。
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今回、理解できたことはたいそう興味深く、読みながら、腑に落ちたと言うより、開眼に近いものを感じました。
話はこうです。
例えばある意見や出来事が起こると、それに対立したり矛盾した意見や出来事が起こる、その二つの意見や出来事が対立を越えて統合することで、新たなより高い境地のものが生まれる。
人類の歴史はこの繰り返しで進歩してきた。これは弁証法の考え方です。
ここまでは以前から理解していました。これから先が今回分かったことです。
つまりはこのようにして進歩してきた人類の未来はどう続くかです。
この統合は人類がある限り続くはずです。終わりがありません。と言うことは完成しないのです。完成するとすれば人類が滅亡する時です。その時は対立や矛盾は無くなり統合も生じません。人類を宇宙と置き換えてもいいかも知れません。もしくは宇宙よりもさらに広がりのあるものが存在しているかもしれませんが。
人類は存在する限り矛盾や対立を繰り返し、そして新たな段階へを進歩する。
これは置き換えて言うと
「人類の生きる目的は人類が存在する限り確定しない」
に繋がります。
人類が存在する限り対立矛盾を繰り返しながら次の段階へ進むのなら、「人類の目的」自体も変化するはずだからです。
仮に、人類の目的は変化しないとしても、対立矛盾を繰り返しながら進歩し続けている「今の人類」には「人類の目的」は分かるはずがありません。
「生きる目的とは」と言うような本が巷によく出回っていますが、私はそんな本を目にするために、「よくもこんな題名の本を作れるな」と感じています。
「生きる目的を示すなら、まずは宇宙とは何かを全て解明してくれ」と言いたいのです。「人は宇宙の一部分です。その宇宙の存在の目的が分からないのに、何で宇宙の一部である人の存在の目的が分かるのでしょうか」です。
生きる目的について、そんなぐらいにしか考えていませんでしたが、このベンヤミンの本を読んで、論理的に、「人(人類)の生きる目的が分からない」ことが分かりました。
もちろん、それぞれの個人が「『自分』の生きる目的はこうだ」と考えるのは自由で、それはその通りでしょうが。
ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読(今村仁司著、岩波現代文庫)には、他にも興味深いことがいっぱい書いてあります。ぜひお読みください。
水呑地蔵日記を読むより、いくらもためになります。
注、私の理解ではマルクスはこの弁証法を使いながら、「人類は労働者階級独裁」の段階に進んで、そこで完成すると言っていたと思います。つまりは「人が『神』になって完成する」と言っていたはずです。様々な考え方があります。ベンヤミンの考え方もひとつの考え方に過ぎません。
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