「第四回 生石地区 明日のまちづくりを考える会」の協議内容は次のとおりでした。
第四回目のテーマは、前回に引き続き「大災害が発生すると2」についてでした。
出席者数は天候不順と寒さにもかかわらず46名の方々が出席していただきました。
◎プログラム
・会長 開会あいさつ 福山 勝幸
・西交通安全協会生石地区会長(年末年始の交通安全のお願い) 川本 三美
・地区自主防災連合会長あいさつ 高藤 頼夫
・勉強会 講師 愛媛県防災インストラクター 西藤 健次
・副会長 閉会あいさつ 渡邉 武敏
◎内 容
●災害に備える
阪神淡路大震災の教訓(1)
神戸市消防局の能力
同時火災の対応能力:4~5件
地震発生当日の神戸市内の火災
発生:109件(5:46~6:00の間に53件)
※同時多発の火災に対しては、公的消防も限界
阪神淡路大震災の教訓(2)
死者の分析
地震発生から15分間(5:46~6:00)で約60%
さらに、 6:00~12:00の6時間で約26%
死因の状況
圧死・窒息死等:約84%
焼死:約10%
怪我をした人の要因
家具の転倒による:約49%
棚からの落下物による:約16%
※迅速な救出・救助が必要
建物の倒壊、家具の転倒による多くの死傷者
阪神淡路大震災の教訓(3)
誰に助けられたか
自力で:約35%
家族に:約32%
友人・隣人等:約31%
救助隊:約2%
※身近な人たちの助け合いで多くの命が救われた。
自主防災活動の必要性
大規模地震発生直後:公的機関の行動は制約
・火災や建物の崩壊があちこちで起こり、 直ちに、防災機関がすべてには
対応できない。
・道路が壊れ、倒れた建物や放置車輌のため、消防車・救急車などの緊急車輌の
通行が困難になる。
・電話がかかりづらくなり、消防や警察への通報が難しくなる。
・水道管の破損などで断水となった場合、十分な消火活動が出来なくなるおそれがある。
・役所、防災機関の人たちも被災する。
初期消火、生き埋めの人の救出、負傷者の手当て等被害を極限できるのは、地域の力
自主防災活動の主な役割・活動
地域住民との連携や行政、消防署など防災機関との連携や情報交換
[平常時の活動]
○地域の危険性や家庭内での安全点検及び各種の防災訓練を通して、
日頃から大規模に災害に備えるための活動
・防災知識の普及・啓発
・地域の安全点検(危険度把握)
・防災訓練
・資機材の備蓄等
[災害時の活動]
○大規模な災害が発生したときに、人命を守り、災害の拡大を防ぐために必要な活動
・情報の収集・伝達
・出火防止・初期消火
・避難誘導
・救出・救護、給食・給水
・避難所の管理・運営
防災訓練への参加
災害(危機)の特性
・予告なしに突然発生する。
・初動時の現場の情報がゼロである。
・規模が急速に拡大し、状況が刻々変化する。
・付近の人はパニック状態に陥っている。
・人命の危険を伴い、二次災害の発生危険がある。
危機に瀕すると
・普段やっていることしかできない
・普段やっていることも満足にできない
・普段やっていないことは絶対にできない
まず自らの意識改革を(心構え)
・防災対策の基本は、行政・地域・住民が連携し、各々の役割をしっかり果たすこと
(自助・共助・公助の連携・協働)
・「自分の安全は、自分で守る」という心構え
○自分が、「怪我をしない、死なない」ことが最も大切!
○自分ができることを、しっかりやること
○情報は、与えられるだけでなく、自らも入手
・「地域の安全は、地域で守る」という心構え
(災害の時は、協力し、助け合う)
○身の回りの困った人に、進んで手助けを
○周りの人に迷惑をかけないことも重要
・「まさか」から「もしかしたら」へ意識改革を! 「いつも防災」へ
防災は他人事ではない
痛い目にあってからでは遅い!
