スペイン銀行救済にユーロ圏17カ国が10兆円の支援をすることが表明されました。欧州危機が、ギリシャ等の欧州小国への援助から、EU4位の大国スペインの銀行救済へと次のステップに入ってきました。欧州危機は、ギリシャ等の財政危機が、欧州銀行危機に波及し、さらに欧州銀行危機が貸し渋り等により欧州域内全体の実体経済にまで悪影響を及ぼす悪循環に入って来ました。また実体経済の悪化が、地価下落、中小企業倒産の増加により、更に欧州域内の銀行経営を直撃し、同時に税収不足、失業増加、銀行救済が域内の国家財政を直撃するという複合型の危機に陥っています。
例えて言えば、米国リーマンショックも欧州危機も、90年代の日本と同様にバブル崩壊による経済、財政、金融危機ですが、リーマンショックが心臓発作であるとすれば、欧州危機は、がん細胞の転移にも似た様相を呈して来ました。前者がFEDによる超金融緩和(心臓マッサージ)で金融(血液)の循環を正常化することにより当面の危機を回避する処方箋が有効であったのに対して、後者はがん細胞の転移(信用不安の欧州域内の連鎖)をいかに止めるかにかかっています。その意味で今回の欧州各国のスペイン銀行への資本注入援助は適切な処理と思えます。一方で、日本はバブル崩壊後失われた10年を経験しましたが、この経験から米国も欧州も経済が本調子に戻るためには、少なくとも10年以上かかると覚悟を決めてかかった方がいいのかも知れません。もしかしたらバブル崩壊から10年経っても日本同様に長期低迷は続き、BRICs等の新興国の地位が更に高くなっているという事態に直面するかもしれません。
欧州危機の深刻化を避ける方法は、私はドイツとECBの財政負担能力にかかっていると思います。共通通貨ユーロを導入した以上、財政的にも負担を共有する意思が必要です。ギリシャの危機を夕張市の財政破綻に、スペイン銀行危機を北海道拓殖銀行の破たん処理と北海道経済への支援に置き換えれば、理解しやすいと思います。ギリシャをユーロ圏に残すためには、中央政府(ドイツ等)からの財政援助と財政再建団体(国)として自治の制限を受け入れることが必要です。また不良債権問題で預金流出が止まらないスペインの銀行に対して、ユーロ域内での共通の預金保険機構を作り、預金者を保護する形で銀行の破たん処理を行うと同時に、スペインやイタリアのみならずフランス、ドイツ等の正常な銀行も含めて予防的な資本注入を行い、域内銀行の信用不安と貸し渋りを防止することが必要です。これらの財政的負担に対して、中央政府や中央銀行の役割をするドイツ(場合によってはフランスも)とECBが、本気で取り組むことが必要です。
最大の問題は、ユーロ危機によるユーロ安の恩恵を得ているドイツの輸出企業を中心とした産業界とドイツ国民が、ギリシャやスペインのために税金を投入することを良しとするかです。また援助されるギリシャ国民や他の南欧国民が社会保障の削減と増税や医療の自己負担増等の緊縮策を受け入れるかです。どちらも難しいとすれば、欧州共通通貨ユーロの危機は本質的に回避できないということでしょう。その意味で、ユーロ圏の混乱は長期化し、幾つかの国のユーロ圏から離脱が現実のものとなるかもしれません。
最後になりますが、欧州危機により、欧州各国の国家主権・財政がばらばらで通貨のみが共通であるという制度欠陥が露呈しました。欧州危機は、財政、金融、実態経済への相互への悪循環が欧州域内に広がって行くことを指摘しましたが、さらに世界経済にも深刻な影響を与える可能性が否定できないことです。これからも注意深く見守って行きたいと思います。
例えて言えば、米国リーマンショックも欧州危機も、90年代の日本と同様にバブル崩壊による経済、財政、金融危機ですが、リーマンショックが心臓発作であるとすれば、欧州危機は、がん細胞の転移にも似た様相を呈して来ました。前者がFEDによる超金融緩和(心臓マッサージ)で金融(血液)の循環を正常化することにより当面の危機を回避する処方箋が有効であったのに対して、後者はがん細胞の転移(信用不安の欧州域内の連鎖)をいかに止めるかにかかっています。その意味で今回の欧州各国のスペイン銀行への資本注入援助は適切な処理と思えます。一方で、日本はバブル崩壊後失われた10年を経験しましたが、この経験から米国も欧州も経済が本調子に戻るためには、少なくとも10年以上かかると覚悟を決めてかかった方がいいのかも知れません。もしかしたらバブル崩壊から10年経っても日本同様に長期低迷は続き、BRICs等の新興国の地位が更に高くなっているという事態に直面するかもしれません。
欧州危機の深刻化を避ける方法は、私はドイツとECBの財政負担能力にかかっていると思います。共通通貨ユーロを導入した以上、財政的にも負担を共有する意思が必要です。ギリシャの危機を夕張市の財政破綻に、スペイン銀行危機を北海道拓殖銀行の破たん処理と北海道経済への支援に置き換えれば、理解しやすいと思います。ギリシャをユーロ圏に残すためには、中央政府(ドイツ等)からの財政援助と財政再建団体(国)として自治の制限を受け入れることが必要です。また不良債権問題で預金流出が止まらないスペインの銀行に対して、ユーロ域内での共通の預金保険機構を作り、預金者を保護する形で銀行の破たん処理を行うと同時に、スペインやイタリアのみならずフランス、ドイツ等の正常な銀行も含めて予防的な資本注入を行い、域内銀行の信用不安と貸し渋りを防止することが必要です。これらの財政的負担に対して、中央政府や中央銀行の役割をするドイツ(場合によってはフランスも)とECBが、本気で取り組むことが必要です。
最大の問題は、ユーロ危機によるユーロ安の恩恵を得ているドイツの輸出企業を中心とした産業界とドイツ国民が、ギリシャやスペインのために税金を投入することを良しとするかです。また援助されるギリシャ国民や他の南欧国民が社会保障の削減と増税や医療の自己負担増等の緊縮策を受け入れるかです。どちらも難しいとすれば、欧州共通通貨ユーロの危機は本質的に回避できないということでしょう。その意味で、ユーロ圏の混乱は長期化し、幾つかの国のユーロ圏から離脱が現実のものとなるかもしれません。
最後になりますが、欧州危機により、欧州各国の国家主権・財政がばらばらで通貨のみが共通であるという制度欠陥が露呈しました。欧州危機は、財政、金融、実態経済への相互への悪循環が欧州域内に広がって行くことを指摘しましたが、さらに世界経済にも深刻な影響を与える可能性が否定できないことです。これからも注意深く見守って行きたいと思います。