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森歩き 事務局日誌

森に山に、森林ボランティア活動に、面白い物があれば何でも見に行きます。

宮沢賢治の地学教室 柴山元彦著 

2020年02月17日 | 書籍紹介

表紙のイラストが楽しそうな本なので読んでみようと思った

高校んとき 地学はすかんかったし

今でも 化石掘りは好きだけど 石の名前は おぼえんなあ

てなことで 文系ではないが 地学の本を読もう

ところどころに宮沢賢治の作品が引用されて 石(地学)がわかるとこう読めるのだ というのが分かる

星座も出てきて  ああ星は 大きな石なんだと思う

でも楽しかったのは 実際の岩石や地層ができる様子を試してみよう のコーナー

蒸しパンのもとに食用竹炭を混ぜて蒸かして緑のお菓子の粒をまぜれば 岩石

カタクリ粉を水で溶かして ゆっくり固めて 柱状節理を作ります

砂糖をカラメル状にして バットに流し込んで 固まりかけたところを斜めにして溶岩 これは後で食べられるねっ!

各地の地学博物館も紹介されて 見て回る楽しさも

石のでき方は3種類しかないので ちゃんと勉強しよう 


歌う鳥のキモチ  石塚徹 著

2020年01月29日 | 書籍紹介

野鳥の会のEさんから モズは他の鳥の鳴きまねをすると聞いた なんでだろ?

てなことで 読んでみたこの本が とても面白かった。

鳥の声には さえずりと地なきがあって さえずりは 縄張り宣言やメスを呼ぶ声とされているとか

な~んて一言では言えないオモシロが詰まっています

高らかに歌うさえずりのあとにつける小声のぐちゅぐちゅ 夜明け前の大合唱

主にクロツグミの 調査をもとに 分析がされている

そうなんだー  さえずりのバリエーションをたくさん持っているオスがモテルわけではない

そうなんだー2 結構メスも浮気して 同じ巣の中の卵のお父さんが違う事もあるのだ

そうなんだー3! メスが抱卵を始めたらメスは浮気しないので オスは遠くに行って独身オスのふりをしてさえずりを始めるのだ

一夫多妻で頑張るオス メスにばれるとメス同士がすごいバトルをはじめる とか

で著者の さえずりの録音 分析がスバラシイ。 さえずりの最初を聞いただけで個体識別できる とか もスゴイのだ

さえずりのパターンの地域性と時代性もあるそうで 

私は 鳥のさえずりがなんとなくしか分からない ので もっとわかっていたらこの本が10倍くらい面白かったであろうと

悔やまれます。

口絵の写真はどれも嘴を 思い切り大きく開けてさえずっている鳥たちで いいなあと思います。


タコの心身問題  ピーター・ゴドフリー・スミス著

2020年01月07日 | 書籍紹介

副題 頭足類から考える意識の起源  という哲学者が書いたタコの本です。

まずね 表紙の絵に見入ってしまいました。チャットでこの本を紹介してくれたY氏に言われてパソコンで探すと

この絵が出てきて見入ってしまい 会話をしているのを忘れていたらY氏がいきなり黙って返事をしないと怒りだしました。

なんて素敵なタコの絵でしょう。 本に掲載されているタコ(イカもある)の写真もとても美しい。

前振りがなごなってしまった。

作者は趣味のダイビングでタコに会ううちにタコに 気が付いてしまったらしい。 こいつは意識がある

で、そこは哲学者 専門は生物哲学 (この言葉初めて聞いた こんな分野があるんやねえ)

始めの方は 生物の歴史なので 知ってる人は読み飛ばしてもよい

途中から 哲学者の名前がたくさん出てくるけど 知らん人ばっかり せめて引用なら文献の名前を書いてね

意識がどこから生まれるのかというところは面白かった  哺乳類では近すぎて 昆虫では遠いような気がするので

頭足類がちょうどいいのかも と思ってしまった

山に行って 生き物に会うとできるだけ気配を消して じっと見ています

きっとこう思っているに違いないと頭の中では妄想が回って 30分は座り込んでいる(足がしびれる限界時間)

でも擬人化はいかんやろが 妄想だよ と今まで思っていたのですが意識の起源から開いていくのは すごいです

どっちかというと 哲学寄りなので 生き物系はあれ?と思うところがある

文中に出てくるヒヒ(かなり引用している)は 種類を明記して欲しい。 何ヒヒなんじゃ~?

他の本 ダンゴムシに心があるかどうかは はっきりしなかったが(作者が生物系だったから?)

タコ以外に意識のある方の事を考えるのが 楽しみになった

 


骨ものがたり  環境考古学研究室のお仕事

2019年11月12日 | 書籍紹介

図書館を徘徊しているときに偶然見つけた

骨の本  骨のこと研究している人がいるのは知ってたけど 中身は全然知らなかった

A5判の小型本 どうも飛鳥資料館の春季特別展の図録 らしい   アマゾンになかったもんね

ま ともかく ページをめくると いきなり研究室の中に入れてもらったような気分になり

そのまま 置いてある骨にたどり着いて 説明が始まる みたいな感じです

奈良県内に出土する あらゆる骨 集めて洗って組み立てて 同定 分析 で、知りたいことは 人とのつながり

化石調べではないので 新しい骨も資料(同定するため)として準備

どの時代の人はどんな暮らしをしていたのか 何を食べていたのか 骨に傷がついていたら(カットマーク)刃物の傷後 食べられた跡かな

本当に骨が好きなんやなあ 骨の組み立てはまるでプラモを作るように楽しんでいるようです 本当は大変なんだろうが楽しそうに見えるよ

 とにかくホネホネの本です 発掘調査の様子や それに必要な道具の説明も有り。 ジャンバーは冬用のドカジャンだそうです

写真と図版が多いので 楽しい本です。写真がいいのです。

人骨ばかり調べている人の本も面白かったけど 動物たちの骨もいろんな話をしてくれるそうです。

先日家畜の本を読んでいたら イヌは 初期は人間に食料としても飼われていたと書いてあって(今でも食べてはいますが) これも骨から分かることで

ハマる気持ちはよくわかる けど夜な夜な大鍋でぐつぐつ、、はあんましやりたくないなあ

 

 


非行と反抗がおさえられない子どもたち

2019年10月23日 | 書籍紹介

合同出版 子どものこころの発達を知るシリーズ の08です。

作者は精神医科で 現場での寮長も務めたことのある方

じつはね ケーキが手に入り損ねて(ケーキの切れない非行少年たち)

この本を手に取ったのです。  きちんと書いてあるなあと思ったところが第一印象

生物・心理・社会モデルから見る 「素行症」「反抗挑発症」の子へのアプローチ

素行症なんて 初めて聞いた。診断方法も掲載。

精神医療では 薬物治療もアリです。非行症状の中には 精神的な病気を持つものも含まれているから

しかし 言うまでもなく 治療に対してのデメリットもあります

非行行動を起こすのは いくつかの要因があり それが多く起こった場合 行動になる 原因は一つではない

でも 同じような状況でも 起こさない人も もちろんいる

読んでて興味深いのは 日本の少年犯罪率が年々低くなっていること 少し古い本だけど「安全神話崩壊のパラドックス」にもあるように

日本は犯罪率が低い それぞれに社会状況や経済・歴史 考え方などからくるのだろうけど 低いのはいいことです

将来 非行や反抗を起こさずに済むような子育て支援についても書かれていて 現場はめちゃ大変だろうと思う一方で

頼もしさも感じた本です。