先日、NHKのクローズアップ現代で90歳のお年寄りのチエをもらって、最新テクノロジーに応用しようとしている取り組みの紹介があった。内容は、次のようなものであった。
大学院で研究が行われている最先端の家庭用バッテリーです。
こちらは部屋の隙間風でも電気が作れる風力発電機。
これらのテクノロジーの開発にヒントを与えたのは、実は90歳前後のお年寄りのことばです。
働き盛りだった1960年代、家庭のエネルギー消費量は現在の半分以下でした。
「自給自足だね なんでも作ったね」
当時の暮らしの知恵を聞き取り、未来のテクノロジーを生み出す取り組みが進んでいるのです。
かつて暮らしを支えていたのは自然の力でした。
その知恵は今や大きなビジネスチャンスになろうとしています。
環境経済学者は、
「自然に学んだテクノロジーで1億人の雇用を生み出せる」と言う。
90歳のお年寄りと先端技術の融合が生み出す未来のテクノロジー。
その可能性を探ります。
90歳前後のお年寄りから聞き取り調査をしている東北大学の古川柳蔵さんです。
この日、訪ねたのは宮城県の山あいの集落の農家です。
86歳の高橋敏幸さんといそ子さん夫妻です。
「各家で近くの湧き水から水を取ってるんですか?」
「そうそう。」
古川さんたちはおよそ2時間かけて昔の暮らしぶりを聞き出していきます。
「湧水、水路作って 水船、家の中に水船作って。
その水船の中にイワナがゴチャゴチャ入ってくるんだわ」
イワナが飛び込んできたという水舟が今も残っています。
山の湧き水を引き込み、上の段を飲み水に、下の段を食器や野菜洗いに使う、水を大切に使うためのシステムです。
自然を生かす巧みな技術が暮らしに取り入れられていました。
「自然に対して あまり無理しないことだな。無理すれば必ずどっかで破れていくんだ」
聞き取りは山村の暮らしから町の暮らしまで広範囲に及びます。
仙台市内に住む、今年98歳になる佐藤すずさんは、「昔はお互いに支え合うつながりやおおらかさがあった」といいます。
「お風呂も頂いてね、みそ、しょうゆも頂きました。」
「それは隣近所の人たちからですか?」
「隣近所っていいもんですね。昔はね、助け合いですね。何もない時は、それでも楽しかったですね。なければないなりにね。」
東北大学大学院 古川柳蔵准教授は言う。
「90歳の方々から聞くと我慢じゃなくて、その中にやっぱり楽しみがあったり、知恵があって、なんかそういう豊かなところっていうのはぜひ将来のわれわれの社会作りに生かしたいなと。」
90歳から聞き取った調査結果を先端技術にどう生かすのか。
研究チームはまず130人以上の聞き取り結果の中から、現在、失われつつある物事を抜き出していきます。
そして、その物事を支えている要素は何かを考えます。
例えばうっかり調味料を切らせたとき、隣人と融通し合うみそやしょうゆの貸し借りには、おおらかさ、助け合い、そしてお金に換算できない価値があると考えました。
また、水くみや炊事洗濯のために近所の人たちが集まり、会話に花を咲かせる井戸端会議。
そこからは出会う仕組みと場、大事なことでつながる地域地域の楽しみを聞き出しました。
聞き取りから抽出された要素はおよそ70余り。
それを20代から60代の男女にアンケートを取り、現在の生活にも活用できるか調査しました。
すると自然や社会的なつながりに関連の深いキーワードが重要だと分かってきたのです。
90歳から得たキーワードをもとに、新しいテクノロジーを開発している研究施設です。
「家は生産の場」というキーワードをもとに家の中で発電できるさまざまなシステムを導入しています。
部屋の隙間から入る僅かな風でも回るマイクロ風力発電。
そして、雨水がといを流れ落ちる力を利用した水力発電もあります。
みそやしょうゆの貸し借りや共有をキーワードに生まれたのがバッテリー。
「ポイントは必要なときに抜いて、それでいろいろな所へ持って行ける。エネルギーを必要に応じて動かせる」
みそやしょうゆのように、地域でエネルギーを融通し合いより楽しく豊かな暮らしを可能にします。
東北大学大学院 田路和幸教授は、
「90歳のヒアリングを通じて科学技術をやっている人間がイメージすることができた。その街作りとかいうところにそのイメージがしっかりしたもんですから、いろんな展開っていうのはこれから可能になってくるだろうなと思います。」
この研究には、大学以外に企業も参加しています。
住宅メーカーに勤める佐藤哲さんです。
90歳への聞き取り調査を行いました。
そこで得たアイデアをもとにパークレットという新たな憩いの場を作ろうとしています。
パークレットとは太陽光発電とバッテリーを組み合わせた現代版の井戸端。
携帯電話などを充電したり電磁調理器で料理を楽しんだりする人たちが集います。
自然エネルギーが人と人とをつなげる地域の新しいコミュニケーションの場です。
仙台市郊外の住宅分譲地です。
「この辺りですね。」
ことしの夏ここに初めてのパークレットが設置される予定です。
「今回、90歳ヒアリングから聞いたこのパークレットで全く新しい光景がここに出来るんじゃないかなと思って期待してます。」
ゲストの石田秀輝さん(東北大学大学院教授)は、次ぎのようにまとめる。
●みそやしょうゆからエネルギーの貸し借りへ
