前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

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エネルギー環境調査会

2012年08月28日 | Weblog

  2030年の日本の原子力依存比率を決める民主党エネルギー・環境調査会が発足し、会期末までに結論を出すべくほぼ毎日議論があります。福島第一原子力発電所の事故を受けて、日本の原子力依存からの脱却が議論されていますが、その具体的な道筋について、政府のみならず党内でも議論が必要なことは言うまでもありません。日本のエネルギー政策の大転換につながり可能性があるのみならず、日本経済社会へ大変な影響があるからです。

 2030年までの省エネ対策の想定や核燃料サイクル・バックエンド対策、原発停止による燃料費増加の見通しなど様々な観点からの議論を行っていくことが必要です。今年の夏は、省エネや大飯原発再稼働等により、何とか夏場の電力不足を乗り切ることができましたが、東京電力以下他電力の電力料金引上げ等課題は山積しております。

 私は、長期的には原発依存から脱却する必要があることは賛成ですが、代替エネルギーの確保や省エネ対策だけで国民の生活と日本経済を支えるだけのエネルギーが確保できるか非常に精緻で冷静な議論が必要だと思います。また短期的には電力需給がひっ迫するから原子力発電を再開すべきだとの議論が主流ですが、今後の議論として原発停止による年間3.1兆円から3.4兆円の燃料費増加を誰が負担するかの冷静な議論を行っていくことが必要です。日本のGDPの約0.65%に値するコスト増加は、日本の交易条件を悪化させ、国民負担となります。年収500万円の世帯であれば、3万2500円の負担となり、そのことは電力料金値上げか、あるいは経済の悪化で雇用や給料の減少などで負担することになります。電力料金の引上げを認めず、電力会社に負担させ続けた場合には、1、2年で電力会社が債務超過となり、電力債、電力株への影響のみならず銀行の不良債権増加で金融システムにも多大な影響があります。

 原発依存からの脱却は、このように多面的な影響を考えて、長期的に確実に行うテーマであると私は考えます。世界に先駆けて少子高齢化社会に突入して、低成長で悪戦苦闘する中、エネルギー問題という大きな課題を背負い込んでいる日本の現実を直視して、冷静で戦略的な議論を行っていきたいと思います。