臨時国会で電気事業法改正法案が可決成立しました。電力ビッグバンと銘打たれた60年ぶりの電力システム大改革を行うための法案です。地域独占、発送配電一体経営、総括原価などの戦後の電力システムが変革され、送配電の中立化をベースに、電力料金の完全自由化、発送配電部門の法的分離が行われます。このことは電力会社の現場で働く人々にとって大きな変化となります。
約20年ほど前、このような大改革に私も遭遇しました。金融ビッグバンと不良債権問題です。あれから20年で21行あった都銀、信託、長信銀は、3メガを中心に集約され、銀行、証券、保険の垣根が相当低くなり、持ち株会社等を通じた相互乗り入れが普通に行われています。一方不良債権問題は、解決し、また世界的にも競争力のある邦銀が登場しています。このような変化が電力業界にも起こるのでしょうか。電力会社の統廃合、発電分野では、電力、ガス、石油等の相互乗り入れ、送配電、電力小売りにおける商社、ベンチャー企業、通信会社の参入などが、起こるのでしょうか。これらのことを講演しました。
金融ビッグバンでの経験は、銀行の仕事はなくなることはなく、むしろ専門知識を持った若手の活躍の場が広がったということです。金融機関自身も、生産性が高くなり、世界的な競争力が増加したということです。その意味では、電力の安定供給、安価で顧客にニーズにあった電力小売というキーワードを達成できれば、電力自由化は電力の職場の人にとっても恐れずに足りずと主張しました。