goo blog サービス終了のお知らせ 

森歩き 事務局日誌

森に山に、森林ボランティア活動に、面白い物があれば何でも見に行きます。

化石になりたい -よくわかる化石のつくりかたー 土屋健著

2018年11月08日 | 書籍紹介

誰だって化石採集は大好き  これまで2回化石採集を企画したけど参加者のしつこさと熱中さには いささかあきれたのだ。

だからと言って 誰でも化石になりたいと思うだろうか?

この本は冒頭から どんなタイプの化石になりたいか で始まっている。  いや私、化石になりたくありません。

でも中身は やっぱり化石は大好きで どのタイプも魅力的。

土に埋もれて石化するばかりではない、ポンペイのように空洞になったり オパールのような宝石になったり

美しい化石の写真が満載で でき方も図化されて分かりやすい。 でもしつこくこのタイプで化石になると全身は無理とか、、化石にはなりたくないのよ!

どうやら作者の土屋氏に化石願望が強くあり このような体裁の本ができたそうです。

現代なら 冷凍保存やらいろいろな方法で後世に残せそうだけど これが存外難しい。いったい誰が保存をし続けるのか?

そーだよねえ プルトニウムだって きちんと放射能が漏れないようにいつまでも保全できるかなんて何の保証もないしねえ。

過去を知りたいと思うことと 未来に残したいと思う事は リンクしているのかな。


徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか    稲垣栄洋 著

2018年10月04日 | 書籍紹介

植物マニアでなきゃ 納得できない で あろう本です。

家紋を見るのが大好きな私は 徳川家の家紋のフタバアオイを なんとまあ地味な花を選んだもんだと思ってた。

これ私が由布岳あたりで撮ったフタバアオイ 赤い丸いのが花です。地面すれすれに咲いて 誰に来てもらうの? と思われる花。

確かにはっぱの柄は 徳川家の この印籠が目に入らんか はは~~ のマークだけど これ2枚なのよね フタバ アオイ ですもん。

1枚増やしてなんたること ってのの訳が明かされてゆくのです。 わくわく

ついでに 家紋には 地味な花が多いことも オモダカは田んぼの雑草だし ナズナの家紋もあるし それもナズナの葉っぱだけの紋

で、結論として 江戸時代のおさむれーさんは植物の知識がとても豊かだったということ でさあ よく知ってる人ってマニアだよねえ

マニア受け というわけでもないのだけど 家紋は ユリやらのゴージャスな花でなくて ナズナ カタバミ 絶対マニア受けですなあ。

わたくしの母方の実家の女紋が 抱き茗荷 食べると物忘れをするというミョウガが選ばれた訳などは 感動ものでしたわ。

植物の知識があるって 現代では 種類の名前を知っているとか同定ができるとかになっている。気がする。

江戸の人たちが植物の知識を生活の中で生かして取り入れ 豊かな生活をしている様子は 見習わねければならないと反省。

植物研で 植物を見に行っても せいぜい和名を明記した写真をパソコンに保管しているだけでは、、すもつくれん 愛がないよっ


昆虫学者はやめられない  裏山の奇人、徘徊の記   小松 貴 著

2018年08月21日 | 書籍紹介

小松さんの新著 でましたよ~~

もう これは読むしかない!

今回はなんと カエルの話から始まります。

そして カエルの鳴き声をうまく真似て カエルの合唱を呼びかけることができると!!自慢。 カエル界の福山雅治だと!

彼に言わせれば 「カエルは虫と違って外見が人間に似ているので親しみを持ちやすい」 これには私も そうだけど無理がある と思いましたよ。

カラスとの攻防戦 昆虫以外もなかなかやるなあ 蛇の話も 毒蛇以外なら噛まれても大丈夫と思っていたけど お口に雑菌がたくさんあるので

噛まれないようにとのこと そうか 今後気をつけなければ

相変わらず 超レアな昆虫の 超レアな採集の話があります。 でも嬉しいことに 九州大学で講師をされたりして 大分や熊本の山でも採集した様子が書かれて えへへです。

やはり 日々フィールドに出て 生き物を見ていると 私のような素人でも何かしら見つけ 生き物はほんとにすごいと思うのです。今日はねスズメバチがサザンカの下枝に巣をつくっているのを見つけました。

小松さんのように スバラシイ知識と技があれば 日々リア充やなあ とうらやましく思いました。その爪の垢がこの本です。 爪の垢を煎じて飲みたい人はこの本を読もう!

