走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

成長

2010年03月11日 00時00分32秒 | 職場の出来事
 若手のC君が深刻な顔をして、私の机の前に立った。
 「報告があります」
 「何?」

 「さきほど○○の事業の件について、新年度の説明をしに現場に行って来ました」
 「ふーん、それで」
 「話を進めるうちに、相手が『なんでうちがこんな仕事をせないかんの?』と
  言ったのでカチンときて、言い争いになりかけました」
 
 「喧嘩したん?」
 「いいえ、そこまでは」
 「いまさら、そもそも論を言われてもと思ったわけや」
 「そうです」
 「でも、相手が怒ったのは、もっと他に理由があって、この話を昨年の春に
  うちの誰かに話していたらしいのです。そのことをなおざりにされたのが
  腹を立ててる原因のようなのです」
 「なるほど。それで(相手は)新年度からやりたくないと言ってるの」
 「いや、そこまでは。それと、相手の言うままに妥協すると他の地域にも
  影響が出ると思い、答えを出さないまま帰ってきました」

 「ところで君は、この仕事をどうしたいん?」
 「はい、帰ってきながら考えたんです。冷静に考えると相手が言っている
  ことの方が理屈にあっているような気がしたんです。そこで、一度しっかり
  と原点に立ち返った方がいいんじゃないかと」
 「原点て?」
 「こんなにもめるのは、最初がまちがっているんじゃないかと...」

 「そうか、今の二つの方式を一本化したいということやね」
 「そうです」
 「ふーん。じゃあそうしたら」
 「え!!いいんですか」
 「ええんじゃない。でも次のことを整理してからして」
 「何ですか?」

 「まず、そのような方式をとっているのに歴史的背景があると思うん
  やけど、そのことをしっかりと調べておき。それから、お客様で
  ある利用者が変ることを望んでいるか、調べて。
  次に、窓口になる現場の声を聴いて。そして、今のやり方と変えた
  いと考えているやり方のメリットとデメリットを整理して、それを
  オープンにした時に、果たして関係する人たちが賛成してくれるか
  どうか。それができるという自信があるなら変えてええよ」
 「わかりました。それが全部つぶせたら変えてエエですか?」
 「ええよ。変える時にはその時点から課長の責任になる。俺が、
  責任とったらええんやろ」
 「はい」
 「はっきりしとるな(笑)。でも、その前に今日の怒っている相手に
  誠意をみせないかんなあ。こちらの方向性を明確に示して、その移行
  にかかる時間とプロセスをわかるように説明して、しっかりと謝る
  ことやね。いかん時は私が謝りにいくけん」
 「方向性ですが、何て言ったらいいんですか?」
 「そらあ、おまえが変えたいといったベクトルでええんやないん」
 「ありがとうございます」

 部下がここまで考えられるようになっていると気づき、とてもうれしい気持ちになった。
 上司が頼りないほうが、部下は育つようである。