日本大学文理学部社会学科・後藤範章ゼミナールの日誌☆

社会学科後藤ゼミナールの実態とゼミ生の生態が一目で分かるゼミ日誌! しかと見れ!!!

東京探検団 ~ 舎人ライナー沿線

2014-06-29 16:00:00 | 2014年度

今回の東京探検団、舞台は「日暮里・舎人(とねり)ライナー沿線」。
人びとの日常をたどり、縫うようにして走る列車、それがこの「舎人ライナー」です。


駆け抜けていく日暮里・舎人ライナー

地上5階に相当する高さで、幹線道路の真上を駆け抜けていくため、
道路沿い(だけでなく、はるか彼方まで!)のすまいやお店を“眼下”に望むという、
ちょっとした「非日常感」をもって「日常」を味わうことができるのです。

では、「日暮里・舎人ライナー」とはいったい?

2008年の春、東京都交通局(都営)によって開通された新交通システムです(お台場を走る「ゆりかもめ」とおなじ、ゴムタイヤ走行)。
日暮里駅(荒川区)-見沼代親水公園駅(足立区。23区の最北端に位置する駅です) の全長9.7kmを結んでいます。


路線図。全13駅の区間です。

ちなみに「舎人(とねり)」は足立区の地名のひとつで、そこに路線名の由来があります。
その「舎人」とは、律令制の時代に、皇族などの警備や雑務に仕えた役職のことだそうです。

“東京23区”という大きなイメージのくくりに隠れがちですが、
そこには、沿線には、「郊外」としての一面が含まれているということ。
そしてそれは“東京23区”の一端として確かな様相をもっているということ。

舎人ライナー沿線は、郊外のなかでも、いろいろな表情を見せてくれます。
“空飛ぶ電車”に乗って、東京23区にも散らばる「郊外」をすくいとってみましょう!

今回は、以下のメンバーが参加しました。

3年:ありな、的場、高島、田中、佐野(企画者)
(ありなさんは写真にうつるのが好きでないため、記事に登場しません)


日暮里駅 東口から出発する一行

時刻は午前11時をまわりました。全員がそろったところで、出発進行!

まずは旅の支度から。
都営まるごときっぷ(1日乗車券)を手に入れ、ホームに「上陸」します。

はじめに目指すのは、終点の「見沼代親水公園駅」。
先頭車両の展望席をゲットするべく、1本見送っての乗車をおねがいしました。


先頭の車窓から。ここから「旅」がはじまります!


出発前の車内にて(手前左:田中くん、手前右:的場さん、右奥:高島くん)

そうこうしているうちに、軽快な発車音が鳴りました。いよいよ出発です!


ゆるやかな弧を描いて進む舎人ライナー(日暮里駅-西日暮里駅)

山手線も通る日暮里駅-西日暮里駅のあいだは、ビル、ビル、と都会的な光景がみられます。
この時点で圧巻だったのですが、まだまだ先はこれから。


川辺に緑の映える「水と緑の郊外」。手前は高速道路(足立小台駅-扇大橋駅)

自然にあふれているかと思うと、まもなく辺りは「すまい」の色を帯びていき……


駅前のロータリーと消費装置。そのうしろで“支える”のは集合住宅(扇大橋駅)


カーディーラーにファストフード店、ファミリーレストラン…
凝縮された「消費社会」、ここにあり!(高野駅[こうや-])

見慣れた、あるいは目にしたことのある“記号(店舗の看板)”のオンパレード!
それだけ多くのチェーン店=消費装置が、足音をたてて存在しているということですね。

“ロードサイド”を“ロードサイド”たらしめる現代の「消費社会」のありかた、
そしてその縮図を、ここに読みとることができます。


造成地でしょうか。郊外の新しい息吹が聞こえてきそうです(江北駅[こうほく-])

江北駅を過ぎ、環七こと環状七号線を飛び越えると、表情はまた一変。
レンタル倉庫や資材置き場、工場など…「ブルーカラー層」の郊外が見えてきました。


事業所やごみ処理車の車庫、奥には畑も(谷在家駅[やざいけ-])

と思っていたところ、景色がまた一変。


木々のベールに覆われた、都立舎人公園(舎人公園駅)

見渡すかぎり緑、みどりの公園タウンがお出迎えです。
終点は、すぐそこまで見えてきました!


兄弟のようによく似た一戸建てとラーメン店。繁盛していました(舎人駅-見沼代親水公園駅)

20分ほどの旅を経て、見沼代親水公園駅に到着。
東京都足立区、さらにその最北端の地です。


駅のホーム

駅名にもなった見沼代親水公園をめざします。てくてくと歩いていると…


なぞの機械を見つけ、盛り上がるメンバー

なにかを発見したようです。
「えっなにこれ!」「すごくね?」、そんな声が聞こえてきましたが……?