 


生き物はどのように土にかえるのか   大園享司 著

2018年07月02日 | 書籍紹介

自然の中で死んだ動物が だんだん腐ったり食われたりして 骨になって 骨も齧られて無くなっていく。

宮崎学さんの写真集にありましたよね。

これは 動植物が分解されていくのを 科学的に具体的に書かれた本です。

例えばアフリカゾウ 死後4年間について。 死んだ動物のサイズや成分や 死体のある場所の気温・湿度 土の中か海の中か、、って

いろんな場所と条件で 腐敗の進み方が違う。当たり前だけどキチンと考えたことなかったなあ。

そしてそれらがほかの生き物の役になっていること。 人様は焼いてしまって 壺に入れて埋めるので 何の役にも立たない。 

まあこれはこれで 今更土葬に戻れませんからねえ。

で、メインは植物です。 植物は「モジュラー性」という、まあ人に例えるとんどん手足が増えていきつつ、古くなったら切り捨ててしまうという生き物。

あ、人に例えるとキショイね。 その落ち葉は 土壌生物にとって 「お菓子の家」だと。  いやお菓子しか食べないのでは オカシイ

で、最後のボスは 菌類です。 植物はなんでも分解して食べてしまう。 

でも法隆寺は1300年前のヒノキで作った建物です。 なぜまだ分解されていないのか。 西岡常一さんの話も出てきて(西岡はやっぱすごいなあ)面白い。

菌類のお仕事は 同じことをしても 発酵と呼ばれたり 腐敗といわれたり。 そして国菌(これがあるのだ!知らんかった)は 麹菌だそうです。

大変面白い本でした。  これからはシデムシがたかっていても じっくり観察することにしよう。

 


グリム童話と森   森涼子著

2018年06月11日 | 書籍紹介

ドイツの方々の森に対する思いは半端ないと常々聞いておる。

少し前の日本の林業関係者は 必ず森についてはドイツに学んでいた。

んで そこらへんが私にもわかるように書いてある本は無いかと見ていたらこの本があった。

森が生活のために必要欠かすことのできないものとしての部分と 心のよりどころとしてとても大切である部分が書いてある。

生活のための森(エネルギー源がほとんど木材から得られていた時代)の歴史は、日本でも似たような歴史であった。

みんなの森から 領主の所有物になると農民は自由に森が使えなくなって生活が苦しめられるところは 同じ。

でも、森に対する思いは全然違うのね。 詩やお話で森はスバラシイ場所とたたえられ、生活のためだけではなく 森にでかける。

それがずっと昔から グリム童話が書かれたころから現在まで続いている。

日本は 森に行って自然を楽しもうなんて つい最近のこと。 平家物語や徒然草に 森にいって心を洗い充足しようなんぞ少しも書かれていない。

斜陽産業になっている日本の林業と あこがれの職業が森林官のドイツでは ずいぶん違うんだなあ。日本人って森が好きなのかなあ。(自然が大事と声をそろえて言うけど)

ドイツの歴史 ヒットラー時代も含めてドイツ国民がどう森と向かい合ってきたかは興味深かった。

ただ 森好きの私にとって ドイツの森(国土面積の30% 日本は60%)がどんな樹種があるのか ドイツの人にとってのシンボルツリーは何かとか

そんなことも知りたかった。 樹種については何も書かれていない。 日本に比べてうんと樹種の少ない(やっと2桁と聞いている)ドイツの森がイメージできない。

実は もうすぐ始まる国が集める森林環境税をめぐって 日本人の森に対する意識が少し変わらないと もめるだろうなあ というのがありまして読んでみました。

いきなり よく知らない森を 大切に思って大好きになる なんて ありますかね。