小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

復興ぞうきん

2012-06-19 | つぶやき

 昨日、詩の同人会があり、有数の古書店街として知られる神保町に出かけた。
 神保町は私の大好きな町で、浪人時代は予備校の授業がないとき(授業があってもさぼっては)よく1人でぶらぶらしていたし、三省堂の並びの書店「書泉グランデ」でバイトをしていたこともある。同人会を主宰している岩井さんが小学館のOBということもあり、嬉しいことに同人会はいつもこの神保町で開かれるのです。

 ランチを済ませて立ち寄ったのは、昭和初期創業の老舗茶房「きゃんどる」。私が知っている「きゃんどる」は古本屋街の一角にあったように記憶していたのだけれど、一帯の再開発で今は東京パークタワーという高層ビルの1階で営業していた。

 神保町の魅力は書店の町というだけでなく、昔ながらのたたずまいの喫茶店が残っていることだ。「ラドリオ」「さぼうる」「ミロンガ」「神田伯剌西爾」…、よく利用していた風情ある喫茶店がまだ健在なのが嬉しい。

 「きゃんどる」で美味しい珈琲を飲みながら一服し会計を済ませたあと、ふと目に止まったのが、海苔巻きのように巻かれた雑巾に付けられた帯の「復興ぞうきん」という文字だった。ぬくもりのある木のテーブルの上に、カゴに入れられて置かれていたその「復興ぞうきん」を思わずひとつ買い求めたのだった。ひとつ300円。

              

                       

「復興ぞうきん」には縫い手さんの名前と出身地が書いてあった。私が買った雑巾には男性の名前が記してあった。震災前には雑巾など縫ったこともなかったのではないだろうか。どんな方が縫ったのかは分からないけれど、想像もしなかった生活を送らなければならない戸惑いを、ひと目ひと目を縫うことで何とか振り払おうとしている姿が浮かび、少し切なくなった。

 帯にはこんなことも書かれていた。

「復興ぞうきんの縫い手さんの多くは岩手県内陸部に転居を余儀なくされた方々です。震災後、県都・盛岡市やその近郊で新たな生活をスタートされました。
しかし、働き口の受け皿には限界があるのに加えて、周囲にほとんど知り合いがいない方も少なくありません。そこでSAVE IWATEでは、縫い手さんに気軽に集まってもらえるような場-『紡ぎサロン』-を定期的に開催しています。」

 どうして茶房「きゃんどる」に「復興ぞうきん」が置かれていたかは分からないけれど、この雑巾、大切に使わせていただきますね。

SAVE IWATE  http://sviwate.wordpress.com/

コメント (5)
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