妹の飼い猫パンチの右脇腹に、腫瘍ができた。脂肪腫のように丸くプヨッとした感触ではなく、大きな固い突起のような、触るだにイヤな感じのもの。
近所の人に拾われて、妹に託されたときのパンチは掌サイズだった。まだ小さかったので目が離せず、かつてあった私たちの事務所に妹が連れてきたこともあり、スタッフや犬たちに可愛がられて育ったパンチは、とても人懐こく、性格が穏やかだ。そんなパンチももう15歳。
病理検査の結果は、悪性巨細胞腫という診断。骨由来か間細胞由来かは特定しきれないそうだが、骨由来だと転移の可能性は20%くらいだという。腫瘍のある周囲に侵食する、その進行の仕方は骨肉種に似ているらしい。
妹によれば、治療方法として3つの選択肢を挙げられたそうだ。
まず、CTを撮って手術できるかどうか検査してから、切除する外科的な方法。その際、状況によっては肋骨を切る可能性もあるそうで、うちの犬たちの主治医である酒井先生の病院にはCTがないので、別の病院でやることになり、CTを取るにも切除手術も全身麻酔をかけることになる。
次が、放射線照射による治療。しかし、これも全身麻酔。3つ目が抗癌剤の点滴。
いくつか効くだろう種類は思い当たるそうだ
放射線照射と抗癌剤の投与は、進行を遅らせる効果を期待してのもので、個体差はあるけれど副作用が出ることを想定しておかなくてはならない。この腫瘍は症例が少なく、珍しいようなのだが、余命は半年程度ということが多いらしい。
ああ、パンチ…。
鼻の穴の縁が黒くて、「チビノリダー」(平成生まれの人は「チビノリダー」は知らないでしょうけど)というあだ名がついたパンチ。掌サイズのパンチ用に、専用の家やトイレを段ボールで付く手あげたことを思い出す。
もらわれて来て慣れた頃のパンチ。左側の鼻っ面は今は亡きゴナ
眠っている鼻先にエサを近づけると、鼻をピクピクさせていきなり目を覚まし、フガフガとものすごい勢いで平らげて、そのままコテンと眠ってしまったパンチのポンポンに膨れ上がったおなかに癒された。
パンチの年齢を考えて、妹つたちは抗癌剤投与を決めた。定期的に「ドキソルビシン(アドレアマイシン)」を投与することになり、パンチは初めての点滴を受けたのだけど、パンチはとても大人しくしていたそうだ。人慣れしていてよかった。
「ドキソルビシン(アドレアマイシン)」に副作用が出ないタイプの子が7割いるそうだが、ラッキーなことにパンチはその7割に入っているらしく、今も発症・投与前と変わらず、会いに行けばゴロニャンと元気に甘えてくれる。
頑張れ、パンチ。どうかパンチが苦しみませんように。