今夜のNHKのクローズアップ現代は、「木下恵介監督」の特集だった。
取り上げた理由は、木下監督の映画作品がいま世界中でリバイバル上映され、再評価の機運が高まっているというのである。
木下作品には、貧困・戦争など時代に翻弄される「人間の弱さ」が描かれ、そこに深く「共感」する監督の眼差しがあるというのだ。
では、その共感を観る側がどのように感じ取っているのか。
恐らく高度経済成長を経て、いまなお、不況から脱出できない日本。
そこでは、まさに時代に翻弄される人々が多くいるはず。
しかし、そうした人々が描かれることは、決して多くない現状で、木下監督の作品に、ある種の救いを見出しているのではないかというのだ。
若い人たちには、木下監督はなじみがないであろう。
そして映画監督として、あの世界のクロサワと並び称された時期があることを。
だが、私とて代表作の一つ、「二十四の瞳」は生まれる前の作品だ。
私がその名前を知ったのは、テレビドラマの木下恵介ドラマシリーズだったと思う。
私がはっきりと覚えているのは、竹脇無我、栗原小巻、それにあおい輝彦(アイドルがテレビドラマに出た画期的な出来事でもある)が絡むといった内容だったと思う。
タイトルは覚えていないが、互いが好意を抱きながら合えるに合えない、母に言わせると「君の名は」的なストーリー展開だったような気がする。
そして、近くはお隣・韓国の「冬のソナタ」もストーリー展開が似ている。
しかも身近な主人公にスポットライトをあてていたような気がする。
世の中が殺伐としてきた今だからこそ、不条理なことに翻弄されながらも必死で生きていく人がいる。
そういった人たちが報われる世の中を私たちは創らないといけないと改めて思った。