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前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

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郵貯、簡保のALM分析

2007年09月27日 | Weblog
 郵政公社が、いよいよ10月1日より民営化します。民間企業になるということは、経営に問題があれば破綻するということです。それを避けるためには、より一層の厳格な収益管理やリスク管理が必要ということです。
 先週郵政公社から現在の決算内容の報告を部門会議で受けました。その後郵貯と簡保のALMを中心にいくつかの民営化後の懸念点を指摘し、より詳しい資料の開示を求めてきました。
 これまで郵政特別委員会や財政金融委員会等で度々指摘してきましたが、郵貯の定額預金と簡保の過去の高予定利率の保険商品はバランスシート上の最大の懸念材料です。特に郵貯の場合、新しいモデルを導入して分析をしているという説明ですが、定額預金のデュレーション(平均残存期間)や金利上昇時における解約速度分析などほとんど明確な説明、対策がなされず、非常に危惧しております。
 このような状態で郵貯を民営化させることは、日本の金融システムに急激な金利上昇の場合の「システマティックリスク」をインプットするようなものです。これまでの度々の指摘もあってか、郵貯の資本金を8兆円程度まで大きく増やすということは一歩前進です。しかし金利上昇による郵貯のバランスシートのストレステストのデータなどが全く開示されないことには不満です。
 金融庁や日本銀行も郵貯、簡保の民営化後のALMリスクの存在を共有して、適切な管理をしていくことが望ましいと考えます。必要があれば、民間金融機関になるために適切な指導がなされるべきです。さもないと120兆円の定額預金(ALM用語ではanytime puttable option sold positon)があるために、金利が急上昇した場合大量の預金解約と資産(1%金利上昇で約4兆円の損失のポジション)の劣化が発生するので、郵貯の破綻を恐れ日本銀行が適切に金利を上げることができない局面が発生する恐れがあります。後の金融史の教科書に「郵政民営化により都市部不動産等の資産バブルが増長され、2010年代の日本経済に大きな爪あとを残すことになった。」という記述がなされることのないように願いたいと思います。
 ちょっと専門的ですみません!


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