自分の命は、自分で守る。
自分たちのまちは、自分たちで守る。
南海地震など大規模災害に備えよう
みんなの助け合いで
◆危機管理の要諦
1. 楽観的観測の排除、最悪の事態に備える
2. 連絡、調整体制を確立し、迅速に行動する
3. 何から何を守るかを明らかにする
4. 先例に惑わされず、為すべきことを早期に決定する
5. 常に見直す
◆避難の仕組み
◆救援の仕組み
◆災害時におけるリーダーの使命
□ 災害時におけるリーダーの対応の特性
□ 状況判断の思考過程及び決心
□ 非常時の想像力
□ 意思決定のプロセス
□ 状況判断
□ 決 心
次のような質問が出ました。
質問:垣生地区では津波に備え海抜表示を貼っていると聞くが、生石地区ではどうなのか?
回答:現在は「海抜」も「標高」も基準が統一されたので、標高表示になっています。
また、垣生地区は自主的に行動をされ、先駆的事例であり、公共施設だけでなく
スタンドやコンビニなど人が集まる施設に協力をいただき表示されています。
松山市としての動きは、危機管理担当部署が中心になって、各地域で調査し、
要望すれば表示してくれることになっていますので、自主防災組織では積極的に
活用する方向で取り組みを行おうとしている。
それから、標高マップを松山市が来年の3月末を目途に公表してくれる予定であり、
それができると、どの地域がどのくらいの標高なのかがわかりやすくなる。
質問:地震等の大災害が発生したときに避難路の確保は大丈夫か?
回答:前回の勉強会で、生石地区では液状化が発生する方が問題だと話しましたが、
電柱や看板が倒れてくるので道路が遮断される可能性がある。
先ほどの話しの中でもあったように行政は救助活動を最優先するので、災害復旧に
手間取る可能性がある。
そこで、宇和島市の高光校区連合自治会は地元重機の販売・リース会社と連携協定を
結び、災害時に復旧用の重機の貸し出しなど、さまざまな協力を得られるといった
事例がある。
この生石地区では旧空港通りを中心に重機の販売・リース会社が多い。
そこで、この先例にならって地域と連携協定を結ぶという考え方もあると思う。
補足:松山市では指名業者になる時に、建設協会や電気工事協会等と提携し、災害復旧に
協力をする場合はポイント加算され、優遇される条件がある。
そういう意味では、松山市はそういった情報を既に把握していると思う。
新たな仕組みをつくるという考え方もあるが、こういった既存の制度を有効に
活用しながら、そういった制度を知らない会社にも普及を呼びかけたらどうか。
質問:高岡団地では、津波に備え、避難訓練や避難看板の取り付けなどを行っているが、
裏の埴生山に避難するのが最も有効だと考えているので、看板等の整備をお願い
したい。
しかし、その避難道となる道の所管がわからないため、そこを使った避難訓練が
できない。
どこの所管かわからないのか。
また、それが仮に私道なら使用できないのか。
さらに私道であった場合、他の避難道を整備できないのか。
回答:早急に現地を確認して(道路の)管理者を調べてみます。
また、看板や道路整備についてはすぐにできないし、町ごとに単発で要望する
よりは、地区でまとめて整備依頼をしていくことが重要。
そのための組織化も必要と考える。
質問:有線放送が聞こえにくいが大丈夫か?