みそやしょうゆというのは、実はなくなったから借りに行くということだけではなくって、コミュニケーションツールなんですね。
みそやしょうゆを借りにいくことで、お隣さんと、より近くコミュニティーがしっかりしてくる、そういう概念を持っているわけです。
そう考えると、今の時代にみそやしょうゆでは、きっとないだろう。
じゃあ何なんだろうと、だったらエネルギーではないのかと。
今日うちたくさんの人が来るから、パーティーやるから、エネルギーちょっと貸してよね、電気貸してよね、しばらく旅に行くから、
うちの電気使ってもいいよ、そういう概念がそのみそやしょうゆということから今の時代に移り変わってきている、そういう発想です。
残念ながら今、いろんなものがエコになって、みんなの意識もエコになってるんだけども、環境劣化はどんどん進んでいる。
そんな中で、僕たちはライフスタイルという研究をやってるわけですけれども、環境に対して。
そのライフスタイルの研究をすると、もちろん今の人たちの潜在的意識の中に、利便性というのがすごく強くて、同時に自然を求めて
る、楽しみを強く求めているんですね。
でも楽しみって今、僕たちの周りに山ほどある。
なぜ楽しみなんだろう。
そこがきっかけなんですけども、90歳の方々は、必ずこうおっしゃるんですね。
「昔は大変だったけども楽しかった。今はいっぱい便利になったけれども、今の人たちはかわいそうだね」と。
じゃあその楽しみの構造って、一体なんだろう、それが分かるともっとすてきなライフスタイルっていうのが作れるかもしれない。
それが研究の最初の動機ですね。
●大きな発電所ではなく、軒先の発電へ
例えば、今の科学技術、テクノロジーとしましょう。
それはテクノロジーそのものの効率化だけを計る物差しが多く使われている。
そうすると、風力発電でも大きくなればなるほど効率はいいわけです。
でも、それがわれわれの暮らし方の豊かさにつながるんだろうかと、それはやっぱちょっと違うかもしれない。
実はわれわれの豊かさっていう構図の中には、自分が関与して例えば電気を作る、あるいはその電気を自分が作った電気を自分で使う。
そうすることによって、すごく心が豊かになる、楽しくなるという概念がある。
じゃあそういう物差しで計ったときには、100メートルを超えるような大きな風力発電機ではなくて、軒先でくるくる回っているような、
そんな風力発電機があってもいいんだろう。
そういう発想で、今のようなものが見えてきているわけです。
なかなかたまらなかったり、たまったものをどうやって有効に使おうか。
そこにまた新しい知恵が出てくる。
例えば自然に生かされてることを知って、それから自然を生かしてうまく使って、そして自然をいなすと、そういうことがお年寄りの
方々、当たり前のように体の中に入っているわけですね。
いなすっていうのは、柳の枝が強風でも折れない、ふにゃっといなしていくわけですね。
そういう概念ですね。
正面からぶつからない。
今のテクノロジーっていうのは、やっぱり自然というのを力任せに制御しようとする。
そうじゃなくて、そこはちょっといなしておく、そういうことも新しいテクノロジーの形になるんではないかと思っております。
どうです。「年寄りの言うことなんか...」とうるさがっているあなた。
その話の中には、いっぱいビジネスチャンスが隠れています。
ブログちょこちょこと拝見しております。
NHKはやはりいい番組を流しますね~
それを、こんなに分かりやすくまとめる管理人さんもさすがですが。
私も今住んでいる地区に住み始めて間もなく、まだまだヨソモノの存在です。コミュニケーションツールが欲しいです。区の運営に絡みながらゴルフなどをダシに、地区住民とコミュニケーションをとりたいと企んでいます。
それこそ、区の運営には定年を迎えられた方も多く関わっておられますし、知恵の有効活用ができると良いのですが。
さて、明日は区の今年度最後の飲み方です。
それは、コミュニケーションツールに伝統芸能文化が最適ではないかと
もっとわかりやすく言えば、「お祭り」です。
これって結構使えるような気がするのです。
ただ、行政は宗教関係に神経質になるところがあり、何かというと「宗教分離だ!」といったせりふをよく耳にするのですが、「お祭り」の仕組みや人の心の捉え方など、その知恵が満載のような気がします。
このことについては、改めてどこかのタイミングで書こうと思っています。
と聞いたことがあります。
前回のコメントの飲み方の際、4月上旬に地区での花見を企て決行しましたところ、やはり認知度の低さからか、ほとんど人が来てくれませんでした。
そこで、次の策は子どもをターゲットにした花火大会(手持ち花火です)をやろうかと思っています。夏祭りとなるとちょっと大がかりですが、ゆくゆくは地区の子ども祭りみたいなものも、できたら良いなぁと思っています。
引き続きこのブログから、いろいろと勉強させていただきます。よろしくお願いいたします。
でもよくよく考えたら、婦人会がなくなり、子ども会がなくなり、気がついたらさまざまな地域活動団体がなくなっていることに気づかされました。
地域活動は、子どもたちの元気な笑い声があり、それを中心にさまざまな世代を誘引する、そんな手法が現実的だと思います。