たばこが1箱300円前後!?

いつの時代のものでしょうか。
時が止まっているかのように、ノスタルジックな自販機でした。

とここで、企画者のミスが発覚。
進むべき方向と反対の方角に向かっていたため、逆戻りすることになりました。

「舎人氷川神社」に寄り道したあと、住宅街を歩き「郊外のすまい」をウォッチング。
駅から埼玉との県境まで200mほどということで、そこにも足をのばしてみました。


道沿いには、商業用らしき電化製品の数々が売られています!


埼玉への延伸計画を残したまま、線路がぶつ切りとなっている舎人ライナー

県境を“ここ”にも見ることができるのかもしれません。
そして一行は、見沼代親水公園へと向かいます。


見沼代親水公園に到着!

ここは全長1.7kmに及ぶ水路をもつ、緑道に近い親水公園です。
かつてこの界隈は農業・漁労がさかんな地域で、東京でいちばんの米どころでもあったのだとか。
ちなみに「見沼代」の名は、江戸時代に「見沼」という水源から「代用水」を引いたことに由来しています。

この日は29℃という暑さでしたが、どこかひんやりとした涼しさが。


川のせせらぎに癒されます。

「○○にご注意を」「○○はやめましょう」といった表記のポスターや看板が、
公園のいたるところに見られました。自治意識の高さをもうかがえます。

つづいて一行は、舎人公園駅へ。

都立舎人公園は、1981年に開園した広さ63ヘクタール(2014年6月現在。東京ドーム約13個分)の公園で、
敷地内にはテニスコート、陸上競技場、バーベキュー広場などがあります。
足立区の区画整理にともなって面積も大きくなっていき、現在もなお拡大しているそうです。

公園の下には、舎人ライナーの車両基地も!

私たちは、公園をふらりと散策したのち、
近くにある「倉庫群」「市場」をひと目 見てみようということになりました。


トラックターミナル


東京団地倉庫……屹立する建物におどろくばかり!


北足立市場……舎人で採れた野菜も届くようです。



館内の掲示物にびっくり!

この界隈は、物流センターのような機能をもっているのでしょうか。
休日とあってか、人影はどこにも見当たりませんでしたが、平日はきっとにぎやかなことでしょう。


舎人公園に戻り、みんなでフリスビー!

「公園タウン」を味わったあとは、つぎの目的地・「西新井大師西駅」へ。
消費装置にあふれたロードサイド郊外を、肌で感じとる道のりです。


ここから おとなりの「江北駅」までは徒歩の旅。


左手に2軒、右手に1軒のファミリーレストラン、ガソリンスタンド……この一角にも「縮図」がみえます。

ほかにも、カー用品店、ディスカウントストア、衣料品店、ホームセンター、などなど……
視界に飛び込んでくるのは、私たちが日ごろお世話になっているチェーン店ばかり。
その意味で舎人ライナーは、沿線にすまう方がたの「生活路線、ライフライン」といえるのかもしれませんね。


お店を1つひとつのぞきながら、郊外の一片をめくっていくメンバー

環七を越え、10分ほどで「江北駅」に到着。
沿道のファミレスで食事を済ませ、残るは1ヶ所のみです。

予定していたのは、扇大橋、足立小台、熊野前のうち、いずれか1ヶ所でしたが、
「足立小台駅」を訪れることになりました。


足立小台駅の周辺地図

荒川と隅田川に挟まれた地域ですが、ご覧のとおり、部分的には川よりも細い陸地です。
そのわずかな地に、大型の家電量販店がそびえ立っていたのにはおどろき!

時刻はまもなく16時。遠くで雷が光っています。
急激に雲行きも怪しくなってきたため、引き上げることにしました。


荒川を望む。道には「日暮里・舎人ライナー」の文字が!

今回の探検団をふりかえると、
田園風景の広がる牧歌的なまち。住宅カタログのような、数多くのすまいに支えられたまち。
はたまた、チェーン店にあふれ、消費社会のベールに覆われているロードサイドのまち、など……

ひとくちに「郊外」といっても、そのありかたは「郊外」という枠に収まりきれないほど
多様で多次元なものであると、身をもって知ることができました。

日暮里駅に着くころには、スコールのような雨に。
予定時刻となり、「舎人ライナー沿線」の旅もここにてお開きです。

長旅、おつかれさまでした!


最後に集合写真、はいチーズ!


文責:佐野風花(2014年度3年ゼミ生)
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