回答:先日も試験放送があったが、やはり聞こえるところと聞こえないところが見受け
られた。
この件については、担当部署で方策を考えていると思われるが確認する。
質問:松山市では救急サポーターという資格制度が創設された。
この資格を取るためには30時間以上の講習を受けなければならないが、せっかく、
その資格をとっても地域の中でどのように普及するのかわからない。
10名程度集まれば、すぐに講習会が実施できるのだがどのように周知していい
かもわからない。
回答:まずは、地域の各種団体に周知するのがいいと思う。
この勉強会に参加いただいているのは、それらの団体の代表者が多いので、
まずはチラシを制作し、次回案内を出すときに併せて送るというのはどうか。
また、どのようなチラシを制作するかは、支所に相談に来ていただければ
お手伝いする。
このように、せっかくいい制度ができても周知宣伝方法や人材の育成方法を
どのようにやっていいのか、行政からはそこまでの案内はない。
おそらく行政も現場を知らないので、地域ごとに事情が異なるという理由を
つけて、案内しないのではないか。
ただ、今後、地域ごとに自立していくためには、情報発信や人材育成機能を
持たないと持続することは難しいのではないか。
質問:ところでAEDが設置されている場所は、どこか。
回答:松山防災マップの地図の中に生石小学校、西中学校にあると表示されている
(生石保育園、桃山幼稚園にも設置されているという案内があった。)
この具体的な設置場所については、小学校、中学校から具体的な案内があった。
知っているのと知らないのでは大きな違いがあるが、知っているのと使えるの
もちがう。
先のような講習会を開催し、一人でも多くの人たちが使えるようにして欲しい。
質問:市営高岡団地の集会所にもAEDが設置されている。最近は、自販機を置くと
AEDをつけてくれると聞いたがどうなのか。
回答:支所の前にも災害対応自販機が設置されており、災害時には無料で飲み物が
開放されるということである。
また、電光掲示板が付いているので、情報発信機能を備えているがAEDは
別にお願いしなければならないと聞く。
AED自体が高価なものなので採算性と連動していると聞いたことがある。
需要が見込まれれば聞いてくれるかもしれないが、現実的には難しいと思う。
また、病院にもAEDがあると聞いている。
一度、地域でもAEDがどこにあるのか地図に落とし込む作業も必要と考える。
意見:当地区は海岸線に面しており、一方で松山空港や、避難場所としての埴生山がある。
また、災害が発生する時間帯によっては当然避難方法も異なってくる。
さらに大切なことは、自分を守り、人を助けるにはどうするのかを今後考えて
いく必要がある。
そのためには、一人でも多くの人を巻き込みながら深堀をしていく必要がある
と思う。
補足:当地区が、液状化が発生しやすいということを再三再四述べてきたが、道路に
電柱や看板が倒れてくれば交通マヒが起こり、救助や救援活動が遅れる可能性
がある。
最も大切なことは、災害時に確保しなければならないのは、「港湾・空港・道路」
であり、その中の空港が当地区にあるということ。
そのためには補給路としての道路を切り開くということも、当地区が担う使命
でもあると思う。
当然、自分の生命を守り、家族の生命を守り、近隣の人たちの生命を助け、
さらには市域全体の人たちのために活動をするということも必要であるという
ことを認識していただくとありがたい。
【まとめ】
阪神大震災の教訓から、行政の救助活動は機能不全に陥ることが予想され、自らの
生命を守り、家族の生命を守り、近隣の人たちの生命を助ける「共助」という地域の
救済システムを平素から構築し、機能するようにしておく必要がある。
また、災害時には「疑わしきは行動する」という行動規範をもとに迅速に行動する
習慣づけをしておく。
さらに、防災訓練に参加しているかどうかで災害時の行動が変わってくる。
そして、そのことが生命の安全につながることなので、積極的な参加を行うとともに、
呼びかけを行っていく。
また、仕組みなどをせっかく作っても機能しなければ無駄になる。
一人でも多くの人が参加しやすい環境づくりや巻き込む仕掛けづくりが必要である。
次回は、無縁社会といわれる現代社会の中で、生石地区の高齢者の現状や課題などについて
話し合われる予定です。
【5回目以降のスケジュール】
・第5回会議 1月23日(水) 19:00~21:00 「無縁社会について」
・第6回会議 2月20日(水)予定 「子育てについてⅡ」