走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

環境の「下町」化

2008年03月10日 00時10分56秒 | その他
★☆★ 愛媛新聞の「道標」

 3月9日(日)の愛媛新聞の一面の「道標」に神戸芸術工科大学の花田佳明先生(はなだ・よしあき 西予市出身)の興味深いコラムが出ていたので紹介しよう。

 先生は、まず下町の生活感溢(あふ)れる空間の秘密をこう解いておられます。
「好きなときに自由に立ち寄ることのできる場所(=アクセスポイント)が町のいたる所にあり、そこへ行けば、次の判断や行動の手がかりとなる情報をもった人やモノ(ナビゲーター)に出会えることだというのである。(大阪大学准教授・鈴木毅さん他の考え方)」

「たしかに下町には、自宅からの徒歩圏内に喫茶店や本屋がある。銭湯や商店、馴染みの飲み屋もある。そこへの出入りに特別な許可はない。ぶらりと入れば自分の居場所があり、他者との会話も生まれてくる。その中には各自が抱える問題への答も潜む。そういった場所や人や情報のネットワークが下町の空間を満たしており、人々はそれに接続することで、日々の暮らしを豊かなものにしているのだ。
 一方、まさに人々の交流をもくてきに作られたのが団地の集会所だ。しかし、そこで開かれるさまざまな講座や教室は、決まった曜日と時間にしか住民の居場所にしかならないから、各住戸と集会所とを結ぶ単純な往復運動しか生まれない。下町のアクセスポイント(接続のための中継点)とは似て非なる存在なのだ。」

 この集会所を「公民館」に置き換えたら耳が痛い。

「予約型施設は、結局のところ閉じた空間にしかならないが、誰もが自由に出入りし、ひとりで過ごしても他者と接してもよい場所は、開かれた公共的空間となる。さらにそれらが点在すれば、互いを結ぶ人の動きが発生し、環境全体のアクティビティ(活動。行動。)も向上する。私たちが下町と呼んでいるのは、そのような状態の空間のことだ。
私には、このように定義された「下町」こそ、(中略)そこへアクセス(接続)すること自体が目的になるほど魅力的にデザインし、さらにそこで提供するサービスによって新しい生活像へとナビゲートして、町を「下町」化するのである。
 お手本として、2004年に開館した金沢21世紀美術館を挙げたい。この建物は、都市の街路のような画期的な空間構成と、ワークショップなどのソフト面の充実により、子どもから大人まで、年間130万人もの人にとってのアクセスポイントとなり、現代美術を通した世界理解へのナビゲーション(目的地まで導く役割をするもの)に成功した。そして、金沢の町づくりと世界的なアートシーンのネットワークに、新たな点と線を付け加えたのだ。町もアートも「下町」の賑やかさを具体化したのである。(省略)」

 私たちが描く公民館像のヒントがこの中にあるような気がしました。

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1 コメント

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お礼とお願い (花田佳明)
2008-03-12 00:28:02
走る営業公務員 様
(お名前がわかりませんのでこれで失礼します)

はじめまして。神戸芸術工科大学の花田です。
愛媛新聞の道標の記事をとりあげていただき、誠にありがとうございました。これからの公民館像と重ねるという、まさにこちらが願っていた通りの読み方をしていただき、たいへんに嬉しく思いました。
松山で公民館主事としてご活躍されているのでしょうか。ぜひ、町の良き「アクセスポイント」や「ナビゲーター」となる公民館の実現を期待しています。
いずれ書きますが、私は八幡浜市の日土小学校の保存活動に関わっており、松山にもよく行っております。どこかでご縁があるかもしれません。これからもよろしくお願いいたします。

なお、書いていただいた記事の冒頭、私のおります大学名が、神戸芸術「効果」大学となっていますが、「工科」ですので、ご訂正いただければ幸いです。
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